貝月山1
貝月山2
貝月山  (1234m 坂内村) 2003.1.4 曇り・雪 5名

揖斐高原スキー場坂内ゲレンデホテル駐車場(9:22)→ふれあいの森ゲート(9:44)→貝月山登山口(10:19)→貝月山山頂(11:37-13:52)→日越峠(14:24)→林道(14:45)→貝月山登山口(14:50)→揖斐高原スキー場坂内ゲレンデホテル駐車場(15:20)

参加者:ブラックポットさん、ジオンさん、和たんさん、らくえぬ、RAKU 

 年末にスノーシューを購入した。購入したからには早速雪の上を歩きたい。ということで選んだ山が貝月山。揖斐高原スキー場坂内ゲレンデからのコースが最も短時間で登れるコースである。雪がなければゲレンデの南にある「ふれあいの森」まで車で上がり、そこから山頂まで1時間で登れる。以前は、春に登り、萌葱色の山肌に感動した記憶がある。一度は雪の時期に登りたいと思っていた山でもあった。

 貝月山に行くことを掲示板「クーの山小屋」に書き込んだところ、ブラックポットさん、ジオンさん、和たんさんが参加表明。ジオンさんは雪のない時期に貝月山へ5回登っているそうだ。ブラックポットさんを拾い、揖斐川町でジオンさん、和たんさんと合流。12月の鳩吹山以来の再会。1台に乗り合わせて坂内村を目指す。

 正面に飯盛山を見る頃、雨が降り出した。美濃地方の天気予報は晴れ。山間部では午前中は曇りで雪が残るところもあるとの予想。天気が回復するという予報を信じて揖斐高原スキー場坂内ゲレンデを目指す。新聞情報によると、年末に揖斐地方でスキーができるのは坂内ゲレンデだけであったが、温かい正月で雪が溶け、今朝の新聞では積雪30cmで滑走不可となっていた。

 山に雪はあるのだろうかと心配しながら横山ダムを坂内村方面に左折し揖斐高原スキー場の案内に従って役場手前から左折。この辺りに雪は無く、雨は降り続いている。スキー場が近づくにつれて山に雪が増えてきたが道には全く雪がない。坂内ゲレンデは地面が見え始めていた。

 ホテルの駐車場に着いたが雨。雪が降っているなら登る気にもなるが雨では・・・。車の中で様子を見ることにした。ジオンさんが用意してくれたおいしいコーヒーとチョコレートをいただきながらおしゃべり。30分ほどで雨が止んだ。天気予報は当たったようだ。

 ホテルのトイレを借り、身支度をした。「ふれあいの森」までの林道は除雪されているもののざらめ状態の雪が数センチ積もっており、ホテル前でスノーシューをつけた。装着は簡単。雪の上を歩いてみる。踵が上がるため、ワカンよりも歩きやすい。ザックザックと雪を踏んで林道を歩く。

 20分ほど歩いて「ふれあいの森」入り口に着く。あられに近い粉雪が本格的に降り出した。ゲート手前の右手の木に登山届箱が設置されており、ノートに記入。直近の記入は12月2日。しかし、ゲートの向こうにはトレースが続いている。年末頃の足跡であろうか。

 戸締まりされたコテージ群の中の道をSの字を描いて登っていく。トイレも戸締まりされて使用できない。本格的な雪になったので、東屋で雨具などを着込んだ。左に山を見ながら直線の林道を数分歩くと貝月山登山口の表示が左側に現れる。ここから山道。

 遊歩道が山頂まで続いているが、今は雪に埋もれている。ツボ足のトレースがある。道幅が広く、トレースがなくても道を間違えることはない。丸木階段の上に積もった雪の上を歩くことから、空洞の上を踏むとスノーシューでもかなり沈み込む。急な登りになったため、踵にあるヒールリフターを上げる。踏み込んだときに踵が上がったままになることから、かなり歩きやすくなる。ジオンさんのヒールリフターの上げ方が分からない。店で聞いたが忘れてしまった。ブラックポットさんの詳細な観察で簡単に上がった。

 尾根に取り付き休息。雪は降ったり止んだり。頭上を灰色の雲が高速で流れる。トレースはツボ足。膝くらいまで沈んでいるところもあり、たいへん苦労して歩かれたに違いない。道は時計と反対回りに次第に南に向きを変えていく。トレースを踏んで登ると歩きにくい。「平らな斜面ではジグザグに歩くといい」とブラックポットさん。その通り歩きやすい。堀割の道は土手の雪の上に上がって歩いた。

 雪は次第に水分の少ない状態になり、快適に登れる。雪よけのためジャケットを着ているので暑い。シャクナゲ群生地を過ぎる頃に、猛烈な風が吹き始めた。周囲の木々が轟音をたてている。地面の雪が舞い上がり、ガスも出てきた。赤い芽を付けた枝にエビのシッポができ始めていた。

 周囲の潅木の背丈は低くなってきたが、ガスで景色は見えない。雪はかなり深くなってきた。離れないように後続者を確認しながらゆっくり登る。先頭が1人独走態勢。「休息するのでストップ」と叫ぶと、「山頂は直ぐそこ」の返事。その声にがんばって進む。「こんなところにアンテナあった?」に続いて「山頂」の声。前方にアンテナが見え、登り詰めると広い山頂と雪に埋まった展望台があった。

 展望台の下まで行き荷物を下ろす。少しあられが降っているが、まずは記念撮影。スノーシューを前に上げてチーズ。展望台の下で昼食にしようとシートを広げたが、風が強いため、小貝月の方向に少し下った比較的平らな場所に移動。温度計の目盛りは1度C。冬の山頂にしてはそれほど寒くはない。

 防寒着をしっかり着込んで昼食スタート。雪の山は寒いのですぐにできる温かいものということで事前に煮込みうどんを予定していた。ジオンさんのハムが出てきたので、金網を出して焼き物からスタート。ブラックポットさんが長野産のおやきを蒸してくれた。和たんさんは正月らしく雑煮。ジオンさんは煮込みうどん。我々はカレー煮込みうどんとぜんざい・・・なぜかまたしても宴会になってしまった。

 時折あられが猛烈に降ってくる。シートの上にパラパラと音を立てて広がったあられの粒がとってもきれい。温かい食事で寒さも和らいだ。こんな中で食事をすることはそうできるものではない。1年前にkuさんと登った御前山の牡丹雪の中でのランチを思い出した。

 次第に天気が回復し、雲間から青空。目の前に小貝月が見え始めた。これだけ思いっきり食べたことがないというほど食べて満腹。手早く片づけて山頂へ移動。雪は止み、すっかりガスも消えた山頂からは周囲の山がよく見えた。

 西にはブンゲンが堂々と横たわり、峰々が重なり合って美しい模様を作っている。その南には虎子山。昨年、あの山頂の雪の上からこの山の美しい姿を眺めていたことが思い出される。その南に国見岳。伊吹山は頭を雲に隠している。虎子山の横から琵琶湖が光っているのには驚いた。下界は晴れているようだ。雲から差し込む太陽光の直線が国見岳スキー場辺りを照らしながら移動していく。西や北の山は雲に覆われて見えない。山頂の木々は風の吹く方向に雪が付着して美しい霧氷ができはじめていた。

 和たんさんの提案で5人のスノーシューを円形に並べた写真を撮って山頂を後にした。帰りは日越峠を経由するルートを下る。山頂の日越峠の表示に従って西へ。トレースは新雪で消えている。見下ろせば雪屁の土台となるような大きな盛り上がりが尾根に沿って伸びている。下るルートは尾根沿いであり、先まで見通せる。

 最初は急な雪屁を下る。盛り上がった雪の上に載ると深く沈み込むような気がしたが、スノーシューはほとんど沈まず、雪煙を上げて駆け下りた。急な下りは横歩きがいい。伊吹山方面の大展望を左に、すばらしい雪の尾根を歩く。今回のハイライトの場所である。

 尾根から潅木を抜けてササの葉が残る雪原に出る。目印も少なく道が分かりにくいが、遊歩道の脇に打ち込まれた丸木の杭が頭を出し続いているので、これを目印に下っていく。気持ちのいい雪原である。前方のブンゲンがすばらしい。

 しばらくして道は日越峠に下るため、一旦右に直角に折れ右山で斜面を下っていく。正面には北から登ってくる貝月山の尾根が見える。西側の斜面に出たことから、強風が当たり地吹雪が吹き付ける。折り返して右に谷を見ながら下る。前のめりに転倒した人もあったが、快適に下り日越峠に出た。

 ここから、再び折り返し、左に深い谷を見ながら、斜面に付けられた狭い道を歩く。対岸には東屋が見える。谷は深く切れ落ち、いくつかの砂防堰堤が下流に続いている。道の谷側には所々にロープが張られており、夏道でも慎重に歩く場所である。滑落しないようにゆっくり歩いた。ザックに付けたフリースが谷に落ち、ブラックポットさんに拾ってもらうとというハプニングも。

 この道にもツボ足で下った跡がついている。斜面の道が終わり気を抜いて自分のスノーシューを踏んで転倒し、手がツボ足の穴に肩まで埋まって1人で起き上がれなかった人には大笑い。ちょっとした気の緩みが事故につながるので要注意。

 ジグザグに下って林道へ出た。再び粉雪が激しく降り出した。昼から晴れる天気予報はここでは当たらなかったようだ。5分ほど歩いて登山口前を通過。「ふれあいの森」にある地図看板で今歩いてきた道を確認。地図を見ていて転倒した人にまたまた大笑い。立っているだけでころぶのなんでだろ? 

 ホテルの駐車場まで30分で戻った。駐車場は雨。この辺りが雪と雨の境目だった。靴を履き替え、濡れたジャッケトを脱いだ。天気は今1つだったが思う存分に雪の山歩きを楽しむことができた。スノーシューの練習にもなった。みんな、「よかったね」と笑顔。雪の山はいい。大自然の厳しさと背中合わせに想像できない美しい世界に出会える。雪山の魅力に取り憑かれる人が多い訳である。

 貝月山は夏なら登山口から1時間で登れる山であるが、厳冬期には万全の体制で登られたい。雪の山に登る場合、できれば1度雪のない時期に登っておくのがよい。もしくは冬に登ったことのある経験豊富な人と同行するとよい。今回のように予報に反して天候は変わりやすく、防寒・防水対策は完璧に。
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