能郷白山の花と地図を見る
能郷白山 【温見峠から】 (1617m 本巣市) 2005.6.26 晴れ・曇り 7人

温見峠(8:39)→第一ピーク(10:19-10:24)→第2ピーク・崩壊地(10:41)→山頂・三角点(11:00-11:07)→神社(11:16)→西南尾根・昼食(11:30-12:29)→神社(12:44)→山頂・三角点(12:51)→第一ピーク(13:27)→温見峠(14:11)

<参加者> せきすいさん、白影さん、KAZUさん、YUKAさん、Iさん、RAKU、らくえぬ

 この休みもカラ梅雨で天気は良さそうなので、2週続けてになるが山に行くことにした。いろいろな山を候補に上げたが、荒島岳に登った後は、やはり能郷白山に登るのが礼儀。前日に、能郷白山に登ることに決めた。この選択が思わぬ偶然をもたらすことになるとは・・・。

 能郷白山へは以前、能郷谷からの正面ルートを登ったが、今回は温見峠から登ることにした。裏口から登るようなルートであり、2時間程度の歩きで山頂に立てる。一度は登っておかなければならないコースである。

 この登山口となる温見峠は福井県境にあり、冬季閉鎖の国道157号線が唯一の道である。狭い国道は転落事故も多く、難所で知られている。国道157号線を北上。能郷集落で一旦国道を左折してすぐの所にある、能郷狂言で有名な白山神社のトイレに寄る。トイレの隣に「ノウゴウイチゴ発見の地」の石碑があった。今日はノウゴウイチゴに出会えるだろうか。

 三叉路まで戻り、いよいよ温見峠を目指して初めての道に入る。狭い道であり、カーブミラーに注意しながら慎重にハンドルを握った。右手は倉見渓谷。ガードレールも少なく、樹木で谷底は見えないが、国道はすっぱりと切れ落ちた崖に付けられている。転落事故現場の看板が2・3箇所にあり、花束が備えられている所もあった。現在、温見峠までの通行は可能であるが、福井県への通り抜けは出来ないらしく、至る所に注意看板が掲げられている。

 黒津のダムを過ぎるが道は平坦で一向に高度が上がらない。越波への分岐を右に見ながら黒津の集落を通過。所々に釣り人の車が停まってる。根尾西谷川に沿って進む。トリアシショウマの白い花を見ながらいくつかの水の流れを渡り、前の車に追いついた。4台ほどが連なった。皆、能郷白山の登山者のようだ。

 大河原の広い川原を右に見ながらようやく登りにかかる。比較的広い道をジグザグと登っていく。ブナが美しい。ガマズミであろうか、山肌を埋める白い花に感動していると、いきなり前の車が停車。左側一列に車が10台以上停車している。ここが温見峠らしい。冠峠への道のようなイメージであったが、以外に登りがなかった。しかし、白山神社からの距離は22km。

 峠付近の道幅は広く、峠手前のカーブ付近の路肩に車を寄せて停めた。大勢の登山者で賑わっている。峠の登山口を確かめようと道路を登った。車列の間で靴を履き替えている男性が目に入った。大きなサングラスと帽子で顔が分からなかったが、もしかしてこの雰囲気は・・・思わず立ち止まった。すぐに互いに誰であるかが分かった。相互リンクしている白影さんである。共にびっくり。

 白影さんからさらに驚くべき言葉が! 「あそこにせきすいさんがいますよ」 今、前を歩いてきたのに気が付かなかった。戻ってせきすいさんにご挨拶。せきすいさんは前回の山歩きでもkuさんに遭遇しており、「最近、山が狭くなったね」とびっくり。「今日は、飯盛山などを一緒に登ったIさんや岐阜県の山のガイド本の著者である堀井さんにも出会いましたよ」とのこと。この伏線が後にさらに驚きの事態に発展することになる。

 聞けば、今回のオフ会はせきすいさんが冠山で知り合ったいなべ市のYUKAさん、Iさんカップルの山歩き再開を祝して白影さんが企画されたもの。そこにこれまた相互リンクしているASAKOさんのご主人のKAZUさんが参加。KAZUさんとは綿向山以来、半年ぶりの再会。

 YUKAさんとIさんを紹介していただき、ご一緒させていただくことにした。思わぬオフ会になってしまった。昨年、御嶽山山頂で偶然に1800年隊の皆さんとお会いしたことはあるが、登山口で偶然に相互リンクしている皆さんに出会ったのは初めて。数ある山の中で、この確率は極めて低い。せきすいさんからIさんと堀井さんを紹介してもらった。お二人は登山教室のインストラクターとして大勢の生徒さんを連れての登山である。

 温見峠はゲートで仕切られて通行止めになっていたが、なぜか福井県側に3台ほどの車が停まっていた。どうやら、向こう側からも登ってこられるようだ。登山口は左手。土手を上ってブナの美しい天然林に入る。バイカオウレンやナルコユリ、エンレイソウが広い登山道の脇を飾る。林床にはギンリョウソウがいくつか見られた。

 皆さんには久しぶりの再会でいろいろな話をしながら歩く。いつの間にか傾斜が増し、話しながら登るのも息が切れてきた。昨日、遅くまで同じ町内の同級生の家で酒をのんでいたこともあり、二日酔いで頭が痛い。

 急登が続く。KAZUさんが遅れ気味。睡眠不足らしく、KAZUさんは「今日は山頂まで行けないかも。」との言葉に、「急登ははじめの1時間だけ」とせきすいさん。KAZUさんのペースで休みながら登ることに。二日酔いにはちょうどいいペース。KAZUさんに感謝。

 Iさん率いる登山教室のパーティーに追いつかれた。Iさん、飯盛山・・・ひょっとして・・・「前にメールをやりとりしたIさんですか?」 尋ねてびっくり。以前、我々のHPを見て何度かメールをいただいた山のベテランのIさんだった。雪の飯盛山もIさんに教えてもらい登った。今日はなんと偶然が重なることか。とにかくびっくり。

 歩き始めて30分ほどで、尾根から右に回り込み左山で歩く。タニギキョウが可憐な花を咲かせている。実に質素な小さな白い花であるが、この花が好きだ。満開のサラサドウダンを頭上に見て、ロープ付きの崖を登って尾根に戻り、展望のいいテラスで10分ほど休憩。「後ろに見える山がこの先、下に見えますよ」とせきすいさん。今日は残念ながら霞んで遠くの山は見えないが、周囲は山ばかり。山奥に来ていることを実感。

 岩場を登り、古い森林作業用のワイヤーを踏んで、ぐんぐん高度を稼ぐ。背丈の低い潅木が多くなりコバイケイソウやオオバユキザサ、カラマツソウの草花を見ながら疲れを癒す。二日酔いも次第にさめてきた。白いふんわりとした花はサワフタギとせきすいさんに教えてもらった。白影さん先頭に、YUKAさん・Iさんは快調に登っていく。KAZUさんは相変わらず苦しそう。

 歩き始めて1時間たったが、ゆっくりペースでまだピークに着かない。ウグイスの声に励まされて一歩一歩の登り。右から上がってくる尾根が見えた。ピークは近そうだ。いつしか後方の山は眼下に。草つきの斜面を登る。ササが現れた。大きなナルコユリ(アマドコロかな?)もちらほら。ここで休憩して、KAZUさんを待つ。

 事前に虫が多いという話しを聞いていたが、防虫剤が効いたのかそれほどでもなかった。大きな白い花のヤグルマソウを見ながら背丈ほどのササの中の草付きの道を登ってなだらかになる。ここら辺りがピークのようだ。ここでも休憩。ここから一旦下って、湿った樹林帯を抜ける。前方には峰が重なり合う。山頂はまだかなり先。「まだあんなに遠いの」とKAZUさん。

 サンカヨウがたくさんある。ほとんどが実を付けているが、まだ花を咲かせている株があったのには驚いた。シダのある地面を這うように横たわる木々を跨ぎながら歩く。実に気持ちのいい道である。ユキザサがたくさん花を咲かせている。大柄なユキザサなのでオオバユキザサであろう。ここで不思議なことに気が付いた。緑色の花と白色の花のユキザサがある。混ざって群生している。「咲いたときは白でしだいに緑色になるのかな」とせきすいさん。確かにそんなふうにも見えるが、白いままで枯れている株もある。

 帰って調べてみると、ユキザサにもいろいろ種類があるようで、種類や呼び名はバラバラ。確定はできないがあるサイトに記されていた分類として、小型のものが一般のユキザサ。大型のもので白花がオオバユキザサ(別名ヤマトユキザサ)、大型で緑花のものがミドリユキザサ又はヒロハユキザサだそうだ。この緑色のユキザサはミドリユキザサとしておこう。

 ノウゴウイチゴは既に実になっていた。エゾハルゼミの声を聞きながら左側が崖になった展望のよい場所に出る。一息ついで少し下ってササの尾根歩き。山頂まで400mの表示。前方にはいよいよ能郷白山が大きく横たわる。最後の登りだ。ササの道が真っ直ぐに続いている。左手には谷筋が見下ろせた。

 ここの登りはそれほどでもない。展望のいい切り立った尾根筋を通過し、すぐに山頂。一等三角点が大きい。5年ぶりの山頂である。あいかわらずササに囲まれて展望はない。KAZUさんも山頂に着けてよかった。「いつものASAKOの気持ちが分かる」とKAZUさん。白影さんのカメラと2台で記念写真を撮って、西にある神社に向かう。草原を少し下って登り返す。草原にはショウジョウバカマやコイワカガミがピンクノ花を咲かせていた。

 5年前の連休に登ったときには神社まで雪に覆われ、現れ始めた地面にはザゼンソウがたくさんの花を咲かせていたのを思い出した。草の中にザゼンソウの大きな葉がみられ、なんとまだ花が残っているものもある。神社への道の周辺にはコバイケイソウの白い花がたくさんある。登山教室のIさんによるとコバイケイソウは3年ごとにたくさんの花をつけるそうで、今年は当たり年。「100万本のコバイケイソウが見られます」とのキャッチフレーズも間違ってはいない。神社からさらに西に下った辺りのコバイケイソウの群落はすばらしいとのことで、そこまで下ってみることにした。

 西南尾根の下りは尾根を境に北側はササ、南側は草原。草原にはコバイケイソウやイブキトラノオ、咲き始めたたくさんのニッコウキスゲが見られた。中にはコバイケイソウの仲間で緑色の花も見られた。タカネアオヤギソウであろうか。

 気持ちのいい草原を下る。前方には磯倉の尖った山容がすばらしい。左手には堂々と前山が鎮座する。能郷谷コースはこの山を越えてくる。5年前、前山から見た雪のモザイク模様の能郷白山の姿は忘れることができない。その感動は今まで山で体験した感動のベスト10に入る。

 ササに覆われているが道はしっかりしている。かなり下って次第にササの背丈が高くなり道も怪しくなり始めた。赤テープがありそれを追う。しかしついにテープも無くなり、道も消えた。深いササで視界は無い。先導のせきすいさんがヤブを抜けたらしく、「こっちこっち」と声がするのでそちらに向かうが濃いヤブでなかなか進まない。

 何とか脱出。ヤブの先の草原では登山教室の皆さんが昼食中。我々も、花を踏まないように草原で昼食にした。周りをコバイケイソウに囲まれてのランチは初めて。今回は2人だけの山歩きだと思っていたので、山頂宴会用メニューは用意してこなかった。皆さんからいろいなものを頂いた。白影さんのよく冷えたジュースに始まりせきすいさんのほう葉寿司やパイン、YUKAさん達からチェリーやヨモギ餅など、おじゃまして申し訳ない気分。

 ここでもIさんと山談義。来週は目の前に見える磯倉へ登るという。ルートなどを教えてもらう。ベテランでないとむずかしそうな山のようだ。いつかは登ってみたい山のリストに入れておこう。

 ランチの後、登山教室のパーティーの後を追ってヤブを抜けて神社に戻った。神社周辺は大勢の登山者で賑わっていた。三角点から温見峠に向けて登ってきた道を下った。帰路、展望のよい尾根歩きは行きとは違った新鮮な感じ。急斜面も落石に注意しながらゆっくり下った。全員無事下山。思わぬ出会いにほんとうに楽しい山歩きとなった。ご一緒いただいた皆さんに感謝。

 このコースは能郷谷のコースと比較され、あまりいい評判は聞かないが、今回歩いてみてなかなかいいコースだと思った。ますます能郷白山のファンになった。温見峠までのドライブもそれほど悪路ではなく、普通車で問題はない。今度は紅葉の時期に登ってみたいものだ。

 白影さんと一緒に登って、今回こそあのユニークなレポートが書ける白影さんの一面に会えることを期待したが、残念ながら今回も真面目でした。(^^) このお楽しみは次回に!

 *せきすいさんと白影さんのHPもごらんください。リンクのページからどうぞ。
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