トレースマップはカシミール3Dで作成
*この地図の作成に当たっては、国土地理院長の承認を得て、同院発行の数値地図50000(地図画像)及び数値地図50mメッシュ(標高)を使用しています。(承認番号 平17総使、第654号) 一部誤動作あり
瓢ヶ岳 (1163m 郡上市) 2007.11.23 晴れ 6人

宮奥林道登山口(7:52)→三枚滝分岐点(8:06)→林道(8:29)→コウヤマキの尾根(8:57-9:02)→新道分岐点(9:16)→山頂まで1000m表示(9:37)→瓢ヶ岳山頂(10:28-12:14)→奥瓢ヶ岳(12:26)→旧道分岐点(12:44)→新道分岐点(13:12-13:19)→コウヤマキの尾根(13:30)→林道(13:48-13:55)→三枚滝分岐【三枚滝】(14:16-14:30)→登山口(14:40)

<参加者>カッペさん、内チャン、makotoさん、sumireさん、RAKU、らくえぬ

 瓢ヶ岳へは美濃市の片知渓谷から登るコースが一般的であるが、旧美並村から登るコースが2つある。その1つは星宮神社のさらに奥の宮奥林道からのコースであり、2005年にはこのコース途中から奥瓢ヶ岳を経由せず山頂に到達できる新登山道が完成した。このコースを以前から歩いてみたいと思っていたが、ネット情報が少ないことから、カッペさんに聞いてみると、登ったことがないとの返事。そこで、ミニオフ会で登ることを計画し、その下見に11月18日に出かけた。


 東海北陸自動車道美並ICを下りて、国道156号線を岐阜方面に戻るように南下。すぐに旧美並村の市街地の中心を通過するが、その市街地に「円空ふるさと館」の表示があるので、表示に従って西にある狭い道に入り、踏切と長良川を渡る。この踏切は長良川鉄道「みなみかりやす駅」の南に位置する。突き当たりを郡上八幡方面に右折。北進してすぐに粥川方面へ左折。ここにも「円空ふるさと館」の表示がある。粥川に沿って、美しい紅葉を見ながら走り、キャンプ場を通過すると、「円空ふるさと館」の大きな駐車場に着く。
 
 円空は瓢ヶ岳山麓で木地師の子として生まれたと言われ、この近辺には円空が修行を積んだ円空洞や円空岩が残っている。この駐車場は星宮神社の駐車場でもあり、神社の本殿前にある4つの幹の杉の巨木は見事である。また、ちょうどカエデの紅葉真っ盛り。訪れる人も少なく、隠れた名所だと思った。駐車場から先は未舗装の林道となり、11月26日まで工事中の表示。この日は雨で工事が行われておらず、神社から3kmほどの悪路の林道をゆっくりと走って、登山口に着いた。登山口にはいくつかの表示があり、見落とすことはない。林道はかなり荒れているが、普通車でもゆっくり走れば通行可能と思われた。

 登山口の下見はできたが、林道が工事中でもあることから、掲示板に掲載せず、カッペさん・内チャンと下見のつもりで登ることにした。前々日に、makotoさんよりメール。瓢ヶ岳宮奥林道コースの予定を伝えると参加の返信。こうして、6人で北側から瓢ヶ岳を攻めることになった。カッペさん、内チャンとの山歩きは久しぶり。makotoさん、sumireさんとは9月の立山・五色ヶ原以来である。

 前日までの冬型の気圧配置が崩れて、23日の天気は晴れ。皆さんと美濃市で合流。「お久しぶり」と挨拶。乗り合わせて上記のルートで登山口を目指す。星宮神社のトイレに寄り、本殿で今日の無事を祈願。神社から先の林道は工事が行われておらず、7時半過ぎに登山口に到着。登山口には3台ほど駐車可能なスペースがあり、少し下の林道の路肩にもスペースがある。登山口から左へも林道が派生しており、この先、派生した林道上部を横断することになる。登山口には「瓢ヶ岳登山口」の表示があり山頂まで3150m、三枚滝まで380mとある。
 
 平坦な道を歩き始めるとすぐに、谷に出る。丸太を組んだ橋が傾いて架かっている。濡れて滑りやすそうだ。橋を渡る人、岩を跳んで渡る人、全員、無事渡りきる。岩の多い斜面に取り付き、スギ林を抜けると、標識があり三枚滝50mの表示。三枚滝は帰りに寄ることにして、衣服を調整。
 
 コハウチワカエデが真っ赤に色づいている斜面をトラバース。右下に滝が見える。すぐに道は谷に合流。谷は3方向から流れ込んでおり、まず岩の上を歩いて小さな流れを越える。2つ目の谷は大きな岩がたくさんあり、その間を抜けて「落石注意」の看板のある右岸に出る。帰路、ここを直進してしまい、引き返した場所でもある。下山時に谷を渡る目印はこの看板となる。
 
 谷を左に見ながら、紅葉末期の美しい天然林を歩く。シロモジや様々なカエデの落ち葉を踏みながら、ササ付きの谷を登っていく。猿の騒ぎ声が谷にこだまする。すらりと伸びた落葉樹の林が美しい。上方に白いガードレールが見え始め、谷から右へジグザグと登って林道に出た。林道は倒木などで車の通行は困難な状況。30mほど左へ林道を歩くと、山側に「瓢ヶ岳2270m」の表示。林道脇には大きな広場があった。林道の真上に赤い実をいっぱいつけたイイギリがあり、見上げる稜線には霜をふったように雪が見られた。
 
 表示に従って、階段を登り林道上部の急斜面に取り付く。ジグザグの急登から、眼下に林道を見ながら右山でトラバース。イタヤカエデの落ち葉が多い。倒木をまたぎ、少し下って、再び大きな谷に入る。落ち葉に埋まった涸れた谷を渡って、右に谷を見ながら左岸を登る。スペード型の大きな落ち葉はイイギリの葉で、見上げると頭上高くに赤い実をたわわに付けたイイギリの枝が放射状に広がっている。北斜面であり、日が当たらないため、雪が石や木に積もり、谷上部も真っ白。

 谷に沿って登る道は、左に向きを変えてひと登りで尾根に出た。痩せた尾根にはコウヤマキがたくさん自生している。ここでタバコ休憩。内チャンから珍しい焼酎入りのチョコレート、sumireさんからはリンゴやカキをいただく。尾根で風があり寒いので、休憩もそこそこに出発。コウヤマキの落ち葉が厚い層をつくるふかふかした尾根道の急登を登る。丸木で階段が作られているところもある。コウヤマキの尾根を抜けるとササの尾根に変わる。二次林の天然林の尾根は気持がいい。後方から朝日が当たって、前方には木々の間に青空が広がった。
 
 標識が現れ、左に道が分岐している。「新登山道2005年」の表示がモミの木に取り付けてあった。新道を登るか、旧道を登るか迷ったが、帰りに山頂から新道への道が不確かだったので、新道を登ることにした。新道の道は遊歩道のように広く、日が当たらないため一面雪で真っ白。すぐに瓢ヶ岳まで1500mの表示。左に深い谷を見ながら、斜面を横切っていく。深い谷の向こうには、遠くの山々が見えるが、どの辺りの山か分からない。数分間、ほぼ等高線に平行して歩くと、いよいよ山頂目指して階段の登りが始まる。雪がしだいに深くなってきたが、深さは2、3cm。後方には朝日に輝く高賀山の山腹をジグザグと走る中美濃林道が見える。
 
 谷を横切る。大岩に無数のツララが垂れ下がって美しい。今シーズン、初めて見るツララである。谷のジグザグ急登が続く。雪の上に雫の形をした薄っぺらな小さな木の実がたくさん落ちていた。山頂まで1000mの表示を通過して、大きな四角い岩の下を登る。ジグザグの登りは続き、さらに大きな岩の下を通過。正面の稜線が朝日で赤く染まってきれいだ。先ほどの休息から1時間ほど歩いたので、再び休憩。雪の深さは数センチ。日影であり氷点下の世界。軍手では指先が冷たい。雪に覆われた広大な谷を登りつめる山は珍しいと思った。
 
 休息の後、近づいた稜線に向かって、相変わらずジグザグと登っていく。次第に左へ寄って谷を抜けて、右山でトラバース。等高線に沿って遊歩道のような道を歩く。北尾根を回り込むと、日の当たる道に出た。雪が少なくなり、ササ付きの天然林を右山で歩き、折り返して左山。そして、尾根を山頂向けて一直線に登る。雪で押し倒されたササを分けると山頂に着いた。山頂の大きな標識の裏から山頂を踏んだ。思ったよりも早く2時間半ほどで山頂に到着できた。
 
 山頂には誰もいない。一番乗り。日が当たる山頂に雪は無かった。混雑する前に標識の前に並んで記念写真を撮った。山頂からの展望はすばらしい。御嶽山は山頂付近に雲がかかっている。恵那山もきれいに見える。西には高賀山が目の前にあり、手前の山の山腹を中美濃林道がジグザグ模様を描く。その向こうには平家岳など雪の山が連なる。青空に白いちぎれ雲が流れ、山頂に立つアズキナシの枝には赤い実が見られた。南側から次々と登山者が登ってきた。
 
 ササに囲まれた狭い山頂の一角にシートを敷いて、時間は早いがランチにする。いつものように、豪華なメニュー。カッペさん・内チャンからおでんとマグロの角煮、ちくわ、makotoさん・sumireさんからうどん鍋と手毬寿司、我々はチーズ燻製とキムチ鍋。寒かった上高地の思い出など、山談義は尽きない。makotoさんのガスがすぐになくなってしまうという五色ヶ原同様のハプニングも。
 
 次々と登ってくる登山者で、いつの間にか、山頂はぐつぐつ状態。場所を譲って、コーヒーとクッキーは立って食べることに。他の登山者と会話をしたり、写真を撮ってあげたりと、とにかく賑やか。今日が初めての登山という若者も。南側からのコースは初心者向きであり、我々も山歩きを始めて日の浅い頃に登ったことを思い出した。御嶽山の雲はすっかり取れて、真っ白な山容が青空に映える。
 
 2時間ほど山頂に滞在して、まだまだ登ってくる人がいる中、旧道コースで下山開始。南へ歩き、左への通常ルートを下らず奥瓢ヶ岳を目指す。ササの道を一旦下って登り返すと通過点のような奥瓢ヶ岳に着く。南が開け濃尾平野が一望できる。驚いたことに、銀色に輝く伊勢湾が見えた。奥瓢ヶ岳で記念写真を撮って広い道を下る。前方から登ってくる何人かの人と出会った。中美濃林道の中美濃登山口から1時間程度で登れる手ごろなコースができており、林道に駐車して登ってくる人がかなりみえる。中美濃林道は高賀山直下まで続いており、この林道を利用すれば1日で瓢ヶ岳と高賀山の山頂を踏むことが可能である。
 
 正面に高賀山を見ながら、陽だまりの遊歩道を下って行く。ちょうど揖斐の鍋倉山の東海自然歩道によく似た道だと思った。道はしだいに北に向きを変える。右手の樹間に瓢ヶ岳山頂が見える。岩のある展望地を通過して再び展望のいい場所に出る。ここからの展望はすばらしい。白い御嶽山、乗鞍、穂高、槍、笠ヶ岳が一直線に並んで、感動の眺望である。みんな、木が邪魔しない位置を選んで撮影タイム。
 
 ここから下って左にヘアピンカーブするところに宮奥登山口の表示が現れた。小さなプレートもいくつか見られた。獣道のような細い踏み後が右のササの中に続いており、この道に入る。この山のササは葉の縁が白くなっており、それに雪が薄く積もって美しい。このササを分ける。傾斜は緩やか。踏み跡があり、後にここを登ってきたパーティがあったことが分かる。
 
 すぐに急斜面となる。一直線にササの中を下っていく。かなりの傾斜で、雪で濡れた斜面は滑りやすい。つかまる木がないようなところもあり、ササを掴んで下った。先頭のカッペさん、内チャンは軽快に下って行く。左手には中美濃林道が、右には瓢ヶ岳が木々の間から望めた。時折、転倒者あり。赤テープや小さなプレートも見られるが、踏み跡が分からなくなるほどではない。
 
 これでもかと急斜面の下りが続く。20分ほど急斜面を下ると尾根状態になりようやくなだらかになった。山頂まで1500mの表示。ほっとしたのもつかの間。再び急斜面。滑ったら谷まで落ちそう。慎重に下る。大きなモミの木が現れその横を通過。尾根の斜面となるが、相変わらず傾斜はきつい。下方右に数人の登山者の姿が見えた。登ってくる人だと思ったら、新道を下って来た人たちだった。道はなだらかになって、新道分岐点に到着。急斜面を下るのに30分かかった。分岐点で、新道を下ってきたパーティと一緒に休憩。聞けば、旧道を登ったとのこと。この登りはきつそうだ。新道はかなり楽なコースに思えた。
 
 タバコ組のタバコ休憩の後、ササ尾根からコウヤマキの尾根を経て谷を下り林道に出て、再び休憩。林道から谷を下って三枚滝分岐点へ。50m下の滝を見に行く。谷まではわずかな下り。落ち葉の積もった谷の左に滝の段が見えた。三段に流れ落ちることが、この滝の名前の由来であろう。谷を渡って滝の写真を撮った。落ち葉の散る中で、全員で記念撮影をして、分岐点まで戻り、10分ほど下って谷を渡り駐車地点へ。「ご苦労様でした」と今日のミニオフ会を終了。秋と冬が同居したようなすばらしい山歩きができた。3時前ではあるが、秋の午後の弱々しい日差しの中、星宮神社で円空の森水を汲んで子宝の湯で汗を流し、156号線を南下した。
 
 このコースは、片知渓谷から登る瓢ヶ岳とは全く異なる雰囲気で、本格的な山歩きが楽しめる。変化にも富んでいる。新緑の時期もすばらしいに違いない。谷歩きと斜面のトラバースが多いことから、積雪期は危険であり、登らないほうが良い。旧美並村からは、このコースの外に、釜ヶ滝コースがあり、次はこのコースを登りたいと思った。
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