迫間山〜向山
迫間山〜向山 (309m・303m) 2003.7.21 曇り一時晴れ 2人

迫間不動駐車場(10:55)→稜線の奥の院(11:11)→大岩不動・野鳥の森分岐点(11:45)→展望休息所・自然観察舎分岐点(11:54)→大岩不動分岐ピーク(12:12-12:57)→鉄塔(13:09)→岩坂トンネル上部の上迫間分岐点(13:28)→10番鉄塔(13:35)→須衛山頂(14:20)→向山山頂(14:45)→桐谷坂(15:06)→老洞峠手前通行止め地点(15:25)

 海の日の連休は白山テント泊を予定していたが、梅雨明けが遅れたため、延期。朝、降っていた雨も上がり、青空も見え始めた。以前から歩いてみたいと思っていた近場の里山のロングコース、迫間山から向山への低山縦走を試みることとした。

 コースは一直線であり周遊して出発点まで戻ることができないため、車を2台用意。当初計画では、桐谷坂を横断して権現山まで足を伸ばす予定であったため、老洞峠(現在、通行止め)東側の車止め地点に1台をデポ。もう1台で八木三山の南側を回って迫間不動へ。下段の駐車場に車を止めた。下段の駐車場は4時で閉門される。上段に止めれば時間制限はない。4時までには戻れるだろうと思い下段に止めたが、これが失敗。予想以上に時間がかかり、結果的には権現山を見送ることとなった。

 迫間不動は、以前に金比羅山に登った時に、起点とした場所である。今回は逆方向の西に歩くことになるが、稜線に出るまでは同じ道である。トイレに寄り、鳥居をくぐった。お線香の香りが漂う参道は多くの参拝客で賑わっている。石窟手前から左の階段を上る。稜線まで10分程度の登りではあるが、蒸し暑さで汗が落ちる。

 展望のいい稜線から奥の院のある西へ進む。迫間山山頂は奥の院裏手あたりにあるが、通り過ぎてしまった。尾根道は石段で整備され、左右の展望もいい。南の山間からは名古屋のビル群が見える。また、先ほど登ってきた車道も見える。車道はこの尾根の下を多賀坂トンネルが抜け関市に繋がっている。北側には誕生山や天王山、また先日登った松鞍山がきれいに見える。山火事対策のため水を溜めた赤いドラムカンが所々に置かれている。

 15分ほど登り下りの尾根を歩くと三叉路に当たる。標識は無いが右に進む。ノギランが群生しておりクリーム色の花が満開。米田白山や川上岳では蕾だったが、ようやく花を見ることができた。前方に大きなピークが見える。直ぐに四つ辻に出て、直進して木の階段を登る。芝生道の先に再び三叉路。右に進み、赤土の坂を登る。展望のよい坂道を登って行く。後方には歩いてきた山々が望める。

 前方の大きなピークを左に回り込み、崖につけられた道を歩く。南側の展望がよく目の前の山には白い花を咲かせた木々がいくつか見られた。ピークを迂回した鞍部に複雑な交差点がある。ここにはしっかり標識があり、「どうだんの道」が正しい選択。右は大岩不動への下り、左は野鳥の森・迫間不動に戻る。いろいろなキノコが地面から顔を出している。キノコは秋というイメージがあるが、梅雨時の発生も多い。

 ここから10分ほど歩くと、明るい交差点に出る。生活環境保全林であり、南には展望休息所や自然観察舎があるようで、時間があれば寄ってみたいところだ。「山頂250m」の表示に従って、右に入る。ジャノヒゲが青い可憐な花をつけている。道脇には植樹されたと思われる番号のついたドウダンが多くあり、ジャノヒゲも植栽されたものかもしれない。北側の工業団地が見下ろせる展望地で折り返し、やがてなだらかな尾根道になると、「断層跡」の表示。尾根道が2段になっており、左側がずれ落ちた部分であろうか。

 一旦、石の階段を下り、防火用水のドラムカンから坂を登るとすばらしく展望のいいピークに出る。標識にあった「山頂」のようだ。南にゴルフ場、御坊山など、西には各務原市から岐阜市の低山が連なり、その間に金華山が美しいシルエットを作っている。その奥に、伊吹山が浮かんでいる。このピークから北へは大岩不動への道が真っ直ぐに伸びており、美濃市以北の山々が美しい。

 山頂で今日、はじめて若い単独男性に出会った。(お会いした方はHさんでした。後日、メールをいただきました。) 岩坂トンネルから歩き、ここまで1時間かかっていないそうだ。ちょうど正午。山頂の木陰で昼食にした。キアゲハやモンキアゲハが舞い、さわやかな風が吹き抜ける。八重の真っ白なクチナシが揺れ、まさに天国。冷たいビールがおいしい。

 先は長いので、昼食を早めに切り上げ、ピークを西に下った。三等三角点と反射板のある金山を通過。さらに、上迫間の分岐を通過。やがて、道は南に向き、岩坂トンネル上部の鞍部に向けて一気に急坂を下った。前方には、10番鉄塔の建つ巨大なピークが迫ってくる。鞍部には再び上迫間の分岐がある。

 ここから、10番鉄塔目指しての急登。あえぎながら鉄塔に着くと、今下りてきた後方の山が大きい。前方には須衛や向山が美しいピラミッドを描いて待ちかまえている。鉄塔から北方向に下り、いくつかの小ピークを越える。前方に須衛が近づいてくるが、なかなかたどり着かない。暑さで登りのピッチがかなり落ちる。立ち止まる回数が増えてくる。ピークごとに冷たい水やジュース、ゼリーなどで体力回復。こんな時期に登ったことに後悔しながら、時計を見るとすでに2時。これでは駐車場の閉門時間の4時に間に合わないと、気はあせり、よけいにペースが乱れる。

 須衛の西には小さな2つのピークを挟んで向山が望める。小ピークを南に下り、いよいよ須衛の登りにかかる。暗いヒノキの植林地帯から真っ直ぐの急坂を木に捕まりながら一歩一歩登っていく。今回の最も苦しい登りである。須衛山頂からの展望はほとんどなく、中央に四等三角点。登頂記録の書かれたかまぼこ板が木に掛かっていた。

 一息ついで、向山を目指す。次のピークは360度の大展望。いつの間にか雲の消えた高賀山群が堂々と横たわっている。振り返れば、はるか遠くに金比羅山のパラボラアンテナが小さく見える。よく歩いたものだ。

 もう1つのピークを越えて、セミの鳴き声に応援されて、へとへとでようやく向山に到着。展望はよくない。山名表示板が灌木の根本に立てかけてあった。記念写真を撮って、桐谷坂を目指す。北に回り込んで、暗い樹林帯を下った。向山から15分ほどで桐谷坂と各務原市の分岐に出たが、桐谷坂方面は倒木で止めてあり、やむを得ず左の各務原市の表示方向に下った。どこに出るかちょっと不安であったが、5分ほどで車道が見えた。木の梯子で道路まで下りると、桐谷坂の峠のすぐ南であった。梯子の脇に水が引かれており、ここで顔を洗った。冷たくて気持ちがいい。

 時計はすでに3時を回っている。体力も限界に近いが、精神力で権現山まで行けると思った。しかし、駐車場の閉門が気になったので、権現山は次回のお楽しみとし、猛スピードで走ってくる車の切れ間を抜けて、県道の反対側に渡った。権現山への道は見あたらないことから、峠方向にあると思われた。廃棄物の投棄された廃道(旧峠道と思われる)をたどって、団地を抜け20分ほど歩いて車まで戻った。迫間不動の駐車場には4時前に着くことができた。

 低山でありながら、大縦走を楽しめるこのコースは予想以上にすばらしかった。夏の低山歩きは暑いが、夏を全身で感じることができる。子供の頃の夏休みの想い出がよみがえった、そんな山行であった。次回は、秋の晴れた日に、車2台で猿啄城から権現山まで1日かけて縦走してみたいものだ。
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