トレースマップはカシミール3Dで作成
*この地図の作成に当たっては、国土地理院長の承認を得て、同院発行の数値地図50000(地図画像)及び数値地図50mメッシュ(標高)を使用しています。(承認番号 平23情使、第517号) 

城ヶ峰・東ノ山・西ノ山 (352m 350m 405m 揖斐川町) 2012.2.5 晴れ・曇り 2人

三輪神社(8:55)→一心寺(9:06)→城台山・本丸跡(9:21)→反射板(9:44)→城ヶ峰山頂(10:13-10:22)→城ヶ峰北のピーク(10:27-道誤り-10:43)→林道(11:05)→東ノ山登山口(11:14)→東ノ山山頂(11:20-11:28)→西ノ山山頂(12:06-13:16)→若松集落・林道(14:02)→三輪神社(14:49)

★2月5日に揖斐川町の城ヶ峰・東ノ山・西ノ山を縦走してきました。
★三輪神社をスタート。雪がわずかに積もった階段を登り、城台山の雪に埋まった城跡を見学。
★急斜面を登り、反射板のあるピークを経由して城ヶ峰山頂へ。10年ぶりに登った山頂でした。
★ここから、東ノ山に向かって雪の斜面を北に下りました。この先で尾根を間違えるハプニングも。
★人工林を抜け、林道を経由して東ノ山山頂へ。
★さらに西ノ山に向かって、雪の尾根を歩きました。
★展望のいいピークなどをアップダウンし、次第に深くなる雪の感触を楽しみながら西ノ山山頂へ。ここは4年ぶり。これで間戸山から城ヶ峰までをつなぐことができました。
★きれいな雑木林の雪の上で、谷汲の田園を見下ろしながら温かいランチ。
★帰路はピストンの計画を変更して、仁坂坂峠手前から若松集落へルートファインディングしながら下り、田園を歩いて三輪神社まで戻りました。
★誰にも出会わないと思っていましたが、同じコースを歩くパ−ティもあり、雪の揖斐の里山を楽しんできました。

 岐阜市内でも雪が積もった週末、適度な積雪の山を探す。揖斐の入口の山であれば、さほど難なく雪山を楽しめるだろうと、まだ歩いていない城ヶ峰から東ノ山を経て西ノ山への尾根歩きを選んだ。城ヶ峰は10年前に、西ノ山は4年前に登っている。城ヶ峰と西ノ山の間を歩けば、間戸山までが繋がる。ただの思い付きで選んだ山であったが・・・。

 計画では、三輪神社から城台山、城ヶ峰、東ノ山を経て西ノ山までをピストンする。標高差は小さいが歩行距離は長い。雪の状態によっては東ノ山までとして、ジオンさんのレポートを参考に、地図にルートを落とした。

 登山口となる三輪神社を目指す。国号303号線で揖斐川町の町並みに入る。これから登る城ヶ峰が目の前に迫ってくる。町並みを抜けた上新町交差点を右折し、揖斐小学校の前にある三輪神社の広い駐車場の隅に車を停めて、神社の人に声をかけた。車道に雪は無いが屋根や路肩は真っ白。単独男性と竹製のワカンを背負った4人の男女のパーティが神社奥に歩いていく。この雪の時期でも登山者はある。おそらく城ヶ峰まで登るのだろうと思った。

 まずは三輪神社でお賽銭を投げて、今日の山歩きの安全を祈願。「弁慶の腕だめし石」を右に見て、城台山公園入口の案内に従って階段を登る。折り返して右に石碑やコンクリートのタンクを見ながら朱色が美しい一心寺で再び参拝。寺の左をフェンスに沿って登る。前方から三輪神社で見かけた単独男性が下ってきた。城台山の往復だったようだ。

 東屋を通過。路面は雪に覆われ、先行パーティの靴の跡を追う。階段は展望のいい尾根にあり、時計回りにカーブして城台山に向かう。白山神社登り口を左に、井戸への道を右に見て、さらに階段を登っていくと、播隆上人の立て札がある広場に出た。左の階段を登ると、ヒノキの高木の林の中に本丸跡の標示。ここが城台山山頂。

 枡形虎口跡の標示を見て一段下ると、揖斐城址の案内板がある。今からおよそ650年前に土岐一族が築いた城であり、200年ほど山城として利用されたが、1548年に斉藤道三に攻め滅ぼされたという。

 この先、二の丸跡、曲輪跡、三の丸跡、出丸跡、北の丸跡と、下って登り返す。4人パーティに挨拶して追い越す。北の丸跡を通過してアップダウンすると山道となる。路面は一面が雪となり、昨夜、わずかに降った雪が木々に積もっている。その雪が朝日に照らされて、水滴となって落ちてくる。すでに路面の雪も融け始めており、雪の下の落ち葉が滑る。雪の上には昨日の登山者の足跡が残っているが、今日付けられた登山靴の跡はない。今日の足跡は鹿だけ。鹿の足跡に交じって人の手の跡を小さくしたようなサルと思われる足跡を発見。サルの足跡を見るのは初めて。

 急斜面となり、一気に登り切ると反射板の裏に出た。フェンスの横から南側の展望が得られ、雪の田園風景が逆光に輝いている。青空ではあるが地表付近はモヤで大垣方面の町並みは見えなかった。反射板から雪で倒れたマツやヒサカキの幼木を分けながら明るい尾根を歩く。木々の間から北側の山々も望めた。ソヨゴの赤い実を頭上に見ながらなだらかな道を歩くと、前方に城ヶ峰の丸い頭が見えてきた。

 左山で尾根を外し、再び尾根に出て登りにかかる。雪の間に黒いタヌキのタメ糞があった。城ヶ峰山頂に向かって赤テープを追う。左側には真っ白な小津権現山や花房山が手前の山の向こうに見える。今度は右山で深い雪を踏んで回り込むように山頂に出た。木々に囲まれた山頂は雪に覆われ、三角点が半分ほど雪の上に出ていた。以前は夏に登ったが、木の葉が無いこの時期には、木々の間から周囲の展望が得られ、記憶にある山頂のイメージとは全く異なっていた。

 さて、ここから北の尾根に向かう。地図で歩く尾根を確認。北からやや西方向に曲がる尾根がこれから歩くルート。東へ延びる尾根に入らないように注意することも確認し、急斜面を北に下る。人の足跡はなくトレースはウサギのみ。靴が埋まるほどの斜面を下ってなだらかな尾根を歩き、石の多い斜面を登って城ヶ峰山頂の北側にあるピークを通過。美しい雑木林が続く。赤テープもあり、雪で路面は見えないが、道があるようだ。

 黄色いプラスチック杭が立つピークを通過して赤テープを追う。実はこのピークで尾根が分岐しており、北側の尾根に取り付くのが正しいが、東に向かう尾根が明瞭でテープもあったことから迷うことなく右に下った。下り切って進行方向がおかしいことに気づきGPSを確認して道を誤っていることがわかった。このまま進めば谷汲の名礼に下ってしまう。

 ピークまで引き返し15分ほどの時間ロス。ピークまで戻ると、北側の尾根にも赤テープがあった。注意していても道を誤るとは・・・。気を取り直して、北の尾根を下る。右の谷は人工林。赤いテープを追って緩やかなアップダウンを繰り返して尾根を歩く。雪の上に散らばっている小鳥の羽根を見つけた。キツネにでも襲われたのだろう。倒木をくぐりシダの斜面を登り、小ピークでは慎重に道を選んだ。明るい尾根となり、北の展望が得られる場所もある。

 茶色く枯れたツクバネがたわわに実を付けている。枯れた状態でこれほど豊かに実を付けているのを初めて見た。写真を撮っていると、後方から話し声が聞こえ、城跡で追い抜いた4人パーティの姿が見えた。城ヶ峰までの登山者だと思っていたが、どうやら我々と同じ東ノ山・西ノ山に向かうようだ。誰にも出会うことはないと思っていただけにちょっとびっくり。あわせて同行者がいるということで心強い気持にもなる。

 城ヶ峰から40分ほど歩いて、雪に覆われた林道に出た。ウサギの足跡が点々と続いている。林道わきに大木ではないが真っ赤な実を付けたタマミズキの木があり、なかなか近くで見られないことから、写真を撮った。4人パーティに先に行ってもらう。この先の行程を尋ねると、西ノ山まで行き、その先は下道を歩くとのこと。我々は西ノ山から引き返すことを告げる。

 緩やかに曲がりながら林道を歩くと、前方に小さなピークが見えてきた。東ノ山のようだ。林道はピークの左側に続いているが、ここから再び山道に取り付く。赤テープもある。4人を追ってヤブのような尾根を登る。後方には歩いてきた尾根が見える。

 5分ほどで雑木林に囲まれたピークに着いた。雪の上に四等三角点の頭が出ている。東ノ山山頂である。4人の皆さんと山頂で一緒になり、「この山で誰かに出会うとは思わなかった」と言われた。我々も同様である。「○○さんに教えていただいたのですか?」との問いに、ジオンさんのHPを参考にしたことを伝えた。彼らの話によると、このルートがヤマケイに掲載され、その執筆者と知り合いであることから、今回は愛知県一宮市からこの山に来たそうだ。今回は何の情報もなくこの山を選んだが、このルートがヤマケイに紹介されるとは驚きである。

 4人を見送って、山頂で記念写真を撮って出発。雪や道誤りにより予定時間より遅れているが、ランチは西ノ山にする。西ノ山到着時間を見て、4人パ−ティのように帰路は下道を歩くことも考えた。少し下って登り返し、左に人工林を見て尾根を歩くと明るい斜面が目の前に現れた。見上げるとピークに向かって登る4人の姿が小さく見えた。南斜面で雪は少ないが、急斜面で岩が多く、背の低い灌木が茂っている。灌木につかまりながら滑らないように足場を確保して登っていく。

 後方が開け、城台山や城ヶ峰、東ノ山など歩いてきた山々が連なる。南には真っ白な田園の向こうに池田山や小島山が青い。白い田園の中の道は黒く、まるでペルーの地上絵のように見える。西ノ山から南に連なる尾根とその尾根にある林道や、東ノ山の南山腹を走る林道も見下ろせた。今まで歩いてきた雰囲気とは全く異なる明るい斜面を登り切ってピークに立った。黄色いプラスチックポールがあり、マツなどの木々にやたらと赤テープが結んである。樹木に囲まれているが疎林で展望はいい。このピークから北東と北西に尾根が下っているが、西ノ山への道は北西尾根を下る。

 深い雪を踏んでピークを後に下る。痩せ尾根であり、南側の展望はもちろん、北側の名礼の集落なども見える。実に雰囲気のいい場所である。展望地で写真を撮って歩く。407mピークを越え、左方向に向きを変えて人工林に入り、次のピークに向かって登る。先行の4人の姿が見える。人工林のピークを越え、登り返す。右から登ってくる尾根が近づき、西ノ山が近いことが分かる。

 ピークに出て右の尾根をわずかに登ると西ノ山山頂に着いた。目標の城ヶ峰と西ノ山を繋ぐことができた。4年ぶりの山頂で、時期も同じであるが、前に登った時よりも明るくなったような気がした。先行パーティが雪の中から三角点を掘り起こしてみえた。三等三角点である。三角点の前で写真を撮って、頭上の木から雪が落ちてこない東側の場所でランチにする。4人もここでランチ。正面に見える三角形の山は先ほど通過した展望のいいピークから北にのびる尾根の途中にある367mピークのようだ。

 ランチのメニューはおでんと雑炊と缶詰。天然林の中、雪の上で食べる食事は最高においしい。4人は先に仁坂坂峠方向に下山。時折雪が落ちる音を聞きながらコーヒーを飲んで、帰路のコースを検討。ここまで雪のため予想以上の時間がかかり、またピークの上り下りも多いことから、同じ道を引き返して下山しても時間はかなりかかりそうである。4人の皆さんと同様に、4年前に歩いている仁坂坂峠に下って、下道を歩いたほうが短時間で三輪神社まで戻れそうだ。下山ルートの計画を変更して、ゆっくりと食事をした。

 パッキングをして下山開始。山頂から、まず北に下って、鞍部付近から折り返すように西に向かう。尾根を西に向かって歩いていると、先行者の足跡が無くなったことに気付いた。どこに行ってしまったのだろう。少し引き返してみると、尾根の南下方にトレースがあった。尾根からトレースが外れた位置まで戻って、トレースを追う。明らかに道がある。右山で緩やかに下っていくと黄色いプラスチックポールが現れ、ここでトレースは南にジグザグと下っている。雪で道があるかどうかわからないが、赤テープがある。地図とGPSを見て、このまま進めばおそらく若松集落へ続く尾根を下ると推定。仁坂坂峠から峠道を南に下るよりはかなり歩行距離を短縮できそうだ。いずれにしても先行者が歩いたトレースが雪の上に残っているので安心してこのルートを下ることにした。

 雑木林の中をジグザグと下っていく。次第に尾根が狭まり、傾斜も緩やかになってきた。多少ヤブのようなところもあるが、疎林であり、どのようにでも下れる。道があると思われるような場所も多い。積雪が数センチとなったが、落ち葉の上の緩んだ雪で滑りやすく、転倒する場面も。尾根を外さないようにどんどん下っていくとササが現れ未舗装の林道に飛び出した。林道に出るところは登り口があるようにも見えた。

 林道はすぐに舗装道路となり田園の中の道を三輪神社方向に向かって歩いた。田園からは下りてきた尾根や西ノ山、東ノ山、城ヶ峰、城台山などが東から北にかけてぐるりと取り巻いている。かなりの距離を歩いた。田園から住宅街に入り、農業用水沿いの桜並木道を通って三輪神社まで戻った。下道を1時間以上歩くと思っていたが、50分弱で戻ることができた。駐車場に戻るとちょうど三輪神社の神主さんに出会ったので駐車のお礼を言って神社を後にした。

 今回は雪が適度にあり、雪山歩きを十分楽しむことができた。これ以上雪があると歩行時間も長くなり、トレースがないとワカンが必要となる。また、赤テープがルート以外にも見られ、尾根を誤ることもあるので、しっかりした地図を用意して常に自分の位置を把握しておくことは鉄則。若松集落への尾根に道があるかどうかは未確認。訪れる登山者は少なく、静かな山歩きを楽しむことができるコースである。
★城ヶ峰・東ノ山・西ノ山からの展望

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