トレースマップはカシミール3Dで作成
*この地図の作成に当たっては、国土地理院長の承認を得て、同院発行の数値地図50000(地図画像)及び数値地図50mメッシュ(標高)を使用しています。(承認番号 平17総使、第654号)
金華山 (329m 岐阜市) 2007.9.2 曇り 2人

岩戸公園駐車場・東坂登山道入口(10:20)→達目洞分岐点(10:29)→遊歩道合流(10:49)→岐阜城下展望台(10:53-10:58)→鼻高コース分岐点(11:04)→瞑想の小径ビューポイント(11:05)→ビューポイント(11:17)→伊奈波神社旧跡・烏帽子岩(11:38)→トンネル方向分岐(11:45)→岐阜公園三重の塔(11:47)→歴史博物館前・噴水(11:52-12:00)→百曲登山道入口(12:02)→岐阜城まで900m地点(12:14)→ロープウェイ駅(12:32)→展望台(12:35-12:43)→岐阜地方気象台金華山分室・三角点(12:48)→七曲登山道入口(12:53)→唐釜コース分岐点(13:03)→岩戸公園分岐点・ドライブコース横断(13:04)→ドライブコース合流(13:15)→岩戸公園駐車場(13:19)

 織田信長が居城した岐阜城とともに、金華山は岐阜市の主要な観光名所として広く知られている。金華山は岐阜市内各所から望むことができ、岐阜市民のシンボル的な山でもある。見る方向によって丸い頭の単独峰や尖った円錐形、水道山へとなだらかな尾根を描く三角形など、まるで違う山であるかのように形を変える。また、ツブラジイの花で金色に染まる春、白い雲のベールをまとう雨上がり、美しいシルエットを見せる秋の夕暮れ、青空を背景に真っ白に輝く雪の朝・・・四季を通じて市民の目を楽しませてくれる金華山はふるさとの山。

 金華山は軽登山の山としても人気があり、多くのハイカーが自らの足で山頂を訪れる。我々も休日のわずかな空き時間があれば、年に何度か金華山に足を運んでいる。また、山を歩きはじめた記念すべき最初の山が金華山でもある。あれから、もう10年がたった。また、このHPを公開してこの9月で6年になる。そして、今回が200番目のレポート。このキリ番のレポートは、我々のホームグランドである金華山に決めた。
 
 考えてみれば、金華山のレポートはHPを立ち上げた当時に掲載した馬の背コースと洞山から西山まで縦走、水道山から金華山の縦走のレポートがあるだけで金華山への一般的なコースの記録がない。であれば、200回記念はまだ掲載していない金華山の主要4コースを一挙にレポしよう。
 
 地域の防災訓練を済ませて、午後の用事までの3時間ほどの空き時間で登山計画を立てた。今回の計画は、自宅に最も近いコースの東坂登山道を登って岐阜城にタッチし、瞑想の小径を岐阜公園まで下り、百曲登山道で登り返して三角点を踏み、七曲登山道を下って途中から岩戸公園に戻るという「8の字」コース。1日に2回山頂を踏むケースは今回が初めてである。
 
 朝、降水確率30%の予報だったが、雨が降っている。しだいに空が明るくなり、小雨になったので、防災訓練終了後に岩戸公園の駐車場を目指す。小雨でも、登山者の車で駐車場の8割が埋まっている。駐車場には簡易トイレが設置してある。靴を履き替えて、小雨の中、傘をさして出発。岩戸の滝を右に見ながら金華山ドライブコースの車道を北に100mほど歩くと、右に東坂コースの登山口があり、標識も立っている。小さな橋を渡って、ツブラジイの樹海に踏み込む。
 
 雨が止んだので傘はストックに。ここから達目洞への分岐点がある尾根までのツブラジイの巨木の森は癒しの世界。ツブラジイは頭上の高い位置で枝を広げて空を埋め尽くし、暗く涼しい空間を作っている。谷沿いの道から斜面に取り付き、南へ湿った登山道をゆっくり登っていく。パラパラと雨が降り出した・・・と思ったら上空を吹く風で木から落ちてきた水滴であった。
 
 少し前までは、この林にいくつかの登山道が交差していたが、今では枝道にロープが張られ、道は1つに限定されている。こうした整備により、雨水による土壌浸食はかなり食い止められると思われた。途中に「かえる岩」の表示。カエルに似た岩があった。ジグザグ登って、左にトラバースしていくと達目洞への分岐点に着く。ここから北に向きを変え、東坂の尾根歩きが始まる。
 
 ほぼ一直線の尾根の広い道を、下山者と挨拶を交わしながら登っていく。尾根を数分登ると、唐釜ハイキングコースの分岐点を通過。西へ続く唐釜ハイキングコースは、山腹をほぼ水平にトラバースして七曲登山道に合流する。
 
 尾根の道は水平になり、その先で尾根コースと巻道の分岐にさしかかる。尾根コースはチャート岩盤がむき出しになっており、切り立った崖もあることから危険の表示がある。いつものように尾根道に取り付き、次々と現れる岩をよじ登る。雨上がりで、山頂付近はガスに覆われている。右手は深い谷であり、谷を挟んで垂直の岩壁が山頂直下まで立ち上がっている。右手の展望がすばらしく、眼下には山に囲まれた達目洞が見下ろせ、鵜飼大橋へ続く道路の向こうには船伏山や尾崎三峰山、権現山、金比羅山などが箱庭のように望めた。曇り空で遠くの展望はないが、わずかの雲をまとった山々が背の高さを競う様はすばらしい。
 
 岩尾根上部から山頂を見上げると、消え始めたガスの合間から岐阜城が姿を現す。岩尾根を登り切って、尾根を左に外し再び暗い常緑樹の林に入り、ジグザグと登っていく。雲の中に入ったらしく、幻想的なガスの中を登っていく。何度か折り返して、コンクリート舗装の遊歩道に出た。ロープウェーの観光客に混じって手すりに掴まりながら階段を登り、岐阜城のビューポイントを通って、馬の背登山道入口を左に見ながら、岐阜城の下を通過して、ベンチのある展望地へ。

 南側が開けているが今日は雲の中で真っ白。雨上がりではあるがいつものように登山者と観光客で賑わっている。観光地であり、山頂にはトイレや水道、自動販売機などがある。一段下には資料館があり、ここから北側の高賀山などが望める。冷たいジュースを飲んで一息ついたら、次は瞑想の小径を下る。岐阜城の東にある御嶽神社の北側から急な石の階段を下りる。階段を下りきったら、なだらかに稜線を下っていくと、右に鼻高コースの分岐点が現れる。本格的な登山の格好で登ってきた2名の女性に、鼻高コースのことを聞かれた。

 この分岐点は直進して瞑想の小径を下る。防火用水のタンクがあり、岩場にはヒトツバがたくさん自生している。岩場で危険の表示を見ながら下りていくと、前方が開けてビューポイントの看板が現れる。北側が一望でき、眼下に長良川、正面の百々ヶ峰が大きい。百々ヶ峰山頂付近に白い雲が残っていた。ここでも遠方は見えないが、市内の低山がきれいに望めた。

 瞑想の小径は急な岩場もあるが、道はよく整備されており、また展望も今日のコースの中では一番いい。石の階段を下り、「それでも地球は動いている」の名言を見ながら、斜面をトラバースして、展望のよい急斜面に出る。家族連れなど大勢の登山者が休息中。この下で再びビューポイントの表示。ここの岩場からも北方向の展望が得られる。

 ジグザグと下って西斜面へ。正面に岐阜城が見上げられた。ツクツクボウシの鳴き声をかき消すほどミンミンゼミの声が響く。昔はこの辺りにミンミンゼミなどいなかったが、クマゼミ同様、生息範囲が拡大しているようだ。谷沿いに西方向に下り、丸木や石の階段を下りる。ハイヒールで登ってくるカップルに出会った。瞑想の小径という名前から本格的な山道とは想像できないかもしれない。このコース入口には「登山道」の表示があるのだが・・・。

 大岩のあるところで谷を渡って、道は直角に右を向き西に突き出た尾根を巻いていくと明るい場所に出た。伊奈波神社旧跡の表示と三角形の烏帽子岩がある。ここは馬の背登山道の分岐点でもある。なだらかな道をジグザグと下って、右へのトンネル方向への分岐点をやり過ごして、ロープウェイ乗り場方面の山沿いの道を歩くとすぐに赤い岐阜公園三重の塔の下を通過。岐阜公園へ下るいくつかの道を見ながら直進して歴史博物館近くの広場に出た。噴水の前の売店のみたらし団子が美味しかった。

 10分弱の休息の後、今度は百曲登山道の登山口に向かう。名和昆虫博物館の東側の道の山側にアジサイで有名な禅林寺があり、この寺への階段の南に百曲登山道の入口がある。舗装道路を東へわずかに歩いて薄暗い常緑樹の山道に入る。岩場を左に見ながら折り返すように登っていくと禅林寺の裏を通過。標識を見ながらジグザグと登っていく。百曲というだけあって、何度も折り返す。2カ所ほど、立派な木の階段が設置してあった。

 登山口から10分ほど登っていくと、岐阜城まで900mの表示。後方には樹間から長良川が見え、前方右手には水道山への尾根が続く。右山で北方向にトラバースして、尾根に出て右に向きを変え、ヒトツバの岩場を登る。右からの尾根が迫り、左は深い谷。谷を上がってくる白いロープウェイが見えた。南北に走る尾根に出て時折現れる岩場を登っていくと、前方にロープウェイ駅が現れた。右手はリス村である。前方から、先ほど鼻高コースの分岐で出会った二名の女性が下ってきた。我々が再び登ってきたことに驚かれた。聞けば、山歩きをはじめたばかりとのこと。我々が10年前にこの金華山に登ったときと同じようなもの。10年後には彼女たちも岐阜県の多くの山を体験しているに違いない。

 駅の前から遊歩道の階段をひと登りして飲食店の屋上に設けられた展望台に上がってみる。夏の間は、この屋上がビヤガーデンになるため、ベンチなどは片付けられ、提灯が下がっていた。先ほど、東坂登山道から登った時には山頂はガスで覆われていたが、そのガスもすっかり消え、岐阜市街を見下ろすことができた。水道山へ続く稜線や蛇行する長良川が眼下に広がっている。防災訓練でもらった災害用非常食のおにぎりを食べて、展望台を下り、三角点を踏むために、岐阜地方気象台金華山分室まで行ってみることにした。

 遊歩道を北へ歩き、「大綱秀吉の馬印 千成びょうたん発祥の地 天狗岩」の赤い標識に従って急な階段を登り、北へ向かうとすぐに岐阜地方気象台金華山分室の建物の裏庭に着く。この庭に二等三角点があった。この三角点の周囲にはニラが生えており、ちょうど白い花が満開。三角点の写真を撮って、下りは七曲登山道経由で岩戸公園に向かう。東坂登山道の入口を左に見ながら、絵画などが展示してある山頂ギャラリーの前を通ってロープウェイ駅の前から七曲登山道に入る。

 七曲登山道は、コースの大部分がコンクリート舗装されており、登山靴無しでも登れるように遊歩道化されている。広いコンクリート歩道を軽快に下っていくが、舗装の道は足にやさしくない。時折、脇に山道ができており、なるべく山道を歩いた。右手には木々の間から、岐阜市街が見下ろせた。最初のベンチのある広場を突きって、遊歩道に合流し、さらに下っていくと唐釜ハイキングコースの分岐点が左に現れる。このコースを利用しても東坂登山道経由で岩戸公園に下山できるが、大回りで時間がかかることから、その下にある二つ目のベンチのある広場から、岩戸公園の案内に従って、山火事注意ののぼりが設置されている切り通しを抜けてドライブコースに出た。なお、七曲登山道をそのまま下っていくと、岐阜公園南のドライブコース入口辺りに下山できる。

 車に注意しながら、ドライブコースを横断して、東側の路側駐車場から下っている山道に入る。暗い樹林帯を下っていく。この辺りもすばらしい原生林が残されており、癒しの世界が広がる。このコースを登ってくる人はいないと思ったが、二人の登山者に出会った。途中、ドリルの穴の跡があるコナラの大木が輪切りにされて、ロープで囲ってあった。最近多発しているカシノナガキクイムシの被害木で防除中のものだった。

 谷を左に見ながらまっすぐに下って橋を渡るとドライブコースに合流。右の谷川にハナミョウガの白い花をたくさん見ながら東坂登山道入口を通過して駐車場に戻った。歩きはじめて、ジャスト3時間。予定時間どおりに戻ることができた。駐車場は、あいかわらず登山者の車で埋まっていた。

 金華山は、整備された多彩な登山道を組み合わせることで、変化に富んだ山歩きができる。金華山とは言え、山は山。七曲登山道以外は岩場もあり、慎重な行動が必要。また、都市の近くに残された金華山のすばらしい自然を守るためにも、山火事に注意し、決められた登山道を歩かれたい。
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