トレースマップはカシミール3Dで作成
*この地図の作成に当たっては、国土地理院長の承認を得て、同院発行の数値地図50000(地図画像)及び数値地図50mメッシュ(標高)を使用しています。(承認番号 平21業使、第478号) 誤動作あり 点線は推定トレース 青い線は2007年のトレース  

屏風山<寿老の滝コース>(794m) 2010.7.19 晴れ 3人

寿老の滝駐車場(9:34)→林道車止め・登山口(10:19)→黒の田東湿原(10:32-11:00)→馬の背山(11:15)→展望台(11:25)→八百山(11:30)→屏風山(11:37-12:58)→北屏風山(13:00)→林道(13:15)→小滝分岐点(13:31)→小滝(13:42-13:45)→小滝分岐点(13:59)→寿老の滝駐車場(14:10)

 梅雨が明け、青空が広がった連休の最終日。GOMAさんと一緒に近場の山に行くことにした。GOMAさんとは、白尾山に一緒に登って以来、久しぶりの出会い。行き先を湿原のある瑞浪市の屏風山に決めた。屏風山は3年前の7月に瑞浪市側の百曲コースを登ったが、今回は恵那市側の「寿老の滝」を起点に周回するコースを計画した。寿老の滝は標高500mを超える場所にあり、屏風山山頂までの標高差は300mを切る。しかし、このコースは林道歩きが多く、真夏に歩くコースではないような気がしたが・・・。

 GOMAさんを拾って、東海北陸自動車道、東海環状自動車道、中央自動車道を経由し、瑞浪ICで下りて国道19号線から県道20号線、県道66号線を走り、恵那市の道の駅「らっせい三郷」でトイレに寄る。道の駅の売店には恵那地域の特産物がいろいろと置いてあり、帰りに買うものを選んで寿老の滝を目指す。

 道の駅から国道418号線を2kmほど南下したところの右側に「寿老の滝」の標示を見つけて、ここを右折。田園から山道となり、道なりに進んで椋の実ダムを通過。さらに舗装道路を進むと、寿老の滝の駐車場に到着。道の両脇に20台ほど駐車できそうだ。数台の車が停まっていたが、滝の見物客の車のようだ。トイレの脇に林道があり、帰路はこの林道に下ってくることになる。左側の駐車場の下は谷川になっており、この川のすぐ上流の橋に滝がある。
 
 靴を履き替えてスタート。道路を歩くと右側に寿老の滝が現れた。滝は2つあり、右側の滝の水量が多く、勢いよく噴出す水はしぶきとなって道路近くまで飛んでくる。まさに天然のクーラーで、真夏に訪れたい場所である。滝の見物をし、道路の先へ進むと、右へ未舗装の林道が分岐しており、この道に入る。すぐに道はカーブして滝の上部を通過して真っ直ぐな道となる。先日の雨で、道は浸食されて4WDでも走行は難しそうに思われたが、今朝、この林道を走ったと思われるタイヤの跡が見られた。

 最初は谷を右に見て歩く。炎天下の林道歩きを想像したが、谷沿いの林道であり、木々の背が高く、日陰で涼しい。梅雨が残した水が林道を流れているところもある。花崗岩が風化した崖の崩壊箇所も見られ、路面も砂質で歩きやすい。オカトラノオやタケニグサ、オトギリソウなど夏の花が時折現れる。いつしか谷川は左に移り、谷音を聞きながら緑のトンネルを、GOMAさんと植物や山の話をしながら歩く。
 
 寿老の滝から40分ほど歩くと、右側に森林補助事業の看板が現れ、排水用のゴム板の先が新しい林道となった。道の両脇が人工林となり、右方向に曲がる林道を進むと、クサリの車止めが現れた。左側に「登山口 湿地経由」の文字を見て人工林の山道に入る。

 ササ付きのジグザグ道を、ノギランの花を見ながら登っていくと10分ほどで平らな道となり、T字路に突き当たる。右が屏風山、左が田代山。右に向かうとすぐに左に屏風山への道が現れる。この道を3年前に登ったことを思い出した。ここは直進して、湿原への道を左に曲がり、橋を渡ると黒の田東湿原の大きな看板がある。

 真っ先に目に入ったのは湿原に点々と咲くオレンジ色の花。ノカンゾウの花でちょうど今が最盛期。湿地にはモウセンゴケの白い小さな花も見られた。お目当てのサギソウの花は見られず、まだ早すぎたようだ。3年前と同様に真っ赤なハッチョウトンボが水面を飛んでいる。以前と変わったのは湿原に木道ができていたこと。
 
 植物観察しながら木道を歩いて対岸に渡ると、人工林の中、ササの道となる。ぬかるんでおり、足を取られないように道の縁を歩いて湿地の周囲を回る。再び木道となり、湿地を横断して看板のあるところに戻った。真夏の太陽の下で、緑に輝く湿地が眩しい。その緑の中に紫色の花が2輪。近寄って観察できないが、ノハナショウブと思われた。木道を歩いてきた4人パーティと出会って挨拶。

 湿地を後に、屏風山を目指す。月山への道を左に見てすぐに百曲コースからのルートと合流。右折すると雨で掘れて水がたまった道となる。丸木橋で水溜りを渡り、ササに覆われた道を歩くと稜線の道に合流した。前回、下りに使った尾根道である。今歩いてきた道方向の標示には「ぬかるみ多し」と書いてある。右に向きを変えてササユリの葉を見ながら一登りすると、馬ノ背山767mに到着。ここから下って大草口への分岐点を通過。このすぐ近くにテーブルのような石が置いてあったが展望はない。

 山頂まで20分の標示を見て尾根を歩くと緩やかに登って展望台の標示にぶつかる。標識に従って左に歩くとすぐにアカマツ林の展望台に着く。西方向の展望があり、瑞浪市街地が見下ろせる。この山では貴重な展望地。一息ついで引き返し、分岐点から屏風山の標示に従って一登りして八百山を通過。標高800mであることからこの名前が付いている。
 
 八百山から時計回りに人工林を下って登り返すと屏風山山頂に到着。湿地で出会った4人も到着したところだった。山頂は3年前と比較してササが刈り払われ、さらに間伐が進んでいた。南北の展望が得られ、東には恵那山が大きい。恵那山から右へ、焼山、大川入山、高峯山、さらに大船山付近の風力発電のファンも見えた。青い空に浮かぶ白い雲が美しい。この山頂の雰囲気は、今年6月に登った関市の権現山の山頂によく似ていると思った。
 
 木陰で丸木をベンチにランチ。メニューは冷奴とチャーハン、コーヒーにクッキーのフルコース。3人で山談義をしながらのんびりと食事を楽しむ。ランチを終える頃、ヒグラシが鳴き始めた。
 
 下山する4人を見送って、記念写真を撮り、山頂を後にする。ササの道を緩やかに下っていく。真っ赤なタマゴタケに感動。屏風山山頂から100m歩いて北屏風山に到着。ただの通過点に過ぎないが、ここで道が分岐しており、左は常盤口へ、右は寿老の滝に繋がっている。人工林の中、ササの道を2分ほど歩くと急降下の道となる。一気に標高を下げる。薄い道が左へ分岐しているがここは直進。

 ササがうるさい道をさらに下るとヤセ尾根のなだらかな道となる。大きなキノコを足元に再び三叉路を通過。ここには「寿老の滝」の標示が右にあり、尾根を外して下る。窪地状の道を通過。左右が谷となり、右の谷には堰堤が見える。アセビの多い尾根を下ると林道に出た。林道の右は終点となっており、左に下る。未舗装の林道を歩く。枝に止まるオオミズアオを見つけた。大きな蛾で水色の羽が美しい。木陰が多い林道を15分ほど歩くと、左へ道が分岐しており、「遊歩道 小滝まで約350m」の標示。
 
 小滝に向う。今回、小滝までのこの道が最も印象に残った。いきなり水の流れるぬかるみの道。紫色のママコナの花を見ながら谷川を渡る。倒木を潜り谷沿いに歩く。初めて見る可憐な白い花を見つけた。後に調べてみるとシロバナイナモリソウというアカネ科の花だった。谷は荒れており、ルートファインディング。谷川に架かる橋が崩壊しているところもあり、靴を濡らしながら渡河。豪雨の後で谷川の水量は多い。斜めに架かった木橋を渡り、谷を高巻きすると、滝の上部が見下ろせた。
 
 すぐに小滝へ下る階段が現れる。階段といっても、丸木をプラスチック杭で止めただけのもので、その傾斜は垂直に近い。転げ落ちないように慎重に谷川まで下ると左に階段状の大岩を滑り落ちる滝があった。小滝である。寿老の滝に比べれば名前どおり小規模な滝であるが、水量が多く迫力がある。大岩にイワタバコの葉がたくさん見られた。
 
 滝見物を終えたら急斜面を登って、同じ道を引き返す。斜めに架かった木橋で苦戦。橋を登る時には問題なかったが、下りは簡単ではない。滑らないように後ろ向きになったり座ったりして橋を渡った。逆光で緑の光が降り注ぐ谷は最高に美しい。そして涼しい。滝から15分ほどで林道まで戻った。

 林道を寿老の滝に向う。林道に沿って流れる水は寿老の滝とは反対方向に流れており、小滝のある谷に注いでいる。前方から夫婦と思われる男女が歩いてきた。聞けば小滝に行くとのこと。スニーカーだったのでぬかるんだ道や川を渡るなど、道が荒れていることを伝えた。小さなピークを越えると寿老の滝の駐車場が見えた。林道入口には小滝まで1kmの標示があり、ここでも小滝に向かおうとしていた夫婦がみえたので道の状況を伝えると、行くのを止められた。遊歩道という標示があるが、現在はとても遊歩道とは言えないので要注意。

 寿老の滝の駐車場は車であふれていた。谷川ではバーベキューをする人や昼寝をする人でいっぱい。避暑には最適な場所であり、こんなに人気がある場所であることを初めて知った。次から次へとやってくる車を見ながら滝を後にし、再び道の駅「らっせい三郷」に寄った。3人で正面に笠置山と二ツ森山を見ながら食べた栗きんとんアイスが美味しかった。

 屏風山はいくつかのコースがあり、今回登ったルートは林道歩きが多いが、谷沿いで涼しく気持がいい。湿地には夏の花が咲き、山頂は木陰が多く、真夏でも思ったほど暑さを感じない山だと思う。道は明瞭であるが、いくつかの道が交差しており、事前の下調べをしておくといい。大雨の後は小滝への道が荒れており、ぬかるみや渡河、滑りやすい木橋などがあり、登山靴など万全な装備が必要。

 次回は、別のコースを、季節を変えて登ってみたい。
★屏風山からの展望

★屏風山の植物・昆虫
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