トレースマップはカシミール3Dで作成
*この地図の作成に当たっては、国土地理院長の承認を得て、同院発行の数値地図50000(地図画像)及び数値地図50mメッシュ(標高)を使用しています。(承認番号 平22業使、第490号) 

下呂御前山 (1,412m 下呂市) 2011.9.10 晴れ 3人

林道登山口(9:18)→分岐点(9:19)→合流点・五合目(9:37)→六合目(9:51)→未舗装林道横断(10:04)→お助け水分岐点(10:08)→どんびき岩(10:32)→八合目・遥拝所跡(10:41)→九合目(10:54)→高岩大権現神社(11:06-11:10)→下呂御前山山頂(11:17-13:02)→八合目(13:20)→お助け水(13:40-13:45)→五合目(14:08)→林道登山口(14:17)

★9月10日に下呂御前山にMIZUさんと3人で登ってきました。
★下呂御前山は10年前に登って以来の2回目。今回は広域林道まで車を進めて、林道の登山口をスタート。
★人工林の中、ホトトギスの花を見ながら、五合目を通過。木漏れ日の中、大汗をかきながら登りました。
★未舗装林道を横断して、8月の大雨で崩壊した登山道を見ながら、どんびき岩や展望台を経由して八合目の遙拝所へ。
★一直線の広い登山道を登りつめて九合目を通過。高岩大権現神社に参拝して、ひと登りで山頂へ。
★山頂からは目の前に頭を雲に隠した御嶽山や乗鞍岳。
★涼しい風が吹く山頂で、のんびりとランチ。

★10年前の記憶をたどりながら、初秋の南飛騨の山旅を楽しんできました。

 10年前に登った下呂御前山にMIZUさんと3人で登ることにした。10年もたっているが、下呂御前山の岩の山頂や広々とした遥拝所跡の記憶は鮮明に残っている。当時は大洞登山口から登ったが、今回は林道の登山口まで車で行くことにした。林道登山口までのアプローチは大変複雑であるが、「山歩記」さんの詳細なレポートを参考に、道を間違えることなく登山口に到着。

 大洞への下山口付近の路肩のスペースに駐車。イタドリやオトコエシの花を見ながら靴を履き替えて出発。山側にある「御前山登山道入口」「頂上まで2,950m」の標示を確認して、草付きの広い道に入る。ツリフネソウやヤマジノホトトギスの花が見られる。写真を撮りながら歩くと、すぐに右への分岐が現れる。両方に登山道の標示があり、どちらに行っても五合目で合流する。
 
 直進して北周りのルートを登る。分岐から10分ほど歩くと、道は右に折り返す。西側が開けており、周囲の山々が見える。形のいい山はどこであろうか。折り返して人工林の広い道を数分歩くと、合流点に到着。登山口近くの分岐を南周りで登るとここで合流する。「五合目・880m」の標示。この時期に珍しく足元にギンリョウソウを見つけた。
 
 尾根沿いに登っていく。ヒノキの人工林であるが、マツの木も多い。実を付けたコバノイチヤクソウが落ち葉の上で葉を広げている。また、怪しい形と赤い色をしたカエンタケに出会った。触っても危険な猛毒のキノコである。緩やかな尾根で六合目を通過。この辺りは天然林で、緑のトンネルを歩く。二ヶ月ぶりの山歩きであり、なかなかピッチがつかめず、息が切れる。
 
 適度な傾斜の斜面を登っていくと、前方の樹間には青空が見えるようになる。ヒノキの根の道を登り詰めると、目の前が開けて、未舗装の林道が現れた。登山道は林道を少し歩いたところにある。表示があるので間違えるようなことは無い。頂上まで1,450m。ミヤマママコナの花を見ながら、再び山道に入る。
 
 なだらかな道を登っていくと「お助け水」の表示があり、右に道が分岐している。お助け水は100m先にあり、下山時に寄ることにする。人工林の下草はササとなり、ジージーとセミの鳴き声が聞こえる。お助け水分岐点から5分ほど登ったところで小休止。ここから斜面の道をジグザグと登っていくと、前方の人工林の中に大きな岩が見えた。
 
 左方向に向きを変え、石の道を歩く。折り返し地点からは展望もある。折り返しながら登っていくと、谷が崩壊して道が寸断されたところに出た。崩壊は最近発生したようで、まだ青いヒノキが折り重なるように崩壊した谷に引っかかっている。崩壊地を迂回する新しい道が作られていた。後に、この道を整備した人に出会うことになる。
 
 崩壊地を後に、右方向に歩くと、先ほど下から見えた大岩が目の前に現れた。「どんびき岩」と書かれた標示がある。「どんびき」というのはカエルの意味であろうか。そんな会話をしながら登ると、「どんびき岩」の上に展望地があり、丸木階段を登ると手すりのある展望地に出た。西から南側が開けており、眼下には下呂市街が見下ろせる。青空の下、幾重にも重なる山並みが美しい。たくさんの山が見えるが、名前の分かる山は見当たらなかった。
 
 登山道に戻って右山で登るとすぐに平らな場所に出た。八合目、遥拝所跡である。標高は1,250m。天然林の中、記憶どおり小さなお社があり、その隣には石を重ねた祠に小さな山の形をした石が祭られている。山の神であろうか。気持ちのいい場所である。

 ここから山頂へは左に向かう。右にも道があり、観音峠に続いている。九合目に向かう道はたいへん広く、一直線。木の根が浮き出る道は次第に傾斜が増してくる。MIZUさんは軽快に登っていくが、我々は久しぶりの山歩きで足がついてこない。バテ気味で九合目に到着。九合目にはマイヅルソウの群落があり、少しではあるが赤い実が見られた。
 
 残り400m、標高差は約100m。ここから一旦下って登り返す。前方から単独男性が下ってみえた。今日、初めて出会った登山者である。男性から明日で下呂御前山の登頂回数が200回になり、仲間と一緒に登るという話を聞いた。地元の方で大洞登山口から登ってきたこと、マムシが多いこと、高岩神社が近年建て替えられたことなど、立ち話をした。なお、後に山頂の記帳ノートで、崩壊した登山道を改修された男性であることが分かった。

 男性と別れて、ロープ付きの急斜面を登っていくと高岩大権現神社ののぼりの立つ分岐点に突き当たった。神社に寄ることにし、左へ。急な道を下りると岩の上にお社が建っている。ここに参拝して、登山道に戻った。3分ほど登ると今度は大岩に突き当たり、道が左右に分岐している。左の道を歩いたが、どちらに歩いてもすぐ先で合流する。
 
 合流してすぐに山頂に到着。岩の多い山頂は記憶どおりだが、昔より広いような気がした。山頂中央にある大きな石柱には山名が書いてあり、その隣に方位版、そして三角点がある。三角点に似たものがもう1つあった。北には緑の御前山が大きい。右に目を移すと乗鞍、そして雲に頭を隠した御嶽山、東には白草山などの山並みが望めた。南側の岩の上に立つと枯れ木の向こうに下呂市街が見下ろせる。

 人気の山ではあるが、今日、山頂には我々3人のみ。木陰の岩に腰を下ろして昼食にする。メニューはいつものようにおでんと炒飯。1400mの山頂は、涼しい風が吹き、下界の暑さは微塵も感じられない。MIZUさんといろいろな話をしながらのんびりと昼食とコーヒーを楽しんだ。山頂にある立木が台風の影響で2本裂けていた。また、紅葉しかけたマルバノキやホツツジ・ミヤマママコナの花などが見られた。

 記帳ノートが木にくくりつけた箱に入っていたので見てみると、先ほど出会った男性Kさんの199回目のコメントが書いてあった。崩壊地の道を整備されたのもKさんによるものであることが分かった。MIZUさんはいつものように小さなスケッチブックを取り出し、山頂の風景を鉛筆でスケッチ。2時間ほど山頂に滞在したが、ついに誰も登ってこなかった。
 
 山頂を後に、広い道の緑のトンネルを一気に下り、30分ほどでお助け水分岐点に到着。100m先のお助け水に向かう。左山でトラバースしていくとすぐに小さな谷に出合い、お助け水の標示がある。伏流水がパイプから流れ落ちている。水量は少ない。冷たい水で喉を潤す。まさにお助け水。水場にはオクモミジハグマの紙細工のような小さな花が咲いていた。

 登ってきた道を下り五合目の分岐点で南側の道を選んだ。下り始めてすぐに分岐が現れ、左は広い道となっている。右の狭い道を下ると登山口近くの分岐点で合流し、林道の登山口へ。下呂御前山から続く稜線を林道から見上げると、緑の山の上に夏の忘れ物のような白い入道雲が輝いていた。
 
 下呂御前山は何といっても山頂からの展望がすばらしい。また、八合目付近の天然林も美しく、案内板もしっかりしていて道を誤るようなところもなく、初心者でも安心して登れる。崩壊地は地盤が弱くなっており、崖ふちまで近づかないほうがいい。次回は、観音峠からの道を歩いてみたいと思った。
★下呂御前山からの展望


★下呂御前山の生き物


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