トレースマップ (カシミール3Dで作成)
*この地図の作成に当たっては、国土地理院長の承認を得て、同院発行の数値地図50000(地図画像)及び数値地図50mメッシュ(標高)を使用しています。(承認番号 平17総使、第654号)

如来ヶ岳 (276m 岐阜市) 2007.1.13 晴れ 2人

扇町墓地(10:05)→109番鉄塔(10:10)→110番鉄塔(10:26-10:29)→鉄塔巡視路から山頂への分岐点(10:41)→如来ヶ岳山頂(10:44-10:56)→112番鉄塔(11:32-11:39)→谷川(11:44)→111番鉄塔(12:00-12:55)→山頂への分岐点(13:02)→神社への分岐点(13:09)→110番鉄塔(13:18-13:22)→109番鉄塔(13:34)→墓地(13:37)

 如来ヶ岳は岐阜市と山県市の境に位置する低山であり、一等三角点を持つ山としてガイドブックにも紹介されている。近場であり、いつでも登れると思いながら、なかなか登れなかったが、この休日、限られた時間の中で、如来ヶ岳に登ることにした。

 ガイドブックに掲載されている登山ルートは南の八幡神社が起点となっているが、「奥美濃山歩」さんや「syunの山日記」さんのHPによると、如来ヶ岳の北東に位置する扇町の墓地から鉄塔巡視路を歩くコースが紹介されている。この鉄塔巡視路は山を縦断して彦坂トンネル辺りまで抜けているとの情報もあり、今回は北から南まで縦断して往復する計画を立てた。山頂からの西南尾根を下りれば南の登山口に出ることができると考えた。ところが、今回もこの思い込みが思わぬ結果を招くことになる・・・。

 眉山を左に見ながら、高富街道のバイパスを北上し、高富トンネルを抜けた次の信号機を左折。南側に団地があり、信号交差点から2つ目の団地へ入る道を左折すると、すぐ西側に墓地がある。10台ほど停められる墓地駐車場の一番奥に車を停めた。帰りに気が付いたが、墓地の入口には「墓地関係者以外の駐車お断り」の表示があった。(無断で停めてすみませんでした。)

 静かな住宅街を後に、墓地の奥に見える鉄塔に向かって歩く。墓地を抜けて、山道になる。テープが登山口であることを示している。すぐに鉄塔へ。鉄塔番号は109番。この先に、次の鉄塔が見える。109番鉄塔からやや下って左にヒノキの植林を見ながら緩やかに登っていく。左へ道が派生しているが直進する。尾根は次第に南へ寄り、ウラジロのある潅木地帯を抜ける頃には、高圧線は頭上右に移動している。

 左山で暗いヒノキの樹林帯に入る。ヒノキの枯葉が散らばった地面には所々にショウジョウバカマの葉が見られた。尾根に出ると、左へも道があったが、これはすぐに行き止まり。下山時、尾根を直進しないよう、「扇町方面下山路」と書かれた白い布が付けられていた。

 すぐに開けた場所に出る。110番鉄塔の切り開きである。20mほど北の鉄塔下からは、北に片知山から瓢ヶ岳への稜線、手前には天王山や誕生山、遠くに御嶽山が微かに望めた。笠置山が美しいシルエットを作っている。見下ろせば、旧高富町の市街地が広がる。山県市役所が大きい。

 この鉄塔からの高圧線は、南に見える尾根の111番鉄塔へ延びている。下りに使う尾根は、ここからは見えないもう1つ向こうの、112番鉄塔の予定。今、見える111番鉄塔は通らないつもりだった・・・が・・・。

 ウラジロの自生する潅木の尾根を歩く。サカキなど常緑樹も多い。斜面は急になり、左に折れるように歩いて、暗いヒノキの樹林帯に入る。この辺りに、神社へ下る道があることを、帰路気がついた。木に巻かれたいくつかの赤いテープがあり、地面に打たれた板切れに神社方面と書いてある。南に踏み込むと急斜面を細い道がコシダの中に消えていた。

 ヒノキ林は倒木が多く、荒れている。松食い虫で枯れたアカマツも多い。ヒノキ林を抜けて、常緑樹の多い尾根を少し登ると、三叉路に出た。左へはしっかりした道が下っている。人為的かどうか分からないが、左の道に丸木が横たえられており、右へ行くような印に思えた。左への道は、先ほど見えた111番鉄塔に続く道であることは予想できたが、2時間20分後に、南からここへ登ってくるとは、これまた思いもしなかった。

 小さなプレートの表示に従って、山頂は右へ。鉄塔巡視路から外れるため、道が薄くなるが、ヤブというほどでもない。倒木に手を焼きながら、少し下って一登りで開けた場所に出た。大きな三角点と一等三角点と書かれた白い木柱。如来ヶ岳山頂である。2枚のプレートがかかっており、潅木の中で展望はない。それでも、東側と西側の僅かな隙間から下界が望めた。西側から採石場の大きな音が聞こえてきた。

 山頂から派生する尾根は、今登ってきた東尾根の他に、北と南西への尾根がある。北尾根を50mほど踏み込んでみた。道らしき痕跡があり、どんどん下って行けそうな気がした。今日の計画は、山頂から南西尾根を下り、鉄塔を通過して、南の登山口を確認し、同じ道を再び山頂まで戻るというもの。南西尾根を見下ろすと、踏み跡は微かで、ヤブ状態。それでも、新しい赤いビニルテープが付けられている。

 迷うことなく、ヤブに突入。道跡は確かにある。倒木をまたぎ、くぐり、テープを追う。手に負えないようなヤブではないが、下るうちに、もう一度これを登り返すのかと思うと憂鬱になる。道跡は消えたり現れたり。とても道と言えるものではない。10分ほど下ると、ヤブが開けて、眼下に巨大な採石場が姿を現す。切り立った崖ではないが、この高度感に足がすくむ。ミニチュアカーのように大型ダンプが行き来するのが見えた。

 北風が冷たい。目を上げれば、採石場の向こうに美濃の山々が大パノラマ。北には釜ヶ谷山が目立つ。年末に歩いた高洞への鉄塔が並ぶ。舟伏山がいつもの形を見せる。一際白い山が頭を出している。右が大白木山、左が岩岳のようだ。遠くの山々は雪雲に包まれているが、西には、池田山と小島山の間に、国見岳や虎子山、鎗ヶ先が見えた。

 こんなヤブがどこまで続くのか。崖を離れてやや左に向きを変え、コシダのヤブ尾根を、GPSと地図を見比べながら、先の小さな赤テープを探す。再び白いタフロープが張られた採石場の崖に出た。崖から落ちないように歩いて、鉄条網の柵を見ながら、コシダの急斜面を下る。赤テープが消えたが、尾根を鉄塔に向かって下っていることは確か。サルトリイバラに足を引っかけて苦戦し、ここをもう一度登り返そうという気力は消えかけていた。

 道が比較的明瞭になり、GPSで鉄塔が近いことを確認しながら下っていくと、辺りが開けて前方に銀色の鉄塔が現れた。切り開かれた陽当たりのいい場所では、ブッシュが激しい。小枝をかき分け、山頂から30分で鉄塔に出た。112番鉄塔である。東の尾根には111番鉄塔が見える。水を飲んで、一息。目の前に、眉山が望めた。

 ここで作戦会議。彦坂トンネルへの車道までは5分もかからない場所にいる。とても今の尾根を登り返す気にはならなかったため、車道まで下りて、八幡神社まで歩き、登り返すこととした。ところが、鉄塔すぐ下で、巡視路表示と分岐点。真っ直ぐ下れば、車道の向こうの113鉄塔。左は111番鉄塔へ。ということは、すぐ東の尾根の111番鉄塔までは、確実に巡視路が続いている。その先も道がありそうだ。

 作戦を変更して、111番鉄塔を目指すこととし、左への斜面を下った。斜面の道は落ち葉に埋もれて、ジグザグと下っている。踏み跡は薄い。鉄塔と反対方向に下りていくので、心配になったが、道なりに下りると、竹の自生する谷となり、その先で谷川に突き当たった。巡視路の黄色いプレートがあった。111番の表示に従って、左折して谷に沿って登ることにした。この分岐点から南に下っても登山口がありそうだ。

 水の流れる音を聞きながら、杉林の中、金網の張られた丸木橋を渡り左岸へ。水が消える頃、再び谷を渡り返して、左山で登る。木製の階段が所々に現れる。1輪のスミレがひっそりと咲いていた。登山道は次第に急傾斜になり、再び谷を右に渡って、急斜面に張り付いて谷を離れ、岩場を抜けると、目の前に111番鉄塔が現れた。

 111番鉄塔からの展望もすばらしい。住宅の海の上に、百々ヶ峰や眉山の黒い島が浮かぶ。眉山に金華山が重なっているのがおもしろい。南には、産廃の不法投棄で問題となっている削られた山肌が見える。登りで通過した110番鉄塔が谷を隔ててよく見える。この谷に八幡神社があることになる。

 ジャスト12時。鉄塔下の日溜まりでラーメンを作った。山食の原点は、やっぱりラーメンかな。食事をしているうちに、恵那山が見えるようになった。風もなく暖かい。市街地を見下ろしながら、いつものように1時間のランチを楽しんだ。

 ここから、2・3の小さな起伏を通過して、数分で山頂手前の三叉路に出た。2時間20分前に通過した地点である。ここの東側の急斜面のヤブの中に、黄色いテープがあった。八幡神社からヤブの中をここへ直登してきた人がいるようだ。往路の道に合流し、墓地まで下った。

 南の登山口を確認するために、彦坂トンネル近くまで車で行ってみる。採石場に入る道のすぐ東に、鉄塔巡視路の表示があったので、空荷で登ってみると5分ほどで112番鉄塔に着いた。これで道が繋がった。この後、先ほどの道を竹藪の谷まで下りて、111番鉄塔とは逆方向に、南に歩いてみた。ところが、道はすぐに薄くなり、ササをかき分けた。古いテープが続く。おまけに足下はぬかるみ状態。しまった! 山靴を履き替えるんじゃなかった。抜き足差し足で、何とか車道に出た。出た地点は、鉄塔表示のある登山口より東へ50mほどのところ。この入口は一見、林道に見えるが、川のような状態の場所である。

 思い違いが実に変化に富んだ山歩きとなった。鉄塔巡視路はこの山の北東から南西まで抜けており、ハイキング気分で山を縦断できる。南側から登るのであれば、鉄塔巡視路を利用して、112番鉄塔まで登り、鉄塔手前から薄い道を一旦谷に下って、谷沿いに111番鉄塔を目指す。

 畜産センターに車を停めて、八幡神社からのコースと組み合わせて周遊するのもいい。金華山や百々ヶ峰とはひと味違った静かな山旅が楽しめる。
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