三森山 (1100m 岩村町) 2002.9.23 晴れ 2名
岩村ダム駐車場(7:18)→三森神社(7:52-8:03)→奥の院(8:11)→三森山山頂(8:34-8:47)→帝釈天(8:54)→三森神社(9:13)→岩村ダム駐車場(9:40)
毎年、9月23日には岩村町で農村景観日本一の田園地帯でお堂や石仏などを巡るスタンプラリー「秋の月待ちお堂めぐり」が開催される。今回は第9回目。第1回目に参加して以来、8年ぶりに参加してみようと思った。せっかく岩村町まで行くのなら、三森山をあわせて歩こうと、5時半に自宅を出た。
恵那市から阿木川ダムを経由して、257号線を南下。岩村町に入り岩村ダムの案内標識に従って左折し、後は標識に導かれて東に向かう。岩村ダムまで舗装道路が続き、道を間違えるようなことはない。ダムの事務所を過ぎ、ダム湖左岸の数台駐車可能な駐車場に車を止める。トイレはないので阿木川ダム湖畔あたりですませておく。
登山口は駐車場から50mほど東に進んだ左側の木造の鳥居。古い石造りの道標や案内板がある。ヒノキの人工林の中、広い登山道を歩く。早朝、陽の当たらない山の西側を歩くため、ヒノキ林は薄暗く、朝の冷気で冷んやりしている。道の所々には石仏が祀られ、その石仏には番号が彫られている。山頂直下の33番まであるそうだが、番号が跳んでおり、長い年月の間に石仏が失われたものと思われる。
路面は、荒い花崗岩が風化し白い砂状態になっており、雨でえぐり取られたところが多く見受けられた。古くから三森神社まで登り継がれた道であり、歴史を感じさせる。道ばたのミズヒキがこの道にはよく似合う。道は曲がりくねりながら、適度な斜度で東に進む。ヒノキに混じって栗の木がいくつかあり、道に栗のイガが落ちているが、実は落ちていない。誰かが拾ったのであろう。
「頭上枯れ枝に注意」という標識があり、突如、目の前に、アカマツの巨木が現れる。「七本松」と書かれている。太い幹の途中から8つくらいの幹が分かれ、それは見事な松の木である。江戸時代から、この松の下を多くの人が通り、この松はそれを見下ろし続けてきた。この先、大きな赤松が目に付く。東には樹間からは、三角形をした三森山を望むことができる。
しばらくして、鳥居に突き当たる。鳥居までは1時間くらいと聞いていたが30分ちょっとで着いてしまった。三森神社の鳥居である。山頂へはこの鳥居の前から右へ進むが、まずは鳥居をくぐって神社に参拝する。灯籠のある大きな神社であり、扉は閉ざされているが、賽銭は投げ込めるようにできている。神社前にはヒキオコシと思われる紫色の花が咲き乱れていた。すぐ西側には展望地があり、ここからは農村景観日本一の黄金色に輝く田園となだらかな夕立山などが一望できる。
展望を満喫したら、鳥居まで引き返し、主尾根を東へ歩く。5分たらずで奥の院への分岐点がある。奥の院まで380m、帝釈天まで950mの表示と、30番目の石仏がある。ササの人工林を左に進み、尾根に出て下り、登り返すと5分ほどで奥の院へ着く。小さな社があり、ここでも柏手を打つ。
分岐点まで戻り、さらに主尾根を進む。かなり痩せた尾根で、両脇が切れ落ちているところもある。足元にはイワカガミではないかと思われる群落が続く。尾根から北東を望めるところがあるが、恵那山は雲に隠れて見えない。道は、しだいに南に向きを変え、三叉路に突き当たる。三角点の方向を示す白い表示板が両方の道を指している。
直進は急坂の道であり、山頂と思われたため、直進。途中、右へ派生した道がある。一登りで、山頂に出る。山頂の西側は見通しがよく、先ほどの展望地から眺めた方面が望める。三等三角点とその表示柱があるが、山名の書かれた板は壊れていた。東へ道が続いているが、その先は定かでない。尾根伝いに水晶山や木の実峠に行けるのであろうか・・・。
朝早いこともあり、冷たい風が山頂を流れ、Tシャツ1枚では寒い。山頂からはもう1本西へ下る道があり、帝釈天へ続くと思われたのでそれを下った。途中、先ほどの登りから派生した道と合流し、33番目の石仏のある登山道に合流した。本来の山頂への登山道はここからであり、先ほど登ってきた道は近道のようだ。分岐点にあった三角点への表示板の2枚はどちらも正しいことが分かった。帝釈天までは5分とかからない。帝釈天の謂れが書かれた表示板と社がある。この先、道はササの中に消えていた。帝釈天で手を合わせ、今来た道を戻った。
この山は、さほど展望がよいわけでもなく、人工林歩きが多いが、古くから登り継がれた歴史ある山であり、三森神社や奥の院、帝釈天、石仏、アカマツの巨木など、何か歴史を感じる風格のある山である。城下町として栄えた岩村町にふさわし山は、これらも多くの登山者を迎え入れ、やすらぎを与えてくれるであろう。
下山後、岩村町で毎年9月23日に開催される恒例の秋のイベント「秋の月待ちお堂めぐり」に参加した。岩村城址の麓にある資料館を起点に、農村景観日本一の富田地区の田園に点在するお堂や石仏など10箇所巡るスタンプラリーで、今年で9回目。
参加者は毎年増加し、約1400人の地元や都会の人々が参加。稲刈りの始まった田園をミゾソバやゲンノショウコの花を楽しみながら約7kmを歩いた。東には里山が連なるが、三森山がどれか分からなかったので、地元の方に聞いてみると、ほぼ真東に三つピークが見え、その真ん中の山だそうだ。その南には水晶山が見える。
10箇所のお堂などでは枝豆や漬物、薬草茶などが地元民によって振舞われ、ゴールの富田会館では全員に完歩賞の記念品がもらえ、空クジなしの抽選会が行われる。賞品は冨田地区の農家の方々が作った野菜の袋詰や米などである。行政主導ではなく地域住民の手作りイベントに感動。「近き者喜べば、遠き者来たらん」の精神が生きている。ふるさとを大切にする心がこの活力を生み出すのであろう。
岐路、岩村町の古い町並みにある松浦軒本店に寄った。ここのカステラは江戸時代からの製法で作られ、岩村町の特産品となっている。狭い店の中はお堂巡りの参加者でいっぱいであったのにはびっくり。山登りの後、江戸時代の建物が多く残る古い町並みを歩いてみるのもいい。毎年、春には古い町並みを舞台にウオーキング大会が開催されている。
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