三周ヶ岳 (1292m 坂内村) 2002.6.8 晴れ 2名
駐車場(9:08)→幽玄ノ滝(9:58)→夜叉ヶ池(10:23-10:34)→三周ヶ岳(11:38-12:42)→夜叉ヶ池(13:47-14:00)→西ピーク(14:15-14:20)→幽玄ノ滝(14:55)→駐車場(15:39)
田植えを1週間延ばしたことから、前日に思い立って、山行を決定。三周ヶ岳に決める。三周ヶ岳は夜叉ヶ池から、さらに1時間ほど北東に尾根を歩いたところにある。以前、夜叉ヶ池へは紅葉の時期に登ったが、今回は初夏の緑の中、三周ヶ岳まで足を伸ばすこととした。
国道303号線を西進し、坂内村川上から池ノ谷林道へ右折。ここから、オフロードコースを左に見ながら、駐車場まで10kmの舗装道路を走る。後半は、かなり狭い道幅となるが、急斜面もなく、やや時間はかかるが、やがて鳥居のある大きな駐車場に着く。9時にはすでに駐車場(40台程度駐車可、トイレあり)の9割ほどが埋まっている。やはり夜叉ヶ池の人気はすごい。
駐車場奥からタニウツギが満開の谷川をいくつか渡り返し、急登をこなし、ブナ林のなだらかな道を、前方に夜叉壁を見ながら進む。紅葉の時期とはちがい、緑色の山に生命の力強さを感じる。幽玄ノ滝を過ぎ、池ノ又本谷を渡る。雪渓が本来の登山道を覆っており、ロープのある急斜面の迂回路をよじ登る。サンカヨウの白い花が美しい。
タニウツギの登山道からは、天にそびえる夜叉壁と昇龍ノ滝が山水画の世界を作っている。すぐに夜叉ヶ池直下の岩壁に取りつく。このところ雨が降っていないが、斜面からは水がしみ出しており、もろい崖を慎重に登る。夜叉壁にはニッコウキスゲの黄色い花がたくさん見られた。
風にゆらぐイブキトラノオを見ながら、夜叉ヶ池へ到着。池へは寄らず、三周ヶ岳をめざし尾根を右へ登り、夜叉ヶ池を見下ろすところで一服。池の周りに登山者はそれほど多くない。駐車場の車の数の割に人が少ないのは、福井県側からの登山者が少ないのであろうか。紅葉の時期には池の周りに座るところがなかったことを思い出した。
夜叉ヶ池でカエルの合唱が始まった。池へは帰りに寄ることにして、先を急ぐ。道は夜叉壁の上に付けられ、右へ少し踏み込めば、岩壁最上部から大展望が望める。少し離れた岩の上で気持ちよさそうに休息している人もいる。霞が濃く、小津権現山が見える程度で、見通しは悪い。
ピークを越えると、突然、進行方向に目指す三周ヶ岳とその手前の大きな2つのピークが姿を現す。ササ原の向こうのピークを登るパーティーが小さく見える。山頂までは1時間以上かかりそうな距離感。
最初の大きなピークを目指し、ササに体を半分沈めて歩く。大きな岩が現れ、道は右へ回り込んでいる。岩の割れ目を登るコースもあるが、岩の上へは帰りに寄ることにして、行きは迂回路を行く。いくつかのアップダウンを繰り返す。アカモノが岩にはり付いてきれいな花を咲かせている。ウラジロヨウラクのえび茶色の大きな花も美しい。池から30分ちょっとで最も手前に見えた大きなピークに着く。360度の大展望で、最高の休息場所である。
三周ヶ岳がかなり近づいてきたが、まだ手前に大きなピークがある。あいかわらずササをかき分けて進む。ササで足下が見にくく、木の根や石につまづいて歩きにくい。池ノ谷林道を見下ろしながら、展望の良い尾根を通過し、ピークへ。真夏の暑さに喉が渇く。
ササの低い尾根は風が吹いて気持ちがいい。休息をしようと思ったが、すでに三周ヶ岳は目の前。すぐに山頂に着けそうなので、休息なしで鞍部に下り、灌木のトンネルを歩く。マイズルソウやユキザサの可憐な白い花がきれいだ。ササの中を登り返すが、なかなか山頂に着かない。すぐ着くと思っただけに、この距離が長い。そして、人の話し声が聞こえたかと思うと山頂に到着。
ササの中にぽっかりと開いた丸い山頂は狭く、先着の数パーティーがササを背に円陣を組んで昼食中。ちょうど食事を終えて下山したパーティーの場所を確保して、まずビール。夏の山のビールは最高にうまい。1時間ほど昼食を楽しむ。
立ち上がれば、周囲の山々を望むことができるが、あいかわらず霞が濃く、蕎麦粒山が見える程度。小津権現山は手前の山に隠れ、前衛峰が見えるのみ。夜叉ヶ池からここまで足を伸ばす登山者は少ないようで、狭い山頂ではあるが、山頂が人でいっぱいになるほどのことはなかった。記念写真を撮って下山。何人かの登山者とすれ違い、最初のピークでは大所帯のパーティーに出会った。藪っぽくても人気の山だ。行きに迂回した岩の上に出てみた。夜叉ヶ池方面の峰々が大展望で広がる。岩からの下りは、ちょっとしたスリルを楽しむ。登りにこのコースを選んだほうが危なくない。
夜叉壁上部のピークを下り、夜叉ヶ池へ。ヤシャゲンゴロウの産卵期であり、ロープが張られ、池に近づくことができるのは社のある北側のみとなっている。ヤシャゲンゴロウがこぜわしく泳いでいた。
せっかくだから、西側のピークまで登ることにする。西のピークの途中には、新聞報道でその存在意義が問われた監視カメラが設置されている。足場の悪い急登を、かなりバテ気味に一歩一歩登る。下山してきた登山者から、ピークからの展望の良さを聞き、がんばる。
ピークからはコバルトブルーの池とその向こうに、今歩いてきた三周ヶ岳までの縦走路が、愛用のGS645Sのファインダーにぴたりと収まる。最高のアングルである。下山時、監視カメラのところでツアーの中高年の団体さんとすれ違った。ガイドさんが汗だくで、カメラ上部の岩場を越える人と越えない人をより分け、人数を添乗員に伝えている。足を滑らせれば、谷底まで落ちてしまうような急坂では、ガイドさんも慎重にならざるを得ない。
イチモンジチョウに見送られ、池を後に急な斜面を下山した。山側から流れ落ちる谷川を渡るたびに、冷たい水で喉を潤し、顔を洗った。生き返る思いである。くたびれたが充実の山歩きに満足。
夜叉ヶ池から三周ヶ岳まで足を伸ばせば、池までの歩きとは違ったアップダウンのすばらしい尾根歩きが楽しめる。ササをかき分けるが、道はしっかりしておりさほど苦にならない。擦り傷が気になるなら長袖がお勧め。
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