トレースマップはカシミール3Dで作成
*この地図の作成に当たっては、国土地理院長の承認を得て、同院発行の数値地図25000(地図画像)及び数値地図50mメッシュ(標高)を使用しています。(承認番号 平25情使、第146号) 

釜ヶ谷山<尾根周回> (696m 山県市) 2016.2.11 晴れ 2人

伊自良湖駐車場(8:55)→甘南美寺裏登山口(9:03)→135番鉄塔(9:23)→134番鉄塔(9:44)→みぞれ谷分岐点(9:55)→133番鉄塔(10:13)→13番鉄塔(10:26-10:31)→奥の院コース合流(11:39)→釜ヶ谷山山頂(11:48-13:01)→北から東へ方向転換するピーク(13:32)→人形杉(14:16)→避難小屋(14:20)→釜ヶ谷・橋・龍神コース合流点(14:46)→車道(14:55)→伊自良湖駐車場(15:25)

★2月11日に山県市の釜ヶ谷山に登ってきました。
★今回は、まだ歩いていない南尾根と北尾根(やまびこコース)の周回に挑戦。
★甘南美寺の裏から山道に入り、鉄塔巡視路を登りました。
★鉄塔からの展望を楽しみながら稜線を行くと、登山道は一面雪に。
★473mピークでルートファインディングしながら向きを北に変えてピークを越え、雪の急斜面を登り切って釜ヶ谷山山頂へ。
★山頂の陽だまりで温かい昼食を楽しんで、下山は北尾根のやまびこコースへ。
★気持ちのいい雪の尾根をアップダウンしながら、時計回りに歩きました。
★樹間から舟伏山を見ながら人形杉と避難小屋を通過して、ジグザグの遊歩道を谷まで下りました。
★釜ヶ谷山で最も長いコースを、雪を踏んで完歩し、充実した山歩きとなりました。


 暖冬の中、久しぶりに雪が降った。平野部での積雪はないが、山は雪があるに違いない。雪の上を歩いてみたくなって、近場の釜ヶ谷山へ行くことにした。釜ヶ谷山はいくつかのコースがあり、以前に奥の院コースと龍神コースを歩いているが、南尾根や北尾根はまだ歩いたことがない。南尾根は鉄塔巡視路が主体でコース名はないが、北尾根は「やまびこコース」として、避難小屋や遊歩道が整備されている。今回は、南尾根から山頂を踏んで、雪の状況を見ながら、できれば北尾根も歩こうというロングコースの計画を立てた。

 山県市役所前を西に向かい、伊自良に入ると釜ヶ谷山が美しい姿を見せる。田園に全く雪はないが、山の中腹以上は雪があるようだ。伊自良湖の駐車場に車を停める。現在、伊自良湖は耐震工事が行われており、水が抜いてあった。このため釣り人の車もなく、駐車場はひっそりとしている。建物の陰にわずかに雪が残る程度で、思ったよりも雪がない。この状況だと山頂の積雪はたいしたことはなさそうだが、念のためにワカンをザックに付けて出発。

 登山口となる甘南美寺に向かう。正面にはこれから登るピークとそこに立つ135・134番鉄塔が青空を背景に白く輝いている。甘南美寺は学生時代にサークル活動で利用した懐かしい寺院であり、当時のことを思い出しながら立派な本堂で手を合わせた。渡り廊下の下を潜って裏に出ると、赤い鳥居がある。この鳥居の後ろの山道が登山口となる。
 
 左山からすぐにジグザグと登り、人工林を抜けて15分ほどで薄らと雪の積もった尾根に出た。すぐ右にある135番鉄塔まで行くと見晴らしがよく、南東の方向には水のない伊自良湖が、北西には釜ヶ谷山が望める。引き返すようにして、次の134番鉄塔に向かう。

 灌木の茂る尾根に付けられた道を折り返しながら登る。北斜面の日当たりの悪いところには雪が残っている。135番鉄塔から20分ほどで134番鉄塔に到着。ここも素晴らしい展望地で、これから山頂まで歩く稜線がぐるりと見渡せる。次の133番鉄塔が南西の方向に見えるが、ここから鉄塔までの標高差は少なそうだ。
 
 鉄塔巡視路の標示に従って下るとすぐに右に分岐がある。案内板の支柱と思われる角柱が倒れて雪に埋もれていたが、右はどこへ行く分岐か分からない。左に行き、明るい尾根を歩くと、左側の展望がいい。人工林を下り、鞍部のところで三叉路が現れた。右へは「ミゾレ林道へ下る」と書いてあり、みぞれ谷に向かう道である。左は白い標示板の片隅にマジックで「釜ヶ谷山(遠回り)」と書いてあり、正規のルートではないことが分かるが、歩けそうだ。
 
 人工林を右に、雪に覆われた斜面を登る。積雪は3cmほど。登り切ると広い尾根となり、落葉樹を主体とする林の中を歩く。地面は一面雪で真っ白。美しい雑木林を歩く。雪に足跡が残っており、人間の小さい足跡に見える。先行者があるとは思えず、足跡をよく観察すると、イノシシのようだ。

 イノシシの足跡を追って緩やかに登っていくと、明るい尾根に出た。積雪は10cm程度と深くなった。前方の473mピークに立つ鉄塔やその先の628mピーク、そして釜ヶ谷山、さらに「やまびこコース」の稜線が見える。133番鉄塔は目の前だ。
 
 133番鉄塔からの展望も素晴らしい。右に釜ヶ谷山、左にはこの先の473mピークから南に延びる尾根に新しく建設された林道が見える。鉄塔を後に、少し下って10分ほど登ると伐採地に出た。右には鉄塔がある。473mピーク手前の鉄塔で、鉄塔番号は分からなかったがネット情報では13番であり、先ほど経由してきた3つの鉄塔とはラインが違っている。

 1時間半歩き続けたので、ここでパンを食べて一息つく。さて、ここからの道が雪で分からない。473mピークから北側の尾根に取り付けばいいので、473mピークの北側を巻くようにして歩けば、南の尾根に迷い込むことはなさそうだ。鉄塔から伐採地の灌木の隙間を歩いて樹林帯の中に突っ込むと、比較的疎林でどのようにも歩ける。3つほど赤いテープを見つけたが雪で道は分からない。
 
 ピークの北側を巻くように歩いて、難なく北尾根に出た。次に立ち構えるのは528mピークである。人工林となり、次第に急になる斜面を一歩一歩登っていく。積雪は10cmほどと中途半端で、雪の下にある枯れ枝を踏むと足を取られる。
 
 10分ほど登ってなだらかになり、ピークを過ぎた辺りで右に向きを変えて北に下る。人工林であり、どのようにでも下っていける。下り切った辺りで、「川内方面→」の標示を通過。いよいよ釜ヶ谷山山頂に向かっての登りが始まる。この鞍部がちょうど標高500mなので、山頂までの標高差は200m。気合いを入れて登りにかかる。
 
 雪が積もっていても道は明瞭で、天然林の中を登っていく。頭上の木に雪が残っており、陽に照らされて林のあちこちで雪の落下する音が響く。時折、雪の直撃を受けた。15分ほど登ると道はなだらかになるが、それもつかの間、再び急斜面となる。雪はかなり緩んで、雪の下の落ち葉と一緒にズルリと滑る。灌木につかまったりジグザグ歩いたりしながら登っていく。
 
 なだらかになると、足跡のある尾根に出て、奥の院コースに合流。この合流地点に標示はなく、木にテープが巻いてあるのみ。逆コースだとこの分岐は分かりにくいと思われる。ここからは、何人かのトレースをたどる。山頂まで200mの標示を通過し、階段を登り切って誰もいない山頂に到着。久しぶりの山頂である。
 
 山頂奥には小さな避難小屋があり、南東が切り開かれて金華山や百々ヶ峰などが見えるが、以前よりも木が大きくなり、見通しは悪くなっていた。御嶽山は木々の間からかろうじて見える程度。山頂には、「山県市名山めぐり」の看板があり、「山県さくら」のアニメが描かれている。薄い文字で舟伏山、相戸岳と書いてあり、この3山が山県市の名山のようだ。
 
 山頂には松の木が何本かあり、木の上の雪が溶けて水滴が降り注ぐ。頭上に木が無い場所を選んで昼食にする。風もなく、日向は暖かい。メニューは卵雑炊と缶詰。昨年、購入したSOTOのガスバーナーを使用してみた。マイクロレギュレーター付きのストーブで、低温でも火力が落ちない。雪の上で湯を沸かしたが、すぐに沸き、ガソリンストーブ並の威力を持つ優れものであることを実証。
 
 昼食をとっていると、男女2人連れの2パーティが次々と登ってみえた。昼食の後、パッキングをしていると、後から登ってみえた1組の方に、どちらから登ってきたのかを聞かれた。南尾根を登ってきたことを話す。地元の方でよくこの山を知ってみえるようだ。これから「やまびこコース」を下山するとのことで、我々も後を追うことにした。
 
 山頂から、人工林と天然林の境の尾根を下る。積雪は10cmほどであり、急傾斜は滑らないように慎重に下った。下り終えて鞍部から登り返してピークを越える。人工林の尾根となり、なだらかなアップダウンが続く。
 
 696mピークから標高差50mほど下って登り返すと、登山道の標示があり、右に直角に向きを変える。ここから東西の尾根に乗り換えて、下りとなる。急斜面は先行者のトレースで圧雪状態になっており滑りやすいので、トレースを外して新雪を踏みながら下った。
 
 急傾斜を下り切ると広い尾根に出る。雪の中に一体の石仏があり、近くには「←釜ヶ谷山頂まで1800m」「坊主ヶ池→」の標示。雪はやや深くなった。左側が天然林となり、木々の間から舟伏山が見える。ゆるやかな下りの気持ちのいい尾根歩きが続く。一部急斜面もあり、灌木につかまりながら下った。
 
 612mピークへの登りとなり、ピークを越えると急な下りが待ち構える。この辺りは雪が消えかけて、湿った落ち葉でよく滑る。この先で緩やかなピークを越え、「イネギの人形杉」を通過。すぐ先の避難小屋を通過したところから、右に向きを変えて下る。

 遊歩道のジグザグ道となり、西向きになるところでは、前方に釜ヶ谷山山頂が望めた。かなり遠くに見える。丸太の柵がある遊歩道は傾斜を無くすために折り返しを繰り返す。このため、歩く割には標高が下がらない。丸木で階段状になっているところもあり、雪の下の丸木を踏んで滑りかけることもしばしば。
 
 釜ヶ谷に近づいた頃、先行の2人に追いついた。遊歩道を塞ぐように倒れた枯れ木の枝をノコギリで切って見えた。聞けば、この遊歩道を整備している方だった。コースの巡回をしてみえたようで、頭が下がる。倒木の下を通らせてもらって、さらに下るとすぐに釜ヶ谷にかかる橋に到着。前方から合流した道は龍神コースである。
 
 橋を渡る。陽の全く当たらない谷で、冷気に包まれて寒い。路面の雪は凍っており、転倒者あり。橋を3回渡り車道に出た。この車道歩きが結構長い。陰に雪が残る道をひたすら歩く。キャンプ場を通過して車止めを抜け、車道を30分歩いて駐車場に戻った。
 
 釜ヶ谷山を中心に南尾根・北尾根を周回するコースは、釜ヶ谷山の最長のコースである。南の尾根はバリエーションルートで案内板が十分に整備されているとはいえないが、鉄塔巡視路もあり、踏み跡はしっかりしている。473mピーク付近は、雪で踏み跡の状況がよく分からなかったが、尾根を間違えなければ問題は無い。
 
 北の尾根コースは「やまびこコース」として整備されており、途中に避難小屋もある。今回、積雪が比較的少なかったが、もう少し雪があるとさらに面白い山歩きができそうだ。ロングコースであり、時間に余裕を持って登られたい。
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