白草山の写真
白草山 (1641m 下呂町) 2001.12.23 晴れ 3名 

登山口ゲート(9:37)→林道終点(10:25)→展望の良い尾根(11:50)→箱岩山分岐点(昼食)(12:45-14:00)→白草山山頂(14:08-14:30)→林道終点(15:45)→登山口ゲート(16:12)

 2001年最後の山行はどこにしようかと迷ったが、飛騨の先輩から御嶽山を展望するなら、御前山・白草山が最高との話を聞き、白草山に決定。同じ町内のHさんと3名で朝7時に岐阜市を出発。関−金山線、国道41号を経由して北上。中山七里の飛騨川は雪化粧している。この様子だと、白草山は雪道を歩くことになると予想。

 下呂市街手前から中津川方面に右折し国道257号に入る。数分走って「乗政」の標識に従い左折して県道440号線へ。乗政温泉の集落を過ぎると、林の中の狭い道に入る。路面は雪で真っ白。この先に本当にキャンプ場があるのかと心配しながら進むが、白草山登山口と書かれた矢印標識がいくつか設置されていて、道なりに行けば迷うことはない。

 雪はさらに多くなり、ようやく乗政キャンプ場に着く。トイレをすませて、雪のカーブを上ると、すぐに立派な広域林道に出る。これを左折して、さらに上がると、左路肩のふくらんだスペース三カ所ほどにに白草山登山駐車場の標識がある。少しでも登山口ゲートに近づくために、車を進めたが雪が深く、ゲート前で車をUターンさせて、100mほど下の路肩のふくらみに駐車。ここまでキャンプ場から3分程度の距離である。駐車地点は15pほどの積雪。山はかなりの雪と思われる。

 この時期に登山者などいないと思ったが、ほぼ同時に3台の四輪駆動車がやって来た。さすが人気の山である。氷点下の中、寒さに震えながらスパッツと軽アイゼンで足下を固め出発。登山口となるゲート手前には、下呂駅前や下呂御前山の登山口にあるものと同じ木でできた立派な地図看板がある。ここを右に進み、黄色いゲートの脇を抜けて林道を歩く。

 右は深い谷となっており、巨岩もある。左は高森山で、切り立った岩壁や巨大なつららが見られる。林道の雪の上には、風紋や様々な動物の足跡がある。これらをウオッチングをしながら歩く雪道は楽しい。

林道終点まで約50分。下呂町の作成したパンフレット(下呂の山歩きを紹介した小冊子。下呂駅前の案内所でもらえる)によると、林道歩きは30分とある。雪でかなり遅れている。林道終点まで来るとさらに雪は深くなり、30pほどある。

 ここから山頂まで2.7kmの標識がある。谷川で水を補給した後、先に山に入った2名のパーティーの後を追って、雪に隠れた丸木橋を慎重に渡り、いよいよ雪の山道に入る。陽の当たらない山道は氷点下の世界。雪はさらさらで前ツメのない1セット450円の軽アイゼンでは全く滑り止めにならない。踏み出した足が滑って雪の中に埋まる。この軽い雪も、歩き続けるとその抵抗はかなりのものがある。それが時間に反映される。100mを歩く時間の長いこと。

 道は右にトラバースして、4〜5mの杉の幼木の中を進む。ここからの展望はよく、今上がってきた林道も見える。急斜面に付けられた道は幅が狭く、谷側に寄りすぎて足を踏みはずすと、遙か下まで転落していしまいそうなところがある。

 やがて道は左に向きを変え、高木の人工林の中を進む、山側のクマザサが頭の上を覆う。道は谷沿いに出て、再び右を向く。この曲がり角から、大岩のある箱岩山を見上げることができる。この雪の中をその高さまで登るのかと思うと先恐ろしい。この時、メンバー3人は口には出さないものの「今日は途中で断念か」と思った。(後日談)

 後方から来た男性2人のパーティーに先に行ってもらう。そこで気がついたが、少しでも前に人が歩いていたほうが、道がならされて歩きやすい。ラッセルする先頭の2人はさぞかし大変であろう。

 やがて、前方が明るくなり、尾根に飛び出す。今まで暗い人工林の中を歩いていただけに、陽の当たる尾根とそこから見る下界はすばらしい。南には笠置山らしき山容も望める。ここでしばし小休止。ここからは、明るいササの尾根を快適に歩く。2本ストックを用いたが、ストックを突くと雪の下のササに引っかかって抜けにくく、思わぬ苦労。前方には丸い小山が現れ、そこを登る先発パーティーが見える。このピーク越えが結構きつい。

 2つほどピークを越えて、なだらかな道を行くと、左手に何本かの立ち枯れの木と三ツ岩がある。3つの岩が鏡餅のように重なってササの中に突き立っている。自然のなせる技は想像できないものがある。右手にはなだらかな形をした白草山が美しい。山頂までもう僅かの距離だ。

 歩き始めて3時間以上が経過している。コースタイムオーバー。三ツ岩から5分ほど歩いて、箱岩山への分岐点を過ぎ、少しササ原を少し下ると、突然、前方に真っ白に輝く巨大な御嶽山が現れる。なんと大きく美しいことか。先人たちが神として信仰してきた理由が分かるような気がした。この神々しい光景に、ただただ感動。

 箱岩山への分岐点から白草山山頂まで700m。山頂の表示柱が見えるが、時刻は1時近い。とにかく、ここで昼飯にする。ササ原の雪を踏み固めてマットを敷き、熱いラーメンやカレーうどんで空腹を満たす。御嶽山を眺めながら空き腹に流し込んだ日本酒とビールがうまい。

 1時間の昼食の後、体力を取り戻し、数分で山頂に立つ。数名が1つの小さなテントの中で宴会中。山頂からは、360度、文句なしの大展望である。御嶽山はあいかわらず美しく、噴火のなごりである水蒸気が立ち上る様子も肉眼で分かる。白山や揖斐方面の山は雲がかかってよく見えないが、高賀山や恵那山方面はよく見える。風もなく、それほど寒くもない。御嶽山をバックに記念撮影。たどり着けないと思った山頂だけに、カメラの前で全員ピース。

 雪道で下りも時間がかかると思われたので、早速、下山。先ほど登ってきたピークのササが午後の陽に照らされて金色に輝いている。なんと美しい光景であろうか。尾根の雪はかなり溶けて、軽アイゼンがよく効く。しかし、尾根から人工林に入ると、雪はパウダー状態で、滑るように下りた。雪で隠れた木の根や岩に足をとられて雪の中に倒れ込んだりもしたが、思ったより早く、1時間15分程で林道に出た。林道の雪もかなり溶けており、夕日に赤く染まった箱岩山を背に、今日のすばらしき山歩きを語りながら車まで戻った。

 雪の時期には登山口まで四輪駆動車もしくはチェーンが必要になる。山頂までの歩行距離はかなりあり、雪で思ったより時間がかかることから、朝早めに登り始めたほうがよい。次回は雪の無い時期に箱岩山とセットで登りたいものだ
 山のリストへ