舟伏山 (1040m 美山町) 2003.1.2 小雪・曇り 2名
夏坂林道工事現場・駐車地点(8:42)→東回り登山口(8:58)→山頂まで2.8km地点(9:38)→夏坂林道入り口への分岐点(9:42)→みのわ平(10:12)→水たまり分岐・山頂まで0.8km地点(10:35)→柳の大木(10:59)→舟伏山山頂(11:05-12:42)→小舟伏山山頂(13:00)→展望台・山頂まで1.2km地点(13:23)→炭焼き釜跡・阿弥陀仏像・山頂まで1.8km地点(13:42)→あいの森 山の家・西周り登山口(14:21)→駐車地点(14:37)
2003年の初登りはどこにしようかと、正月の天気予報を見ながら迷いに迷った後、美山町の舟伏山に決める。天気予報では、1月3日に雨が予想されているが、その他の日は冬型の気圧配置。3日以外は天気も良さそうだ。予定のない1月2日に登ることとした。こんな正月から登る人は他にいないだろうとは思ったが、まあ、家でテレビを見ながら寝ころんでいるよりも山を歩いた方がいい。
舟伏山は岐阜市内からも舟を伏せたような特徴ある山容を見ることができ、春や秋には広い山頂が人でいっぱいになるほどの人気の山である。この山は2年ほど前の5月に登ったことがある。雑木林の新緑やニリンソウがみごとで、大好きな山の1つ。雪のある厳冬期にも登りたいと思っていたこともあり、この山を選んだ。
美山町役場東の橋を渡る手前から国道418号線を右折し、神崎を目指す。雪が舞っている。この様子では展望も期待できないため、他の山に変更しようかとも思ったが、とりあえず下見のつもりで登山口まで行ってみることにした。神崎の集落にある橋を渡り川を右に見ながら広い道路を進む。ここから舟伏山の特徴ある山容が望める。山頂の切り開きもはっきりと確認できる。
やがて道は狭くなり、すぐに「舟伏山登山口3km」の標識が左手に現れる。ゲートは開いており、ここから左折して夏坂林道に入る。ゲート地点から尾根コースを登ることもできるが、駐車場所が限られている。現在、夏坂林道は終点1kmほど手前で河川護岸工事のため通行止めとなっており、この工事現場に駐車した。年末に降った雪がかなりあると思っていたが、今日の未明に降った雪が薄っらと積もっている程度である。雪がちらつき、時折突風が吹くあいにくの天気ではあるが、昼頃には冬型の天気が回復するという天気予報を信じて、登ることに決定。
林道を15分ほど歩いて、トイレのある大きな駐車場に着く。登山口は、この駐車場奥南側にある。駐車場手前には「あいの森 山の家」がある。以前、この施設を何度か利用した想い出の場所でもある。大きな案内看板には、登山道が描かれている。東回りコース3.9km、西周りコース3.5km。今回は東から西へ、時計と反対周りに歩くこととする。北にはこれから歩く舟伏山の一部が望まれる。セピアグレーの山肌が鉛色の空を背景に、静かに立ちはだかる。
登山口で登山届けを提出し、谷を左によく手入れされた人工林に入る。かなり急傾斜の中を東斜面に取り付き、ジグザグの道を登り一気に高度をかせぐ。北には、巨大な舟伏山が立ち上がってくる。一度、痩せ尾根に出てから東に進み、再び人工林の尾根に出る。「山頂まで2.8km」の標識がある。雪は1cm程度。
すぐに夏坂林道入り口ゲートからの尾根コース登山道と合流する。ここには、山頂まで2.3kmの標識と仏様がある。この辺りが桜峠であろうか。東から雪が横殴りに降ってくる。それでも、時折、速く流れる雪雲の間から陽が差し込む。急登の人工林を抜け、斜面に付けられた道を西にトラバースしていく。下には、夏坂林道が見える。その向こうには大黒山や天狗ヶ城も望める。かなり登ってきたと実感できる場所で気持ちがいい。風に乗った雪が下から吹き上げてくる。
天然林の中、ジグザグの登りが続く。倒木で道がふさがれているところもある。桜峠から30分ほどで、ササが現れ、なだらかな「みのわ平」に着く。丸木のベンチがあり、エゴノキ、モミノキなどの名前が書かれたプレートが木にかけられている。「みのわ平」から美しい雑木林の中を進み、「水たまり50m・山頂まで0.8km」の標識を通過。急斜面に付けられたジグザグの道が続く。春には、木の葉で見通しがきかなかったが、今の時期は枝越しに南の山々が望める。急斜面ではあるが、道はつづら折れになっており、実に気持ちのいい山歩きが楽しめる場所である。
頭上に青空が広がり始めた。傾斜が緩やかになると、山頂は近い。いきなり雪が20cmと深くなる。年末に歩いた登山者の足跡で、雪が窪んでおり、その跡をたどった。「柳の大木」と書かれた標識を過ぎ、5分ほどで山頂に到着。
大きく切り開かれた山頂には、南北に大きなアルミ板の展望図と北東に二等三角点、山名表示板がある。山頂南側は雪が吹き集められており、30〜40cmの積雪。足跡のない山頂へ一番のり。北側に残された木が強風で音を立てて揺れている。北側は最も手前の山が望める程度で、日永岳などは雪に隠されている。
南は、雪雲が切れ、美濃の低山のほとんどが見渡せた。東から、相戸岳・誕生山・天王山・権現山・汾陽寺山、古城山、大黒山、天狗ヶ城、はるか南には百々ヶ峰や金華山が小さく望める。今歩いてきた尾根もよく見える。木曽川や長良川が輝き、その向こうに伊勢湾がきらめいているのには驚いた。平地では、快晴のようだ。
北側は、風が強いものの、南側は風もなく穏やかであり、展望板南側で昼食にした。正月でもあり、メニューは雑煮やぜんざい。雪雲の隙間から濃尾平野に差し込む光線が幻想的であり、ちらちらと落ちてくるダイヤモンドダストのような輝きを放つ雪片が美しい。雲が頭のすぐ上を流れる。自然が作り出す光景のすばらしさを実感しながら、ゆっくりと昼食を楽しんだ。
帰路は、西にある小舟伏山を経由して、西周りコースを下った。小舟伏山までの尾根は北風が強く、風により雪が溝状に掘られ、また大きく盛り上がったところもある。このため、道が分かりにくい。鞍部へ下りにかかったころ、男性2名の登山者とすれ違った。今回は、正月でこの天気でもあり、我々だけかと思っていたが、山の愛好家はいるものだ。なぜかうれしくなる。
あいかわらず北風が強く、右耳が冷たい。雪の盛り上がった場所は、腰あたりまでの深いところもあった。この稜線の鞍部あたりにはニリンソウの大群落があり、大変美しかったことを覚えている。今は、雪の下で、じっと春を待っていることだろう。小舟伏山はなだらかで、どこが山頂なのかよく分からない。東には、本峰が大きく望める。
道は、南へ下りにかかる。積雪は2cmほどで、今までの積雪量がウソのよう。山頂で付けた軽アイゼンをはずす。登り同様、急峻な雑木林のジグザグ道を滑らないように下った。ぬかるんだ赤土で何度か足をとられかけた。途中、南を望むことができる展望台がある。さらに下ると、根尾へ続く道の分岐点があり、炭焼き釜跡と小さな阿弥陀如来像がある。
この少し下からは、東回りコースの尾根を見通せる場所がある。スギやヒノキの幼木が現れ、人工林の中へ。長い下りに疲れたころ、谷川沿いのなだらかな道になり、谷川を渡り返して、「あいの森 山の家」の東に出た。ここにも登山届け用紙が備えてあり、下山届けを提出して、林道を車まで歩いた。
終始、雪が舞う天気ではあったが、大自然の美しさ、厳しさを五感で感じ、初登りにふさわしい満足の山歩きができた。春もよかったが冬もいい。今度は秋に登ってみたいものだ。
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