トレースマップはカシミール3Dで作成
*この地図の作成に当たっては、国土地理院長の承認を得て、同院発行の数値地図25000(地図画像)及び数値地図50mメッシュ(標高)を使用しています。(承認番号 平25情使、第146号)
大日ヶ岳 (1709m 郡上市) 2015.5.6 晴れ 2人
ダイナランド駐車場(8:34)→αライナー始点(8:46)→レストラン(8:58)→αライナー終点(9:41)→登山口(9:52)→スノーパークゲレンデトップ展望台(10:28)→前大日山頂(11:07)→大日ヶ岳山頂(11:36-13:11))→前大日山頂(13:28)→スノーパークゲレンデトップ展望台(13:49)→αライナー終点(14:15)→駐車場(15:02)
★5月6日に大日ヶ岳に登って来ました。
★今回は、まだ登っていなかったダイナランドスキー場からのコースを選定。
★ゲレンデの管理道を1時間登って、ゲレンデトップへ。
★山道に入り、美しいブナ林の尾根を、残雪を踏んで歩きました。
★スノーパークゲレンデトップから芽吹きの林を抜け、雪の斜面を登って前大日へ。
★目の前の巨大な大日ヶ岳と雪の白山を見ながら、一旦下り、アイゼンを付けて雪の急斜面を登り切って大日ヶ岳山頂に到着。
★山頂の雪原から見る360度大パノラマに大感動。
★白山を目の前に、ゆっくりと昼食を楽しみました。
★大日ヶ岳は今回で4回目ですが、残雪期の素晴らしさを実感した山旅となりました。
大日ヶ岳は、季節を変え、コース変えて3度登っている。今回は、まだ登っていない残雪期に、ダイナランドスキー場のコースを登ることにした。渋滞がなくなる連休の最終日は、天気の予想もいい。東海北陸自動車道を北上し、高鷲ICで国道156号線に入り、ダイナランドスキー場を目指す。連休最終日で車は少なく、順調にスキー場への道を走る。
車の無い巨大なダイナランドの駐車場を見ながら走ると、立体駐車場の手前で通行止めのゲートに突き当たった。ゲート前の駐車場には数台の車が停まっていたが、登山者は見当たらない。身支度をして、ゲートを抜け、左にある黄色の大きなセンターハウスに向かい、トイレに寄る。センターハウスの前に立って、ゲレンデを見上げると、ゲレンデトップ辺りには雪が白く輝いている。
コースはネット情報によるとαライナーに沿って登るとあったので、センターハウス前のαライナーのリフト乗り場から、リフトに沿って付けられた地道を歩き始める。3分ほどで地道を登りきると、舗装された駐車場のような広い場所に出た。黒くなった残雪があり、手袋やゴーグルなどが落ちている。まさに、閉鎖したばかりのスキー場である。それにしても人影は全く無い。見上げるゲレンデに登山者の姿も無い。この広大なスキー場にいるのは我々2人だけのようだ。
真っ直ぐに歩いてクランクすると、リフトの下で道が二手に分かれている。左への道はリフトの下を潜って南側の尾根に向かっている。左側は右にあるオレンジ色のレストランの建物に続いている。どちらもαライナーから離れていく。持ってきた地図のコースをよく見ると右側から大きく回り込んでαライナーの終点に続いている。この時期、雪解け直後で草も無く真っ直ぐに登ってもいいが、ユリなどが植えられていると思われたので、右側のゲレンデの管理道路を登ることにした。
左に短いリフトを見て、レストランの前を通過。たくさんのツクシを見ながらゲレンデの右に付けられた管理道路に取り付く。右側にはβライナーが稜線まで上がっており、こちらのリフトはまだベンチが取り付けられたままである。道は石がごろごろして、歩きにくい。ゲレンデには植栽された黄色いスイセンが美しい。
道はβライナーを離れて左上部の谷に向かっている。道端にはたくさんのフキノトウが面白いように並んでいる。後方には鷲ヶ岳スキー場や見当山が見える。短いリフトの終点を通過してαライナーの下にある谷に沿って歩く。谷を覗いてみると、雪解けの水を湛えた池が見下ろせた。芽吹きの萌黄色の林にはタムシバの白い花が見られ、その上を真っ青な空が埋めている。左上にαライナーの終点が近づいてきた。
狭まってきた谷の管理道を登っていく。後方には見当山の向こうに御嶽山が立ち上がってきた。谷川沿いに設置されたネットを左に歩き、残雪の上を一直線に登っていく。雪の上には今日歩いたと思われる足跡が残っている。雪が溶けた直後の地面からは、食べごろのフキノトウがたくさん見られた。登り詰めると、管理道は直角に左に向きを変えて、αライナーの終点に向かっている。ここにはまだ1mほどの雪が積もっており、雪の上を歩く。左側の展望が素晴らしい。
リフト終点を通過すると、さらに管理道が山に向かって続いている。管理道上部を登る男女2名の登山者が見えた。ゲレンデで見かけなかったことから、我々とは違うルートで登ってこられたようだ。ここでパンを食べて一息つき、Tシャツ1枚になって歩き始める。
石ころの管理道は舗装道路に変わり、傾斜が増した。息を切らしながら登り切ると、左に「山頂へ」と書かれた標識が現れた。ここが大日ヶ岳への登山口となる。舗装道路はスノーパークのゲレンデへ繋がっている。登山口にはバックカントリーへの警告看板が設置してあった。
草つきの道はササに囲まれた道となり、その先で潅木の尾根道となる。道の右側には雪がしっかりと残っており、雪の上を歩くところもある。前方の2人の登山者を追いながら歩くと、ブナの林に入る。雪の上に茶色の籾殻のようなものがたくさん落ちている。木の芽が萌芽するときに落ちる燐辺のようなものであろうか。それにしても青空に映える芽吹きのブナの木は美しい。癒しの風景の中、緩やかな尾根を登っていく。
雪の上を歩きたいと思い、右に寄って雪の上に出てみると、眼下をスキーヤーが滑走していくのが見えた。バックカントリーのスキーヤーと思ったが、音楽が聞こえてきた。この下はスノーパークのゲレンデで連休もまだスキー場はオープンしている。後に分かったが、この日が最終日だった。
さらに尾根を歩くと、前方に雪のある前大日が樹間に見え始めた。小さなピークを下っていくと、SPゴンドラの終点の建物が見えてきた。以前、厳冬期にSPゴンドラを利用して大日ヶ岳に登った懐かしい場所である。建物の向こうには白山が望めた。さらに進むと、SPゴンドラ終点近くの尾根に木で作った展望台があり、ここから見下ろしてみると、大勢のボーダーやスキーヤーがゴンドラを降りて滑走していく。霞んではいるが、御嶽山や乗鞍が見える。
展望を楽しんだら左方向に向かって広い尾根を歩く。この辺りはまだ深い雪に覆われて、木の根元にはツリーホールができている。ダイナランドとスノーパークの分岐点に立っていると思われる標識が雪に埋もれていた。広い尾根はどのようにでも歩ける。尾根を外さないようにザクザクと雪を踏んで歩く。こんな残雪期の雑木林を歩きたいと思っていただけに、この尾根歩きは最高に素晴らしい。
雑木林を抜けると前方に前大日が堂々たる山容を見せる。下山してきた単独男性と挨拶を交わして、雪の無い道に入る。左には隣の尾根が見え、雪の斜面に芽吹きの木々の黄緑色とツリーホールの黒い点が今しか見られない絶景を作っている。ショウジョウバカマを足元に、スキーヤーへの警告看板を見ながら、ササの斜面に付けられた一直線の急坂に取り付く。雪解け水が流れる道を一歩一歩登っていく。以前の厳冬期もこの斜面を登ったが、これほどの傾斜があったとは・・・。
斜面上部は雪で、滑り落ちないようにステップを切りながらゆっくり登った。登りきって振り返ると、緑色のSPゴンドラの終点駅が小さく見えた。その向こうには鷲ヶ岳、その向こうに噴煙を上げる御嶽山。ここから左に向きを変えて急斜面を登って、前大日に続く雪の尾根を歩く。数人の下山者に出会った。右側には、ブナやダケカンバの木々の間から白山方面の雪山が見える。
絶景に感動しながら雪尾根を登り詰めると前大日の頂上に到着。思わず声が出る。前方には、今日の目的地である大日ヶ岳がホルスタインのような雪模様を作って居座っている。その左には鎌ヶ峰から水後山へと続く尾根が美しい。大日ヶ岳の右には別山・白山が連なる。今日、一番の絶景に、何度もシャッターを切った。
目の前の山頂に向かって、前大日を下る。足元にはイワナシがピンクの可憐な花を咲かせている。一気に下って、雪解け水のたまった道を通過。登りにかかると、前方に先行の男女がアイゼンを付けて出発するところだった。目の前には、雪の急斜面が行く手を阻む。我々も6Pアイゼンを履いた。急斜面の雪は緩んでいて、アイゼンが無くても問題なさそうだ。
前方から親子3人が下ってきた。両足を揃えてスキーのように上手に滑ってくる子供にはびっくり。帰路、やってみようと思いながら急斜面を登り切ると、雪の無いササの道となった。この先にも雪があるかもしれないと思い、アイゼンを履いたまま登っていくと、目の前に山頂が現われた。泥だらけのアイゼンを外して山頂に到着。山頂は10人ほどの登山者で賑わっていた。
三角点付近に雪は無いが、山頂の北から東にかけて広い雪原が広がっている。雪原からの展望は素晴らしい。特に西から北にかけて大パノラマが広がっている。鎌ヶ峰の右に荒島岳、右へ小白山、野伏ヶ岳、経ヶ岳、薙刀山、願教寺山、銚子ヶ峰、別山、白山とオールスターが勢ぞろい。いつまで眺めていても飽きない。
展望を楽しんだら昼食にする。白山を見ながら食事をするため、雪原にシートを広げて、自宅で作ってきた朴葉寿司とコッヘルで作った熱いラーメンを食べ、いつものようにコーヒーで閉めた。絶景を前に飲むコーヒーはうまい。昼食を終える頃に、蛭ヶ野方面から2名の男女が到着。山頂に目をやるとすべての登山者が下山して静かになっていた。我々も2名に挨拶をして、登ってきた道を引き返す。
先ほど、アイゼンを履いて登ってきた急斜面はアイゼン無しで下った。子供を真似て、両足を揃えて滑ってみたが、なかなか難しい。前大日を越えて、前方に噴煙を上げる御嶽山を見ながら雪の上を軽快に下り、スノーパークの展望台を通過。美しいブナ林を抜けて、ダイナランドのゲレンデを下った。駐車場に戻ると、我々の車1台だけが残っていた。
今回登った大日ヶ岳山頂までの最短コースであるダイナランドコースは、ゲレンデを登ることから展望がよく、またゲレンデトップからの山道も良く踏まれており、夏道であれば道を誤ることは無い。雪がある時期には、尾根を拾っていく。スノーパークのゲレンデトップからは方向が変わり、尾根が広くなるが、尾根は1本なので上に向かって登る。雪の急斜面があるので、この時期でもアイゼンは必携。アイスバーンになる時期にはピッケルなど本格的な装備が必要となる。5月のコイノボリ登山とはいえ2000mクラスの山であり、万全の装備と慎重な行動が不可欠。
残雪期の大日ヶ岳は文句なしの絶景が待っている。
★大日ヶ岳からの展望
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