トレースマップはカシミール3Dで作成
*この地図の作成に当たっては、国土地理院長の承認を得て、同院発行の数値地図50000(地図画像)及び数値地図50mメッシュ(標高)を使用しています。(承認番号 平23情使、第517号)
前山〔大岩で撤退〕 (中津川市 1170m付近) 2012.4.7 曇り一時雪 2人
ゲート(9:13)→登山口(9:22)→突き出した岩(10:28-10:33)→徳ノ城址(10:34)→大岩直下・撤退(10:51)→徳ノ城址(11:15)→人工林・昼食(12:00-13:01)→登山口(13:07)→ゲート(13:15)
★4月7日に中津川市の前山に登ってきました。
★林道入り口のゲートをスタート。
★林道から人工林に入り、ササの尾根に取り付きました。
★傾斜が増す道を、時折現れる後方の展望を見ながら登りました。
★冬型の気圧配置で、気温は0℃。風が強く、陽が差したり雪がちらついたりする天気。
★崩壊地上部を注意して歩き、薄く雪が積もる路面をひたすら登って徳ノ城址を通過。
★さらに登り、標高1200m付近の大岩の手前の凍りついた急斜面で苦戦。登り切ると、大岩を巻く細い雪のトラバース道が・・・。
★滑落の恐れがあったことから、山頂までもう少しでしたが、ここで撤退。
★風のない人工林の中で昼食をとり、スペアーの高峰山に向かいました。
★雪のない時期に再挑戦します。
4月に入っても、この休日は冬型の気圧配置。先日の大船山の雪が頭をよぎったが、今回も再び東濃の山を選んだ。前から登りたいと思っていた前山に決定。この時期なら雪の心配もないだろうと、軽アイゼンをザックから取り出した。この判断が正しかったかどうか・・・。
中央自動車道を中津川ICで下りて国道19号線を東進。国道が北を向いた辺りで、松田の信号交差点を右折。中央道を潜って道なりに坂を上っていく。ぐんぐんと高度を稼ぎ、道は狭くなる。前方にはこれから登る前山が迫ってくる。山頂付近には雪が見える。住居が途切れて、山に突き当たる手前にゲートがあり未舗装となる。ゲートは開いていた。このゲートの手前の路肩に駐車。3台ほど駐車可能。靴を履き替えていると、先ほどまでの青空が消え、曇り空となった。北に見える二ツ森山が雪に霞んでいる。今回も雪が降りそうな予感。
開いているゲートを抜けると、道が三方に分岐している。ここは左側の道に入る。未舗装の林道で、雨水を止めるゴム板が設置されている。右に鳥獣害防止用の網が張られた畑を見ながら歩く。林道は雨水で大きくえぐられたり、倒木があったりして、普通車での進入はやめたほうがいい。
10分ほど歩くと右側に「前山登山口」の標示板が現れ、ササ付きの人工林の中にしっかりとした踏み跡が続いている。入口には赤テープがにぎやかにぶら下がっていた。あまり整備されていないアカマツの交じる人工林を緩やかに登っていく。左方向に向きを変えながら歩くと、右山となり、すぐに尾根に出た。狭い土手の上を歩くように、ササ付きの水平な尾根を歩く。樹間から右手前方に見える山は前山から西に延びる稜線の先にある1304mピークであろうか。
崩壊が進む尾根を通過すると傾斜の増した道となる。いつの間にか、頭上は黒い雲に覆われ雪が舞い始めた。急斜面をジグザグと登っていく。溝状の道もあり、先日の強風で折れた小枝が地面に散乱している。大きな枯れ枝が道を塞いでいるところもあった。ストックで枝を脇に避けながら歩くと、明るい尾根となり、時折、左側の展望が得られる。後方には高峰山の美しい三角形が見える。差し始めた日に照らされた雪の結晶がワタムシのようにゆっくりと落ちてくる。これがなごり雪になるのだろうか。
日陰には薄く雪が積もっている。イワカガミの葉が足元に見られるようになった。次第に地面が雪で白くなってきた。左や右に崩壊地を見ながら尾根を歩く。すっかり白くなった道は結構急なところもある。
歩き始めて1時間を超えたので、休憩場所を探しながら登っていくと左に突き出したような大きな岩が現れた。動物の頭のようにも見える。岩の上には1cmほどの積雪がある。ここで休憩。パンを食べてお茶を飲む。5分ほど休んで出発。すぐ先の一段下ったところに新しい石碑と案内版があった。石碑には「徳ノ城址」の文字。案内板には、徳ノ城址の歴史が書いてある。徳ノ城は東山道が開かれた後、713年に砦として築城されたのが始まりであり、1574年に武田勝頼の率いる甲州軍により落城したそうだ。石碑の前に供えられた花が新しく、訪れる人があるようだ。
城址を後に、雪の尾根を歩く。雪が靴の裏にへばりついて歩きにくい。前回歩いた大船山と同じ状態である。強い西風が尾根を吹きぬけ、ササがざわめく。尾根道の雪の上に大型の鳥の足跡がどこまでも続いている。イワカガミの群落も多い。岩が現れ、尾根道は急斜面となった。雪は2cmも積もっていないが、雪の下の地面は凍りついて滑りやすい。
つかまる木がなく、岩などにつかまって三点支持で滑落しないようにやっとのことで急斜面を登りきると、目の前に大きな岩が現れた。岩の間から木が生えている。狭い道がこの大岩の右の斜面をトラバースしており、北斜面であることから雪は融けず真っ白な路面となっている。1時間40分かけて登ってきたが、雪でこの先は滑落の危険があり、ここであっさりと撤退することを決めた。GPSを見ると、山頂に続く主尾根まではもう少しであったが、この先も急斜面が続きそうだ。アイゼンがあったとしても、雪の量が少なすぎてその効果は少なく、ダンゴになりやすいと思われた。アイゼンが無かったので撤退を即決したが、アイゼンがあったとしても撤退したであろう。
さて、今、登りに苦戦した場所を下らなければならない。下りはさらに危険。ホールドしにくく三点支持も難しい。こんなときこそ、ロープが役に立つ。いつも持ち歩いているロープをザックから出し、木にしばって急斜面を慎重に下った。
11時を回ったので、どこかで昼食にしようと、場所を探しながら下ったが、尾根は風が強く適当な場所が無い。ぐんぐん下って林道に出る手前の人工林の中で、テーブルになる岩を見つけた。人工林の中で、風も無く、ここで昼食にした。メニューはラーメン雑炊。インスタントラーメンに野菜とパックご飯を入れて煮詰めるという新メニュー。卵を入れると結構美味しい雑炊になった。
コーヒーを飲みながら作戦会議。時間は午後1時前であり、低山であればもう1山登れそうだ。「可児からの山歩きさん」のレポートを思い出した。確か、この前山登頂の後に中津川市にある高峰山を登ってみえた。高峰山なら登山口まで車で30分ほど。登山口から往復2時間あれば登れそうだ。持参したガイドブックを参考に高峰山に登ることにした。コーヒータイムを早めに切り上げ車に戻った。
今回の前山登頂は雪に阻まれ撤退したが、雪がなければ問題は無い。雪が無いときに再挑戦することにし、北に見える高峰山に向かった。
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