トレースマップはカシミール3Dで作成
*この地図の作成に当たっては、国土地理院長の承認を得て、同院発行の数値地図25000(地図画像)及び数値地図50mメッシュ(標高)を使用しています。(承認番号 平25情使、第146号)
蕪山 (1068m 関市) 2014.11.23 晴れ 2人
21世紀の森駐車場(8:28)→自然観察道入口(8:36)→自然観察道分岐点(9:24)→ベンチ(9:57-10:07)→蕪山山頂(10:43-12:03)→奥牧谷上部(12:37)→滝上部(13:17)→渡河・旧駐車場(13:42)→ゲート・自然観察道入口(13:46)→駐車場(13:51)
関市の名山「蕪山」に登ったのは13年前。このHPを立ち上げた年の春である。一度、秋に登ってみたいと思っていた山であり、紅葉には少し遅いが、想い出を追って蕪山を目指す。
国道256号線を北上。21世紀の森公園に向かって右折して坂を登ると、広い駐車場が現れる。数台の車が停まっており、若者5人が出発するところだった。彼らに一足遅れて駐車場を後に舗装道路を歩く。大きくカーブしていくと東屋が見えた。ここが自然観察道入口であり、山側の人工林に道がある。作業をしてみえた男性に登山口を確認すると、この先のゲートのところにも登山口があることを教えてもらった。株杉を見ながら歩くにはここの道がいいと判断して、山道に入る。
両脇にロープが張られた遊歩道を歩く。人工林の中、巨大な株杉がまるで怪物のようにあちこちに見られる。何度見てもなかなかの光景だ。数分歩くと、株杉は見られなくなり、人工林の中の紅葉したシロモジなどを見ながら歩く。石の階段や大きく曲がった木を越え、谷に沿って標高を稼ぐ。暑くなったので長袖Tシャツ1枚になった。
人工林から天然林となり、大岩の前を通過。木の橋を渡り、涸れた谷を詰める。折り返しながら歩くと、上部で先行した5人パーティの声が聞こえてきた。見上げると、「こんにちは」と大きな声。気持ちのいいパーティだと思った。再び大岩の前を通過し、涸れ谷を後に、右山でトラバースしていくとロープの柵がある道となり、左下から上がってきた道と合流する三叉路に出た。左に下れば自然観察道を下って登山口に出る。ここは右の道へ。
少し右山で歩いて、折り返して尾根を右に外して一直線に歩く。明るい道であり、さらに折り返して稜線に出る。前方の5人パーティを追って尾根を歩く。少しの下りもある。5人パーティから先に行くようすすめられたが、彼らもいいピッチで歩いているので、後をついていくことにした。
足元にコウヤマキの枯葉が積もっており、この尾根はコウヤマキが多いことに気が付く。落葉樹はすっかり葉を落としている。背丈の低いササが現れ、左前方に蕪山の丸い山頂が現れた。木の根が網状になった道を登るとベンチがあり、男性2人、女性3人の5人パーティが休息中。我々も、ここで休息する。こうした山で若い5人に出会うのは珍しい。
1人の男性がかなりのベテランで蕪山には10回以上登っているとのこと。冬の登頂も経験があり、このパーティのリーダー。「爺ヶ岳に登られたのですか」との問いかけに驚いた。ウエストポーチに縛ったバンダナの小さな冷池山荘の文字から分かったとのこと。
彼らを見送って、我々もベンチを後にした。山頂まで1320mの標示を見て、葉を落とした美しい天然林を歩く。散り残った紅葉の葉が青空に映えて美しい。左に蕪山を見ながら、なだらかな道を歩き、向きを北に変えて尾根を行く。蕪山を正面にとらえ、わずかなアップダウンを繰り返す。蕪山がどんどん近づいてくる。ブナの木を見ながら、今度は向きを左に変えて、山頂への登りとなる。右山でトラバースして、奥牧谷への分岐点から直角に右に向きを変え、一直線に山頂を目指す。樹木が無くなると広い山頂に出た。
13年ぶりの山頂は、周囲の木が切られて大展望の山になっている。ヒノキが一本立っているのが面白い。周囲の木が伐採されており、展望は素晴らしい。北に滝波山、南に高賀山、西に日永岳、遠くには御嶽山や白山が望めた。5人は一本ヒノキの下でランチ。我々は南の風の無いところでランチにした。メニューは缶詰とラーメン。コーヒーを沸かしていると、5人組みの1人の女性が山頂で作ったトリフを持ってきてくれた。豆腐とココアでできていると聞いて驚いた。とても豆腐で作ったとは思えない美味しさで、作ってみたい1品である。
高賀山を見ながらゆっくりコーヒーを楽しんで、下山開始。ちょうど5人と下山が一緒になった。我々は奥牧谷に下ると告げると、奥牧谷コースは2年前に廃道になっているが、登山者が入っているので道はあるだろうと教えていただいた。登ってきた道を引き返す彼らを見送って、山頂直下から奥牧谷コースへ足を踏み入れた。
入口はササに覆われて踏み跡は薄いが、道ははっきりしている。ササはすぐに消え、落ち葉の積もった急斜面を滑るように下っていく。葉を落とした木々の間からは、眼下に奥牧谷が見下ろせる。下方から声が聞こえ、男女4人パーティが登ってきた。谷から登ってくる人があり、道はあるようだ。道の状況を聞くと、この斜面を下りきった辺りの、二ノ又付近が分かりにくいとのこと。廃道になったと聞いていたが、登山者があったことから、ちょっと気分が楽になって急斜面を下っていく。
倒木が道を塞いでいるが、比較的疎林でどのようにでも歩ける。それだけに道を誤りやすい。倒木が続き、道が落ち葉に埋もれて分かりにくいが、ルートファインディングしながら下っていく。下りは下方が見渡せるが、登りは道が分かりにくいに違いない。石ころが多くなり、谷底に吸い込まれていく。先ほど教えてもらった二ノ又付近。谷が合流しているのが分かった。
斜面が緩やかとなり向きを左に変えて奥牧谷を下る。まだ紅葉が残っていて美しい。涸れた谷底に下りて岩の上を歩く。雰囲気のいい明るい谷で水はない。人工林が現れ、谷の左側を人工林へ入る。人工林から谷を渡るところがあるが、倒木などで道を見失ってうろうろした。道が消えたら道があるところまで戻ってルートファインディング。
谷の右側を高巻きして谷に下りると水が現れた。再び右側を高巻きしていく。道が細く落ち葉が積もっており転落に注意して慎重に進む。この辺りの紅葉も陽に照らされて美しい。谷川に人工林を見ながら右に向きを変えて大きく下る。朽ちた木柱があり文字をしっかり読まなかったが、ロボット雨量計標柱と思われた。谷に下りて右山のトラバースが続く。ジグザグと降りるところで、下方に滝が見えた。土砂に埋まりかけた木橋を渡り、すぐに小さな涸れ谷を渡るところに、朽ちた木橋が2つ掛けてある。渡れそうだが安全のため谷に下りて渡った。
人工林の中に入り、小枝のうるさい道を正面から日差しを浴びながら行く。倒木を越え、橋を渡り、ヤブのような潅木帯を抜けると、川に突き当たり、向こう側には舗装された小広場が見えた。旧駐車場である。石の上を跳んで向こう岸に渡れそうだが、ここも安全を優先して、堰堤を渡った。
落ち葉の散乱する舗装道路を歩くと、左の山側から一人の登山者が下りてみえた。ここが自然観察道のもう1つの登山口のようだ。株杉が現れ、緑色のゲートの脇を通って、往路の登山口を通過。人工林の中の道をショートカットして駐車場に戻った。靴を履き替えていると、5人パーティが下山してきた。ほぼ同じペースで下ってきたようだ。「またどこかの山で会いましょう」と、彼らと別れた。
久しぶりの蕪山は、すばらしい山歩きができた。残念ながら奥牧谷コースは廃道で、荒れたところが多く、今後、ますます道は消えていくと思われた。実にいい雰囲気を持つ谷歩きができ、残しておきたいコースだ。
帰路、板取川温泉に寄って疲れを癒した。
★蕪山からの展望
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