トレースマップはカシミール3Dで作成
*この地図の作成に当たっては、国土地理院長の承認を得て、同院発行の数値地図25000(地図画像)及び数値地図50mメッシュ(標高)を使用しています。(承認番号 平25情使、第146号) 

猪子山〜繖山 (268m 440m 滋賀県) 2016.8.16 2人

猪子山公園・上山天満天神社鳥居(10:56)→北向岩屋十一面観音(11:18-11:23)→猪子山山頂(11:26)→観音正寺3km地点・石馬集落分岐(11:59)→石馬寺分岐・雨宮龍神社鳥居(12:16)→地獄越(12:25)→鉄塔(12:31)→展望地・須田不動の滝分岐(12:37)→繖山山頂・三角点(13:13-14:25)→繖山最高点(14:29)→繖山山頂・三角点(14:35)→鉄塔・近江風土記の丘分岐(14:59)→近江風土記の丘駐車場(15:15)

★8月16日に滋賀県の猪子山・繖山を縦走してきました。
★猪子山公園をスタートし、舗装道路と階段を登って北向岩屋十一面観音に参拝。
★すぐ先の猪子山山頂を踏んで、繖山に向かって稜線を歩きました。
★猛暑の中、汗だくでアップダウンを繰り返し、雨宮龍神社を通過。
★展望を楽しみながら稜線を歩き、大下りして地獄越で登り返しました。
★真夏の太陽に照らされて、標高差約200mを息絶え絶えで登り切り、繖山山頂に到着。
★山頂で食べた冷たいミニトマトが最高でした。
★下山は、近江風土記の里に下りました。
★琵琶湖の展望を楽しみ、暑さと戦った思い出に残る山歩きとなりました。


 盆踊り大会や手力火祭夏など地域活動が一段落した盆休み。高速道路の渋滞や不安定な天気により、本格的な登山はあきらめた。真夏の低山で思い出されるのが2012年7月に歩いた滋賀県の荒神山である。猛暑の中、気力で歩き切った記憶に残る達成感のある低山歩きだった。また、その年の8月には滋賀県の繖山に登った。繖山の北には猪子山があり、稜線を伝って縦走できることを思い出した。今回は、猪子山から繖山までの縦走を試みる。暑さの中、思い出に残る山歩きとなるか・・・

 猪子山と繖山は南北に連なる稜線の両端にあり、その距離は約4kmある。標高は500mに満たない。登山口と下山口は自転車で移動することとし、折り畳み自転車を車に積んで出発。高速道路に乗らず、国道21号線・8号線を西進して能登川を目指す。

 猪子山の登山口は能登川の近くの猪子山公園にあるが、駐車スペースがあるのかわからなかったので、車を繖山登山口がある近江風土記の丘に停めることにした。ここは以前、繖山に登ったときに駐車した場所であり、いくつかの公共施設が整備され、広い駐車場がある。
 
 自転車で猪子山公園に向かう。繖山と安土山の間にある北腰越から山沿いの道に入り、須田町から能登川町へ。JRの線路に沿って走り、能登川高校から東に向きを変えて猪子山公園の駐輪場に自転車を止めた。公園の駐車場があり、ここに車を停めることもできる。自転車でやってきた東南アジアが出身国と思われる若い男性3人が軽装で山に登っていくところだった。

 トイレによって、ストックの代わりに夏の低山必需品であるうちわを持って登山開始。登山口となる広い舗装道路の入り口には上山天満天神社鳥居がある。猪子山案内図の看板があるが、簡略図でよくわからない。次々と人が下りてくるので、広い道を登ることにした。
 
 すぐに左に草に覆われた猪子山23号古墳を見る。10分ほど車道を上ると北向岩屋十一面観音に向かう階段が現れた。幟が並ぶ長い階段を登る。すでに汗びっしょり。登り切ると北向岩屋十一面観音がすばらしい展望地にあった。

 岩屋の中に石造りの観音様があり、北を向いていることから北向観音と呼ばれているようだ。奈良時代に安置されたものといわれ、多くの人が参拝に訪れるという。観音堂からは眼下に能登川高校や能登川駅などが見下ろせ、琵琶湖も望めた。澄んでいれば比良の山並みも眺められる。北に見える低山は荒神山のようだ。タカサゴユリがたくさん咲いている。お堂の中を覗いてみたところ、岩屋の中に仏像が見えた。
 
 参拝して、猪子山を目指す。稜線に戻り、観音正寺まで4kmの標示板を後に、登っていくとすぐに猪子山山頂に到着。展望はない。写真を撮って、先に向かう。丸木階段を下り、登り返す。この後、アップダウンを繰り返す。
 
 左側に現れた大岩の上に3人の男性が休息している。挨拶をすると、登山口で見かけた外国の若者だった。片言の日本語で、ここより高いところはあるかと聞くので、繖山が一番高いが、4kmほど向こうにあることを告げると、先に歩いて行った。荷物は無く、3人で1.5リットルのメロンソーダ1本を持っているだけ。元気な若者に感心しながら、後を追った。

 稜線歩きは水平な道だと思ったが、意外にアップダウンが多い。シャリバテと暑さでかなり疲れてきた。間もなく正午になろうとしており、昼食場所を探しながら歩いた。観音正寺まで3km地点のピークで若者3人に追いついた。再び、ここよりも高いところはあるかと聞かれた。更に3kmほど先であることを伝えた。

 ペットボトルのメロンソーダはあとわずかしか残っていないのを見て、その水分量では無理なので引き返した方がよいとアドバイスしたが、彼らは最高点を目指して先に進むという。彼らの後を追って、丸木階段を下る。ピークから10分ほど下ったところで右に分岐が現れ、踏み込んでみると大岩の支尾根があった。下には大岩の上で写真を取り合っている3人が見えた。

 稜線の道に戻って先に進むと、左から立派な石の階段が上がってきている。標示板には「石馬寺・石馬寺集落0.6km」とある。この辺りの道は広く、すぐに鳥居と手水舎が現れた。看板には雨宮龍神社とある。神社まではさらに階段を登らなければならない。さすがに登る気にならず、神社を迂回して下る。

 前方が開けて、目指す繖山の山頂が見える。まだ遠い。ぐんぐん下っていくと、左に簡易な展望台がこしらえてある。東側の展望があり、眼下左には石馬集落が見下ろせる。昼食場所を探しながら下るが、適当な場所はない。神社から標高差100mほど下ってようやくササが茂る鞍部に着いた。

 小さなお社の中に1体の石仏が祀られていた。ここが地獄越と呼ばれる場所であり、四つ辻となっている。右は須田集落、左は石馬寺集落に下る。地獄越の地名は両集落を行き交うときにこの峠を越えなければならないことから名付けられたと思われるが、猪子山から繖山に向かう場合も、登山者にとってここから地獄越となることがこの後わかる。

 お地蔵様に手を併せて、標高差約200mの登りにかかる。ウラジロの群落を抜けて階段状の道が続く。5分ほどで鉄塔の下に出た。既に12時半。昼食をとりたいところだが、木陰の適当な場所がない。水分を補給してさらに5分ほど登ると、展望のいい場所に出た。

 右に道があり、「須田不動の滝0.7km」の標示がある。振り向くと、今通過してきた鉄塔の向こうに歩いてきた稜線が望めた。ずいぶん歩いてきた。西には近江の田園が広がり、その向こうに琵琶湖が霞んでいる。更に登りが続く。

 灌木地帯で木陰がなく、真夏の太陽が真上からジリジリと照りつける。暑さとシャリバテで足がついてこない。道の脇のわずかな木陰で昼食にしようとザックを下ろしてシートを広げたが、いかにも狭い場所で道を塞ぐ。昼食をあきらめ、行動食をとって繖山山頂まで頑張ることにした。

 ロープのある岩場を通過し、なだらかになったススキの道を歩く。正面には繖山が近づいてきた。右に大岩の展望地が現れ、ここからも琵琶湖の展望を楽しむ。左に見える低山は安土山、その向こうの池は西の湖。うちわで仰ぎながら、気力で登る。再び明るいススキの道に出ると繖山山頂は目の前だ。丸木階段を登って、左に派生する「れいめいの里」への分岐点を通過。ヘトヘトになって山頂への斜面を登り切った。まさに地獄越。

 山頂は木に囲まれており、わずかに南西方向が開け、近江富士の名を持つ三上山の美しい山容が望めた。既に13時を回っている。誰もいない山頂の木陰で卵雑炊を作った。冷えたミニトマトが美味しい。単独男性が登ってみえたのみで、さすがにこの暑さの中、登山者は少ない。先ほどの若者3人は登ってこなかったことから、途中で引き返したか須田集落に下ったと思われた。

 昼食の後、南に5分ほど歩いて繖山の最高点を踏んだ。最高点はT字路となっており、観音正寺と桑実寺の分岐点。展望は無い。すぐに引き返して繖山山頂まで戻った。

 下山は、繖山の西尾根を下って近江風土記の丘に向かう。西尾根は以前登ったルートである。山頂から続く急な丸木階段を下り、西の湖を見ながら展望のいい道を下る。急斜面を下り切って、小さなアップダウンを経て左に桑実寺への分岐を通過。大岩の脇を通って、再び展望のいい場所を下る。樹間から、歩いてきた稜線が北に見えた。

 右に「やすらぎの里公園」の標示を見て、再び左に桑実寺の分岐。「一条寺」の石仏を通過して鉄塔に着いた。以前はここを直進したが、今回はここを左折して近江風土記の丘に直行する。両脇の草が刈り取られた丸木階段を下って人工林に入り、竹藪を抜けて近江風土記の丘の広場を横切って駐車場に戻った。

 低山の縦走でたいした山歩きはできないと思っていたが、稜線のアップダウンは予想以上に大きく、また強烈な暑さとの戦いで、かなり苦戦した山歩きとなった。体中の水分が全て入れ替わった気分で、達成感は最高。真夏には適さないが、展望地や歴史遺産も多く、四季を通じて歩きたいコースである。

 猪子山公園の自転車を回収して、近江を後にした。
★猪子山・繖山からの展望


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