トレースマップ(カシミール3Dで作成)
鍋倉山 (1050m 揖斐川町) 2005.12.11 曇り・雪 27人
谷山集落跡(7:56)→林道終点(8:20)→鍋倉山4.5km地点(8:25)→3.8km地点(8:40)→2.9km地点・外津汲分岐(9:25)→2.5km地点(9:34)→1.5km地点(10:44)→ピーク(11:16)→0.8km地点(11:25)→避難小屋(11:38-14:01)→0.8km地点(14:08)→[小屋往復]→ピーク(14:23)→1.5km地点(14:36)→2km地点(15:02)→2.5km地点(15:14)→2.9km地点・外津汲分岐(15:27)→3.8km地点(15:49)→林道終点(16:03)→谷山集落跡(16:19)
【参加者】
モリモリ村隊:せきすいさん、Kオジサン、Nさん、Sさん、Tさん、kuさん、makotoさん、sumireさん、キーノさん、檀さん、RAKU、らくえぬ
和佐谷隊:カッペさん、葵のMさん、Hさん、Nさん、風花さん、ミツルさん、sizukaさん、katakuriさん、ボギーさん、楽友Sさん夫妻、ジオンさん、ラブさん、ヤブさん、ayameさん
東海自然歩道は東京の「明治の森高尾国定公園」から大阪の「明治の森箕面国定公園」までの11都府県にまたがり、延長は1,697kmに及び、そのうち岐阜県内のコースは310.8km。美濃地域においては、犬山市から各務原市、岐阜市北部を抜け、谷汲山華厳寺から妙法ヶ岳を通過して横蔵寺、南下して鍋倉山、池田山麓を経て養老から三重県に至る。
この自然歩道において県内で最も標高の高い場所は揖斐川町の鍋倉山である。山頂近くにはトイレ付きの立派な避難小屋が建てられており、天候に左右されずゆっくりとランチを楽しむには最適な場所である。
12月、恒例の「クーの山小屋」忘年登山は昨年に引き続き、鍋倉山と決まった。昨年は長者平のキャンプ場を起点に鍋倉山に登り、小屋の前の大広場で盛大に忘年会が開催された。今回はルートを変えての鍋倉山忘年会の計画が持ち上がった。計画段階からネット上で大いに盛り上がり、忘年登山は順調に開催されるはずであったが、・・・
鍋倉山へのルートはいくつかあり、中には廃道に近いコースもあるが、今回は東海自然歩道を歩くこととなった。2班に分かれ、東海自然歩道を南の谷山から歩く「モリモリ村隊」と北の日坂から登る「和佐谷隊」に別れた。我々は昨年とは逆のコースとなる谷山からのコースを選んだ。
雪のため、谷山までは入れないと予想し、県道から谷山へ向かう高橋谷橋、すなわち薬草風呂で人気のモリモリ村から歩くこととした。谷山は廃村ではあるが、人の出入りは多く、11月いっぱいの道路工事も終了したことから、雪がなければ車で入ることも可能である。モリモリ村から歩くと鍋倉山までは3時間30分のコースタイム。前半を林道歩きが占める。このため和佐谷隊よりも早く7時15分にモリモリ村集合とした。
このロングコースの参加者は少ないだろうと思ったところ、せきすいさんグループ5人、キーノさん、檀さん、makotoさん、すみれさん、そして最後にkuさんの手が上がった。天気は好天の予報に変わった。
前回の小島山同様、旧春日村に向かって県道32号線を走る。揖斐川の堤防から見る小島山・ムネ山は標高800mほどから上が白くなっている。昨夜、雪が降ったようだ。旧春日村の役場の前を通過し、高橋谷橋を渡ったところがモリモリ村である。トイレの前の駐車場に7時頃到着。すぐに全員12名が揃った。
みんな、久しぶりで、身支度する間も話しは尽きない。kuさんは早めに到着して、高橋谷橋から谷山への道を下見していただいていた。雪が無かったので、4WDワゴン2台で谷山集落跡まで入ることとした。高橋谷に沿って走る道はスリル満天。狭い道の左には岩壁、右に谷、おまけにカーブが続く。前輪が谷に落ちないように、後部が岩に当たらないようにゆっくり走る。上ヶ流からの道と合流すれば比較的道は広くなるが、今度は雪が路面を覆い、倒木を除けながらのドライブ。
高橋谷橋から5kmほどで人家が現れ谷山集落跡に到着。路肩のスペースに車を停めた。身支度を終えたら、輪になってkuさんの挨拶、そして自己紹介。せきすいさんの仲間のSさん、Nさんとは初対面。ここまで車で入れたことから、忘年会場となる避難小屋に着くのは予定の11時よりもかなり早くなると、この時、誰もが思った。
湿った雪の深さは数cm。廃村とは思えない立派な舗装道路を歩く。廃村とはいえ、訪れる人は多いようであり、新しい建物や除雪の跡も見られた。廃村の立派な記念碑があり、かなり古い歴史のある村のようだ。利便性に追われて消失していく集落は後を絶たないが、今後、国民の価値観の変化によっては、こうした山間地の集落に人が住むようになるかもしれない。
左に川を見ながら未舗装の林道を歩く。雪の上に散ったシロモジやカエデの枯れ葉が美しい。時折、倒木を跨いだり潜ったりしながら、おしゃべりして歩く。歩き始めて25分ほどで鉄製の排水管が埋め込まれた谷を渡る。林道はここで終点。谷を渡って人工林の山道に入る。すぐに山頂まで4.5kmの標識を通過。東海自然歩道であり、木製の立派な標識があるが、かなり古くなっている。
頭上に電線を見ながら歩くと、右手の人工林の中に石垣が組まれている。かつての人の生活の臭いが感じられる場所だ。3.8km地点から道は北に向きを変える。再び人口林の中に石垣が現れる。この石組みは棚田のなごりと思われた。廃村と同時に田に植林が行われ、再び山に戻ったようだ。
人工林の中、左に谷を見ながら、橋を渡り5分ほどでもう一度橋を渡る。さらに右に回り込んで再び橋を渡り、左山で斜面に取り付き折り返しながら登る。雪の深さは20cmほどになり、天然林も増えてきた。1時間歩いたので休息。谷川にヒノキ林を見ながらしばらくして外津汲への分岐点を通過。雪で覆われており、外津汲への道の状態は分からないが、かなり薄いように思われた。ここには山頂まで2.9kmの表示がある。
かなり雪が深くなって先頭のkuさんのラッセルも大変。ヒノキ林の中、強引に急斜面のショートカットを試みる。ちょっとは時間短縮。この辺りから次第に天然林の中の道となる。雪はますます深くなり、先頭のラッセルを順次交代。ツボ足なので膝辺りまで沈み込むようになってきた。自然歩道は丸木階段で整備されており、数十センチの雪が積もっていることから、丸木の部分が少し盛り上がって波打ったような状態になっている。この盛り上がりの手前を踏み込むと下部に空洞があるらしく、足全体がはまり込んでしまう。
この階段のラッセルにみんな悪戦苦闘。先頭に出てはすぐにバテてる。貴重な体験と、全員参加でラッセル。少人数なら断念する雪の状況であるが、12人なら何とかなりそうだ。ジグザグと登って展望のよいところを通過。後方の山々がきれいに見える。昨日降った雪が葉を落とした木々に付着しており、美しい雪景色を創り出している。この時期、落ち葉を踏んで初冬の日溜まり登山となるはずだったが、こんな雪の中を歩くとは思いもしなかった。
鍋倉山まで2km・50分の標識を通過。ちょうど10時であるが、この調子だと予定の11時到着は難しそうだ。恐らく反対側から登っている和佐谷隊も雪に苦戦しているに違いない。ザックザックと一歩一歩のラッセルが続く。天気は晴れたり曇ったり。時折小雪が散らつくが、風はなく寒くはない。ブレスサーモのシャツ一枚で適温である。
先ほどの標識から40分歩いて、次の標識を通過。山頂まで1.5km ・30分の表示。40分で500mしか歩いてない。コースタイムの倍かかっている。間もなく11時。気はあせるが、一向にペースは上がらない。美しい天然林の中、次第にピークに登り詰めていく。GPSで確認すると平らなピークまではさほど距離はない。後、少しと思うと余計にあせるのが山歩きの常識。山小屋が見える、人の声が聞こえる・・・幻覚幻聴に大笑い。昨年の雪の岩岳で体験した四つんばいでのイノシシ歩きをする者まで現れ、これまた大笑い。
ラッセルはみんな経験して、先頭に立つ希望者も少なくなってきた。ピーク手前でkuさんに代わってキーノさんが先頭に出た。キーノさんのパワフルなラッセルでピークへ到着。山小屋がない。この辺りに山小屋があるかと思ったが、山小屋はこの先、一旦下って登り返した台地にあることが後に分かる。
ピークには名前が分からない真っ赤な実が大きな綿帽子をかぶって頭を下げている。赤と白の対比が美しい。既に11時15分を回っているので、ノンストップでピークを下る。下りのラッセルは楽だ。数分下ると山頂まで0.8kmの標識。標識は直進を指しているが、道は右へ下っているようだ。
「山小屋が見える」とkuさん。曲がり角から、樹間越しに谷の向こうの台地に山小屋が見えた。幻覚ではない。山小屋へは右山で美しい雪のトンネルを下り、鞍部から左へ登り返したところにあった。
山小屋の広場に出る直前でみんな立ち止まって、足跡のない真っ白な広場を眺めた。広場の向こうには今にも屋根から雪が落ちんばかりに垂れ下がった山小屋があり、みんな写真撮影。3時間40分もかかっただけにこの光景には感動。雪原を横断して、雪に埋まった小屋の階段を登って、中に入った。まだ、和佐谷隊は到着していない。車で谷山まで入っていなければプラス1時間はかかっているであろう。
曇り空で小雪が散らつくのでランチは小屋の中でとることにした。今回は和佐谷隊のミツルさんが大鍋を持ち上げるというのでモリモリ村隊は食材だけ持参のメンバーが多い。とりあえず、無事の到着にワインで乾杯。この雪で和佐谷隊が登ってこないことも考えられたので、持ち上げた材料を持ち寄ってコッヘルで鍋を作ることにし、食材を集めた。鍋ができるまで、我々はいつもの燻製各種とシュウマイ50個を蒸かした。せきすいさんから今売り出し中の各務原キムチが回ってきた。姉妹都市である韓国・春川市の特産「松の実」を使用したキムチでたいへん美味しかった。小屋は12人でちょうどいいくらいの広さだ。カメラのレンズが結露してまともな写真が撮れなかった。
鍋が出来上がる頃、「来た!」の声。窓ガラスの向こうの日坂側の道に登山者の姿。和佐谷隊到着。外に飛び出して迎える。100名山達成のHさんが先頭、2番目の葵のMさんは小屋前で倒れ込むパフォーマンス。みんなかなり疲れた表情。きっと我々もそんな表情で山小屋に着いたにちがいない。
小屋は一挙に満員状態。気付けにとバーボンを出すと、結構売れた。こういう時の酒はうまい。一週間前に和佐谷コースの下見に登ったBOGGYさんは初めての本格的な雪の中を歩くこととなり「雪のない1週間前とは全く違う山でした。いきなり雪の洗礼を受けました。」とのこと。我々も釜ヶ谷山で初めて深い雪をラッセルしたことが思い出された。これが病みつきになること、間違いなし。
ミツルさんによる大鍋が始まり、ジオンさんのクリスマスケーキが登場。小屋の中はグツグツ状態で土間で立ったままで回ってくる食事をいただいた。和佐谷コースのミツルさんや風花さん、sizukaさん、葵のMさん、ラブさん、ayameさんなど久しぶりの出会いであったが、十分に話しができなかったのが残念。野外は氷点下。ドアを開けると水蒸気が白くなって流れ出た。
下りも雪でスローペースになることを考えて1時頃には出発する予定であったが、大騒ぎのうちに2時近くになり、あわてて後片づけをして、昨年のように小屋の前で記念写真を撮った。いつも以上にみんな笑顔でいい顔をした写真が撮れた。モリモリ村隊は時間がかかるということで、一足先に出発することに。考えてみれば、谷山までなので和佐谷と同じくらいの距離だったかも。
小屋の掃除は和佐谷隊の皆さんにおまかせして、手を振って別れた。登り返したピーク手前で先頭のほうから「携帯電話を忘れた」との声。取りに戻ったら、らくえぬのウエストポーチ。和佐谷隊の皆さん、拾っていただきありがとうございました。モリモリ村隊の皆さんにはお待たせしてすみませんでした。
ピークからはトレースを踏んで軽快に下った。帰路、気温が上昇して頭上の木から雪が落ちてくるのではないかと心配したが、気温はマイナス1度と低く、美しい雪景色の中を下ることができた。Kオジサンが膝を痛めたため、檀さんがテーピングで応急措置。看護士の経験があるそうで、一緒に歩くと心強い。
人工林では急斜面をシリセードでショートカットの連続。ワタムシのようにチラチラと雪が舞い始めた。雪雲の間から差し込んだ赤い冬の日差しにゆっくりと落ちる雪が輝いて美しい。歩くのが嫌になった頃、林道に出た。帰路は比較的順調に下り、暗くなる前に車に到着。車の前で12人全員で記念写真を撮った。今年1年、いろいろなオフ登山に参加したが、今回が最も思い出に残る山歩きになった。
ワカンやスノーシューの威力を改めて知ることができ、また、この時期にはワカンが必需品であることを体験する山旅となった。ご一緒いただいた皆さんありがとうございました。次に鍋倉山に登る時には、雪の上でテント泊を体験してみたい。また、新たな発見があるに違いない。
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