権現山 (516m 武芸川町) 2003.3.8 晴れ時々時雨れ 2人
小知野林道入り口堰堤東の駐車地点(11:18)→林道終点(11:28)→尾根(11:53)→448鉄塔(12:05)→寺尾千本桜コース分岐(12:24)→権現山山頂(12:26-13:24)→448鉄塔(13:40)→洞集落への分岐点(13:47)→449鉄塔(14:05)→450鉄塔(14:24)→県道59号線(14:40)→小知野駐車地点(15:09)
500mクラスの美濃の低山にはいい山が多い。高富町の古城山から東に汾陽寺山、権現山、天王山、誕生山、そして美濃市の古城山と、東西一直線上に並ぶこの6山は、それぞれに特徴があり、いずれも初級向きの名山である。この6兄弟の山の中で、まだ登っていない権現山が今回の目標。
いつも権現山を見るたびに、「ヌー」と言う表現がピッタリではないかと思う山容の持ち主。権現山のレポートは多くのHPに掲載されているが、寺尾千本桜から登るコースが主となっている。今回は、「岐阜の山旅100コース 美濃・下」を参考に、南の小知野の集落を起点に、時計と反対回りで南西の洞の集落へ下るコースを歩いた。
岐阜市のファミリーパークのトイレに寄り、さらに北上し、武芸川町に入る。武芸川を渡った突き当たりを左折してすぐ堤防の信号から北に曲がり、再びすぐの三叉路を東に右折する。山沿いにある2車線のりっぱな道である。ここを曲がってジャスト1km東進し、北側の喫茶店を通り過ぎたところに権現山登り口を示す標識がある。
標識に従って左折すれば、すぐに未舗装道路。東側には分譲住宅用地や落洞古墳がある。100mほど進んだところの西側に大きな堰堤が現れる。ここに3台ほど駐車できる路肩スペースがあったので、車を止めた。冬型の気圧配置で、時折、強い風が吹く。まずは、林道を北上する。車で林道奥まで入り込めるが、林道終点までは徒歩10分程度の距離である。途中、林道が2又に分かれているが、東の道を直進する。
山に突き当たり、林道は西に曲がっていくが、この曲がり角の北に登山口の標識があり、ここから暗い杉林の山道に入る。フユイチゴがたくさん見られる。谷川の間伐材の橋を滑らないように2・3度渡り返して、谷をはずれ、右にトラバースして、天然林の中を歩く。谷川のせせらぎは消え、広い尾根のV字になった道を登る。さらに東の尾根に向けて道が曲がっていく。この曲がり角に神様に供える御神酒の徳利とお賽銭が置かれている。謂われのある場所であろうか?
登山口から25分ほどで尾根に出る。道は明瞭で標識もある。「ゴミは持ち帰りましょう」と書かれた小知野区長の看板を見ながら、左山で松葉の道を歩く。右手が開け、天王山が目に飛び込んでくる。反射板がよく見える。ここから見る天王山は、南側から見る平ぺったい形ではなく、男性的な三角形をしている。その北には片知山方面が望める。2本ほどの満開のマンサクも見ることができた。
やや下り気味に歩くと、今度は前方にヌーとした権現山が頭を出す。山頂まではまだ距離がある。足下にはたくさんのショウジョウバカマが葉を広げているが残念ながら花はない。すぐに西側が開け、堂々と横たわる汾陽寺山が大きい。そしてすぐに448鉄塔に着く。ここからは東西が一度に展望できる。10分足らずの間に周囲の山々が次々と姿を見せる演出が憎い。なんとも快適な尾根歩きである。
鉄塔から5分ほどで、標識。権現山は左方向。右は447鉄塔の表示。ヒノキの人工林に入り、いよいよ丸い山頂への登りが始まる。道はしだいに右にトラバースして、暗いヒノキの人工林を抜け雑木林の尾根に出る。北に歩いて、東からの尾根に突き当たる。右は寺尾千本桜へのコース。山頂は左。
2分ほどの登りで山頂到着。山頂は大きなヒノキに囲まれ、全く展望はない。中央には低い石垣で囲まれた立派な社。社の前には松の木やナンテンが植えられており、一升瓶が転がっている。また、たき火の跡もある。地元の人の集まりの場でもあり、正月の賑わいが想像できる。社前で昼食。誰も登ってこない。食事中に雪が降ってきた。見上げれば、丸くぽっかり開いた空に雪雲が流れる。大木に囲まれ風は無いが、陽が当たらず寒い。
1時間ほどの昼食の後、同じ道を下った。448鉄塔を過ぎ、数分の尾根歩きで洞集落への分岐点。南へ449鉄塔の黄色い標識があり、標識に従って右へ。ゆるやかな登りから急登に変わる。松葉の坂を一気に登る。登り切ったら道は西へ向きを変える。左は雑木林、右はヒノキの尾根を歩く。やがて痩せた松が増え、右には樹間から権現山と汾陽寺山が並んで見える。左には武芸川と田園が見下ろせる。
道は気持ちよく下っていく。南が開けて、449鉄塔が見えてくる。南には百々ヶ峰、正面の汾陽寺山の左からは西方面の山が望めるが雪に霞んでいる。449鉄塔からは北も南も大展望。ここで昼食にすればよかったと後悔。はるか下にこれから通過する450鉄塔が見える。正面に雄大な汾陽寺山を見ながら、2〜3mのヒノキの植林の道を下り、さらに植林直後の広大な山腹に出る。すばらしい展望である。寺尾千本桜に続く峠道路が見下ろせる。このコースの最高のビューポイント。降り注ぐ春の陽光に、山頂の寒さはどこへやら。
大きく回り込んで小ピークを越える。後方には449鉄塔が白く輝き、その左には権現山が頭を出す。やがて450鉄塔に着く。ここからも大展望。松が多く、タフロープが張ってある。獣の罠が仕掛けてあるので入らないようにとの表示がいくつか掛けられていた。
鉄塔からすぐに人工林に入り、かなりの急斜面を一気に下った。スギの花が満開の林にはたくさんのショウジョウバカマがあり、一部の株に花が見られた。薄暗い林の中でひっそりと咲くピンクの花弁が春の訪れを告げている。
スギ林を西に歩けばすぐに県道59号。出口には木の柵が設置されており、開閉できないようになっているので、縁を回り込んで道に出た。駐車地点までは約2km。車の多い道を、道ばたのホトケノザやオオイヌノフグリなどの花を楽しみながら歩き、30分ほどで車まで戻った。
山頂からの展望は無いが、この周遊コースは谷歩きや尾根歩きなど変化に富み、歩く方向もぐるぐる変わることから、周辺の山々や下界の展望が楽しめるすばらしいコースである。低山であり道も明瞭。枝道は多いが、枯れ木などで止められており、道を間違えることはない。ショウジョウバカマが多く、これから4月にかけてがベストシーズンではないか。ピクニック気分でお出かけください。
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