三方岩岳・野谷荘司山
(1736m・1797m 白川村) 2002.10.12 晴れ 3名
【出発点:白山スーパー林道 三方岩駐車場 (RAKU)】
白山スーパー林道 三方岩駐車場(8:32)→三方岩(9:08-9:18)→赤頭山(10:20)→野谷荘司山山頂(10:38)→もうせん平(11:12-11:20)→野谷荘司山山頂(11:57-13:30)→赤頭山(13:40)→鶴平新道主尾根下部(14:35)→大窪集落跡登山口(15:28)
【出発点:大窪集落跡 鶴平新道入り口 (HARU)】
大窪集落跡登山口(8:05)→赤頭山(11:18)→野谷荘司山山頂(11:35-13:30)→赤頭山(13:45)→三方岩(14:48)→三方岩駐車場(15:20)
同じ町内の先輩であるHARUさん(蕪山や白草山等で同行)が以前から登りたかった野谷荘司山のクロス登山を計画。野谷荘司山は白山スーパー林道の三方岩駐車場起点三方岩岳経由と白川村大窪集落跡起点鶴平新道経由の2ルートがある。1台の車で、朝5時過ぎに岐阜市を出発。156号線を走り、御母衣ダム、鳩谷ダムを右に見ながら北上。左前方には、崩壊の進む荒々しい峰が見える。野谷荘司山である。中腹以上は赤く染まり、紅葉真っ盛り。
鳩谷ダム湖中程の右岸にかかる野谷橋を渡り直ぐに左側の山に折り返すような道に入る。目印はリサイクルハウスと書かれた看板とトイレ案内標識。この道は大窪集落跡を経由して白山スーパー林道の料金所手前に繋がる近道である。野谷荘司山への鶴平新道登山口はこの道の途中左側にある。
登山口は、大きな白い看板と1つの墓石が目印。入り口手前には数台駐車可能な草付きの空き地がある。ここでHARUさんを降ろす。車は1台。あらゆる事態を想定して、再会に向けた打合せを綿密に行った。三方岩駐車場起点のルートが40〜50分早く野谷荘司山山頂に着く計算になる。このため、時間調整として我々は野谷荘司山山頂から「もうせん平」を往復する計画とした。
HARUさんにトランシーバー1台を渡し、我々は、三方岩駐車場を目指す。料金所手前で開門を待つ車の列に加わった。この時期にゲートが開くのは8時。7時50分過ぎにゲート前に着いたが、すでに50台ほどの車が並んでいた。紅葉目当てに訪れる人が多いようだ。ゲートは直ぐに開き、料金所でもらったマップを見ながら2つ目の駐車場である三方岩駐車場を目指す。
三方岩駐車場は、すでに1/3ほどが埋まっていた。多くの人が三方岩を目指して登る準備をしている。きれいなトイレもある。登山口は道路を渡った案内板のところにある。道は遊歩道となっており、陽の当たらないぬかるんだ北斜面を登る。高度を上げるにしたがって、駐車場が眼下に、その後方に紅葉の美しい瓢箪山が望める。樹木の背丈は矮小化とよばれる現象でしだいに低くなる。
見晴らしのよい草原を登り、30分ほどでヒメコマツのある高原に出る。いきなり朝日に映える白山が現れる。2つの峰を持ち、北側に長い稜線を持つ山容が美しい。北から見る白山もすばらしい。白くないのがちょっと白山らしくないが・・・。
左に向きを変え、すぐに三方岩の展望台に着く。大勢の人が展望を楽しんでいる。乗鞍から穂高・槍、笠から剣まで、岐阜県の反対側の県境の山々が雲の上に浮かんですばらしい。垂直に切れ落ちた崖の下を覗き込みながら、先を急ぐ。一度下って登り返し、木の根の多い道を歩く。後方には、三方岩が望める。周りの景色に見とれて、下りにかかったところで三方岩岳を通り過ぎたことに気がついた。表示もなく通過点の山である。
ここから、一気に鞍部に下り、再び登り返す。道には木製の階段が作られているが、丸木が朽ちて、ほとんどの固定ボルトが飛び出している。道の中央に10cm以上飛び出したボルトがいくつかあるので要注意。後方には三方岩岳の要塞のような岩壁が異様な姿を見せる。周囲の紅葉はすばらしく、やがて前方に丸い山容の目的地「野谷荘司山」が現れる。
道の岐阜県側は終始、深く切れ落ちた崖になっておりスリルがある。道は左にカーブし、大きな崩壊地の上を通る。右手には野谷荘司山、左手には三方岩岳が見える。大きな登りもなく軽快な尾根歩きが続く。前方左手に鶴平新道の真っ赤に染まった鋭い尾根が現れる。トランシーバーでHARUさんを呼ぶ。尾根の途中のようだ。手を振るが互いに姿は見えない。
交信しているうちに、赤頭山の鶴平新道分岐点に着いた。HARUさんはまだまだ到着しそうにないので、先に山頂を目指す。前方には紅葉の野谷荘司山を登る人が小さく見える。山の左側は大きく崩壊し、茶色の地面がむき出しになって遙か谷底まで続いている。崩壊地の上には白山が望める。南には三方崩山が大きい。最高の撮影ポイントであり、写真を撮りながらゆっくり登って山頂へ。
山頂は細長く、道の脇に三角点がある。数人が道の脇で休息中。眼下には鶯色の鳩谷ダム。その向こうには猿ヶ馬場山やピラミダルな籾糠山が望める。HARUさんはまだ赤頭山に着いていないので、予定通りもうせん平へ向かう。この先、登山者はめっきり減る。
一旦下って、白山を前に崩壊地の上を歩く。野谷荘司山から赤頭山、さらにその下に続く鶴平新道の尾根が美しい。稜線上部を登るHARUさんの位置を確認できた。登り返して、再び鞍部に下るとササ原の中に湿原地が現れる。標識はないが、ここがもうせん平らしい。
葉を落としたナナカマドの赤い実が美しい。湿原の植物は枯れ、モウセンゴケは見られなかった。枯れたリンドウがたくさん見られ、9月にはきれいな花が咲いていたであろう。ベンチの脇に小さな仏像が祀られていた。他の登山者も妙法山まで行きたいが、スーパー林道のゲートが5時に閉まるためここで引き返すとのこと。HARUさんがもう着く頃なので写真を撮って引き返す。
20分程歩いたところでHARUさんより野谷荘司山山頂到着の連絡が入る。12時に山頂へ戻り、HARUさんと再会。HARUさんは、野谷荘司山の山名を書いた大きなプレートを持ってきていた。前の晩に、ノミで彫ってペンキを塗ってきたとのこと。あまり急いで作ったので、「荘」の草冠を忘れるなどの誤字。山頂でナイフで彫って白ペンキのかわりに他の登山者の方の昼食のご飯粒とティシュペーパーで色をつけたのには大笑い。
山頂の表示板がこわれていたこともあって、10名ほどの登山者の皆さんは新しいプレートを持って記念撮影し、山頂は大いに盛り上がった。富山県からのパーティーの方から漬け物をもらったりして、1時間の昼食時間を30分オーバー。車のキーをHARUさんに渡し、帰りは互いに違うコースを下る。
赤頭山で再び分かれ、我々は鶴平新道に入る。振り向けば昼下がりの陽に、野谷荘司山がより赤く染まり、谷に落ちる尾根筋が逆光で美しいラインを作り出している。前方には紅葉の中、階段状の鶴平新道が遙か下まで続く。新道を下り始めて気がつく。尾根は痩せて急坂。おまけに崩壊している滑りやすいガレ場で、周りの樹高が低いことから、腰が引ける。一部、両脇が崩壊した馬の背のようなところもあり、踏み外せば遙か下まで転落してしまう。ダブルストックの効果がでる。筋状になった崩壊が登山道を横切っているところがあり、2・3度道をはずれかけた。おかしいと思ったら慎重に道を拾う。
かなり下り周囲の樹木も背丈ほどになった。振り返ると、今、下ってきた長い尾根が午後の陽に染まっている。こんな美しい紅葉の山は初めてである。この光景は忘れることはないだろう。
赤頭山から1時間程歩いて、樹林帯の中を尾根から左に下る。紅葉の木々は少なくなり、やがて大きなブナやカエデの天然林の広い尾根をジグザグに下る。緑色の深い樹林帯の中を歩くのは今日初めて。下草や灌木が少なく、大きな広葉樹がすばらしい。また、たくさんのキノコが見られた。やがて尾根から谷に入り、雪で大きく曲がった木々を見ながら、落ち葉を踏んで下った。長い急な下りで、膝が痛くなった。キノコに混じって、ギンリョウソウの実を見つけて感動。ワラビやクズが現れるとすぐに大窪集落跡登山口。山頂からちょうど2時間で着いた。HARUさん運転の車が来たのはその20分後。三方岩岳経由の下りでもほぼ同じ時間を要する。
すばらしい紅葉の中、大展望を楽しみながら、最高の山歩きに大満足。帰路、村営の平瀬温泉に寄り、熱い湯で汗を流した。この温泉の裏手には三方崩山への登山口がある。また、いつかこの山に登ろうと決め、平瀬の古い町並みを後にした。
<以下、HARUさんの記録>
8:05 大窪集落登山口 幹周り3m位だろうか、大きく天をつくような杉の木の下の墓に見守られるように、山に吸い込まれる。4〜5分も歩くと山道わきの朽ちた木々の間から15センチもあろうか、とても美味そうな毒キノコのタマゴテング茸?が十数本。道は下草で覆われることも無く、谷沿いを登っていく。次第にジグザグの少しばかり傾斜の厳しい道となっていく。
8:30 最初の尾根にたどり着く。 尾根に着くと谷底からの渓流の音が聞こえ、山の深さを感じながら、木漏れ日の広葉樹林をさらにジグザグに歩く。
8:34 道脇に根元から五本に分かれた2〜30cmの太さもあろうかブナの木?を通過。
8:50 道左に幹周り3.5mほどの大きなブナ?。ここにもタマゴテング茸が。この位置が最後のタマゴテング茸の確認位置となった。
9:10 今までの急峻な尾ねをジグザグで登ってきたが、ここへ来て少しばかり緩やかになり、木漏れ日も多くなってきた。次第に大きな木々も少なくなり、視界も開けてきた。
9:20 直径50cmのブナを最後に、これより上部は低木帯。周りの木々も次第に黄色混じりが増えてきており、「ウ〜ン。秋の気配を感じる」。かな。
9:27〜45 休憩。斜面の登山道ではあるが、ここへ来てやっとのことで合掌部落の全景を捕らえることができた。すでに周りは低木帯の中。
9:45 次第に紅葉・黄葉と秋色は深まってきた。でもまだ、もみじ色にはなっていないがきれいだ。
10:10 山道の左脇2mのところに3つに壊れた古い標石があり、「三ノ六九」の記述が。
10:25 辺りは紅葉が散らばり、秋一色の絨毯が広がっている。左前方に南側が崩れ落ちた山が。RAKUさんと、初めて無線通信が可能に。無線で話しているとRAKUさんが直ぐそこにいるようでした。実はまだ30分ほどの距離があったのですが、勝手に目のまえの山(最初のコブ)の頂の直ぐそばにいるものと思っていました。
10:37〜55 最初のコブの頂で2回目の休憩。ここからの景色は最高です。全山紅葉真っ盛り。燃える山に溶けそうな雰囲気でしたぞ。
11:10 左右は険しく切れ、ガケたヤセ尾根。2、3箇所は小さなガケ崩れで道も不明瞭に。でもちゃんと迂回道は出来ているので心配無い。
11:18 赤頭山分岐点通過。
11:35 頂上へ到達。担ぎ上げた20cm×60cmの山名板を取り出し、一部修正作業に入る。ここで、周りの登山者がもの珍しそうに山名板の出来上るのを待っていた。俺も好きだけど、出来あがるのを待っている人も好き者やな〜。名板の裏には、「2002.10.12」の彫り込みが。感無量です。
11:57 RAKUさんと合流。昼めし。
13:30 頂上出発
13:40 赤頭山分岐
14:40 三方岩岳到着。ここは15時過ぎの景色がとても良いと、写真を撮りに来ていた人が言っていました。
14:48〜54 三方岩(観光客がいっぱいいるところで、三方岩神の標柱があるところ)で小休止。
15:04 幹周り約3.5m位の大きなダケカンバを通過。上ってくるのは観光客にアベックばかり。
15:20〜30 三方岩岳駐車場
15:47 大窪登山口到着。RAKUさんと合流。
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