トレースマップはカシミール3Dで作成
*この地図の作成に当たっては、国土地理院長の承認を得て、同院発行の数値地図25000(地図画像)及び数値地図50mメッシュ(標高)を使用しています。(承認番号 平25情使、第146号)
飯盛山 (793m 揖斐川町) 2015.2.11 曇り 2人
林道入口(8:56)→鉱山分岐点(10:42)→天狗の森公園(11:40-13:21)→林道手前行き止まり(13:40)→天狗の森公園駐車場(14:00)→鉱山分岐点(14:25)→林道入口(15:20)
★ 2月11日に揖斐川町の飯盛山に登って来ました。
★深い雪に覆われた飯盛山登山口の林道をスノーシューを付けてスタート。
★スノーシューでも膝近くまで沈むふかふかの雪道をひたすら歩きました。
★鉱山分岐点まで1時間40分かかったことから、目標を山頂から「天狗の森公園」に変更。
★さらに深くなる雪を交代でラッセル。
★2時間40分かけて「天狗の森公園」に到着。
★桜の大木の下で、久瀬の集落を見下ろしながら、温かいランチとコーヒーを楽しみました。
★帰路は公園を横切ってショートカットを試みたものの、林道への降口が分からず、引き返して林道を下りました。
★雲が切れ、美しい小津権現山や天狗山を見ながら下山。
★久しぶりにスノーシューラッセルの雪山を楽しんできました。
昨年、スノーシューのバンドが劣化し、全てのバンドを取り替えた。このため、この冬はどうしてもスノーシューを履いてみたい。このところスノーシューを使っていなかったことから、2月はスノーシューハイクができる山として飯盛山を選んだ。飯盛山は2回登っており、林道と遊歩道で山頂まで行ける。難なく山頂にたどり着けると思ったのだが・・・。
国道303号線で揖斐川町に入り、3つ目のトンネルを抜けたところで左折して川を渡り、トンネルを抜けたところにあるチェーン脱着場の隅に車を停めた。飯盛山登山口と書かれた林道入口はしっかり雪に覆われている。スノーシューを林道入口の雪の上で履いて、県道を左に見ながら歩き始める。林道に登山者のトレースは無く、スノーシューでもかなり沈む。頭上は灰色の雲に覆われ、今にも雪が降り出しそうな空模様。気温は上がらず、木々に積もっている雪は落ちてこない。モノクロの世界の中、ふかふかの雪をスノーシューで踏みながら単調な林道を歩く。
林道は大きく蛇行しながら徐々に高度を上げていく。雪の上にはシカの足跡が交差している。できるだけ沈み込まないと思われる場所を選んで、道の左、右、中央などを歩いてみるが、どこを歩いてもさほど差はない。頭上を木が覆っているところは浅い積雪で歩きやすい。交代でラッセルしながら、雪を踏む。雪が深く、スローペースであるが、汗が出る。1枚脱いで、喉を潤す。
雪で倒れた杉の木を潜り、ひたすら歩く。歩き始めて既に1時間が経過しているが、人工林の中の道が続き、さすがに歩くのがいやになってきた頃、いきなり左側が開けた。眼下には久瀬の集落が雪に埋もれいる。大立や塔ノ倉には中腹に雲がかかって幻想的な光景が広がっている。展望を楽しみながら一息つく。時計は10時を回ったところであり、このスローペースでは天狗の森公園の駐車場まで行けるかどうか・・・。
雪はますます深くなった。ラッセルの交代を、前方のカーブまでと決めてがんばる。再び左側が開け、前方には山が迫っている。山側の法面から落ちてきた雪がロール状になっていて面白い。大きくカーブしたところで、さすがに疲れて一息入れる。クッキーを食べてエネルギー補給。これだけのラッセルをするのはほんとうに久しぶり。
坂を登り詰めて左に向きを変えると正面に看板が現れ、看板には「上田石灰製造梶@久瀬鉱山採掘場入口」と書いてある。歩き始めてここまで1時間40分かかった。飯盛山山頂を踏むことはどうみても無理であり、ここで今日の目標を天狗の森公園に変更した。
鉱山入口を通過して、左山で右側の展望を見ながら歩く。久瀬の集落が見下ろせるが、雲は垂れ込めて遠望は無い。沈み込みはますます深くなった。一歩一歩に大変なエネルギーを消耗する。スノーシューに乗った雪が重い。ハの字で歩いたり、乗った雪を振り払うように歩いたりしたが、楽に歩けるほどではない。
200歩で先頭を交代することにして、歩数を数えながら歩く。以前、左側の崖のような法面に階段が作ってあり、そこから公園までショートカットしたことがある。雪に埋もれて階段は分からないが、それらしき場所があった。このとき、この場所をGPSに落としておけばよかったと後に後悔。
左にカーブして、人工林の下を通過。さすがに人工林の下は沈み込みが少ない。すぐに人工林を抜け、展望のいい道となる。再び雪の深さに苦戦。200歩交代を100歩交代にする。実がぶらさがるキリの木を見ながら、折り返して駐車場までの最後の直線コースに入る。100歩を80歩。80歩を50歩に変えて、ひたすら交代しながらのラッセル。左前方には小津権現山が見えるはずだが、灰色の雲に隠されている。声を出して歩数を数えながら、50歩での交代が続く。
前方に木製の案内板が見えてきた。天狗の森公園の駐車場の案内板である。正午をタイムリミットにしたが、20分前に到着。今日の目標達成。駐車場の広場を横切って公園への坂を登ると、サクラの巨木が雪を乗せた枝を広げて下界の集落を見下ろしている。天狗桜と呼ばれており、その枝ぶりは見事である。この山には「月の株」というケヤキの巨木があるが、このサクラもこの山の女神のように思えた。このサクラの木の横で昼食にする。木の下は雪が落ちてくるので、少し離れたところで、スノーシューで雪を踏んで平らな場所を作った。
シルバーシートを敷いて、ガソリンストーブでいつものようにおでんと卵雑炊を作った。汗をかいた後であり、冷えたアルコールフリーのビールがうまい。正午を告げるチャイムが聞こえてきた。静かな銀世界の中、ストーブの音が心地いい。山で食べる食事は本当に美味しいが、雪の上で食べるとさらに美味しいのは何故だろうか。非日常的なモノクロの空間で食べる食事は、どんな有名なレストランの食事よりも美味しくなる。締めくくりはパーコレーターでコーヒーを沸かした。1時間半以上、ゆっくりと雪の上での昼食を楽しんだ。
帰路は、公園を下って林道に出るショートカットを試みることにした。パッキングしてスノーシューを履き、桜並木を下る。いつの間にか雲が取れて、正面には大きな小津権現山が堂々と横たわっている。下りは楽であり、素晴らしい景色を前に軽快に歩く。柵に沿って下り、公園の最下部から柵の間を抜けて、公園の外に出た。北に伸びる尾根の先端辺りで林道に下りられるだろうと推測して尾根を直進することにしたが、帰路に確認すると、尾根を右に下るのが正解。
尾根はなだらかで、雪は深いが下りは難なく歩ける。調子よく歩いていると、突然、雪の下のくぼみに落ちて胸まで雪の中へ。潅木や岩があり、雪の下が空洞になっているところがある。落ち込まないよう、雪の状態をよく見ながら歩く。次第に木が多くなってきたが、疎林でどのようにも歩ける。雪の中に1mほどの円形の土が露出した場所があり、シカの糞も見られる。シカの寝床であろうか。
次第に急傾斜になる尾根を、潅木の間を抜けながら下っていく。GPSを見ると林道は目の前。尾根は切れ落ちた崖のような状態で、とても降りられるような場所は無い。少し右へトラバースしてみるが、林道は見えるものの下る場所が無い。下れる場所を探すよりも戻ったほうが早いと判断して、下りてきた道を引き返す。
トレースがあるので、登りでも問題は無い。20分ほどで公園上部まで戻って、登ってきた林道を下った。公園直下の林道からは小津権現山や天狗山が灰色の空に解け込むように静かに佇んで美しい。
北尾根を回り込む辺りで、GPSで先ほど下りて来た位置を確認。ちょうど北尾根の先端であり、そこは高い崖で林道に下りられるようなところは無かった。北尾根を巻いて南向きに歩いたところで下れそうなところがあり、さらに南に行ったところは崖の無く、この辺りから取り付いても公園に登れるのではないかと思った。
大きくヘアピンカーブするところでは法面を下ってショートカット。往路のトレースを踏んでいくと、なんと我々のトレースの上にシカの足跡がある。昼間でもシカが歩き回っており、歩きやすいトレースの上を通行するのには驚いた。ノンストップで林道を下って、駐車地点に戻った。いつの間にか、雲の隙間から日が差していた。
スノーシューでこれだけラッセルしたのは久しぶり。飯盛山山頂までは行けなかったが、雪の山を十分に楽しむことができた。次回はもう少し雪の少ない時期に山頂を踏みたい。帰路、モリモリ村の薬草風呂につかって、疲れを癒した。
★飯盛山からの展望
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