トレースマップはカシミール3Dで作成
*この地図の作成に当たっては、国土地理院長の承認を得て、同院発行の数値地図50000(地図画像)及び数値地図50mメッシュ(標高)を使用しています。(承認番号 平17総使、第654号) ※一部誤動作あり 点線は推定トレース
八曾山 (327m 愛知県) 2009.11.3 晴れ 4人
モミの木駐車場(8:39)→八曾キャンプ場(9:26)→八曾滝(9:44-9:51)→八曾山(10:32-10:49)→林道(11:16)→展望台(11:39-13:30)→岩見山(13:58)→厳頭洞分岐点・東屋(14:16)→厳頭洞(14:21-14:26)→五段の滝(14:56-13:00)→モミの木駐車場(15:07)
今年の6月に天生湿原にご一緒した館長さんとMIZUさんの秋の山歩きを10月に計画したが、予定日の天気が悪く、11月にずれ込んだ。1000mクラスの山の紅葉を見に行く予定だったが、思わぬ寒波の襲来に、急遽、雪雲が飛来しない愛知県の山に変更。まだ登っていない八曾山を選んだ。八曾山は犬山市の入鹿池東にある標高300mほどの低山であるが、八曾山周辺は丘陵地形で樹海が広がり、いくつかの散策コースが整備されている。周回コースを歩くと1日山歩きを楽しめるほど歩行距離がある。
無料の尾張パークウエイを南下し、入鹿池に注ぐ五条川にかかる赤い橋を渡ってすぐに左折して八曾キャンプ場への舗装道路を走る。赤い橋を渡る手前を左折してもすぐに合流する。なお、この道は東海自然歩道となっている。しばらく走るとモミノ木駐車場があり、その先はゲートが閉ざされ車での進入はできない。駐車場入り口の売店で駐車料金500円を払ってモミの林の中に車を停めた。すでに何台かの車が停まっている。トイレは売店の裏にある。
冬型の天候で、気温は真冬並み。風もあり、日影は寒い。売店前の地図を見て、今日歩くルートを確認。まずは八曾キャンプ場を目指し、ゲートの脇を抜けて五条川沿いに歩く。いつものように林道脇の植物観察会。マムシグサの赤い実が見られた。前方から歩いてくる登山者とすれ違う。早朝から八曾山に登り、下山してきた人のようだ。左に岩見山への道を見ながら、ドングリを踏んで朝陽の中を歩く。五条川の流れは緩やかで澄んでおり、小さな魚が泳いでいる。
30分ほど歩いたところで、路面に松の枯葉がたくさん落ちていた。見上げると、林道左手に背の高い松の大木が何本か見られた。そして、驚いたことに、落葉した松葉を見ると葉が3本ある。松ぼっくりも大きい。初めて見る松である。帰って調べてみると、サンコノマツという名前で別名はシロマツ。中国原産の珍しい松のようだ。最も聖なる木として珍重されているらしい。MIZUさんが松ぼっくりを拾ってみえた。紅葉した柿の葉もたくさん落ちており、時折、小さな柿の実も見られた。この山には小さな実を付ける柿が多い。この先で、「モチノキ科 タラヨウ」と書かれたプレートが付けられた木があったが、残念ながら木は枯れていた。
マメシダの胞子葉などを館長さんに教えてもらいながら、50分ほど林道を歩くと、建物があらわれ、八曾キャンプ場に到着。ここにもトイレがある。地図で現在地点を確認して、折り返すように川沿いを歩く。対岸の人工林の中にキャンプサイトがあった。5分ほど歩くと、林道はロープが張られており、「八曾滝・黒平山」の標示に従って川沿いの山道に入る。黒平山は八曾山の別名のようだ。クサギの大木を見ながら谷を離れ、明るい尾根から右山で人工林を歩くと、再び川が現れ何度か渡り返す。スリットのある鉄橋が流されているところは、川の中の石を踏んで渡る。
青い鉄橋を渡って、右に向きを変え、谷間を歩くと八曾滝が現れた。水量は多くないが、落差があり、美しい滝である。岩場を越えて滝つぼの前まで行って滝を見上げる。滝の上に張り出したモミジがオレンジ色に紅葉して美しい。滝上部に日光が当たり、上下どちらに露出を合わせてもいい写真が取れなかった。右手の濡れた岩壁にはチャルメラソウの黒い葉が張り付き、岩の隙間に小さな石仏が佇んでいる。頭上に赤い実が集まってボール状になった果実を見つけた。館長さんからビナンカズラの実であることを教えてもらった。
滝の見物を終えたら斜面のジグザグ道を登る。尾根に出るとリョウブの大木があった。樹間からは八曾滝が見える。再び左山で日影の斜面をトラバースしていくと陽の当たる尾根に出た。ここには尾根上部方向に八曾黒平山の標示がある。紅葉し始めたミヤマママコナが尾根を飾る。痩せたアカマツの尾根を歩き、左へトラバースして再び尾根に出ると、そこは大展望地だった。眼下には緑の樹海が広がり、高社山や弥勒山が目の前に見える。ここで小休止。
ここから、左山で緩やかに歩くとすぐに石垣が現れた。かつて建造物があったようだ。小さな池や3体の石仏を見ながら山頂へ。山頂には小さな祠があり、その前に三角点があった。家族連れの姿も見られる。展望を求めて草むらを東に下ると石垣に突き当たったところで視界が開けた。丸い恵那山や三角形の笠置山が真っ先に目に飛び込んできた。そして笠置山の向こうには中央アルプスの白い山脈が見える。北には山頂を雲に隠した御嶽山が見える。記念写真を撮って、地図で周回ルートを確認。池の下まで戻って、山の神の標示に従って、石垣に沿って左へ歩く。
コシダの道を緩やかに下っていく。「一の門」と「山の神」の分岐点に出て、「山の神」方向へ向かう。「山の神」まで30分の表示。人工林に入ると、様相が一変する。整然と並ぶ植林の床を一面に覆う緑色のウラジロが上にも下にも大群落をつくっている。緑の絨毯を引いたようで、こんなウラジロの群落は見たことがない。八曾山の隠れた名所だ。木橋を渡り、北に向きを変えて、左に谷川を見ながら歩く。チェーンソーの音が響いている。再び谷を渡り、西に向きを変えて、北のピークを巻くように歩く。少年団が設置した標識には「森林は地球の宝物」などと書いてある。
明るくなり、未舗装の林道に出た。ここから北に少し歩けば「山の神」があるようだ。軽トラックなど3台ほどの車が見られた。北から車が進入できるようだ。南方向にはキャンプ場の矢印があり、林道を南下すれば先ほどの八曾キャンプ場に至る。広い林道を南に歩く。林道脇の常緑樹がマテバシイであることを館長さんに教えていただいた。街路樹として植えられたもののようだ。帰路、地面に落ちたドングリそっくりの大きな実を割って渋皮をとって食べてみると、確かにドングリのようにアクが無い。ただ、それほど美味しいものではない。
林道を10分ほど歩くと、左に八曾山が見える。更に歩くと、左に岩見山の道がある。その先で林道は2方へ分岐している。どちらが展望台か分からず迷っていると、後方からの登山者に右だと教えてもらった。右へ歩くとすぐに前方の高台に東屋を見つけた。高台を左に巻き、舗装道路、丸木階段を経て東屋に到着。東屋の東には野球ができるほどのグランドがある。ここがヘリポート。マウンテンバイクで登ってきた若者のグループが東屋で休息中。高台で周囲の展望を楽しむ。目の前に先ほど歩いてきた八曾山が左右対称の美しい台形を作る。西には入鹿池、そして鈴鹿の山や養老山、伊吹山などが望めた。
東屋は風が強いので、林道脇のクリの木の下でランチにする。メニューは味噌バター鍋と雑炊。館長さんが持ってみえたミカンやお菓子、MIZUさんからはブドウを頂きながら、今回もいろいろな話に花が咲いた。秋の日差しの中、揺れるススキを背に、のんびりと食事を楽しんだ。
昼食の後、正面に八曾山を見ながら林道を下る。林道途中から、岩見山の標示に従って左折し山道に入る。次週にこの山でウォーキング大会が行なわれるようで、あちこちにウォーキングコースの番号プレートが立てられている。なだらかな道を歩き、厳頭洞の分岐を直進して、さらに八曾滝への分岐を通過。樹林帯を登って岩見山へ着いた。目の前に見える岩山が岩頭山で、山全体が岩のように見える。ここから、急なザレた斜面を下って登り返すと再び展望地のピークに出た。ここからの展望もすばらしく、遠くなった八曾山が樹海の中に浮かんでいる光景はすばらしい。それにしても、結構歩いてきたものだ。
ここからも急斜面を下って、樹林帯に入り、丸木階段をジグザグと下ると、東屋が現れ、谷沿いの道に飛び出した。厳頭洞に寄ることにして右へ歩き、橋を渡って左岸を歩く。川の中の魚影を見ながら5分ほど歩くと、左手に大岩が現れた。ここから急斜面の道を登ると厳頭洞に着く。岩の隙間の洞窟で、内部は真っ暗だが、暗闇で少し目が慣れてくると、結構大きな空間ができていることが分かった。
厳頭洞を後に、今歩いてきた道を戻って、岩見山分岐を直進する。八曾乙女滝の標示があったが、寄らずに歩く。ムラサキシキブやイヌザンショを見ながら橋を何度も渡って、滑滝を見て、さらに歩くと「五段の滝」の標示。急斜面を谷底まで下ると、階段状の岩を流れる滝があった。五段にも四段にも見える。この滝から5分ほど歩いて右手下に車道が現れ、駐車場に戻った。駐車場には多くの車が停まっていた。館長さんからいただいたミカンが美味しかった。
八曾山は低山でありながら、周回コースはかなりの距離があり、ゆっくり歩けば1日の山行となる。また、滝や展望地も多く、変化に富んだ山歩きが楽しめる。植物も豊富で、今回も久しぶりにツクバネに出会った。登山というよりはトレッキング。四季を通じて歩きたい山でもある。
★八曾山からの展望
★八曾山の植物
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