大白木山
大白木山  (1234m 根尾村) 2003.5.17 曇り 2人→7人

折越峠登山口(9:12)→根上がりヒノキ(9:54)→29番鉄塔(10:02)→28番鉄塔(10:18)→27番鉄塔(10:42)→大白木山山頂(10:58-13:33)→28番鉄塔(13:58)→29番鉄塔(14:09-14:20)→折越峠登山口(14:54)

山頂での合流メンバー:いかわさん、Mさん、SWさん、Sさんご夫妻

 この週末の天気が悪いと思っていたら、以外によさそう。それなら山へ行こう。前日の夜中に掲示板「クーの山小屋」を覗くと、常連のいかわさん達は根尾村の大白木山に登るという。よっせーさんのレポートを見ると、この時期は花がたくさんあるようだ。登ってみたい山だったので即決定。「追いかけます」と書き込んで、それからザックに荷物を詰め込んだ。

 7時半に自宅を出て、旧美山町回りで根尾村に入り、左門岳への道である上大須を目指す。根尾キャンピングパークを過ぎて上大須から左折して折越峠に通じる林道に入る。左手に駐車場ときれいなトイレが立っている三叉路が林道入り口であり分かりやすい。トイレはここを利用するといい。三叉路に越波へは全面通行止めの標識があったが、峠までは行けるだろうと考え、左折して橋を渡り、舗装された林道に入る。

 峠までは5.3km。10分ちょっとの距離である。林道はタニウツギやフジが満開で美しい。峠はカーブになっており、右手に社がある。路肩に10台ほど駐車できる。すでに数台が駐車中。登山口は峠から50mほど越波方面に下ったところの左側にある。鉄塔標識と鉄パイプの手すりが目印。

 コミスジとサカハチヨウの出迎えを受けた。林道の法面を駆け上がる急坂を手すりにつかまって登る。すぐに尾根に出て、林道を右眼下に見ながら南に歩く。ツクバネウツギの白い花が見られた。林道の崖っぷち上部に付けられた道は今にもえぐり取られそうで足がすくむ。落ちれば林道まで真っ逆さま。危険防止のワイヤーロープが張られている。

 道はすぐに緩やかになり、間引きされた明るい樹林帯の中を快適に歩く。花の終わったオウレンが一面に群落を作っている。風車状の実がおもしろい。チゴユリやユキザサが道の回りにたくさん見られる。しばらくして、急登が始まる。かなりの急な登りではあるが、ここにもたくさんのチゴユリが咲いていて、苦しい登りを忘れさせてくれる。

 急坂を登り切ると明るい伐採地に出る。ここから、伐採地の縁にある尾根を登ることになるが、前にも増して急坂。おまけに、小石などで滑りやすい。右側には伐採された緑の尾根とその向こうに2つの反射板と鉄塔がある平坦な稜線が見える。この2つの反射板が山頂である。

 展望と足下のチゴユリに励まされて、伐採地を登り切る。登り切ったところに、根が浮き上がった大きなヒノキがあった。展望も良く一服するのには絶好の場所である。振り返れば、越波へ続く谷と新緑の山々。西には残雪を残す能郷白山。北にはピラミダルな屏風山が美しい。登山道の脇にはウラジロヨウラクが薄紅色で下を向いている。左に上大須ダムを見ながら歩けば、すぐに29番鉄塔に着く。

 鉄塔からは東の反射板と山頂への道が分岐しており、山頂へは右に進む。ここからは一旦大きく下ってなだらかなササの道を歩く。たくさんのササのタケノコが出ており、動物が食べた跡が散見された。山頂のビールのつまみにタケノコを数本いただいた。

 28番鉄塔を右に見ながら前方の山を目指す。登山道で休息中の3名の森林組合の方に出会った。雪で倒れたスギの幼木を引き起こして麻縄で固定する作業をしてみえる。聞けば、このあたりにはクマがおり、昨日に被害を受けたスギもあったそうだ。幼木が引き削かれるとのこと。作業員の方もクマ避けの鈴をつけて作業をしてみえた。先に2パーティーが登っていると聞いた。

 下山してきた単独女性とすれ違った。その先でサンカヨウの群落発見。花の最盛期できれいな写真が撮れた。目的達成。右への谷筋にはニリンソウの群落があり、たくさんの花を咲かせていた。中に1株あったヤマエンゴグサの紫色がひときわ目立つ。27番鉄塔を通過。この辺りからも真北の屏風山がすばらしく、今歩いてきた29番鉄塔、28番鉄塔が見下ろせる。29番鉄塔の東には反射板がある。上大須ダムやダムの周囲の道も見える。左門岳に登ったときに通った道である。ダムの位置から左門岳を推定しながら、山頂への最後の登りにかかる。

 山頂へはもうひと登りあると思っていたら予想通り。プラスチックブロックの急登が待ち受けていた。一歩一歩、稜線めざして登る。最後のがんばりどころである。稜線に出ると、東から南側の展望が開け、霞んではいるが日永岳や舟伏山が確認できた。ここからは快適な尾根歩き。チゴユリやスミレが咲くササの痩せ尾根を歩く。さわやかな風が吹き実に爽快。

 ササのピークに出ると、そこに三等三角点。標高は覚えやすい1234m。貝月山と同じである。文字の消えかかった山名表示板が三角点の横に置かれ、周辺は灌木が茂り、なだらかな山頂からの展望は今1つ。展望台は山頂西の反射板下。東から北方面を望むことができる。

 反射板下でいかわさん、Mさん発見。SWさんとは初対面。3人で昼食が始まったところ。反射板下は芝生広場のようになっていて、昼食にはもってこいの場所だ。ちょっと斜面で、ストーブが傾くのが欠点。いかわさん定番のしゃぶしゃぶやキノコステーキ、それに雑炊の素を入れ忘れた雑炊をいただいた。途中で採ってきたササのタケノコを焼いてみた。根元は堅いものの中ほどの緑色の部分は食べられないことはないが、おいしいと言うほどではなかった。やはり、それなりの調理が必要のようだ。

 新緑の山々を見下ろしながらの山談義。コーヒータイムになった頃、北山でお会いしたSさんご夫妻が到着。予期しない出会いにびっくり。早朝、掲示板を見て追いかけたそうだ。一層、にぎやかになり、花の話しなどで大いに盛り上がった。左門岳や日永岳の同定の後、西の鉄塔まで歩いてみた。1・2分の距離である。25番鉄塔と青い屋根の小屋があり、灌木のヤブの中で真っ白なタムシバが満開。26番鉄塔への管理路が北へ下りていた。

 山頂に戻って、一宮の単独男性も交えての記念撮影。山頂には食べ頃のワラビがたくさん出ていた。帰路、同じ道を、全員で下った。29番鉄塔で一服。鉄塔南に咲いていたかんざしのような白い花はウワミズザクラ。いい香りがする。Sさんの話しではこの実を焼酎漬けにするとおいしいとのこと。

 伐採地の急坂を滑らないように下った。霞で、朝見えた能郷白山は見えない。それにしても、周囲の山の新緑が美しく、この時期の山歩きは展望が無くてもこの明るい緑の若葉を見るだけで山に来てよかったと思う。山頂から1時間半弱で登山口に着いた。

 天然林の中、花の多い尾根歩きが主体のこの山は、あまり人が入っておらず、自然の山を歩いたという気分になる。展望地も多く、急登はあるものの踏み跡は明瞭で比較的簡単に山頂に立てる。アプローチも悪くない。紅葉の時期や残雪期も楽しめるだろう。「お気に入りの山が1つ増えた」と、いかわさん。オウレンの咲く早春も狙い目。
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