トレースマップはカシミール3Dで作成
*この地図の作成に当たっては、国土地理院長の承認を得て、同院発行の数値地図50000(地図画像)及び数値地図50mメッシュ(標高)を使用しています。(承認番号 平22業使、第490号)
風越山 (1535m 長野県) 2011.9.18 2人
風越山麓公園(8:36)→灯篭(9:02)→虚空蔵山分岐点・秋葉様(9:31)→虚空蔵山山頂(9:51-10:03)→虚空蔵山迂回路分岐点(10:08)→展望地(10:44)→白山神社(11:08)→風越山山頂(11:27-12:48)→展望地(13:04)→虚空蔵山迂回路分岐点(13:26)→虚空蔵山分岐点・秋葉様(13:48)→灯篭(14:08)→風越山麓公園(14:29)
★9月18日に長野県飯田市の風越山に登ってきました。
★風越山麓公園をスタート。石仏や歴史遺産を見ながら、広い登山道をゆっくりと登りました。
★この山の名物であるマルバマンサクの回廊で、ツクバネの実やホツツジの白い花などを見ながら、虚空蔵山へ到着。
★南側が開け、雲を抱く南アルプスの連山の大パノラマに感動。
★涼しい風が吹き抜ける痩せ尾根から斜面をジグザグに歩き、展望地を通過。
★自然岩を削った階段を登り、白山神社に参拝して、ロープ場を通過。ササの道を歩いてブナやミズナラの高木が立つ風越山山頂へ。
★広い山頂の木漏れ日の下で昼食を楽しみました。
★以前から登りたかった風越山は、想像以上にいい山でした。
恵那山トンネルを抜けて長野県に入ると飯田の町が目の前に広がる。町の北側には美しい三角形の山が現れる。飯田の風越山である。中央自動車道を走るたびに、この山に登りたいといつも思う。毎年、ベニマンサクの紅葉の時期に登ろうと思っていたが、それを待っていると登りそびれることから、今回は思い立ったこの時期に登ることにした。
中央自動車道飯田ICを出て、ナビを「かさこし子どもの森公園」にセットして、三州街道から住宅街を抜けて中央道の高架を潜ると公園に到着。公園の駐車場はクサリで止められており、入場を待つ車が3台ほど停まっていた。8時30分が開場であり、まだ15分ほど時間があるので、さらに車を進めると、登山口の標示があった。左折して登山口へ車を進めると、ゴルフ練習場を左に見ながら、狭い道の急坂となる。Uターンも難しそうなので、引き返す。
坂を下って公園に戻ろうとすると、坂の上から登山者が下りてくるのが見えた。駐車場が上にもあると思われたので、公園と反対方向に坂を上がると、風越山麓公園があった。入口付近に駐車場があり、車を誘導する男性に、風越山に登るので駐車してもよいか尋ねると、何かイベントがあるようでそのための駐車場になっているが、駐車してもいいと了解を得た。風越山の整備に携わっている方で、登山口などの情報を教えてもらった。男性にお礼を言って、車道の坂を下る。なお、風越山麓公園にはトイレもある。
ゴルフ練習場まで下って右折し、先ほど車で上りかけた細い道を歩く。ツリフネソウやキンミズヒキの花を見ながら、前方を歩く単独女性を追う。林に入る辺りに小さな空き地があり、軽自動車が2台停まっていた。
「むじな坂」の標示や石碑を見ながら、アカマツの交じる林を歩くと2つの石灯篭が現れ、風越山(権現山)の案内版がある。ベニマンサクや白山社奥社本殿などこの山の特徴が書かれており、「ふき乱る かざこしやまの桜花 ふもとの雲に 色やまかはむ」と後鳥羽院の歌で結ばれている。灯篭を後に、石仏の佇む道を登っていく。「蚕種石」などいろいろな遺跡の案内板が立っている。前方の女性が休息していたので、挨拶して追い抜くが、すぐに追い抜かれる。軽快なペースで歩く女性に驚いた。右側が開けた場所があり、ここから飯田市街と南アルプスが望める。ちょうどアルプスの山並みに沿って雲が連なっており、全体が見えないのが残念である。
秋葉様の小さなお社に突き当たり、道が左右に分かれている。ここで再び女性に追いついた。彼女から右に行くと虚空蔵山山頂を経由すると教えてもらう。地元の方で、頻繁にこの山に登られているようだ。ほぼ1時間歩いたのでそろそろ休息しようと思っていたが、虚空蔵山山頂まで15分ほどと聞き、休まずに女性の後を追う。女性はあっという間に見えなくなった。
ツクバネの実を見つけた。先ほどから、道の脇にツクバネの灌木をいくつか見かけたが、実を見つけることができなかった。ツクバネは雌雄異株であり、実の付く木と実の付かない木がある。それにしてもこれだけツクバネが多く自生している山は初めて。ベニマンサクの自生地で有名だが、ツクバネもそれに負けないくらい自生している。
雨で浸食されて窪んだ道を歩く。この山は花崗岩質であり、浸食されやすい。秋葉様から15分ほど登ると明るい草付きの道に出た。右に向きを変えて、ワラビの葉の中の階段を登る。階段の上に建物が見えた。虚空蔵山山頂である。広い山頂には大きな屋根だけの建物があり、その下にはベンチが置いてある。
南側180度のすばらしいパノラマが広がる。飯田市街が眼下に白く輝き、その向こうには南アルプスの屏風が連なる。雲が多く一部の山しか確認できなかったのが残念。方位盤を見ながら山の同定を試みる。山頂には先行の女性と単独男性が休息中。我々も最初の休憩をここでとる。草の茂る山頂には石仏や朽ちた小屋、山頂表示板などがある。カラマツの根元でフクオウソウの花が咲き始めている。
10分ほど休憩して、女性を追って虚空蔵山山頂を後にする。山頂から大きく下るかと思ったが、緩やかな下りである。足元にギンリョウソウを見つけた。前回の下呂御前山でもギンリョウソウに出会ったが、9月中旬にギンリョウソウを見たのは最も遅い。水平な尾根道を5分ほど歩くと三叉路に出た。左から上がってくる道は虚空蔵山山頂を迂回する道であり、円悟沢に至る道でもある。三叉路にはベンチや案内板があり、案内板にはベニマンサク(マルバノキ)の解説がある。確かにベニマンサクが多い。紅葉の時期には登山道が赤く染まるに違いない。
針葉樹林の比較的なだらかな道を歩く。「比丘尼」や「金草原」を通過し、わずかな切り開きから西側の山々を望む。だいぶ登ってきた。虚空蔵山から30分以上歩いている。大きな矢が立てられているような人工物に突き当たって右へ。大きな鈴を付けた男女とすれ違う。再び折り返して明るい場所を通過。「今庫の泉・円悟沢」の道を左に見て折り返すと先行の女性と男性が休息してみえた。右側が開け、展望地となっている。ここからも南アルプスが目の前に見える。雲がだいぶ消え、南アルプスの主峰が頭を出す。パノラマの写真を撮った。虚空蔵山からかなり標高を稼いだ。女性から、ここから15分で白山社に至り、その先がスリルもあって面白いと聞いた。
ここでも先に歩き始めた女性の後を追って、休息もそこそこに歩き始める。10分ほど歩くと木製の鳥居が現れた。白山社奥宮の入り口だ。大きな駐馬巌碑の石碑を左に、左山で歩き、尾根を跨いで石の階段を登る。この階段は天然の大岩を削って階段が作られており、このような階段を見るのは初めてである。前方から短パンの男性がでランニングで下ってきた。下山時にもランナ−に出会った。この風越山ではマラソン大会が行われており、その練習をしている人たちのようだ。道が広く走りやすいが、この標高差を走ることは相当の体力が必要と思われる。
大岩に突き当たり石段を登っていくと、赤い大きな門をくぐる。さらに階段を登ると本殿の前に出た。先行の女性が本殿の前で休息しており、いつもここまで登ってくるそうだ。73歳という年齢を聞いて驚いた。軽量のザックとはいえ、登りのピッチを見ていると、とても70歳を超えているとは思えない。頻繁に登られているので慣れてみえるようだ。今日は山頂まで登るというので、我々も後をついていく。
本殿の横を通ってササの道を歩き、木の根につかまって吊尾根に下り、登り返す。そして木の根が網の目のように張り巡らされた崖に突き当たった。ロープが一本垂れ下がっている。女性はあっという間に登り切って姿が見えなくなった。三点支持で足場を選びながら慎重に登り切った。
ササに覆われた天然林に入る。この山で一番雰囲気のいい場所である。樹高の高いカラマツの林にブナが目立つようになる。木漏れ日の中、水平な道を反時計回りに歩くと、風越山山頂に到着。高木の林の中であり、展望はない。山頂は広く、三角点の横に山名標示があった。
意外に大勢の登山者が昼食中だった。先行の女性の横で昼食にする。女性はすぐに下るというので、お礼を言って見送った。山頂の登山者も昼食が終わると下山し、山頂には我々2人だけとなった。昼食のメニューは今回もおでんとドライカレー。山頂にやってくる登山者は後を絶たないが、すぐに下山していく。展望がないため、昼食は別の場所でとるのであろうか。時折吹き抜ける涼しい風の中、熱いコーヒーを飲んだ。展望はないが気持ちのいい山頂だ。昼食の後、誰もいない山頂をぐるりと歩いた。南のササの中に道が続いていた。高鳥屋山を経由して下る道のようだ。
1時間以上山頂に滞在して、下山開始。登ってきた道を下る。ロープ場を慎重に下り、白山社奥宮へ。神社の東側は草の茂る広場となっており、キツリフネやヤマトリカブトなどが見られた。切り開きからは駒ケ岳方面の山が望める。さらに下って虚空蔵山山頂への分岐点で、下山は迂回路を選び、右折。
すぐに「太田」の標示と石柱がある。石柱の根元に「今庫泉20分」と書かれた板が置いてある。ここに折り返すように道が左へ分岐して下っていた。この道に入るのが正しいが、直進してしまった。少し下って、どうも方向が違うようなのでGPSを見ると西へ向かっているので、引き返して石柱からの分岐を下った。
左山で緩やかに下っていく。右側の谷には人工林が整然と並ぶ。分岐点から5分ほど下ると延命水があり、山側の石積みのパイプから水が流れ出ている。ザックに付けたシェラカップを外して水を飲む。冷たい水がおいしい。谷側にロープが張られた道を歩く。ミズヒキの赤い花穂が美しい。「船窪」の標示を通過し、すぐに虚空蔵山山頂への分岐点に。ここからは登ってきた道を下り、登山口へ。車道を歩いて風越山麓公園に戻った。
風越山は飯田市民の山である。道は広く、地元の登山者も多い。白山社から山頂までの間のロープ場が難所であるが、慎重に登れば問題はない。虚空蔵山や展望地では南アルプスの大パノラマが望める。また、山頂は展望がないものの、ブナなどの高木に囲まれた落ち着く場所である。山の名前のとおり、さわやかな風が気持ちのいい山歩きが楽しめた。
帰路、飯田IC近くの農産物直売所でリンゴやナシ、ブドウを調達して、風越山を後にした。
★風越山からの展望
★風越山の植物
山のリストへ