トレースマップはカシミール3Dで作成
*この地図の作成に当たっては、国土地理院長の承認を得て、同院発行の数値地図25000(地図画像)及び数値地図50mメッシュ(標高)を使用しています。(承認番号 平25情使、第146号) 

貝月山<ヒフミ新道 途中撤退> (1234m 揖斐川町) 2014.1.3 晴れ・くもり 2人

貝月ゲレンデセンターハウス(9:05)→林道(9:08)→登山口(9:50)→稜線分岐点(10:37-10:42)→雪庇の尾根・昼食(11:52-13:16))→稜線分岐(14:11)→貝月ゲレンデトップ(14:41)→貝月ゲレンデセンターハウス(14:55)

★1月3日に貝月山で雪山を楽しんできました。
★冬に登ったことのないヒフミ新道を登ることとし、貝月ゲレンデから雪の林道へ。
★林道にトレースはあるものの、深い雪でスローペース。
★ワカンを履いて、林道から人工林の山道へ。
★1時間半かけて稜線に到着。ふかふかの雪が積もった稜線のスキーのトレースをたどりました。
★尾根道からは小津権現、花房、蕎麦粒、鍋倉など揖斐の名峰を見ながらのスノートレッキング。
★標高を上げるにつれて、しだいに雪が深くなり、稜線にできた大きな雪庇でトレースは消え、登山道は雪の斜面となっていました。
★3時間ほど歩いて、正午近くになり、標高1000mを越えた稜線で登頂を断念。
★大展望の雪庇の上で、温かい昼食とコーヒーを楽しみました。
★山頂には到達できませんでしたが、美しい雪山歩きに大満足の今年の初歩きとなりました。

 久しぶりに雪山に行くことにした。多忙な正月に天気予報を見ながら強引に山行日を決た。行き先は貝月山。今回は、ヒフミ新道を選んだ。夏道でも山頂までは2時間半かかる。雪のヒフミ新道は初めてであり、雪の状況も分からないが、行ける所まで行くことにして、ワカン・スノーシュー・アイゼンを車に積み込んで貝月スキー場に向う。

 揖斐川町に入っても雪がない。スキー場に向かう道に入って、ようやく雪が増えてきた。しかし、この雪の状況では、山の雪も少ないと思った。揖斐高原スキー場の入口で駐車料金を払って、誘導員の案内に従って進み、車を停めて気がついた。ここが日坂ゲレンデの駐車場であることを。登山口は貝月ゲレンデの真ん中にある林道を登ることから、車を貝月ゲレンデセンターハウス近くの駐車場に移動した。貝月ゲレンデのリフトは動いておらず、ソリで遊ぶファミリーの車が停まっていた。
 
 アイテムは機動力のあるワカンを選択。アイゼンも持参。センターハウスのトイレに寄り、ゲレンデを横切って林道に向かう。昨日は雨が降ったようで、雪はしまっている。積雪20cmほどの林道に出ると一筋のトレースがあった。雨で足跡の形が崩れ、窪み程度のトレースであるが、このトレースを踏めば歩きやすい。林道を登っていくと、しだいに雪が深くなった。トレースを踏んでもかなり沈み込む。ここでワカンを付ける。

 大きくカーブしていくと、ゲレンデの上部を通過して、眼下に堰堤と凍りついた谷を見る。その先で、貝月山登山口の表示が現れ、トレースは林道を右の山道に続いている。人工林の尾根に続くトレースを追う。ジグザグ歩いて、左側が天然林、右側が人工林の明るい尾根に出る頃には、雪質がさらさらになってきた。落葉樹の幹には風の当たる側に雪がついている。昨日、この辺りは雨ではなく雪が降ったようだ。
 
 樹間から白い山が見え始めた。ナメコがびっしりと生えたナラ枯れの木も見られる。雪でペースはスロー。再び人工林に入り、ジグザグ登る。いつのまにかトレースは消えている。前方に標識が見え、ウサギの足跡を追って稜線に出た。標識には左に第2リフト、右に山頂とある。稜線の道にスキーのトレースがあったのには驚いた。ここまで1時間半かかった。このペースでは、小貝月までも行けそうに無い。正午をタイムリミットとして、行ける所まで歩くことにした。

 5分ほど休憩して出発。人工林と天然林の境の尾根を南へ歩く。西風で、稜線の雪には凹凸の溝ができている。スキーのトレースを踏んで、右山で斜面を登って人工林を抜けるとなだらかな尾根に出た。右にヒノキ林を見ながら窪んだ雪道を歩くと前方に山が迫り、北斜面に回り込む。一瞬にして冬景色となり、木々には雪が積もっている。北斜面は雪が深い。北側の展望が開け、小津権現山、天狗山、蕎麦粒山などのすばらしい絶景が広がり、立ち止まって写真を撮る。

 斜面を登り切ると、雪の吹き溜まりとなり、完全に道が消え、もちろんスキーのトレースも無い。ワカンでも深く沈み込む。吹き溜まりを乗り越えると、左上に稜線があり、緩やかな雪の斜面のトラバースとなる。ウサギの足跡が続く斜面には、真正面の太陽が作る雑木林の影がこちらに向かって伸びている。木のないところが道のようだ。斜面のトラバースではあるが、アイスバーンになっていないことと傾斜が緩やかなことで滑落の危険はない。
 
 トラバースを終えると稜線に出て、道は稜線の東側に移った。雪庇の下を歩くこととなる。再びスキーのトレースが現れた。黒い雲が流れる尾根を歩いていくと、大きく発達した雪庇が目の前に現れ、また道が消えた。恐らく、登山道は稜線の上部に付けられていると思われた。1m以上ある雪庇の土手を越えなければならない。ワカンで踏み固めながら土手を崩して雪庇の上に登った。
 
 雪庇を崩さないように右寄りに歩く。最高に気持ちのいい風紋の雪尾根歩きである。再び尾根を左に樹林帯に入ると右手前方に小貝月が見えた。近くに見えるが、この雪ではまだかなり時間がかかりそうだ。タイムリミットの正午までは後30分。雪が深くなりトレースも無いので、ワカンでもラッセルがきつい。交代しながら斜面をラッセルしていく。傾斜が増した斜面のトラバースは気持ちのいいものではない。
 
 15分ほど歩いて尾根に出た。目の前には次のピークが迫り、大きな雪庇が続いている。11時52分。今日はここまで。小津権現山や花房山が眺望できるこの雪庇の上で昼食にする。ワカンで雪を踏んで平場を作り、ガソリンストーブでおでんと卵雑炊を作った。静かな雪山で食べる暖かい雑炊は最高に美味しい。いつものようにパーコレーターで沸かしたコーヒーで昼食を締めくくった。
 
 下りはトラバースを避けて、雪庇の尾根を下る。登山道ではないが、雪庇ができていることから、木々が邪魔になるようなことはない。登って来たトレースを左下に見ながら稜線上を歩く。ウサギの足跡が雪庇の上に残っている。この足跡より雪庇の端に寄らないようにして下っていく。新雪を踏んで歩く雪山はいい。

 雪庇が消えた辺りで、登って来たルートに戻った。木々のストライプの影を踏みながら、登って来た道を、前方に小津権現山を見ながらぐんぐん下っていく。北斜面に回り込むと今度は前方に鍋倉山が見えた。

 スキー場の分岐点で稜線を離れ、林道へ。登って来た林道を下らず、休止中のゲレンデを下ることにした。リフト降り場の横からゲレンデトップへ。前方に以前歩いた「山の谷」を見ながら一気にゲレンデを下る。ソリで遊ぶ子供たちの間を通って駐車場に戻った。
 
 久しぶりに雪山を楽しんだ。ヒフミ新道は尾根歩きが主体となることから、冬には雪庇が発達し、展望もいい。雪のあるこの時期には、貝月山山頂まではかなりの時間がかかる。標高を上げるほど雪が深く、雪庇の崩落やアイスバーン時のトラバースで滑落の危険もあるので無理は禁物。時間に余裕を持って慎重な行動が必要。

 雪山の初歩きに満足し、藤橋の温泉に寄って疲れを癒した。
★山からの展望

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