トレースマップはカシミール3Dで作成
*この地図の作成に当たっては、国土地理院長の承認を得て、同院発行の数値地図50000(地図画像)及び数値地図50mメッシュ(標高)を使用しています。(承認番号 平23情使、第517号)
宮山 (917m 白川町) 2012.4.21 晴れ 2人
無反峠(11:32)→石碑のあるピーク(12:32-13:34)→無反峠(14:06)→《車で佐久良太神社奥の院へ移動》→石碑のあるピーク(15:06)→宮山山頂(15:20)
★4月21日に登った宮山のレポートを掲載しました。
★無反山下山後、峠から東側の尾根に取り付き、宮山に向かいました。
★ガードレールを越えてススキの道に入り、小枝のうるさい道を登りました。
★無反山に比べると道は薄く、ルートを誤る場面も。
★明るい植林地帯を登り切り、石の多い直線の急斜面を息を切らしながら登りました。
★登り切ると大岩に突き当たり、ルートファインディング。
★そして、山頂へ・・・。ところが、今までにない想定外のハプニングが・・・。
★思わぬ結末となり、大笑いの思い出に残る楽しい山歩きとなりました。
無反峠から宮山へ登山道があることが、「可児からの山歩き」さんのレポートに記されている。しかし、登山記録は途中まで。国土地理院の地図を見ると宮山の名前は無いが宮山と思われるピークに神社マークが付いている。尾根を辿る単純なルートであり、峠からの山頂までの標高差は300mほど。1時間ほどで登れそうであり、全く下調べをしないでこの山に登ることにした。これが思わぬハプニングに繋がることになる。
無反山下山後、無反峠の東側のガードレールの外にある、枯れススキに覆われた道に取り付く。踏み跡は薄く、無反山の登山道に比べるとあまり人が入っていない様子。しかし、明らかに道がある。ヒノキの幼木の多い明るい人工林を登り、すぐに右側は潅木の天然林となる。なだらかになり、正面には宮山の三角形が美しい。シキミの花を見ながら、右方向に小枝のうるさい道を歩く。落葉樹はちょうど枝先の芽が見え始めた時期である。クロモジがかわいい黄色の花を咲かせている。
峠から15分ほど歩くと分岐が現れた。真っ直ぐ登れば尾根の登りとなるが、踏み跡は薄く、右の道のほうがしっかりしている。宮山へは真っ直ぐの尾根コースを登るのが正しいと思ったが、しっかりした踏み跡につられて右の道に入った。道は尾根を離れて南に派生する尾根に向かっている。やはり先ほど直進するのが正しかったようだ。分岐まで戻らずに左の尾根を目指して潅木を分けて強引に尾根に出た。
尾根道は天然林と幼木の人工林の境を真っ直ぐに上っている。この辺りも小枝が道に飛び出しており歩きにくい。幼木林であり後方の展望はいい。振り向くと先ほど歩いてきた無反山の稜線がよく見える。斜面を登りきると小さなピークを越える。ピークから少し下ると正面にかなり急な斜面が立ちはだかる。左側は背の高い人工林となり、右側は天然林である。
赤ペンキが塗られた石柱を見て斜面に取り付く。散乱した小枝を踏みながらゆっくり登っていく。青テープが続く。多少道が怪しいところもあるがヤブのようなところはなく、尾根を真っ直ぐに登っていく。岩の多い道となり、落ちてきそうな大きな岩も見られた。息を切らしながらひたすら登っていくと「休猟区」の黄色い標識が現れ、なだらかな尾根道となった。ササが現れ、道はササに埋もれているが、ササの丈は低く、ヤブをこぐようなことはない。
ササの道を3分ほど歩くと行く手に積み重なった大岩が現れた。尾根が岩にふさがれた状態である。さて、道は・・・。岩の手前で南側を見下ろしてみると、テープが見えた。テープを追って少し下りてみると、大岩を回り込むためには急斜面をまだまだ下る必要がある。岩の下の人工林は間伐された直後のようであり、テープは森林作業用に付けられたもののようだ。
尾根まで引き返して、今度は大岩の北側でルートファインディング。大岩に沿って行くとよじ登れそうな場所を見つけた。木の根や潅木につかまれば、それほど難しい登りではない。三点支持で登って岩の上に出た。すぐ先には重ねられた岩の上に「金毘羅」と書かれた石碑が立っている。地図の神社マークがこの石碑であると確信し、ここが宮山山頂だと思った。思い込みは恐ろしいものであることが、後に分かることになる。
石碑の前の地面はきれいに掃かれ、供えられたサカキは新しい。今日、供えられたもののようだ。佐久良太神社で慰霊祭が行われていたことを思い出し、ここにも今日サカキが供えられたに違いない。さらに先に道が下っていた。おそらくこの先に林道があり、車で近くまで登ってこられると思った。東へ下っている道の先を見下ろしてみるが、道のようなものは見えない。石碑の右に立つと、東にさらに高いピークが近くに見えた。それでもここが山頂だと思い込んで、この先へ行こうとは思わなかった。北側には東白川村の集落が見下ろせた。御岳山方向は雲に覆われている。大岩の北にはアカヤシオと思われる蕾が赤く色づいていた。
石碑の前でやや遅い昼食をとる。メニューはラーメンライスと缶詰。風も強くなく、雰囲気のいい山頂でコーヒーを飲んだ。帰路は、登ってきた山頂を下った。無反山とは違って、下山はピークのアップダウンが無く、30分ほどで峠まで戻った。無反山よりも変化があるルートであり、展望もある。無反山とセットで登れる山である。
いつもなら、ここでレポートは終わりになるが、今回はまだ続きがある。無反峠を車で南へ下る。途中に佐久良太神社に向かう道が東へ分岐していたので、神社まで行ってみることにした。道は狭いが舗装されている。神社は近いところにあると思ったが、なかなか現れない。かなり標高を稼ぐと、分岐が現れ、標示に従って回り込むように左の道に入る。美智子妃殿下記念植樹の碑を見て、稜線に出ると神社が現れた。
広い駐車場に車を停めて、参拝に向かう。駐車場の奥からササの中の踏み跡をたどって一番高いところにある神社へ。神社で手を合わせて、お社の裏に回りこんでみると、何と「宮山」のプレートが掛かっている。スギの落ち葉の中に三等三角点がある。先ほど登った山は何だったのだろうか。そう思いながらGPSのスイッチを入れて驚いた。先ほど歩いたトレースがすぐ近くまで来ている。三角点ある山頂から神社と反対側に薄い踏み跡がササの中に続いている。この先に、先ほどの石碑の立つピークがあるのではないかと考え、少し踏み込んでみると、GPSのトレースは北方向に向かっていることを示している。石碑のピークは西にあることが分かった。駐車場から西に向かう尾根にあるようだ。
GPSを見ながら駐車場まで戻った。ピークのトレースに近づいてきた。駐車場の西側は展望がよく、山々が望めた。山名の記された写真が設置してあり、眺望展開写真と書いてある。GPSのトレースを目指して車道に出て西に歩くと、南側に丸木の柵で囲われた展望地があった。展望地に立つと、南から東にかけての展望がすばらしく、眼下には黒川の集落が山に囲まれている。曇り空で遠くの山は見えないが、正面に見える山は箱岩山であろうか。
展望を楽しんだらさらに西に向かう。車道が左へカーブするところで、ガードレールの切れたところから、尾根伝いに山道が続いている。山道に入ってGPSを見ると、石碑のあるピークは目の前である。岩がいくつかある斜面を登ると、石碑の立つピークに着いた。1時間半前にいた場所である。宮山山頂だと思っていた場所は宮山手前の単なるピークだった。二人で大笑い。ピークからもう少し下ってみれば、車道に出たのだが・・・。
気を取り直して、山頂までをつなぐことにした。今来た道を戻って駐車場を右に見ながら本殿に向かう。アスファルト舗装の車道の上に一匹のマムシが日向ぼっこをしていた。参道竣工記念碑があり、地元の国会議員の尽力により参道が平成15年に完成したとのこと。この参道があることで、車で参拝ができるようになったようだ。1825年に建てられた奥の院社殿の軒下には立派な龍の彫刻があり、案内板によると、黒川村棟梁のすぐれた宮大工の小池彦左衛門橘久巨の作である。
階段を登り、鳥居を潜ってお社まで登り、裏側の三角点のある宮山山頂に再び立った。宮山登頂達成。この神社に寄らなければ、宮山山頂を踏むことができなかった。ラッキーだった。しかし、よく考えてみると、石碑のピークからこの宮山に向かった場合、いきなり現れる車道に山歩きの雰囲気が一変することになる。石碑のあるピークを山頂と間違えたことでとってもいい山歩きができた。ピークから先に下らなくてよかったと思った。
今日の山歩きが無事終了したことに感謝の手を合わせ、神社を後にした。途中に「笹畑のコメツガ」があり、水場もある。車を停めて、ペットボトルに天然水を詰めた。近くにミツマタの木がいくつか見られ、ちょうど満開。くす玉のような球形の美しい花である。タチツボスミレもたくさん見られた。今度は南に見える箱岩山に登りたいと思った。
★宮山からの展望と植物
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