トレースマップ (カシミール3Dで作成)
*この地図の作成に当たっては、国土地理院長の承認を得て、同院発行の数値地図50000(地図画像)及び数値地図50mメッシュ(標高)を使用しています。(承認番号 平17総使、第654号)  *点線は推定ルート
納古山 西尾根ルート (633m 川辺町) 2007.1.28 晴れ 10人

納古口駐車地点(8:29)→クサリゲート・NTT看板(8:50)→無線中継所・登山口(9:16-9:23)→稜線(9:31-9:40)→565mピーク(10:25)→納古山山頂(11:04-13:08)→稜線から松林へ(13:18)→林道合流(14:02)→駐車地点(14:14)

参加者:カッペさん、Dolphyさん、sizukaさん、katakuriさん、ヤブさん、ayameさん、楽遊Sさん、SAWAさん、RAKU、らくえぬ

 納古山は展望のいい初級者向きの山として知られており、山頂に至るルートはいくつもある。過去に3度、南側の初級者と中級者コースを登った。昨年の12月に、カッペさんが納古山の西尾根を歩くコースを企画していただいたが、参加できなかった。このコースはガイドブックで紹介されていないが、結構面白いコースらしい。

 年明け、カッペさんに再度企画していただき、前回参加できなかったメンバーを中心に10人が集まった。今回、初対面はDolphyさん。週に1・2回、山歩きをしてみえるそうで、格好から見てもかなりの山男とお見受けした。

 美濃加茂市側からは三和町からのコースが一般的である。山頂直下に三和町に下る表示があったことを覚えている。今回の西尾根コースは、三和町の登山口に駐車して、さらに林道を北進して、NTTのアンテナから納古山の西北西に延びる尾根を伝って山頂に至る。

 三和町納古口の登山口へのアプローチは、富加町役場北側の信号交差点を県道97号線に入り、東に向かう。7〜8km走ったところで、左手にある三和小学校手前の交差点を左折。この交差点から、3.3kmほど走ると左に青いトタン屋根の民家があり、民家の前から右折して細い道に入る。この辺りが納古口集落である。角に「納古山登山口まで2.7km」の表示がある。

 500mほど走ると、美濃加茂市から川辺町に入る。登山口までの道は狭く、荒れている場所もあり、普通車での進入はゆっくりと慎重に。轍の深い所や、段差のある場所で、車体の底を2・3度擦った。しばらく走って、橋を渡る手前の納古山登山口1km先の表示に従って右に入るとすぐに2台ほど停められるスペースが右に、さらに200mほど進むと4台ほどのスペース。単独男性の登山者が身支度中であった。ここが下山口となる。広場でUターンして、下のスペースに駐車。なお、この近くにトイレは無い。

 暗い人工林の中で身支度をして、車で上ってきた道を引き返すように歩き、登山口の表示があった橋を北に渡って、林道を歩く。ここから1時間弱の林道歩きが始まる。深い谷の人工林の中であり、GPSが電波を捕捉できない。谷川に沿った林道には電柱があり、頭上を電線が通っている。この先に電気が必要な施設があるのであろうかと思うが、その謎は20分ほど歩いて解ける。

 歩き始めて20分ほどで、林道の分岐を左へ進むとすぐにクサリのゲートが現れ、この先にNTT川辺無線中継所があることを示す看板。ゲートの脇を抜けて、一部コンクリート舗装の林道を歩く。傾斜が増し、汗が出る。看板のところから、中継所のアンテナまで、標高差170mほどを登ることになり、車道とはいえ結構勾配がある。

 一旦、西に大きく回り込んでから、東に向きを変えてアンテナを目指す。右手が開け、三和小学校近くにある富士山が本物の富士山とまではいかないが、単独峰の美しい山容を見せる。霞んで遠くまでは望めないが、ここまで歩いてきた谷が望めた。前方に、大きなアンテナが見え、そこで林道歩きは終わりとなる。アンテナまで45分ほどかかった。

 アンテナ前で休憩。カッペさんが道を偵察。ここから稜線に取り付くが、正式な登山道と言える道は無い。アンテナから100mほど戻ったカーブミラーのある曲がり角から登ることにする。テープのような目印は何もない。微かに踏み跡があるが、すぐに消える。道の消えた辺りから、直角に斜面に取り付き、潅木の間を縫う。ここから稜線に出るまでの標高差40mほどはヤブこぎ。激ヤブではなく、やや左に尾根を回り込むようにして、西側から稜線を目指す。

 すぐに稜線上へ。稜線はなだらかで、道らしきものがある。ここで、小休止。潅木の中ではあるが、展望があり、北の山々が望めた。霞んでいなければ、御嶽山が見えるそうだ。ここから一旦下って登り返す。このような大小ピーク越えがこの先、山頂まで続く。多少、小枝がうるさいが、道は明瞭。稜線歩きであり、テープも少ないが道を誤るような所はないと思われた。

 登り返すと、後方にアンテナの頭が見えた。岩が多く、岩石はチャートであることから、金華山など岐阜市近郊の山のイメージ。アカマツに混じって、ヒメコマツが多いのに驚いた。また、地面に広がる赤紫に紅葉した群落は、枯れた花茎から判断してイワカガミのようだ。春の新緑の頃には、この花が楽しめそうである。

 マツの落ち葉が積もる道のアップダウンが続く。岩のテラス現れ、南の低山や光る木曽川が望めた。美濃加茂市の富士山が一際目を引く。テラスからヤブっぽい斜面を下って岩登りをすると、明るい岩場に出て、ここからも南180度が大展望。GPSで確認すると、西尾根の1/4程のところにある565mピークの手前だった。ここでタバコ休憩。鳩吹山が微かに望めた。

 565mピークを通過して、急な下りにかかる。前方に烏帽子のような形をした山が納古山であるが、山頂はさらに奥のようだ。納古山の特長であるヒカゲツツジがたくさんある。この暖冬でかなり芽が膨らんでいる。花の時期に歩きたいコースだ。また、ドウダンツツジも多い。紅葉の時期もすばらしいに違いない。

 ヤセ尾根から、左手に切り立った岩壁が見える。この山は岩山であり、西尾根の北側は断崖絶壁が多いことが地図を見ても分かる。アセビやソヨゴの自生するヤブに近い下りにはテープが付けられていた。鞍部から登り返してイワカガミの群落や巨大な絶壁を見下ろしながら、岩の多いなだらかなピークを歩く。三角点のような石柱が埋まっていた。

 展望のよいテラスから南の景色を眺め、鞍部から山頂に向けて最後の登りにかかる。この登りは急斜面で登りがいがある。振り向けば、歩いてきた山々が連なる。565mピークがかなり遠くに望めた。傾斜が無くなれば、山頂までは近い。左に巨大な大岩。その下に人が潜り込めるほどの隙間がある。この岩屋のスケールはなかなかない。納古山山頂近くにこんな名所があるとは思わなかった。

 大岩の横を急登して、山頂の西側に出た。約2時間半かかった。納古山ロングコース。山頂から今歩いてきた尾根を見ることができる。いくつものピークが重なり合っている。どの辺りから歩いてきたのかカッペさんに教えていただいた。山頂はいつものように何人かの登山者で賑わっていた。

 いつもこの山に登っておられると思われる男性から、納古山の地図や写真が綴じてあるアルバムを見せてもらう。今日、歩いた西尾根コースもちゃんと地図に記載されていた。また、納古山に咲く花の写真の中には、コース途中で見たイワカガミもあった。セッコクの写真もあったが、今では盗掘されて見られないそうで、残念な話しである。

 霞んで御嶽山は見られなかったが、周囲の山々の展望がすばらしく、方位版を見ながら、あれこれと山の同定。展望を楽しんだら、登山者の邪魔にならないように、西の岩場に移動してランチ。今回も、料理人多数で、数え切れないほどの食材が回ってきた。誰が何を持ってきていただいたのか分からないほど。思い出せるものとして、牛の焼肉、豚の焼肉、猪の焼肉、エイのひれ、カツオの角煮、トビウオの丸干し、フカヒレ雑炊、煮込みうどん、ブロッコリーのサラダ、おこわ、燻製(砂肝・鯖・チキン・チーズ)、卵焼き、たい焼き、チョコレート、マンゴー、クッキー、コーヒー・・・

 山頂でのランチが、なぜこんなふうに2時間もかけて豪華料理を楽しむようになったのか、そのルーツが話題となった。我々も当初から、山頂ではコンロで暖かいものを食べていたが、ラーメンかレトルトカレー程度。メニューの幅が広がったのは、やはりカッペさんと葵のMさんに出会った2001年の母袋烏帽子がきっかけだと思われる。まさか山頂で魚をあぶるとは、思いもしなかった光景で強烈な印象が残っている。その時、お二人が言われた言葉は忘れることができない。「せっかく登った山だから、山頂ではゆっくり楽しまないと」 超フルコースで食べ過ぎのランチのあと、山頂に戻って記念写真。いつの間にか、顔を出した太陽の下の山頂は暖かい。

 帰路は、通常コースの納古口に下る。登ってきた大岩の横を下り、左へ。すぐに右への分岐がある。右へは「美濃加茂三和町納古口」とある。直進すれば、初級または中級コースを経て七宗町へ下る。今回は、右へ。すぐに穴の開いた岩があり、向こう側の人を覗けるのがおもしろい。庭園風の赤松の岩尾根を歩く。ここの左手にも、切り立った岩の崖が見えた。

 緩やかに下って、稜線を離れ、松林の急斜面を下る。一気に谷まで急降下。「納古口 三和町上川浦」の表示やテープなどがあり、道を間違えるようなことはない。10分弱、滑るように下って、ツバキなどの常緑樹が多い、涸れた谷に入る。石が多く、足下に注意。テープも賑やかになってきた。谷といっても傾斜はかなりあり、細い幹の常緑広葉樹が荒く自生する、独特の雰囲気がある場所だ。

 谷に水が現れ、幾度か渡り返す。谷には所々にホオの木があり、ホウ葉が一面に散って谷を埋め尽くしている様は、まるで雪が積もったように白く輝き、実に美しい。谷を10分ほど下って、杉林に入る。傾斜もゆるやかになってきた。ミヤマシキミの赤い実が美しい。杉林を10分ほど下って、谷川を渡るところで休憩。この辺りの斜面は軟弱なようで、スギの幼木が倒れていた。

 ここからすぐに納古山林道に合流。左折して、川沿いに林道を下った。途中、川の中に大岩があり、対岸の看板には「かぶと岩と源氏の駒塚」と書かれていた。林道を10分歩いて、行きに車をUターンさせた駐車スペースを通って、すぐに駐車地点に到着。帰りは、1時間ちょっとで到着することができた。

 このコースの登りは、まさに納古山のバリエーションコース。アンテナから稜線までの10分ほどは道が無いが、後は稜線歩き。稜線はほぼ真っ直ぐで、複雑な分岐はなく、道を誤るようなことはない。ただし、山奥であり、岩場や切り立った崖もあり、道も薄い。地図やコンパスなど装備は万全に。

 四季を通じて、納古山の意外な一面を見せてくれる山旅が楽しめるコースである。ご案内いただいたカッペさんをはじめ、参加された皆さん、ありがとうございました。
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