松鞍山 (316m 美濃市) 2003.7.5 曇り一時小雨 2人
登山口(14:10)→四差路・アンテナ(14:30)→比丘尼岩(14:36)→松鞍山山頂(14:45-14:55)→四差路・アンテナ(15:08)→ピーク・アンテナ(15:11)→御嶽神社(社・拝殿)(15:37)→鳥居(15:40)→登山口(15:47)
梅雨の季節。この休みも、傘マークの天気予報。日曜日に山行を予定していたが、土曜日の昼間はたいした雨にもならないようなので、昼からの空き時間を利用して、近くの低山に登ることとした。
美濃市を通るたびに、気になっていた丸く盛り上がった特徴ある山容の松鞍山。標高316m。ここなら2時間もあれば登れることから、この山に決定。岐阜の山旅100コースには長良川鉄道の美濃市駅から登るコースが掲載されているが、駐車場の情報がなかったため、よっせーさんのレポートを参考に南側から登ることとした。
東海北陸自動車道の美濃市インター東の自動車道高架下の国道156号線との交差点を東に進む。道なりに県道343号線を東進し、名鉄松森駅のすぐ南の踏切を渡る。続いて長良川鉄道の踏切を渡る。県道343号線は踏切を渡って南にカーブするが、登山口はカーブミラーがあるこの三叉路を直進する。右に高瀬建設を見てすぐに左の山が切れ水田の高畦が現れる。畦の下にはやや広くなった路肩があり、ここに車を止めた。3台くらい駐車可能。この水田と山の境から林道が北に向かっている。ここが登山口となる。
登山口には松鞍神社の大きな石碑とコースタイムが書かれた看板があるが、雑木に覆われて車から降りないと分かりにくい。このコースが山頂にある松鞍神社への参道のようだ。雨が降りそうな空模様なので、ストックのかわりにこうもり傘を持ってスタート。湿っぽい道を歩き始めてすぐに、右への脇道がある。登ってみると、水があふれんばかりに一杯になった大きな池がある。コジキイチゴがオレンジ色の実をつけていた。
林道脇の水路には池からの水が勢いよく流れている。池を過ぎると右手は湿地状態。梅雨時でもあり、林道にも水が流れている。雪害で枯れた植林や大きな竹藪を右手に、ササの落ち葉の林道を終点へ。ここから山道となる。谷の樹林帯の中は曇り空でもあることから昼間でも薄暗い。
やがて明るい場所に出る。上流から引かれたホースとコンクリート枠の水くみ場があったが、水は出ていない。しゃもじ状の花の跡がきれいに並んだ小さな植物があった。葉の形からするとタツナミソウではないかと思われた。
広葉樹林の多い暗い樹林帯は続く。クモの巣を小枝で払いながら、倒木をまたいだりくぐったりして進む。カゲロウがひらひらと飛び立った。見れば倒木の下の乾いたところに、いくつかの蟻地獄がある。風もなく蒸し暑い。この時期に登る山ではない。このルートは神社への参道であるが、ここを人が歩いたのはいつのことだろうかと思うような雰囲気が漂う。
1本のアンテナが現れ、尾根に出る。四つ辻になっている。尾根を北に下る道は美濃市駅コースと思われた。山頂は右。ここで立ち止まっていたら、足下に多数のヤブ蚊が集まってきたので休むことなく先を急ぐ。ここから急登が始まる。美濃市市街地から見て分かるようにつんぼり高く盛り上がった山であり山頂へは急な道を登らなければならない。チャートの岩が多い急坂を登っていく。
急坂の途中、道の上に縄が掛けられ、その下にしめ縄が巻かれた比丘尼岩がある。この岩の横には謂われが書かれており、女人禁制のこの山に尼が登ってここで亡くなったという場所らしい。今では女性も登れるようになったがこの岩に触れてはいけないと書かれていた。恐ろしい岩である。案内板を見る前にさわらなくてよかった。
急登は続く。途中、展望のいい場所がある。美濃市の田園の向こうには誕生山、天王山、権現山、汾陽寺山が斜めから見た形で重なっている。この山並みが美しい。ヤブコウジの花を足下にジグザグを登り切ると山頂に到着。大きな鳥居とお拝殿、その北に社がある。
展望は樹間から少し見える程度。お拝殿の下には無数の蟻地獄。冷たい飲み物を飲もうとザックを下ろしたが、ここもたくさんのヤブ蚊が寄ってきた。三角点は社の裏にあるそうだが、ヤブ蚊に追われて確認するのを忘れてしまった。早々と写真を撮って山頂を後にした。小雨がぱらつき始めたが、傘をさすほどでもなく、滑りやすい急斜面をアンテナのある四つ辻まで下った。
帰路は、この四つ辻を直進。参道をはずれたためか、薄い踏み跡となった。黄色いキノコをたくさん見ながら、急坂を登り詰めピークに出るとここにもアンテナがあった。道は南に向かい、ここから明るい尾根筋を歩く。ネズミサシやモチツツジの灌木が多く、また松もたくさんある。左には先ほど登ってきた谷が見下ろせる。丸い松鞍山の山頂を望めるところもある。右にはちらちらと誕生山方面が見られる。東海北陸自動車道が南に伸びている。長良川も見える。ヤブ蚊もいない。道は明瞭でクチナシの花やソヨゴの青い実を見ながら15分ほど尾根を歩いた。
やがて前方に鉄塔のある南側の山が現れ、下りにかかる。踏切や列車の音など市街地のざわめきが聞こえてくる。やや西に回り込んで急な坂を一気に下る。苔むした赤土は濡れて滑りやすいのでゆっくり下った。再び暗い樹林帯を抜けると、御嶽神社の社の裏に出た。ここにもお拝殿があり、山頂の配置とよく似ている。ただ鳥居がない。2・3分下ると赤い鳥居があった。鳥居をくぐり、草を分けて細い車道に出た。車道を左に進み、車で通った高瀬建設の前を歩いて駐車地点に戻った。水も飲まずに歩いたので、帰路、武芸川町の道の駅に寄って先ほど松鞍山で眺めた天王山などの山並みを前に一息入れた。ここの名物のマフィンが最高に美味しかった。
市街地の裏にあり、山頂に立派な神社があるにもかかわらず、この山に登る人は少ないように感じた。また、尾根歩きを除いて、全体に展望のない暗い樹林帯を歩くことから、神秘的な山であるという印象が残った。秋から春にかけてヤブ蚊のいない時期に登るのがベスト。
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