城ヶ峰の写真
城ヶ峰  (286m 岐阜市) 2002.2.23 晴れ 2名

常國寺(13:55)→鉄塔(14:18-14:28)→城ヶ峰(14:52-15:08)→鉄塔(15:27)→常國寺(15:42)

 城ヶ峰は百々ヶ峰の西にある、城田寺という集落の北に東西に横たわる標高300mに満たない低山である。岐阜市街からよく見える。紅白の巨大な鉄塔が目印となる。

 この山は名前からも分かるように中世には城があったとの記録がある。城田寺の集落の中央にある舎衛寺あたりに城田寺城があり、1429年に美濃守護土岐成頼が修造したと伝えられている。この頃、城ヶ峰山頂には城田寺城の詰城として上城田寺城と呼ばれる城があったらしい。

 城田寺に住む同僚の話では、昔は城ヶ峰へ登れたそうであるが、今は集落の人も登らなくなっており、かなり道が荒れているのではないかとのこと。地図上では、常磐トンネル西出口にある八幡神社から鉄塔を経由して北側の椿洞まで道が記入されている。

 今回は、都合により午後からの山行。忠節橋を北進し、城ヶ峰の山塊に突き当ったら、右折し、常磐トンネル手前の八幡神社に車を乗り入れる。駐車スペースがなく、少し西に戻り、集落へ入る旧道の三叉路にある城田寺公園東の消防倉庫のある小広場に車を止める。ちょうど1台の車が止まっており、男性の親子が登山靴に履き替えている。聞けば城ヶ峰に登るという。ヤブ山とは聞いているが登る人もいるものだと心強くなる。彼らは、少し西の常國寺に向かった。

 私たちは、地図を信じて東の八幡神社に向かう。境内を登り詰めるが、神社の奥に道はない。あちこち探したが道がないので、2名の後を追って常國寺へ。寺の門をくぐると、民家の庭の中。うろうろしていると隣の竹藪で剪定をしている人がみえたので、登り口を尋ねる。すぐ上の墓地の手前を右に入れば登れると教えていただいた。

 墓地の右から明瞭な道が北に向かっている。ゆるやかな天然林の中を進む。やがて登りは急坂になり、低木の中、ごろごろした石の多い道をじぐざぐに登る。後方は展望がいい。小広場に止めた自分の車もよく見える。伊自良川を眼下に、広大に広がる濃尾平野が午後の日差しに輝いて美しい。

 かなりの急登を息を切らして登り、やがて痩せた松林に入る。前方に紅白の鉄塔が近づいてくる。松林の中で、1輪のスミレの花を見つけた。春を見つけたようで、何かうれしい。今日の陽気はまさに春。30分も歩いていないのに暑いのなんの。

 やがて鉄塔は左手に見えるようになり、鉄塔東のピークに出る。鉄塔までは主尾根を西にやや下りすぐに着く。鉄塔下は最高の展望台。北には眉山が大きく、その右には堂々たる百々ヶ峰が美しい。この角度から見る百々ヶ峰はいくつもの峰が重なりいつも見ている百々ヶ峰とは全く違う山容をしている。眉山の左には真っ白な御嶽山、その左に高賀山群が展望できる。南は岐阜市街がパノラマで広がる。養老山や霊仙が見える。ゆっくりコーヒーブレイクを楽しむには最高の場所であるが、時間もないので先を急ぐ。

 明瞭な道は西に続いているが、これは鉄塔巡視路。道なりに進めば、おそらく北側に下山してしまうようだ。城ヶ峰山頂へは、鉄塔すぐ西から道を左にはずれて、ヤブの中に入る。入り口にはタフロープが巻いてあり、枝が少しはらわれている。よく見れば道がある。やぶこぎに近い道である。灌木が道を遮る。赤や白のタフロープがあり、それで道と分かる。先人がナタで道を付けている跡が伺える。とにかく尾根をはずさないように歩く。

 すぐに、262mピークに着く。この辺りは上城田寺城の大手曲輪の石垣があると思われるが、ヤブこぎに夢中で十分観察もできなかった。道は下りになりヤブこぎは続く。しばらくして戻ってくる先ほどの2人の方と出会った。すぐ先のピークを越えれば山頂があることを教えてもらった。なんと、赤いタフロープは彼らが付けてくれていたのである。この印がなければ、山頂にたどり着けなかったかもしれない。頭が下がる思いである。

 ピークを越え、ひと登りで山頂。樹林帯の中、展望はない。城があっただけに山頂は幾分平らで広いが、ヌルデなどの灌木が突き出ている。大きなネズミサシの木もある。城の痕跡や三角点を探したが、深い落ち葉で何も発見できなかった。今から500年以上も前にここに城があったとは思えない。強者どもが夢の後。静かな山頂は、眼下の美濃の国盗り物語をじっと見つめ続けてきた。この場所も滅多に人の来ない今のままがふさわしいのかもしれない。用意してきた山名プレートを木にくくりつけた。さらに薄い道は西に続いているが、時間がないので今回はここから今来た道を戻ることにした。

 山頂からの下りでは前方に金華山がきれいに見えるところがあり感激。慎重に道を拾ったつもりであったが、鉄塔西のピークで道をはずし藪の中へ。ピークまでもどりタフロープに助けられて鉄塔までたどりついた。先行の2人にふたたび感謝。

 下山時、松の枯葉で滑りやすい坂道を慎重に下った。すばらしい展望に見とれて、落ち葉の下のごろごろした石ころに2、3度足を取られた。寺まで下山し、振り向けば、山頂は鉄塔西のピークに隠れて見えない。西に続く尾根はよく見える。ヤブ山もたまには楽しい。次回は、この尾根の端まで行ってみたいものだ。冬にしか縦走できないことは確かである。
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