合渡山北尾根 (岐阜市)

●プロローグ
2006.4.15       雨 2人
ファミリーパーク子供ゾーン駐車場
(9:53)→展望台(10:02)→広場(10:12)→尾根ピーク(10:30-10:38)→広場東・遊歩道(10:54)→駐車場(11:14)

山歩きを始めて、この4月で8年が過ぎた。最初の1年は金華山をスタートに、近隣の登り1時間以内の山を月に一度登った。八代竜也氏の「岐阜の山歩き・ベスト55コース」に掲載されている半日コースの低山から順番に登った。今では、この55コースで登っていない山は3つを残すのみ。8年間でよく登ったものである。当初は低山でも息が切れた。今から思えば懐かしい山ばかり。その懐かしい山の1つが合渡山である。

 月は多忙。雨模様ではあったが、半日の空き時間に桜の花見をかねて合渡山に登ることにした。ところが、予期せぬ事態に・・・。

合渡山は、岐阜市東部のファミリーパークを取り巻く低山の1つである。8年前のかすかな記憶では、遊歩道から薄い踏跡をたどって展望のない山頂に立ったことを覚えている。ファミリーパークは2つの洞に広がる大きな公園であり、北の洞は子供ゾーンになっている。小雨の中、ファミリーパーク南側の駐車場に入り地図を確認しようとすると、助手席から合渡山は北の子供ゾーンへ入るようにとのナビ。互いに記憶はあいまい。ここで地図を見ていれば、未来は変わっていたこと間違いなし。

怪しいナビに従って子供ゾーンの駐車場へ。晴天のときとは様子が違う。車は10台程度と駐車場はガラガラ。傘をさして歩き始める。奥に続く道の桜は満開で、ちらほら散り始めている。雨にぬれたアスファルトの花びらが美しい。桜並木の途中から「山頂」の文字に従って左の遊歩道に入る。「つつじの丘」の表示。足元に出始めたワラビ、左右にミツバツツジを見ながら遊歩道をジグザグ登ると、モノレールの脇を通る。上にはモノレール降場の建物が見える。下の広場から童謡が聞こえてくる。おとぎの国にでも迷い込んだような錯覚。

すぐに山頂駅に着いた。来場者はだれもいない。モノレール駅の従業員が園内の手入れをしてみえた。桜が満開でも雨の日は誰も来ないようだ。展望台に登ってみると、雨にかすむ田園風景が幻想的に望めた。山頂駅を後に東へ歩く。ここの北斜面には多数のミツバツツジがピンク色の美しい花を一面に咲かせていた。つつじの丘とはこのために名前がついたようだ。ちょうどいい時期に見ることができた。この山はミツバツツジが多く、おそらく自生のものであろう。山頂からはボブスレーで下ることができる。おもしろそうだ。

少し下って「野鳥の森180m」の標識と分岐点。野鳥の森方向へ左折してみたがどんどん下っていくので引き返した。遊歩道にはたくさんのスミレが見られた。分岐まで戻り、東へ。すぐにベンチのある広場に出た。ここから下りになるが、広場から10mほど東の遊歩道脇に山に入る道があった。確か、こんなような道に入った記憶がある。山道に入った。

下草でズボンが濡れる。今日は遊歩道歩きのつもりでスパッツも無い。枯れ枝で露を払いながら進むと左手にフェンスが現れた。確かにフェンスがあったような記憶が残っている。前に来た道と間違いないと確信し、フェンス沿いに歩く。尾根沿いに、倒木を跨ぎ、枝をよけて歩く。次第に道が怪しくなり、やがてコシダの茂るヤブとなった。濡れること覚悟で山頂を目指す。8年前には、道があったのだが・・・。

やがて、傾斜はきつくなり、傘をとじて、枝につかまって登る。頭上から水滴が降り注ぐ。ゴアのジャケットを着ているので浸みてくることはないが・・・。雨のヤブこぎは初めての体験である。歩きやすい空間を探しながらジグザグに登る。雨に濡れたミツバツツジの花が美しい。

一気にピークまで登りつめた。山頂はヤブの中。登頂記念の写真を撮る。それにしてもここが山頂だとは思えない。尾根の南北の延長線上にはさらに高いピークが樹間から望めた。GPSで確認するとやはり高いピークがこの先に存在する。尾根には道が無い状態である。とりあえず、今日はここまで。

今登ってきた道を下る。急斜面を下りきるまでは尾根が無い状態であり、勘を頼りに下る。歩きやすい場所を探しながら進むうちに方向が分からなくなるのがヤブ山の常識。かなり下ってGPSのトレースを見ると北へ30mずれて谷に下りかけていた。左には先ほど登ってきた尾根が見えた。人間の勘はあてにならない。軌道修正するため左へトラバース。ウラジロの壮絶なヤブを分けてびしょ濡れで尾根へ。そこからフェンスに沿って遊歩道へ降り立った。やれやれ。

誰もいない遊歩道を下って、モノレール乗り場を抜け、桜の遊歩道を歩いて駐車場に戻った。ずぶ濡れになったが、久しぶりのヤブ歩きが楽しかった。地図で確認すると、合渡山は南の洞の奥にあった。野球場の近くが登山口。今回登った山は合渡山ではなく、この山の北尾根にあたる。と言うことは、8年前に登った山も合渡山だったのか? この疑問を確認するために、合渡山はどうしても登らなければならない山となった。来週、リベンジである。






*この地図の作成に当たっては、国土地理院長の承認を得て、同院発行の数値地図50000(地図画像)及び数値地図50mメッシュ(標高)を使用しています。(承認番号 平17総使、第654号)
合渡山  (170m 岐阜市) 2006.4.23 曇り 2人

●リベンジ
球場前駐車場(15:15)→照葉樹の森の遊歩道(15:18)→東屋・山道入口(15:33)→合渡山山頂(15:37-15:44)→東屋(15:48-14:02)→ため池(16:15)→展望台遊歩道入り口(16:21)→四季の森ベンチ(16:28)→徳山の家(16:33)→駐車場(16:40)

 先週、雨の中、ヤブをこいで登りついたピークはどうやら合渡山ではないことが分かった。この休みのわずかな空き時間を利用して、再度、合渡山を目指す。ファミリーパーク手前から合渡山を確認。子供ゾーンではなく、球場近くの駐車場に車を止めた。試合中のテニスコートから歓声が聞こえたが、球場は使われておらずひっそりとしている。

 午後の遅い時間から出発するのは異例であるが、閉園の5時頃には駐車場に戻れるであろう。球場のトイレに寄って、球場の北側の山を目指す。登山口の東方向に大きな鉄塔がある。登山口には「照葉樹の森」と書かれた標識もあるので間違えることはない。先週、満開だった桜はすっかり葉桜になっており、咲き遅れの花がちらほら見られた。ミツバツツジも最盛期を過ぎているものの、まだ美しいピンク色の花を咲かせている。

 丸太の遊歩道を登る。5分ほど登ると分岐点に出た。直進は「山菜の森」、左は「照葉樹の森・野鳥の森」である。左に入り、気持ちのいい尾根を歩く。すぐにベンチがある広場を通過し、正面にピークを見ながら登っていく。野鳥の鳴き声が騒がしいほど聞かれたが、鳥の姿は見えない。山仕事の男性に出会った。「まだ先ですよ」とのこと。そんなに先だったかな? 

 チャートの石が転がる坂道をジグザグと登っていく。右下に公園の芝生広場が見える。真後ろには百々ヶ峰が美しいシルエットを見せる。「青少年の家」への分岐点を通過。コナラの芽が銀色に輝いてきれいだ。サルトリイバラの花も満開である。サルトリイバラは雌雄異株であり、ほとんどが雄花であるが、時折、子房が膨らんだ雌花を持つ株が見られた。

 東屋のある広場が現れ、ここから南や北の一部が展望できる。東屋から30mほど東へ下った左側に山道が続いていた。先週の子供ゾーンの道とよく似ている。山道に入ると、左手にロープで柵が作られていた。フェンスではないが、これも先週の道とよく似ている。間違えた理由はあまりにも登山口が似ていたためだ。8年前に登った時は、どうやらこの道だったようだ。

 ロープに沿って歩き、ヒノキの人工林を抜けるとすぐに山頂に着いた。合渡山の表示板が地面に落ちていたので木に掛けた。今日は間違いなく合渡山に登頂できた。山頂の南側には、塀のような岩があり、岩越しに百々ヶ峰が望めた。展望は南側だけで、薄い道が尾根伝いに続いている。ここから尾根の藪をこげば先週登った北尾根のピークに出られそうだ。

 山頂は狭く、あまり展望も無いので、先ほどの東屋まで戻って一服した。正面に田園を見下ろしながら喉を潤す。北側には先週登った展望台やピークが望めた。萌黄色の山々が美しい。

 岐路は公園の奥を回ることとし、東へ下った。新緑のトンネルの中、オレンジ色のヤマツツジを楽しみながら10分ほど歩くと、「山菜の森」の分岐点を通過。左に折れて「山菜の森」方向へ行く。前方にため池が見えた。その手前に紫色のきれいな花の群落を見つけた。キランソウかニシキゴロモか、しかし背が高く葉も違う。橋を渡った池の土手にはキランソウが花を咲かせており、明らかに別の種類。帰って調べてみるとツクバキンモンソウというキランソウの仲間であった。それほど珍しい花ではないようだが、初めて見る花だ。

 池の土手を渡りきると武芸川町へのハイキングコースが東へ続いている。10kmコース、20kmコースなど遊歩道が整備されているようだ。人工林の下に花の終わったショウジョウバカマが長い花茎を伸ばし、新葉が伸び始めている。公園方向へ歩いて行くと展望台への登り口があったので、そちらへ行ってみることに。

 ヒノキ林を抜けて、鉄塔を左に見ながら数分歩くと、ベンチのある広場に着いた。この先には小さな神社もある。この辺りが「四季の森」のようだ。前方に田園を見ながら、美しい遊歩道を5分ほど下って「徳山の家」に出た。旧徳山村の藁葺きの家が移築されている。家を見て、すぐ下の球場を回って駐車場に戻った。ちょうどファミリーパーク周囲の山をぐるりと一周したことになる。

 合渡山は超低山であるが、周囲の遊歩道は網の目のように整備されており、子供ゾーンへつながる道もある。自然を観察しながら、じっくりと歩けば1日楽しめそうな場所である。四季折々に訪れたい場所である。
 山のリストへ