蕪山の写真
蕪山 (1068m 板取村) 2001.5.4 晴れ 3名

21世紀の森(9:20)→山頂(11:40-13:15)→21世紀の森(14:40)

 256号を北上し、板取村役場を過ぎた頃に、前方に丸い山容の巨大な山が現れる。まさにカブラの形をした蕪山である。登山口となる21世紀の森駐車場にはすでに10台以上の車があり、数名のパーティーが登山の身支度をしている。人気の山である。

 登山コースは旧コースの奥牧谷コースと10年ほど前に作られた新コースの株杉コース、野鳥観察コースがある。片道約5km、標高差650mは半端な山行ではない。

 林道を10分も登ると、美しい杉林の中に、樹齢数百年という巨大な株杉がいくつも見える。巨大な杉の株から立派な杉が伸びている。ジュラシックパークの世界にタイムスリップした気分で、株杉コースを登ることにする。

 株杉ゾーンを過ぎると、道は急になり、岩の多い人工林を谷川の音を聞きながらジグザグに登る。途中に2・3回谷を渡る。持ってきた水道水を谷水に入れ替える。山の水はうまい。ここで一気に高度をかせぐ。舟伏山と高賀山をプラスしたイメージの登りである。同じ頃に出発したパーティーに抜きつ抜かれつ、50分ほど歩いて疲れた頃に野鳥観察コースとの合流点に着く。山頂まで2495mの標識がある。半分である。

 ここから、明るい比較的なだらかな広葉樹林の尾根を登る。新緑の中、スミレの花の尾根歩きは気持がいい。やがて、後方には西側の山々が見え、左手には樹間からめざす蕪山の山頂が見え隠れする。尾根道は急傾斜と平坦を繰り返し、息が切れる頃に、テレビアンテナのある休息地点に着く。ここにはカタクリの群落があり、花期は遅いものの、まだ花は咲いている。頂上は近いと、休息なしでがんばる。

 すぐに山頂に続く本尾根に出るが、いくつかのピークが待ち構えている。前方に山頂が見えるだけにこのピークがきつい。963mピークから20mほど下って次の急登に足が前に出ない。ササが現れミツバツツジの美しい山頂直前で小休止。そして息絶え絶えに山頂到着。

 山頂は樹木が伐採されており、その展望に息を呑む。360度の大展望。遥か北には真っ白な三角形の大日岳。東には鷲ヶ岳、烏帽子岳、そして大きな白い御嶽山がうっすらと浮かび上がる。南に高賀山のピラミッド、西に日永岳。これだから山はやめられない。

 山頂は広く、松や杉の木が数本残っている。一角にはアメダス観測施設が建っている。数パーティーが思い思いの昼食をしているが、重装備の昼食はウチだけである。メインディッシュのミートスパゲティーとチャーハン、缶詰をつまみにビールと日本酒の大宴会、デザートはクッキーにコーヒー。山の最大の楽しみはまさに昼飯である。

 1時間半の昼食の後、帰路は山頂直下から奥牧谷コースを下る。急斜面につけられた踏み跡の薄い道を滑るように一気に下る。ここを登って来なくてよかった。とんでもない急斜面である。道はしだいに谷沿いになり、沢の渡りを繰り返し下る。糸のような水の流れはしだいに大きくなり、いくつかの滝を作っている。チゴユリやイカリソウなど花も多い。行きの尾根歩きとは全く違う谷歩きに酔う。このコースを選んでよかったと思う。

 駐車場に着いて今登ってきた巨大な山を眺めながら、あらためて、この山の良さを確認。ぜひおためしあれ。夏はヤマビルに注意。特に、奥牧谷はヒルが多いらしい。
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