トレースマップは推定ルート
*この地図の作成に当たっては、国土地理院長の承認を得て、同院発行の数値地図25000(地図画像)及び数値地図50mメッシュ(標高)を使用しています。(承認番号 平25情使、第146号) 

武奈ヶ岳  (1214m 滋賀県) 2016.5.1 晴れ 2人
イン谷駐車場(7:35)→大山口(7:46)→かくれ滝(8:08)→青ガレ取り付き(8:26)→金糞峠(9:01-9:16)→尾根への分岐(9:35)→中峠分岐(10:15)→コヤマノ岳(10:16-10:22)→八雲ヶ原分岐(10:28)→イブルキのコバ分岐(10:31)→武奈ヶ岳山頂(10:45-12:14)→イブルキのコバ分岐(12:26)→イブルキのコバ(12:54)→八雲ヶ原(13:08)→北比良峠(13:36)→カモシカ台(14:10)→大山口(14:40)→駐車場(14:49)

★5月1日に滋賀県の武奈ヶ岳に登ってきました。
★イン谷口に駐車して、谷沿いに登り、大山口から金糞峠方向へ。
★かくれ滝に寄って、青ガレの石積みをイワカガミを見ながら登りました。
★谷を詰めて金糞峠から中峠方向に歩き、途中から谷を離れて尾根道へ。
★芽吹き始めた美しいブナ林のコヤマノ岳を経由して、大勢の登山者で賑わう武奈ヶ岳山頂に立ちました。
★琵琶湖を眺めながら昼食を楽しんで、下山は八雲ヶ原方向へ。
★スキー場跡付近でルートファインディングしながら、北比良峠を経由してシャクナゲの花を見ながらダケ道を下りました。
★展望地や花が多く、また谷歩き・尾根歩きなど実に変化に富んだ山歩きを楽しんできました。

 今年の連休登山は200名山の1つ、滋賀県の武奈ヶ岳を選んだ。天気のいい連休前半に登ることとし、4月30日の午後に自宅を出発。渋滞を避けるために国道303号線で揖斐川町を抜け、木ノ本へ。湖北から国道161号線で湖西に入り、高島市で前夜泊。早朝、さらに南下して大津市に入り、武奈ヶ岳の登山口となるイン谷に向かった。

 武奈ヶ岳は周辺の山を含めて、登山道が網の目のように整備されており、どのようにでも登れる。今回は、最も一般的なイン谷を起点に時計回りで周回するコースを計画した。

 イン谷の三叉路を左に進むと道沿いにたくさんの駐車場がある。7時半前に到着したが、上部の駐車場はいっぱい。さすがに人気の山だ。トイレの近くの谷川に沿った駐車場に車を停めた。身支度する登山者に交じって靴を履き替え、ミニ鯉のぼりをザックに付けて出発。

 駐車場を後に、新緑の美しい林道を10分ほど歩くと、右に道が分岐している。この道は北比良峠に向かう道で、帰路はここに下ることになる。登りは青ガレ方向に直進する。前方を行く単独女性を追って、谷川の音を聞きながら堰堤の左を通過して行くと、木に掛けられた小さな板に「かくれ滝→」とある。帰りはこの道を通らないので、寄ってみることにした。

 谷を渡ったところにあるようだが、踏み跡が不明瞭で、流れを渡ったところでルートファインディング。少し上流に歩いてみると滝の音が聞こえてきたが滝が見えない。近づいてみると岩に隠れた滝が姿を現した。名前の通りの滝である。

 写真を撮って引き返し、大きな堰堤を見ながら谷沿いの道を歩く。涸れた谷を横断して更に登っていくと、水が流れ落ちる堰堤に突き当たり、谷を右に渡って、石が積み重なった急斜面に取り付く。石に「青ガレ」と書かれた板がロープでくくりつけてある。ここから青ガレの登りが始まる。

 赤ペンキの「〇」や「→」を拾いながらの登りはアルプスの雰囲気がある。左の山際に沿って登っていくとイワカガミの群落が現れ、ちょうど花が最盛期。群落ごとに花の色の濃さが違う。イワカガミに続いてフデリンドウの可憐な花もあり、急登の疲れが癒やされる。

 青ガレを登り詰めると谷の右の斜面をトラバースする。イカリソウのピンクの花を見ながらトラバースを終え、再び谷の道となる。谷は次第に狭くなり、石の道を稜線目指して、先行者を追う。青空が近づき、谷を詰め切ると金糞峠に出た。

 登山者が休息する峠で振り返ると、谷の先に霞んではいるが琵琶湖が見える。北側の高台に石仏が一体、琵琶湖を背に佇んでいる。昔から多くの旅人が通過した峠のようだ。パンを食べて休息する。左に谷があり、咲き遅れたバイカオウレンの花が見られた。金糞峠は十字に道が交差しており、直進はワサビ峠・武奈ヶ岳、左は南比良、右は北比良峠。ここは直進して武奈ヶ岳を目指す。

 峠から下って谷沿いに歩くと、すぐに分岐点に出た。橋を渡って右に行けば八雲ヶ原。左は中峠・大橋の標示。右手の広場にはテントがあり、ここで泊まったパーティもあるようだ。右の橋を渡ったところにコヤマノ岳に向かう尾根道の分岐があると思われたが、中峠に行く道を選んだ。

 左に歩き、橋を渡って大橋への分岐を通過。谷に沿って北西に人工林の中を歩く。大橋への分岐から10分ほど歩くと、右に尾根に上がる道があり、「積雪期には尾根道が安全」との板切れに書かれた標示があった。コヤマノ岳へは尾根道が最短距離となるため、右折して谷川に架かった丸木の橋を渡って人工林の斜面に取り付く。踏み跡はしっかりしており、尾根に向かって折り返しながら登ると5分もたたないうちに尾根に出た。

 スギの人口林を北に向かう。尾根に出て10分ほど歩くと人工林はブナの多い天然林となり、一人生えしたスギの幼木も見られた。ブナは芽吹き始めたところで、青空を背景に立つ銀色のブナの幹が美しい。適度な傾斜の尾根をゆっくり登る。傾斜が緩やかになり、35分ほど尾根を歩いたところで、中峠から上がってくる道に突き当たった。

 右に折れるとすぐにコヤマノ岳山頂に到着。山頂付近は、東側が見渡せる展望地がいくつかあり、琵琶湖に浮かぶ沖島や下山時に通る北比良峠、その左のスキー場跡や釈迦岳が望めた。

 展望を楽しんだら、気持ちのいい天然林を北へ緩やかに下る。タムシバの白い花がよく目立つ。八雲ヶ原への分岐を右に見て、さらに下ると正面に武奈ヶ岳が見え始めた。山頂付近は裸地になっており、山頂に立つ登山者がよく見える。後ひと登りで山頂だ。

 イブルキのコバへの分岐を通過し、崩壊しかけた鞍部から登りにかかる。石の転がる溝道を登る。クサリが設置されているところもある。溝道を抜けると周囲の木々は背の低い灌木となり、青空に向かって乾いた地面を踏んでいく。振り向けば、今、登ってきたコヤマノ岳がなだらかな山容を見せる。

 下ってくる登山者と挨拶を交わしながら、西南稜への分岐を見て武奈ヶ岳の肩に到着。前方には多数の登山者が集まる山頂が目に入った。北西からの風が強い。ザックに付けた鯉のぼりをなびかせながら山頂を踏んだ。大勢の登山者で賑わう山頂からは360度の大展望。南には、霞んではいるが、琵琶湖を背景に釈迦岳やコヤマノ岳、西には蓬莱山。北へは北稜の道が下っている。

 数体のお地蔵さんが佇む山頂で鯉のぼりを持って記念写真を撮り、山頂の南側で琵琶湖を見ながら昼食にする。メニューは缶詰と卵雑炊。不安定な石の上にシングルバーナーを乗せたことから、コーヒーを沸かしていたパーコレータが転倒するというハプニングも。それにしても、山頂は50名以上の登山者であふれ、大人気の山である。

 下山は八雲ヶ原経由とし、まずは登ってきた道を下る。登ってくる多くの登山者とすれ違った。ザックの鯉のぼりを見て笑顔で声をかけてくれる人が多かった。鞍部まで下って、分岐点からイブルキのコバ・八雲ヶ原への道に入る。コヤマノ岳を巻くように東にトラバースしていく。この辺りもブナ林が美しい。左には、今登った武奈ヶ岳の山頂が望める。遅咲きのショウジョウバカマを見ながら、等高線に沿って水平に歩き、深い溝の道へ。

 左側が崩壊したロープ場で団体さんとすれ違う。さらに下ると小さな谷に沿った道となる。ネコノメソウやエンレイソウが咲いている。次第に水量が増えていく谷を渡りながら下る。高巻きするところもある。谷川に架かった木の橋を渡るとイブルキのコバに着いた。ここは広谷と八雲ヶ原の分岐点となる。

 直進して八雲ヶ原に向かう。右山で歩くと、イワウチワの花が見られる。さらに下っていくと、目の前が開け、広大な広場に飛び出した。ここが八雲ヶ原。スキー場跡でもあり、池がある。さて、ここからどちらへ行くのかよくわからない。広場から左右に道があるようだが、標識がない。地図が設置してあるが、見てもよくわからない。持参した地図を見て、ここが北比良峠方向と金糞峠方向への分岐点となり、その先にも分岐点があることを確認。金糞峠に下ってしまわないように、ここから北比良峠方向へ向かうことにした。

 左の広い道に向かう。下ってくる男性2名の登山者にこの方向が北比良峠に行けるか尋ねると、八淵の滝から登ってきたので北比良峠を通過していないが、間違いないと言われた。ゲレンデ跡を登って行くと、左にシャクナゲの花を発見。写真を撮ったが、この先でたくさんのシャクナゲの花を見ることになる。

 坂を登りつめて広場を横断し、さらにザレた広い道を登ると芝生広場のような展望地に出た。目の前には谷の間に琵琶湖が見える。ここが北比良峠だと思い込んでいたが、峠はさらに南にあることがすぐに分かる。南に向かう3人パーティにイン谷方向であることを確認し、右側が崩壊した痩せ尾根を通過して八雲ヶ原への分岐を右に見て登ると、再び広場に出た。ここが北比良峠だった。ケルンのようなモニュメントがあり、北西にはコヤマノ岳や武奈ヶ岳が見える。コヤマノ岳から見えた広場である。

 北比良峠の南から大山口に向かう南西尾根に入り、溝の道を下る。イワカガミの群落がみられ、美しい花を咲かせている。溝からザレた痩せ尾根の道を通過。シャクナゲの道となり、木ごとに花の色の濃さ違うことが面白い。ミツバツツジも見られたが、何ミツバツツジか分からなかった。

 花の写真を撮りなが、再び溝の道となる。ザレた急斜面でロープが設置してあるところもあり、ダケ道と呼ばれている。イワカガミの群落が途切れることなく続き、単調な道でも退屈しない。カモシカ台とよばれる小広場を通過して、ジグザグと下って行くと小さな谷に沿った道となり、大山口に着いた。河原で休息中の団体さんの間を抜けて、川を渡り、往路の道に合流。予定通りの時間で駐車場に戻り、武奈ヶ岳の山旅を終えた。

 武奈ヶ岳の今回歩いたコースは、実に変化に富んで、面白い山歩きが楽しめた。コースは多彩であり、登山口を変え、季節を変えて登りたい山である。
★武奈ヶ岳の花


★武奈ヶ岳からの展望

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