笠置山 (1128m 恵那市) 2002.11.17 晴れ 2人
姫栗別荘地終点林道200m進入駐車地点(7:20)→登山者記帳小屋(9:44)→ヒトツバタゴ大木(9:57)→未舗装林道交差(10:29)→笠置山山頂(10:52-12:53)→登山者記帳所小屋(13:40-13:50)→駐車地点(14:05)
先日、二ツ森山に登り、南に大きな笠置山を眺めたとき、次はこの山にしようと決めた。
笠置山は恵那市から見ると笠を伏せたような美しい形をした単独峰であり、この山容は岐阜県の山でベスト3に入ること間違いない。
今から20年以上前、木曽川縁から単独で登ったことがあるが、その記憶は薄れ、山頂に大きな社と大岩があったことくらいしか覚えていない。
恵那ICを出て左折し真っ直ぐ走ると、正面に笠置山の雄大な山容が見える。木曽川に架かる笠置橋を渡り道なりに左折。すぐに山側へ登る斜めの道に入る。この道の入り口に笠置山登山道の小さな案内板がある。宮田前のバス停から北に細い道があり、ここにも登山道の案内板があるのでそれに従って右折し、細い急傾斜の道を登る。以降、案内板がいくつか設置されており間違うことはない。
やがて2車線の立派な道(笠置農道)を横切る。案内は農道を突っ切って狭い道を指している。この交差点の南東角には「姫栗コミュニティー消防センター」があり、ゲートボール場になっている。ここに簡易トイレがあり、登山口に最も近いトイレである。ゲートボール場南端まで歩くと、北側に紅葉と緑がモザイクになったすばらしい笠置山を見ることができる。後で分かったが、この先の駐車場は少ないため、車の数が多い場合はこの駐車場に止めておくのが無難である。
コミュニティーセンターから別荘団地の中を抜ける。建設中の別荘もある。別荘地を抜けると、人工林の中に入り、道は未舗装となる。事前情報では、登山口に小屋があり、駐車場もあるとのことなので、この道を走れば駐車場に着くと思った。これが大きな間違い。大きな石が散在した道を、なるべく平らな場所を選んでゆっくり走るが、とても車が通ったような形跡はない。50mほど入った左に3台ほど止められる空き地があり、1台が駐車している。ここをやり過ごしさらに奥へ。助手席からは、「まだ行ける」と声がかかるが、運転するほうは必死でハンドルにしがみついている。
200mほど進んだところで前進を断念。ちょうど右へ林道が分岐していたので、その林道に車を突っ込んだ。忠実に案内板に従ったが、駐車場のある小屋には着けない。道を誤ったのだろうか。この疑問は、下山時に解けることになる。
落ち葉の積もった林道を歩き始める。路面は雨水でえぐられ、沢状態。4WD車でも進入は不可能だろう。周囲には広葉樹が多く、いろいろな落ち葉が歩く者を楽しませてくれる。左からは谷川の音が聞こえてくる。アカマツが多く、マッタケが出るためか、タフロープで林の中に入れないようにしてある。
20分ほど歩いて、前方にブロック壁が見え、道は壁に突き当たる。壁の上は舗装された立派な道(笠置林道)があり、駐車場と小屋があった。悪路を進入しても林道には上がれず、小屋の駐車場には着けないことが分かった。小屋には「登山者用休憩記録小屋」と書かれている。山頂への道は小屋の反対側にあり、入り口には大きな案内マップがある。この笠置林道から姫栗林道に入れば大きなS字を描いて山頂直下まで登れるようだ。登山道はこのS字を真っ直ぐに突っ切る。このため、途中でもう一度姫栗林道を横切ることになる。
登山道は、最近整備されたようで、プラスチックの擬木とチップを固めたもので階段が作られ、驚くことにほとんど途切れることなく階段が山頂まで続いている。ヒノキ林の中を登ることになるが、広葉樹の灌木もところどころに見られ紅葉が美しい。
15分ほどでヒトツバタゴの大木に着く。別名ナンジャモンジャとも言い、この辺りでは東濃地方にしか分布しない広葉樹で、6月には真っ白な花が木を覆い見事である。2・3分登ると小さな谷川を渡る。あんこ(サンショウウオ)やサワガニが生息しているらしい。ここに立派な橋が架かっているのには驚いた。すばらしい人工林が続き、大きな岩が林の中に点在している。
やがて姫栗林道と合流。林道は未舗装となっていた。林道を横切り、急勾配の階段が続く。この辺りの木はまだ小さい。やがて右手に大岩が現れ、その上から下界を望める場所がある。初めての展望地である。眼下には大井ダムや恵那市中心部、その向こうにはやや霞んではいるが丸く大きな恵那山が望める。
やや左にトラバースしながら美林を登る。この辺りにも大きな岩が点在しており、不思議な空間を作りだしている。木の根がむき出しになった崖のような道を上がり、最終水場へ。伏流水が樋で導かれ、湯飲みが置いてある。水は帰りに汲むことにする。ササが現れ明るくなると大きな道に出る。すぐ右に鳥居とその奥に大きな笠置神社奥社がある。
なんと広い山頂であろうか。テニスができるほどの広さは十分にある。三角点は鳥居をくぐった右にある。かなりくたびれた山名表示板があり、落雷の注意書きがある。雷の多い地域であることが分かる。奥社両脇には岩巡りや展望台、ヒカリゴケなどの案内がある。
昼食まで時間もあるのでまずはヒカリゴケを見るため奥社の南側から裏に回り込む。奥社の裏には遙か下の落ち葉の中から巨大な岩がそそり立ち、山水画を思わせる世界が広がる。下る手前の岩に杯状穴のペトログラフ(古代人が信仰などのため岩に刻んだ跡)がある。数個のくぼみがあり落ち葉が溜まっていた。この岩の状態からして、過去に巨石文明が存在しても不思議ではない。岩に宿る山の神を崇拝する古代人を思い浮かべながら大きな岩の間を下った。下の方には他の登山者も見える。
大岩の下部には丸木の梯子に囲まれたヒカリゴケがあった。白っぽく、岩に張り付いている。さて岩巡りとあったが、ここからどのように行くのか。集まった数人の方と道を探した。ヒカリゴケの上の梯子を登り岩をくぐるなどしてみたが道がよく分からない。ましてや、ザックを担いで下りてきたので岩くぐりもできない。ヒカリゴケの下にある朽ちた梯子を下り、ホウの葉で雪のように白くなった岩の多い窪地を抜けると、前方の尾根の上に大きな木製の展望台が見えた。展望台への道はなく、腰あたりまでのササをこいで展望台へたどり着いた。
展望台に上がってみる。南端の恵那山から真っ白な中央アルプス、その北の目の前には、二ツ森山が大きく広がっている。見える山の名前が書かれたプレートもある。霞で御嶽山は見えなかったが180度の大展望に満足。山頂へは遊歩道が設けられているが、尾根伝いに岩を乗り越えて奥社裏に出た。奥社裏の大岩の上からは、木々が葉を落とす時期であれば、枝ごしに東の山々が望める。
奥社裏北のちょうどテーブル状になった岩の上でロールマットを引いて昼食にする。カレーうどんと今年の夏山から常に持ち歩いた期限切れ前の非常食の在庫処分。風もなく、木漏れ日の中で、散る落ち葉に晩秋を感じながら、おいしいコーヒーを楽しんでいると、団体さんがやって来て、展望台を尋ねられた。誰にでも登れる山であり、訪れる人は多いようだ。
帰路、同じ道を下った。途中の林道下で、後方からの単独男性と出会った。聞くと、山頂から林道(姫栗林道)を歩いて来たそうだ。距離はあるが、大岩展望などが楽しめるらしい。
登山記帳小屋に寄ってみた。記帳の中には、この山の登山道の整備を批判した意見もあるが、植林した人工林を歩く道であり、こうした整備がないと雨などで林地が荒れるであろうし、また、山頂には笠置神社があることから、誰もが安全に登れるコースが必要であり、山歩きファンにはちょっと淋しいがやむを得ない整備ではないだろうか。小屋には笠置町のパンフレットが置いてあり、このパンフレットを見て、この小屋への道が分かった。駐車地点まで戻り、小屋への道を辿ることとした。
宮田前のバス停を案内に従い右折したが、ここは真っ直ぐ進み、笠置公民館のある笠置農道(前述のコミュニティーセンターの前の農道)に出る。ここの登山口案内は右矢印になっているが、それに従うとコミュニティーセンターに行ってしまう。この交差点には大きな地図があり、これで確認するのがいい。こから左へ曲がり150mほど西へ行ったところから右折して寺洞林道へ入り2.3km進むと笠置林道に鋭角に交差するので、折り返すように右折して1.2km東進すれば記帳小屋がある。さらに600m東へ行くと弘法大使があり、展望もいい。この先、すぐに笠置林道を左折して未舗装の姫栗林道に入り、蛇の頭の形をした蛇岩の下を通り、一望千金展望台まで行ってみた。この展望台からは恵那市街や恵那山のすばらしい景色を眺めることができる。霊水を汲むこともでき、ぜひ、訪れていただきたい場所である。未舗装ではあるが、乗用車でも問題は無い。さらに進めば山頂直下に行くことができるが、今回は展望台までとした。
できれば、別荘団地上部から歩くのがいい。この林道歩きは階段歩き前の準備運動に最適である。別荘団地上部から未舗装になったところを少し入り左側に3台ほど止められる空き地があるのでここに駐車するのがベスト。満車ならコミュニティー消防センターに止めよう。25分ほど歩けば別荘団地を抜けることができる。小屋から山頂までの階段歩きは、さすがに足にこたえた。ふくらはぎの筋肉痛が2・3日続いたのは私達だけであろうか。
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