トレースマップはカシミール3Dで作成
*この地図の作成に当たっては、国土地理院長の承認を得て、同院発行の数値地図25000(地図画像)及び数値地図50mメッシュ(標高)を使用しています。(承認番号 平25情使、第146号)
笹尾山 (関ヶ原町) 2015.5.9 曇り 2人
駐車場(10:48)→展望台(10:53-11:02)→駐車場(11:06)
城山 (308m 関ヶ原町) 2015.5.9 曇り 2人
整地碑(11:17)→登山口(11:23)→城山山頂(11:36-11:40)→登山口(11:51)→整地碑(11:56)
松尾山 (293m 関ヶ原町) 2015.5.9 曇り 2人
駐車場(12:25)→分岐点(12:39)→松尾山山頂(13:00-14:04)→分岐点(14:20)→駐車場(14:30)
天満山(天満神社) 2015.5.9 曇り 2人
入口(14:43)→天満神社(14:47)→入口(14:53)
桃配山 2015.5.9 曇り 2人
入口(15:07)→石碑周辺(15:09-15:14)→入口(15:16)
★5月9日に関ヶ原の低山を巡って来ました。
★まずは、石田三成の陣地であった笹尾山へ。
★陣地跡は笹尾山の裾野にあり、5分で展望台まで登って、歴史探訪。
★その後、城山へ。城山は南北朝時代に砦が築かれた山であり、20分で山頂へ。
★山頂は草に覆われ、無数のマダニの待ち伏せ攻撃を受けて即座に撤退。
★最後は、小早川秀秋の陣地跡である松尾山へ。
★よく整備された遊歩道を30分歩いて、展望のいい山頂で昼食。
★山歩きというよりは、史跡めぐりを楽しんできました。
“天下分け目の戦”があった関ケ原は、歴史上あまりにも有名な地である。1600年、石田三成率いる西軍と徳川家康率いる東軍がこの地で繰り広げた戦国時代最大の「関ケ原の戦い」の跡が、今でも町内に多く残されている。そして、その史跡と山が結びついているところがいくつかある。今回は、関ヶ原市街地周辺の史跡のある低山巡りに出かけた。史跡が山裾にあって、山と言えないようなところもあったが、とりあえず5つの史跡を巡ることを計画。
【笹尾山】
まず、初めは笹尾山。関ヶ原バイパスを走り、伊吹山ドライブウェイの入口手前のトンネルが近づいてくると、関ヶ原古戦場の標示がある。バイパスから左に入り、田園の細い道を進むと、石田三成陣地跡の駐車場があった。数台の車が停まっており、見学者の姿が見られる。空荷で靴も履き替えないでスタート。
駐車場を後に、階段を登る。丸木で作った馬防柵を両脇に見ながら一直線に登って行くと、すぐに前方に木製の展望台が見えた。展望台には数人の観光客が音声ガイドを聞いてみえた。我々も一緒に聞いた。
「1600年9月15日に関ヶ原で、天下分け目の戦いが繰り広げられた。東軍の徳川家康と、西軍の石田三成が天下を取るための関ヶ原の戦いは、この地において東西両軍あわせて約15万人の兵が激突した。笹尾山は西軍の総大将・石田三成が本陣を構えたところである。笹尾山一帯の石田の軍勢6000余は、正面に柵を二重に配置し、すさまじい戦いを展開したが、小早川らの裏切りにより戦況は一変。西軍の兵力は激減し、三成は北国街道沿いに敗退した。」
展望台から見下ろす関ヶ原の盆地は、今から400年前には緑の原野が広がっていたのだろうか。それでも正面に見える養老山や、その左に見える南宮山の山容は今と同じに違いない。石田三成も目の前の山を眺めながら天下統一の夢を見たのだろうか。そんなことを思いながら音声ガイドを聞いた。
展望台の周囲は芝生広場になっており、ベンチやテーブルが配置されている。展望台から左に歩くと、ベンチや大きな石碑、東屋などがあり、その先にさらに山道が続いていた。記念写真を撮って、展望台から東へ続く丸木階段の道を下った。グランドの横に下りて、島左近陣跡を見て駐車場に戻った。
【城山】
次に目指すのは城山。城山は笹尾山から2.5kmほど西にある。伊吹山ドライブウェイの入り口を過ぎてすぐに国道365号線から左の道に入り、エコミュージアム関ヶ原手前から南に折れて農道をゆっくり走る。正面に見えるのが城山である。工場の前を通過したところで整地碑があり、駐車スペースがあったのでここに車を停めた。
登山口が分からなかったので、とりあえず山に向かって歩いて行く。山際にため池を見て、山の中の道に入ると、右に城山登山口を発見。今歩いて来た道は東海自然歩道のようだ。人工林の中、草付きの道を歩く。2・3分歩くと、分岐があり、右側に城山山頂まで550m、15分の標示がある。
ホオノキの落ち葉を踏みながら進むと、左側にコンクリート柱の並ぶ道となる。人工林と天然林が混ざる道の両脇に背の低いササが現れ、丸木階段を蛇行しながら登っていくと、道は左に向きを変える。天然林となり、明るくなると目の前に東屋が現れた。城山山頂である。
立木の無い山頂はススキやササに覆われて踏み跡も草に隠されている。「マダニがいるのでは」と直感。草むらに踏み込んだ先頭のらくえぬがズボンを見て「ダニがいる」と叫んだ。東屋までの10mほどの草むらを歩いただけで、数匹のマダニが付いた。東屋でダニを払い落とす。山頂からは北側の展望が得られるが、ダニが気になって周囲を見回す余裕がなかった。
案内板を読むと、ここに砦があったのは南北朝時代とのこと。戦国時代にも浜六兵衛などがいたと書いてある。写真を撮ってすぐに下山開始。登ってきた道を一気に下った。城山の遊歩道は整備されているものの、あまり人が入っていないようで、山頂は草むらとなっている。もう少し整備されるといいハイキングコースになる。
【松尾山】
次は、今日本命の松尾山である。松尾山は14年前の積雪期に登っている。関ヶ原の戦いで東軍に寝返った小早川秀秋の陣があった山としてよく知られている。「秀秋は西軍として、一万五千の兵を率いてここ松尾山に出陣してきた。朝から傍観を続けた秀秋は、家康に催促鉄砲を打ち込まれ、遂に意を決して友軍の大谷吉継隊を攻め滅ぼした。東西両軍の懇願に、秀秋は複雑な事情のなかで悩み抜いた挙句の果て、豊臣家に反旗をひるがえしてしまい、東軍を勝利に導いた」と案内板に書いてある。
14年前の記憶をたどりながら、関ヶ原IC南側から高速道路に沿って西に車を走らせ、ナビを頼りに南に向きを変えると、素晴らしい道路に出た。完成間近の広域農道である。その道路を南に渡ったところに松尾山登山者の駐車場があった。この道路により松尾山へのアプローチは実に簡単になった。
駐車場には我々の車が1台だけ。すでに12時半近いので、駐車場でパンを食べて、ストックの代わりに雨傘を持ってスタート。駐車場には「松尾山山頂まで1.4km 40分」の表示。松尾山には2001年1月の雪がある時期に登っている。かすかな記憶をたどりながら林道のような広い道を歩く。周囲は人工林。
折り返すようにカーブして、さらに折り返す。このカーブの頭上を高圧線が通っており、木々が伐採されて展望が得られる。カーブすると右手前方に鉄塔が見える。再び樹林帯に入り、緩やかに登っていくと、右手に石垣が現れる。いつごろ作られたものであろうか。尾根道を歩き、左に行き止まりの分岐。さらに右に分岐が現れ、松尾山まで0・9km 30分の標示。小早川秀秋の鎌がクロスした図柄のある黄色の幟が立っている。
右折してすぐに左側に山之神神社が現れる。帰りに寄ることにして山頂を目指す。丸木階段でピークを越えると、右側が切り開かれた明るい場所に出た。関ヶ原の街並みが望め、眼下には白い大きな花を付けたホオノキが見える。丸木階段を登り、人工林から天然林へ。左方向に向きを変えながら明るい尾根道を歩き、山頂に向かって傾斜の増した丸木階段を一気に登りきる。
松尾山城史の案内を見ながら山頂へ。広い山頂には東屋やベンチがあり、公園のようになっている。北側が開けて、180度の展望がある。左には伊吹山が美しい。天下分け目の戦いが行われた関ヶ原の全体が見渡せる。
展望地のベンチで遅い昼食にする。笹尾山とは逆の方向から関ヶ原を見下ろしながら、雑炊を作った。昼食中に単独男性が登ってきたが、ここを訪れる人は少ないようだ。帰路、山之神神社に参拝して駐車場に戻った。
【天満神社】
次は天満山。天満山は関ヶ原駅の西、笹尾山の南辺りにある標高198m。麓には天満神社があり、杉の木立の参道を歩いて、神社に参拝。天満山は関ケ原合戦でこの付近に約1万7千の西軍の兵を布陣した宇喜多秀家が東軍と戦った。福島隊に攻め込まれ、激しい戦いが繰り広げられた場所。神社周辺で登山口を探したが見つけることができなかった。
【桃配山】
最後は桃配山。桃配山は関ヶ原市街地の東にあり、国道21号線に接して南側にある。徳川家康が赤坂から桃配山に兵を移動し、この山の中腹に陣を敷いた場所である。国道北側の駐車場に車を止めて、国道を渡り、幟の立つ階段を登ると石碑が現れた。関ケ原の合戦時に徳川家康が使用したといわれる腰掛石と机石が残っていた。さらに南に踏み跡があったので歩いていくと、木の切られた明るい場所に出て、新幹線の線路に突き当たった。桃配山の山頂がどこにあるのかよくわからない。南側に見える山であろうか。すぐに引き返して、駐車場に戻った。
今回は、関ヶ原の低山を巡回したが、名の知れた史跡があるにもかかわらず、十分に観光地として整備されているとは言えない場所も多い。現在、関ケ原古戦場グランドデザインの策定が進められている。天下分け目の合戦の舞台として有名な「関ケ原古戦場」を国内外にPRしていくため、史跡の保存や整備、観光資源としての活用手法などについて、今後の取組みの方向性を中期整備計画として取りまとめられるとのこと。関ケ原古戦場の集客力が高まるような計画策定を期待したい。
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