トレースマップはカシミール3Dで作成
*この地図の作成に当たっては、国土地理院長の承認を得て、同院発行の数値地図50000(地図画像)及び数値地図50mメッシュ(標高)を使用しています。(承認番号 平17総使、第654号) ※点線は推定トレース
納古山(大牧谷コース) (633m 七宗町) 2009.11.15 晴れ 3人
牧が洞林道堰堤前駐車地点(9:01)→林道終点(9:23-9:29)→中級コース合流(9:40)→クサリ場(10:14)→初級コース合流(10:20)→納古山山頂(10:27-12:17)→大牧谷コース分岐点(13:10)→駐車地点(13:46)
今月初めに八曾山にご一緒したMIZUさんと同じ町内にお住いのUさんが、八曾山に同行できなかったことから、この休みに3人で山に行くことにした。Uさんは、山歩きの経験が少なく、10年前に富士登山をした程度とお聞きした。今年、瓢ヶ岳に友人と登り、道に迷って撤退した思い出があるそうだ。「古希から始める山歩き」と、今回、再び山に挑戦することになった。
山登りに備えて準備段階からUさんと何度もメールのやり取りをした。持ち物や服装に至るまで詳細にチェック。いずれにしても、一度一緒に山に登ってみないことには分からない。比較的、短時間で登れる山をいくつか候補に挙げて当日を待った。ところが、今回も天気が怪しい。当初計画では揖斐方面の山を予定していたが、冬型の気圧配置になったことから、急遽行先を変更して初心者向けの人気の低山である納古山に登ることにした。我々のレポートにない「大牧谷コース」を選んだ。大牧谷は納古山の南にある谷で、谷沿いの牧が洞林道に登山口がある。「可児からの山歩きさん」のレポートを参考にさせてもらった。
Uさんを乗せて、美濃加茂まで裏道を走り、国道41号線に出て北上。登山口へはJR高山線の下麻生駅を過ぎて、国道が東に向きを変えた辺りの歩道橋がある小さな交差点を左折する。スピードが出ているので通り過ぎてしまいそうだが、歩道橋が目印となる。なお、この手前の川辺北小学校前の交差点にも歩道橋があるので、二つ目の歩道橋を左折することになる。細い道に左折するとすぐにJRの踏切を渡る。正面には神社の鳥居が見え、突き当りとなるので、ここを右折。学校(廃校)を左に道なりに東へ走るとすぐに突き当たりの三叉路となり、ここに納古山の案内絵地図がある。大牧谷へはこの交差点を山側へ左折する。登山口まで2kmの表示があった。
山に入るとすぐに地道になり、後は、一本道。谷沿いの狭い道で、対向車がないことを祈りながらゆっくりと走る。色づいた落ち葉が散る林道は、一部、轍の深いところもあるが、ゆっくり走れば普通車でも通行できそうだ。5分ほど走ると大きな堰堤が現れ、この前の小広場が駐車場所となる。林道入口付近の空き地に止めて歩いても、駐車地点まで20分ほどの距離である。この堰堤から折り返すように林道が続いているが、道は荒れているので普通車の通行は難しい。なお、駐車地点にはトイレがないので、41号線を七宗町まで行き、道の駅に寄るのがいい。距離はわずかである。
堰堤前で車の向きを変えて駐車。他の登山者はいない。ここから登る人は少ないようだ。堰堤付近には剪定した庭木の残さが投棄されており、シュロやアオキなどが芽生えていた。堰堤から流れ落ちる滝を見ながら靴を履き替える。Uさんは、富士山に登った時の靴を履くつもりだったが、10年も前の靴は壊れるといけないとの友人の助言により、今日のためにトレッキングシューズを新調されたとのこと。瓢ヶ岳へはスニーカーだったそうだ。我々が持ってきたザックや靴、ウエアーなどの山の道具を見ていただいて、堰堤を後に出発。まずは林道歩き。
林道は人工林の中で、GPSが電波を捕捉していない。頭上の木々の隙間から、わずかに青空が見える。マムシグサが真っ赤な実をつけ、花芽を膨らませたショウジョウバカマが見られる。「HPのレポートがどのように書かれるのかを確かめることも、今日の楽しみの1つです。」とUさん。ロングコースの山歩きでは、ICレコーダーを利用しているが、今回は写真と記憶だけ。いつものように最後尾で写真を撮りながら歩く。左に谷を見ながら20分ほど歩くと、前方に四輪駆動の軽自動車が見えた。こういう車ならここまで上がってこられるようだ。
ここが林道の終点。大きな木柱には「納古山登山道入口 山頂まで1200m 標高320m」の標示。暑いのでここでシャツを脱いでTシャツ一枚に。ホオノキの葉が地面に散っており、紫色の美しい実をたくさんつけたムラサキシキブが見られた。5分ほど休んで山道に入る。濡れた赤土の滑りやすい斜面を歩く。人工林の中ではあるが、クロモジなどの潅木が黄色に紅葉して美しい。正面から林の中に陽が差し込む。ジグザグ道になり、すぐに尾根に出た。鳥獣保護区の赤い看板と木柱の案内があり、道は直進している。右の尾根へもはっきりした道が上がっており、50mほど先に標示板のようなものも見える。ここは直進する。
道は左山で等高線に沿ってつけられている。林床には朝陽がこぼれ落ちて、ミヤマシキミの真っ赤な果実が目を引く。クロモジの黄葉やコシアブラの幼木の色が抜けた白葉が美しい。小さな谷を渡り、山頂まで950mの標示柱を通過。掘り割れた道を登りつめると、前方から登ってくる大勢の登山者に遭遇。木和谷中級コースとの合流点である。ここからは何度も登ったルート。登山者の列に交じって、天然林の急斜面に取り付く。
シロモジの紅葉が最盛期で、黄色くなった木々が目につく。先ほどの人工林とはまるで異なる雰囲気だ。道は木の根の尾根となり、すぐに最初の岩場が現れる。難なくこなして岩の上に出ると、南側180度の展望が得られる。ここで小休止。次々と登ってきた登山者で狭い岩の上は大混雑。ゆっくりできずにすぐに出発。急斜面を登ると傾斜は緩やかになり、右に谷を挟んで岩の尾根が見える。「シャクナゲ→」のプレートがあったが、付近を探してもシャクナゲを見つけられなかった。対面する尾根にあるのだろうか?
再び急斜面をこなし、展望地を通過。道は水平になり、紅葉したドウダンツツジの間を抜ける。まるで生垣のように自生しているのがすばらしい。紅葉もちょうどいい時期だった。この先で少し下ると、正面に2つ目の岩場が現れた。らくえぬのコンタクトレンズがずれて岩の下で小休止。岩場にはクサリがかけられており、渋滞となっている。渋滞が解消したのを見計らって岩に取り付く。クサリ場を三点支持で登る。足を置く場所にオレンジ色のペンキが塗られていて、登りやすい。岩場から、再び急な斜面を登ると数分で初級コースの道に突き当たった。
右に瀬戸物の小さなお地蔵様を見ながら、水平に歩くと、正面に山が迫ってくる。昔は、真っ直ぐに斜面に取り付いて山頂に登ったが、現在はロープで通行止めとなっている。右山で山頂直下をトラバースして、納古口コースの標示から右折してひと登りで青空の山頂に到着。
いきなりの360度の大展望に、何度来ても感動する山頂である。いつものように大勢の登山者でいっぱい。雲が多く、御嶽山など北の山々を見ることができなかったが、恵那山などが望めた。蛇行する飛騨川が白く輝く。岐阜市方向の重なる山並みが美しく、遠くに金華山の三角形が確認できた。ひととおり展望を楽しんだら、標示板の前で記念撮影。
冬型で、時折、強い西風が吹くので、東斜面に移動して昼食場所を確保。シートを引いて3人で昼食にする。今回は、海鮮ナベ。ナベを作りながら、ビ−ルとノンアルコールビールで乾杯。「こんなところで魚スキが食べられるとは思わなかった」とUさん。3人でいろいろな話をしながらナベをつついた。ナベの後は、パックご飯を入れて雑炊に。締めくくりは、いつものようにコーヒーを沸かす。コーヒーの友にアンマンを蒸かした。時折、黒い雲が流れてきたが、雨が降ることもなく、日が差せば暖かい。時間は十分にあるので山頂でのんびりとした。
2時間ほど、山頂に滞在して、帰路は登ってきた道のすぐ西にある急斜面を下って、屏風のような大岩とその下にある洞窟を見学。その後、納古口コースに少し踏み込んで穴のある岩を見学し、その先の納古山の隠れた展望地であるベンチで展望を楽しむ。単独男性がこのベンチで昼食中だった。この付近のドウダンツツジもきれいに紅葉している。
帰路は登ってきた道を下る。大牧谷コースの分岐点には「下麻生大牧谷方面へ」の大きな標示柱があり、ここを右折。人工林をトラバースして尾根へ。往路で見つけた標示を確認するため、50mほど南へ登ってみたが、森林関連の標示だった。さらに道が続いており、南へ登れば462mピークに到達するものと思われた。
人工林の斜面を下り、林道を歩く。秋の日差しが紅葉の木々に当たり美しい。秋の山はほんとうにきれいだ。堰堤前の駐車地点に戻ると、我々の車の横にもう1台が停まっていた。今日、納古山に登った人はおそらく50人以上いると思われたが、このコースを登る人は極めて少ない。帰路、「昭和の湯」に寄って汗を流した。
後日、Uさんからメールが届いた。「今回ご一緒できたことで、山歩きの楽しさを本当の意味で分かったような気がします。この歳になるまでには、延べにすればずいぶん登ったつもりですが、開眼とでも言えるような心境です。山歩きの楽しさを教えていただき有難うございました。」 Uさんは「初心者です」と言われたが、日頃からトレーニングをしてみえることもあり、バテることなくいいペースで登られた。今後の山歩きが楽しみだ。
★納古山からの展望
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