恵那山1
恵那山2
恵那山 (2190m 中津川市) 2004.10.11、曇り・晴れ 2人→3人

神坂峠登山口(6:37)→第一ピーク(6:57)→5.5km地点(7:13)→鳥越峠(7:17-7:22)→5km地点(7:28)→4km地点(7:53)→大判山(8:06-8:14)→3km地点(8:35)→2.5km地点(8:59)→前宮ルート分岐点(10:10)→お社・展望地(10:28)→0.5km地点(10:31)→お社(10:33)→避難小屋(10:35-10:41)→山頂・三角点(10:44-12:16)→避難小屋(12:19-12:26)→前宮ルート分岐点(12:47)→大判山(14:03)→鳥越峠(14:43)→神坂峠(15:25)

 この3連休は、双六方面を予定していたが、台風22号の接近により天気はよくない。天気が最もよいと思われる11日に日帰り山行に計画変更。今年の9月に計画したが天気都合で登れなかった恵那山に決める。

 西に伊吹山、東に恵那山。濃尾平野に接する低山からでも丸く大きな山容の恵那山は容易に確認できる。晴れた日には自宅近くの田園からでさえ見ることができるラウンドマーク。岐阜県の山を代表する1山であり、100名山でもある。今年、岐阜県を代表する白山、御嶽山を登ったので、恵那山も登ろうという気になった。最後まで残しておいたおいしい物を食べるような気分である。

 恵那山のルートはいくつもあるが、最も展望のいいと言われる神坂峠コースを選んだ。なお、今回の山行にはHP「@恵那山」を参考にさせていただいた。恵那山に関するあらゆる情報が詳細に掲載されており、管理者の足立さんには頭が下がる思いである。心より感謝。

 神坂ルートはいくつかのピークを越えるロングコース。できるだけ早く出発するため、恵那峡SAで車内泊。東の空が明るくなり始める頃、中津川ICを出て、国道19号線を東へ。「馬篭・藤村堂→」の表示板で右折。クアリゾート湯舟沢の施設を右に見て集落の中を東進し、「富士見台・恵那山登山口」の標識に従って右折し白い橋を渡った。後はほぼ1本道。分岐には案内板があり間違えることはない。

 かなり奥まで民家が点在する。高齢者施設を過ぎると1.5車線の登り坂が続く。舗装されており普通車でも問題なく峠まで上がれるが、道が狭いためカーブミラー確認やライト点灯により対向車に注意してゆっくり上った。けやき平キャンプ場を通過。この時期には営業を終えているが、トイレの利用は可能。さらに上ると、水が湧き出る東屋があった。強清水である。古来から、神坂峠を越える旅人が喉を潤した場所であるが、今では生水は飲めない。少し離れてトイレもある。

 ここで登山届けボックスに登山届けを提出。登山届けを書いているとタクシーが下りてきた。タクシーを利用する登山者もあるようだ。また、強清水から御坂峠、富士見台への登山道が車道を縫うようにつけられており、この先、何度か登山道の標識を見かけた。はるか上方のガードレールを見ながら、車は急斜面につけられたカーブの多い道をぐんぐん上っていく。紅葉も進んでおり、西には中津川市街が見下ろせる。

 右側に工事中のような広場が現れる。大檜駐車場であり、登山準備をする人がいた。すぐ先には恵那山への登山口が右側にあり、ここから登れば鳥越峠で神坂峠からの道と合流する。神坂峠からよりも短時間で鳥越峠に出られるようだ。

 ここから、ひと登りして神坂峠に着く。峠は三叉路になっており、峠手前に3台ほど止められる空き地がある。既に2台が駐車していた。ここに車を停め、峠周辺を散策。峠から左に少し下ったところに数台駐車可能な登山者用の駐車場があった。登山口は峠の南側にあり、山頂まで6.8kmの表示。

 ロングコースであるため気を引き締めて出発。ササの中に付けられた道を、たくさんのツルリンドウの赤い実を見ながら歩く。左手には長野県に下る舗装道路が見える。小さなピークを1つ・2つ越えていく。前方のピークを登る登山者が見えた。紅葉はかなり進んでおり、緑のササを背景に紅葉した落葉樹が美しい。右手には、入り組んだ山間に中津川の街が見下ろせた。一部に雲が下りており美しい。

 20分ほど歩いて枯れ木の立つササのピークに出た。第一ピークと呼ばれる地点であり、南には巨大な恵那山が見えるのだが、残念ながら上半分が雲の中。ここから中津川方面に向かって下る。鞍部の鳥越峠まで標高差150m以上。神坂峠より低い位置まで下る。一気に下ってなだらかになり、下りきったかと思ったら、再び下り。帰路、これを登るのかと思うと恐ろしい。

 山頂まで5.5kmの標識を過ぎて鳥越峠に着いた。三叉路になっており、西には強清水方面20分の表示。大桧駐車場近くに下っていく。東へはヘブンス園原リフト方面の表示。峠を出発する2名の男性と入れ替わりに休憩。強清水方面から登ってきたご夫婦と入れ替わりに出発。鳥越峠で道は直角に南西を向き、右山で平らな道を歩く。左の谷から水の流れの音が聞こえ、紅葉がきれいだ。

 5km地点を通過し、あいかわらず平坦な道が続く。ここで体力回復。ぬかるんだ足場の悪い道からササ尾根に出る。左側が崩壊しており、振り向けばさらに大きな崩壊地を見る。中津川市街も見下ろせる。階段状の尾根を登り、4km地点を通過。既に靴もスパッツも泥だらけ。スパッツをつけてきてよかった。

 美しいシラカバ林を見ながら大判山の登りに息が切れる。早足で軽快に登ってくる男性に追い抜かれた。やっとのことで大判山到着。先ほど追い抜かれた男性が休息中。男性を見て驚いた。今年、二の峰で出会ったARIさんではないか。聞けば、恵那山はARIさんのホームグランド。本来なら北岳に行く予定を、悪天気のため恵那山に変更。昨年のこの時期の恵那山はドウダンの紅葉がすばらしいというネット情報で恵那山に来たとのこと。

 ARIさんの足には着いていけないので、先に行ってもらうことに。「山頂で会いましょう」と別れた。大判山からの下りは、ササ原に紅葉した木々が点在し、すばらしくきれいだ。左の山肌のモザイクの紅葉も美しい。すばらしい景色を見ながら鞍部目指して下っていく。そして鞍部から登り返す。ここからいよいよ恵那山の巨大な山腹に取り付くことになる。

 3km地点通過。振り向けば大判山くらの高さまで登り返した。山頂まではまだ400m以上ある。山頂でテン泊した登山者とすれ違った。さらに11人の団体さんとすれ違う。団体さんは小屋泊まりで、小屋は満員だったそうだ。山頂で宿泊する人が多いのには驚いた。

 痩せ尾根に出ると、右手は崩壊地。天狗ナギと呼ばれるところであろうか? この辺りのドウダンも色づいてきれいだ。2.5km地点を通過し、崩壊地上部に出て、岩と木の根の尾根を登っていく。ゴゼンタチバナやイワカガミが見られる。花の時期にはきれいに違いない。痩せ尾根のピークを下る所では、前方の山の紅葉がきれいだった。

 いつの間にか、周囲はコメツガらしき林になり、ぬかるんだ広場のようなところで一息入れる。ガスが出てきた。少し前に追い抜かれた若い女性も休息中。若い女性の単独登山にはちょっと驚き。聞けば、大阪から一人で車を走らせてきたそうだ。山歩きを始めたきっかけなどお聞きした。山は年齢・性別に関係なく人を引きつける魅力を持っていることを実感。

 この先から、このコース最大の急登が始まる。うっそうとしたコメツガ林には岩が多く、緑の苔に覆われていた。苔の上にはコゼンタチバナが葉を広げ、黄色い落ち葉がアクセントをつける。ガスが濃くなり、しっとりとした原生林が時を止め静まりかえっている。癒しの世界が広がる。先ほどまで歩いてきたササの尾根とは別世界。異次元の世界に迷い込んだような感覚を覚えた。いつまでもこの林の中に留まっていたいと思った。この雰囲気を楽しみながら、一歩一歩、急登をこなす。テン泊の家族のパーティーとすれ違った。さすが、この坂に息が切れる。足場もいいとはいえない。美しい原生林がせめてもの救い。

 30分ほどかけて登り切ると前宮コース分岐点に出た。山頂まで40分の表示。山頂へは左に直角に曲がる。一息つこうと思ったが、この先、なだらかな道が続きそうなので休息無しで先へ。ここからドウダンの回廊が続く。紅葉最盛期ではあるが、今年の何度かの台風の影響であろうか、かなり葉を落とした木々が多い。紅葉のトンネルとまでは言えないが美しい。

 恵那山の山容からも分かるように、山頂まではほとんど起伏がない。そのため登山道に水たまりが多く、ぬかるみの縁を歩いたり石や倒木を踏んで歩いた。前宮ルート分岐から15分程度歩くとお社が現れた。この裏は展望地となっているがガスで何も見えない。真っ赤に紅葉したドウダンがすばらしい。

 お社で手を合わせ、0.5km地点を通過。2つめのお社から右に進むと道が分岐しており、左に入ると紅葉の木々の間から小屋の赤い屋根が見えた。右の道に合流して下り、小屋の横に出た。山頂間近とは思えない広い場所である。数パーティーが休息中。小屋は大きく、板の間では登山者が昼食中。立派な水洗トイレに寄って三角点を目指す。

 三角点までは2・3分。三角点手前で戻ってくるARIさんと出会った。既に昼食を済ませたとのことであったが、我々の昼食につき合っていただいた。山頂は広く、中央に三角点。北にお社、東に標識があった。標識の後ろのドウダンが真っ赤に色づいていた。山頂からの展望はない。

 三角点を中心に多くの登山者が昼食中。その輪に加わって、昼食をしながらARIさんといろいろな話しをした。ARIさんは毎週のように山に出かけられており、各地の山の情報をたいへんよく知っておられた。大いに勉強になると同時に、登りたい山がいくつも増えた。一時間半があっという間に過ぎた。

 帰路はARIさんと3人で下山。すっかりガスも消え、ドウダンの回廊には雲間から陽が差し込み紅葉はまるで炎が燃えるように逆光に映えていた。ARIさんと山談義をしながら一気に下った。山腹からは大判山まで続くいくつかのピークが折り重なる。こんなに遠い距離を歩いてきたと実感。ピークを越えるたびに富士見台方面の山が近づいてくる。

 鳥越峠からの登りは思ったよりも苦しくなかった。ピーク手前で振り返ると、昼下がりの日差しの中でシルエットになった恵那山全体を見ることができた。雲間から2条の光が差し込み、すばらしい光景を見せてくれる。なんと大きな山であろうか。丸い山容はおだやかで美しい。すべてを包み込んでしまうようで、まさに母なる山だ。先ほどまで、あの山頂にいたのがウソのように思えた。いい山だ。もっと早く登っておけばよかったと思った。

 第一ピークで恵那山と別れ、緑に輝く富士見台を目の前に神坂峠まで下った。ARIさんとは、またご一緒していただくことをお願いして別れた。午後の陽に照らされて一段と赤くなった紅葉の道をエンジンブレーキをかけて下った。

 恵那山は山頂からの展望がないことからロングコースの割には感動が少ないという人もいる。しかし、美しい自然が残されたこの山の見所は多いと感じた。神坂峠からのルートは前半がピーク越え・尾根歩きであり、展望はすばらしい。さらに恵那山本体の原生林やドウダンの回廊は見事である。ルートを変え、また季節を変えて登ってみたい。大好きな山がまた1つ増えた。
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