狗留孫岳(772m)〜烏帽子岳(865m) 【上石津町】 2002.4.20 曇り 2名
立田小学校裏駐車地点(9:23)→尾根取り付き(9:46)→篠立分岐点(10:33)→狗留孫岳(10:40-10:46)→烏帽子岳(11:22-11:43)→時山・篠立分岐点(11:49)→狗留孫岳(12:15-13:15)→篠立分岐点(13:20)→竜王様分岐点(13:30)→道迷う→竜王様分岐点(14:13)→長楽寺(14:42)→立田小学校裏駐車地点(14:58)
岐阜県にある鈴鹿の山と言えば三国岳と烏帽子岳。この方面の山は山頂からの展望はないものの春の花がすばらしいと聞いていたので、登るなら今が一番。この時期ならカタクリやイワウチワが見られるはずである。
今回のターゲットは烏帽子岳。烏帽子岳は通常、上石津町の時山集落から北尾根を登るが、今回は三重県側から登る。烏帽子岳の南には狗留孫岳(くるそんたけ)という山があり、鈴鹿の山ファンにはよく知られた名山である。この山を経由して烏帽子岳に登ることにする。
狗留孫岳の登山口は立田小学校裏と篠立集落にある長楽寺の2箇所にある。今回は、立田小学校裏から登り篠立集落に下りることとする。国道356号線を南下し、一旦岐阜県から三重県の藤原町に入る。藤原町に入ってすぐに立田小学校手前の信号を右に入り、小学校裏門近くの道路脇に車を止める。登山口は小学校の門の西にある神社の右手にある。
入り口には手書きの小さな案内板があり、林道に入るまで狗留孫岳案内表示が付けられているので、迷うことはない。人工林の中を西に続く林道は、やがて未舗装となる。花を付けたマムシグサ(テンナンショウか?)がいくつか見られる。
人工林はやがて天然林となり、南に少し登って尾根に取り付く。しだいに尾根は痩せ、右に大きな谷を見ながら登る。足下にスミレやニシキゴロモを見ながら登るうちに、かなりの急登になっているのに気がつく。息が切れる。急登は容赦なく続き、一気に高度を稼ぐ。木につかまりながら一歩一歩足を出す。右手後方に、樹間から時の集落が望める。
やがてササ付きの道になり、木の根がむき出しになった痩せ尾根を歩き明るい稜線に突き当たる。視界が開け、一息つく。狗留孫岳へは右に行くのではないかという錯覚に陥るが、標識案内は左。県境を西に進む。若い植林の尾根の向こうにピークが見える。天気がよければ、烏帽子岳方面が望めるのではないか。
ここから5・6分で篠立集落へ下る分岐点に出る。分岐点からは緩やかなササの道を登り、10分足らずで狗留孫岳山頂に着く。
山頂の広さにびっくり。運動場である。この広場の左端に巨大な反射板が下界を見下ろしている。緑色の土嚢や砂利が敷き詰められており、山頂にはふさわしくない光景が広がる。しかし、展望は一級。今日はあいにくの天気で僅かに眼下の平野が望める程度であるが、天気が良ければ、南に巨大な藤原岳が望めるにちがいない。
昼食まで、まだ時間があるので、烏帽子岳ピストンを試みる。烏帽子岳までは岐阜県と三重県の県境を北に歩く。それほど大きな起伏なしに、すばらしい雑木林の中を歩く。道幅も広く、所々から東に中里ダムや時集落、西に連なる大きな鉄塔と深い谷が見える。もちろん天気が良ければ藤原岳や御池岳が見えるであろう。振り向けば、大きな反射板を乗せた狗留孫岳が望める。
足下にはいろいろなスミレが咲き乱れ、美しい芽吹きの緑に混じってツツジのピンク色が際だつ。大自然が作り出したすばらしき遊歩道である。天気が良ければ、言うことなしであろう。前方の烏帽子岳はすっかり雲の中に姿を隠している。
30分ほど歩いて、鉄塔番号9・10の黄色い標識から右に烏帽子岳への直登コースがある。浅いヤブこぎと聞いていたので、この道に入る。低木にテープで目印が付けてあり、それを忠実にたどる。踏み跡は、しだいに背丈ほどあるササに隠され、両手でササをかき分けながら、かすかな踏み跡をたどる。すぐに小さな空間に出る。烏帽子岳最高点である。
山頂の登山者の方は、いきなりササの中から人が出てきてびっくりされたのではないだろうか。狭い山頂は周囲をササと雑木に遮られて展望がない。西と北には時山集落へ続く2つの道があり、東には三角点への道がある。
すぐに20名ほどの大パーティーが到着し、山頂は満員になった。三角点まで行ってみたが、ここも狭く、順番待ちで三角点の写真を撮らせてもらった。この辺りはたくさんのカタクリの花が開花真っ盛り。可憐という言葉はこの花のためにあるようだ。
時山から登ってみえたご夫婦から、山頂直下にイワウチワがたくさん咲いていたと聞き、下りは時山ルートを下り、篠立への分岐点から狗留孫岳へ向かうこととした。山頂直下の急斜面にはたくさんのイワウチワが咲いていた。群落ごとにピンクや白など微妙に色が違っているのがおもしろい。山頂から急斜面を下り、5分で狗留孫岳分岐点へ。左に進んで先ほどのヤブこぎ道分岐点を通り、狗留孫岳に向かった。
狗留孫岳に戻り風がこない場所を選んで昼食にする。ガスが広場で渦を巻いており、時々霧雨が降り注ぐ。すぐ前の反射板もガスで霞んでいる。たまにはこういう状況で非日常的な昼食をするのも楽しい。それにしても、烏帽子岳には人がたくさんいるのに、狗留孫岳方面では1人の登山者にも会わない。すばらしい山歩きができるルートがまだ知られていないのであろうか。
昼食後、すっかり濃くなったガスの中を篠立分岐点まで戻り、帰路は篠立方面に下ることにした。分岐点から15分ほど歩くと、樹木に巻かれた黄色いテープに左へ行けば竜王口と書いてある。踏み込んでみると、道がない。しかし、黄色いテープが短い間隔ではるか下まで続いている。どうしようかと迷ったが、テープ頼りに下ることにした。足場の悪い急斜面を谷沿いに15分ほど下ったところで、突然、テープが消えてしまった。いくら探してもテープはなく、道もない。竜王様の祠なども見えない。行く手は谷の急斜面と常緑樹の灌木に遮られている。道に迷った鉄則に従い、やむを得ず、本来の登山道まで戻り、地図にある道を下った。45分ほど時間をロスしたが、途中でイワカガミやシキミの花を見ることができたことが拾い物。
登山道を下り、狗留孫岳登山口の表示があるコンクリートの林道に出た。林道を左に下ると、少し行ったところの谷に竜王様への登山道入り口があった。竜王様まで40分と書かれている。先ほどのテープ終点から谷をさらに下れば竜王様の祠を経て、この入り口に出ると思われた。次回は、下から登ってみたいものだ。
コンクリートの林道は長楽寺まで続いており、この辺りはシャガの花が満開ですばらしい。長楽寺から篠立集落の中を山沿いに歩いて15分ほどで立田小学校に着いた。西を見上げると、雲で山頂を隠した萌葱色の狗留孫岳の山容が美しかった。
時山起点で烏帽子岳に登る場合、烏帽子岳から狗留孫岳まで1時間で往復ができる。軽快な稜線歩きを、ぜひ、お試しあれ。
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