トレースマップはカシミール3Dで作成
*この地図の作成に当たっては、国土地理院長の承認を得て、同院発行の数値地図50000(地図画像)及び数値地図50mメッシュ(標高)を使用しています。(承認番号 平21業使、第478号) ※一部誤動作あり 点線は推定トレース
舟伏山 (1040m 山県市) 2010.4.17 晴れ・曇り・一時雪 2人

愛の森駐車場(8:43)→桜峠(9:21)→舟伏山山頂(10:42-11:55)→小舟伏山頂(12:10)→分岐点・石仏(12:57)→愛の森駐車場(13:48)

 春の舟伏山は全国区の山となる。誰もがプリムラ(和名は画像に記載)の花を見に訪れる。太古の昔、海の中にあった舟伏山は石灰岩の山であり、花の山でもある。春の舟伏山はHPを立ち上げる前に登ったことがある。10年以上も前のことであるが、尾根を埋めるニリンソウの群落の光景は鮮明に記憶に残っている。

 山行前夜、いつものようにどこに登るのか迷ったが、開花しているプリムラを見たことがなかったので、舟伏山に決める。旧美山町の国道418号線を北西に走り、谷合の山県市美山支所の前にあるトイレに寄って、神崎方向へ北上。神崎集落を通過したところから、左折して夏坂林道へ。舗装道路を谷沿いに走ると桜が満開の広い駐車場に着く。既に10台以上の車が停まっており、次々と出発していく登山者。さすが、人気の山だ。

 満開の桜の下で靴を履き替えて出発。駐車場にはトイレも設置してある。登山口にはホースで谷水が引かれており、その脇から人工林に入る。左に谷を見ながら前を歩く団体を追う。丸木橋を渡って人工林の中をジグザグと登り、右山でトラバース。人工林の中ではあるが、足元にはスミレサイシンやシハイスミレ、マムシグサなどの花が見られ、この先の花の多さを予感させる。シロモジやクロモジの小さな新芽が黄緑色に輝き、この林に今、春が訪れたところ。

 ジグザグ道を登りつめると稜線に出て、休息する団体を追い抜いた。尾根道から、人工林を右山で歩き、再び尾根に出る。右側が天然林となり、カタクリの蕾が見られ、開花は間もなく。人工林を抜けると夏坂林道入口からの登山道と合流。以前、ヒルの猛攻撃を受けた道である。満開の桜の木の下には石仏があり、数人の登山者が休息している。ここが桜峠。名前のとおり桜が満開。ノンストップで歩く。

 杉林の急斜面に取り付く。ジグザグと登って、左に向きを変え、人工林を下に見ながら右山でトラバース。斜面を覆う緑色の葉はキツネノカミソリであろうか。傘を広げたばかりのヤブレガサもたくさん見られる。エイザンスミレ、タチツボスミレ、マルバスミレなどスミレ類が花を咲かせている。花を見ながら天然林の急斜面をジグザグと登る。木の葉が出ておらず、南側には天ヶ城の稜線が見える。

 稜線が近づき、ジグザグと登って落ち葉の積もる平らな場所に出る。みのわ平と呼ばれる場所で、ここでもカタクリの蕾が見られた。正面には舟伏山のなだらかな稜線が望める。舟伏山をよく知ってみえる単独男性と話しながら歩いた。一旦下って、人工林を右に見ながら登り返す。再び斜面のトラバース道を歩き、草付の明るい道を通過。南側の展望が得られ、遠くに金華山が見えた。ピンク色の蕾はニリンソウだと、単独男性から教えていただいた。ニリンソウは2輪が同時に花を咲かせるのではなく、一輪づつ咲く。蕾が多い中で、開花しているものを見つけて写真を撮る。

 水たまり場への分岐を通過。この上の石灰岩の岩場で、お目当てのプリムラを見学。園芸種を思わせるピンク色の可憐な花に感動。自然は美しいものを作り出す。突然、「RAKUさん!」と声をかけられた。「やっぱり!」 駐車場で見覚えのある車を見かけたことから、ひょっとしてと思った。花の写真を撮っているsizukaさんだった。3月に奥伊吹のセツブンソウを見に行った時にも出会っており、今回も花が結ぶ偶然の出会いだった。
 
 写真を撮っているsizukaさんを後に、山頂を目指す。咲き始めたヤマルリソウを見ながら、急斜面をジグザグと登り、ササのある平らな場所に出た。数人のパーティに先に行ってもらう。パーティの最後尾を歩く男性から、「かなり山に登って見えますね。」と言われた。我々の格好がそのように見えたようだ。小牧からの男性で山談義をしながら一緒に歩く。「夫婦で歩けるのはいいですね。」 よく言われるが・・・。そんな話をしているうちに、切り開きの大広場に出た。久しぶりの舟伏山山頂である。

 芝生広場のような山頂は以前よりも北側が広くなったような気がした。十数人の登山者があちこちで昼食中。南側はかなり遠くまで展望があるが、北側は目の前の大白木山が白く霞んでいる。雪が降っているようだ。金属製の案内板は雪で押しつぶされていた。次々に登ってくる登山者に交じってsizukaさんが到着。3人で記念写真を撮ってランチにする。

 缶詰とおでんとラーメンを3等分した。ランチの準備をしながら、明日、ミツルさんのオフ会がこの舟伏山で開催される話をしていると、隣の男性の方から「ミツルさんの仲間の方ですか?」と聞かれた。ミツルさんのサイトをご存知で、精力的な山歩きをしているミツルさんに感心してみえた。

 sizukaさんと花や山の話をしながらランチを楽しむ。時折、あられや粉雪が降り、4月中旬とは思えない。雲の切れ間から雪の残る能郷白山が望めた。熱いコーヒーを飲む頃には、山頂の登山者は僅かになった。まだ正午前。登ってくるパーティもある。帰路は西コースを下ることとし、山頂を後にする。

 北西の強い風が吹く中、稜線の道を下る。ユキザサやニリンソウはまだ蕾。周囲の木々の芽も固く、残雪も見られ、この稜線はまだ冬の状態。正面にはこれから向う小舟伏山が見える。鞍部からコバイケイソウの緑の斜面をひと登りし、水平な道を歩くと小舟伏山頂を通過。際立ったピークがあるわけではなく、標示がなければ山頂とは気付かない。
 
 2分ほど西進して、赤テープの巻かれた木から斜面の下りにかかる。ここから急斜面につけられたジグザグ道の下りであり、花も多い。花の写真を撮りながら、滑らないように歩く。銀色の天然林の林は癒しの世界。しばらくすればこの斜面は新緑に埋め尽くされる。小鳥の声とともに木々のざわめきが聞こえてきそうだ。何度来ても、同じ思いを抱く道である。カレンフェルト状の地形や石灰岩の大岩も見られる。今まで蕾だったが、ここで初めて開花したカタクリの花を見つけた。ヒトリシズカも花を咲かせたところであり、これからが春本番。

 石仏のある根尾への分岐点を通過。左方向へ下って人工林へ。人工林の中を10分ほど歩くと谷に出た。谷川を右左に渡りながら歩く。途中、崩壊しかけた橋があり、ここは川に下りて渡った。谷沿いの道には、今まで見られなかったいろいろな植物があり、立ち止まっては写真撮影。満開の桜が見えると愛の森到着。花の山旅を終えた。駐車場でsizukaさんと別れ、登山口の水をペットボトルに汲んで愛の森を後にした。

 今年はいつもの年よりどの花も開花が遅れているようだが、たくさんの花に出会うことができた。四季を通じて歩きたい美濃の名山である。
★舟伏山からの展望


★舟伏山の植物


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