権現山(北) (317m 各務原市) 2003.12.7 曇り 2人
願成寺南登山口(11:03)→展望岩(11:20)→尾根出合い(11:29)→(稜線を西へ)→お社(11:33-37)→(稜線を東へ)→権現山山頂(11:46-54)→老洞峠分岐点・昼食(11:56-12:59)→ピーク1(13:16)→ピーク2(13:35)→桐谷坂旧道(13:57)→川崎重工アパート(14:10)
今年の夏、迫間不動を起点に迫間山〜向山の尾根を縦走し、県道17号いわゆる関江南線の桐谷坂に抜けた。本来の計画では、更に西進し北側の権現山に登り、老洞峠に下るつもりであったが、あまりの暑さと迫間不動の駐車場の閉門時間の関係で桐谷坂で断念。この計画を達成せずに新年は迎えられないと、年の瀬も迫ったこの時期に権現山縦走を計画した。あの時に、桐谷坂の登山口を探して登っておけばよかったと思い続けていたが、今回、登り終えて分かったことは、あの時断念したことが正しかったこと。登っていればとんでもない山歩きになったことは間違いない。
権現山は昨年4月の山火事が記憶に新しい。東西に横たわる山塊の南北の最高点はどちらも権現山と名付けられていて紛らわしいが、今回の目標は北側の権現山。南側のレポートは「権現山」と「北山」を参照されたい。
この山はよっせーさんや「雲より高く」の店長さんの老洞峠から登られたレポートがあるが、北側から登られたレポートが見あたらなかったため、1週間前に北側の登山口を下見に出かけた。山の北側には大洞団地があり、2ヶ所ほど登山口があるようだ。今回は、大洞光輪公園墓地の入り口にある願成寺の近くの登山口を起点とした。
桐谷坂まで縦走するため、車2台を用意した。1台を桐谷坂峠南にある川崎重工アパートの最奥の桐谷坂旧道入り口ゲート付近に駐車することとした。県道17号線を北上し、桐谷坂の登りにかかる手前の信号機を左折し時計回りに団地の中を進むと、バス回転場の奥にクサリで止められた旧道に着く。ここに1台をデポして、来た道を引き返し、桐谷坂を越えて北側の最初の信号機を左折し、大洞団地に入った最初の信号機を光輪公園の標識に従って左折。突き当たりを左に進みカーブしていくと仏花販売所や石材屋が現れる。左にある武山石材の看板を過ぎたところの右側に水路が伸びており、水路に沿って狭い道に入る。水路沿いに上っていくと民家を過ぎ、落ち葉の積もった未舗装道路となる。水路側にはたくさんのモミジが植えられており、真っ赤に色づいた木もいくつか見られた。こんな所に紅葉の名所があるとは、意外な穴場である。
道は一部掘り取られているところもあるが、普通車でも問題なく進入できる。やがて草付きの大きな広場が左に現れる。この広場の隅に車を停めた。道はこの先行き止まりになる。登山口はこの広場の西側にある。入り口の標識はないが、木に赤いテープが巻かれているのが目印。願成寺辺りに車を停めて10分程度歩けば登山口に着くので、モミジを見ながら準備運動に歩いた方がいいと思われる。
美しいモミジを見ながら靴を履き替え、登り始める。30mほど歩いて道が2本に分かれた。左は涸れた谷を、右は谷を見下ろしながら登る。今回は右を選んだが、左を選んでも途中で合流すると思われた。(確認はしていません) 天然林の中のなだらかな道を登り、谷の突き当たりから南に向きを変え本格的な登りとなる。タカノツメの黄葉が美しい。落ち葉を踏んでぐんぐん登っていく。道は明瞭。木々にはテープも巻かれている。左手に向山が立ち上がってくる。
道は東に向きを変え、15分程度登ると登山道から少し左にはずれたところに岩があった。ここから北側が180度展望できる。誕生山から天王山、その後に高賀三山、東には向山。その左に笠置山が美しい三角形を作っている。冬型の天気であり、高賀山辺りは雪雲がかかり虹がきれいだ。
常緑広葉樹の暗いトンネルを抜け、東に斜めに登っていくと山火事の痕跡が現れ、すぐに稜線に出る。南斜面は山火事で立ち枯れた木が整理されて帯状に並べられており、南半分が大展望。眼下に老洞のリサイクルセンター。その向こうには南の権現山から北山を経て続く長い尾根。焼け跡が痛々しい。濃尾平野が雲に霞み、金華山と百々ヶ峰が美しい。その間に長良川が輝く。雲間から差し込む陽の光の向こうに池田山や養老山が見える。皮肉なことに山火事跡の稜線からはすばらしい展望が広がる。
権現山山頂は左にあるが、一旦、右に稜線を歩き、社まで行ってみた。2m以上の社の前は広場になっており、たき火の跡があった。権現山と名の付く山頂にはどこも社があるようだ。広場の片隅には藍川東中学校や芥見青少年育成市民会議の登頂記念プレートが掛けられていた。北には道があり、小さなプラスチック板に「大洞団地15分」の文字がかろうじて読みとれた。西へは尾根沿いに薄い道が続いており、新しいテープが先のほうまで付けられているが、入り口は枯れ木で止めてある。前にここを下ったが、道は山火事による倒木と芽吹いた潅木により途中で道が消え、ヤブをこいでリサイクルセンター手前の道に出る。お勧めできる道ではない。
再び展望のいい稜線を戻り、10分ほどでアンテナの立つ権現山に着く。山頂には三等三角点と3枚の白いプラスチック板。この辺りの木々はまだ立ち枯れの状態で整理されていなかった。北西の風が強い。風の当たらない昼食場所を探してもう少し東に移動し、老洞峠への分岐点で昼食にした。山火事前はここから老洞峠まで明瞭な道があったが、山火事後は倒木などで道が不明瞭になっている。ここにも老洞峠と書かれた小さなプラスチック板が掛けられていた。
正面の権現山には火事を免れた僅かの木々が黄色く色づいて美しい。金比羅山や伊木山などが市街地の中に浮かんでいた。おでん、ラーメン、シチューにコーヒーと温かい食事をゆっくりとった。誰も登ってこない静かな山頂には、山火事跡に芽吹いたばかりのドウダンツツジが真っ赤に紅葉して美しい。
1時間ほどの昼食の後、桐谷坂目指して急な斜面を滑るように一気に下る。比較的道は明瞭。火事の影響も少ない。途中、右へ派生している道があったが濃い道を下り、鞍部付近で道は北を向いた。大きな岩の右を回り込み、痩せ尾根を歩く。おかしい。稜線をはずれて北の尾根を歩いている。前方に大きな岩の崖が現れる。間違いに気づいて、引き返し、大岩を迂回したところに東へ下る道を発見。これが正解のようだ。
落ち葉の絨毯を抜けて明るい尾根を歩く。後方には先ほど間違えた岩尾根が荒々しく見える。前方には大きなピーク。このピークの登りにかかる。振り向けば先ほど昼食をとった紅葉の山が美しい。鞍部から5分ほどでピークに着く。松の木に赤いテープが巻かれていた。
この先、再び下って次の大きなピークを目指す。ピーク前で道は左に曲がっていく。ピークへの道もあるがかなり薄い。左に進みピークの北側に来たところで、ピークから下ってくる道と合流した。眼下には光輪公園墓地と車を停めた洞が見えた。(この先の状況は下記の追記をご覧下さい)
いつもならこのまま進んでしまうところだが、ピークに登ってみることにした。このカンが的中。 ピークは木に覆われており、先ほどと同じプラスチック板があったが、文字は消えていた。ピークから東方向に目印の防鳥テープかキラキラ光っている。方向からして東への稜線を歩くのが正しいと思い、テープ頼りに東へ進む。ここから、とたんに道が薄くなる。ススキや潅木が行く手を遮るが、テープは途切れることはない。フリースにススキの種がたくさん付いた。道は濃くなったり薄くなったり。季節はずれのスミレの花を2輪ほど見かけた。
前方に向山を見ながら小さなピークを越え、再びピークにさしかかるとついに道は消えてしまった。テープも無い。最後のテープまで戻り、道を探す。無数の倒木の下に道らしき跡を発見。その先でテープを見つけた。道はピークを右に迂回して下っていく。車の音が聞こえる。
恐怖のササクサが現れるが、今回はこれを予想してトビツカの付きにくズボンをはいてきたので大丈夫。左山でテープをたどり、桐谷坂目指して落ち葉の道を下った。背の高いササクサをストックで払いながら進んだが、上着にフリースを着ていたのが失敗。おびただしい数の種がびっしりと付いた。
やがて車の音が大きくなり、フェンスが見えた。出口だ。この出口には、ササクサに加えて、イノコヅチ、ヌスビトハギ、アメリカセンダングサのだめ押し。フリースと靴の紐は種だらけ。種を採りながら出口を確認。登山口はフェンスが破られ、新しい黄色い板に「登山口」と書かれてあった。桐谷坂の県道に出たのではなく、使われていない舗装道路に出た。最初は、峠の北辺りに出たと思いこんで南に歩き始めると、左下に県道が現れた。なんと、夏に歩いた桐谷坂の旧道を歩いていた。と言うことは、前回も登山口の前を歩いていたのだ。その時は夏草に覆われて気が付かなかったようだ。
ササクサの種は1つづつ取らなければならない。悪いことに種の先のかぎ針だけが衣服に残る。車までのわずかな距離を種を取りながら、舞い散る落ち葉の中をゆっくり歩いた。道の脇にはたくさんのヒヨドリジョウゴが真っ赤な実をつけており、陽に透けてルビーよりも赤い。見上げれば、今歩いてきた焼けた権現山が曇り空に立ち上がっている。
わずかな時間の山旅ではあったが、火事跡の山の生命力を感じ、またヤブの中でのルートファインディングを楽しんだ。それにしても、夏に登らなくてよかった。向山縦走の後、夏の茂みを分けて権現山の山頂にたどり着くことはかなりの体力が必要であり、途中で断念したに違いない。この時期だから歩ける道である。
<追記>
2004年2月に、権現山北側の大洞にお住まいのSさんから、権現山東2つ目のピークから願成寺南の駐車地点に周遊できるコースがあることをメールで教えていただきました。
2004.4.25にこのコースを歩いてきましたので、以下、このコースの状況を追記します。
ピーク手前から左へ明瞭な道が続き、ピークへの登りは薄い踏み跡である。前回の上記レポートのとおりピークから桐谷坂に抜ける尾根筋はヤブ状態で人があまり入っていない。これとは逆に北への道は願成寺へ周遊できるため、登山者が多いようだ。前回はこの明瞭な道に入り、すぐに北側からピークに登り返し桐谷坂に向かったが、今回はこの道を北に下る。
ピークを後に北へ張り出した尾根を歩き、すぐに尾根を右に外して急斜面を下る。この辺りも2年前の山火事でかなり焼けているが、2年の間にたくさんの木々が芽生え始めている。ジグザグに下っていく。木々の間からは北の風景を望むことができる。急斜面から尾根をさらに北へ歩く。途中から山火事の被害も無くなる。
かなり下ってコシアブラのたくさんある場所で左に下る道が現れる。赤テープが2つほどコシアブラに付けてある。ここを左折して西方向に下る。堀割の道は雨水の通り道のようで、先日の雨で落ち葉がところどころで固まりを作っていた。赤テープもある。
やがてヒノキの幼木が植えられたところを通過し、人工林を歩くとすぐに林道に突き当たる。ここの出口にも赤テープが木に巻かれている。反対側から登る時には、この入り口を見落としやすいので赤テープを確認することが重要。林道を右に曲がり5m先で再びT字路。ここは左に下る。
シュンランやショウジョウバカマを林の中に見ながら、暗い人工林の中を歩く。南側にはシイタケ栽培地や数体のお地蔵様がある。林を抜けると再び林道に出る。右へ進み、用水を渡ると最後の民家から50mほど山に入った地点に出る。ここから登る場合の目印は西側の保安林の標識と北側の竹藪、そして用水にかかったコンクリート橋である。橋の手前の路肩に1台駐車可能。この林道を北に下れば願成寺、南に登れば上記レポートに書いた駐車地点に着く。
権現山は山火事のため稜線からの展望はすばらしく、またこの時期にはアオダモやフジ、ツツジなどが美しい。このコースで周遊すればヤブもなく、ゆっくり歩いても2時間で一周できる。権現山から東の鞍部に下る途中に、北に突き出た大きな岩尾根へ寄ってみた。見下ろせば足がすくむ高さ。前述した2つ目のピークが東に大きく見え、眼下の新緑に混じってアオダモやフジの花が美しい。ここで食べるお弁当は最高に美味しいこと間違いなし。
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