水晶山
水晶山  (958m 岩村町) 2003.9.23 曇り後晴れ 2人

出丸駐車場(7:50)→4等三角点(8:24)→展望台地入口(8:38)→水晶山山頂(8:40-8:58)→展望台地(9:03-9:06)→駐車場(9:44)

 毎年、9月23日には岩村町の農村景観日本一と言われる富田地区において、地域に点在する念仏堂や石仏などを巡るスタンプラリーが開催される。昨年も、これに参加し、併せて富田地区の東にある三森山に登った。今回も、このイベントに併せて三森山の尾根続きにある水晶山に登ることとした。

 登山口は岩村城址東側の峠にある。登山口へは岩村の古い町並みの南側を上矢作へ向かう国道257号線を走り、岩村町役場を左に見ながら、木の実峠に向かって山の中のカーブを上がっていくと、左に「岩村城址」への案内看板がある。ここを左折して出丸駐車場まで車を進める。

 出丸駐車場は城址への最初の駐車場で、この手前には富田地区へ向かう道が右に分岐しており峠となっている。この峠の西は岩村城址のある城址山、東には目的の水晶山がある。水晶山の先には反時計回りに弧を描いて三森山がある。弧の中心方向に岩村ダムがあるというイメージ。

 峠の三叉路には農村景観地区と国道257号の看板があり、登山口は三叉路のすぐ脇。車で上って来た道の北側にある。標識はなにもないが、テープが付けられていた。山頂までは基本的に尾根を登っていくが、はじめは尾根の右側を巻いて時折折り返しながら道ができている。

 周りはヒノキの人工林。右下には先ほど登ってきた岩村城址への舗装道路や砂防堰堤が見える。道が派生しているところもあるが、明瞭な道を尾根づたいに進む。間違えるようなところはない。三森山同様、ヒノキの中にアカマツがちらほら見られ、幹の赤さが美しい。

 この山の人工林の下草はササであり、登山道脇のササはきれいに刈り払われ、道ははっきりしている。一部、尾根ではなくササ原の中の道もあり、ササがかなり生い茂っているが、道が分からないほどでもない。人工林とササが多いだけに、チゴユリやイワカガミの葉が見られる程度で、花は少ないようだ。

 一ヶ所、かなりの急坂を登るところがあるが、一時間かけて約300mを登るコースなので、全体的にはなだらかな道が多い。右に人工林、左に天然林の境界を歩く。天然林の樹間からは、ちらちらと岩村の田園地帯が望める。一部、小さなピークを越えるところもある。

 前方に山頂があるが、木々に遮られてその山容を望むことはできない。30分ほど歩いて、なだらかな尾根で四等三角点が道の右側に埋まっていた。あいかわらずササの道が続いている。道が右に曲がる辺りで、三角点に似たコンクリート柱を通過。展望のないなだらかな稜線を歩くと、「展望台地」と書かれた標識が現れ、左へ道がある。ここへは帰りに寄ることとし、先に進み、一分も歩かないうちに山頂に到着した。

 ガイド本によると、「山頂には標識がなく、木の幹に「水晶山」と彫られている」と書かれていたが、そのとおり、北側のカエデの木に山名の傷跡があった。山頂はわずかな空き地で、西側の盛り上がった土の上には、丸太を輪切りにした板に「水晶山」と書かれたものが埋め込まれている。表示板がないと思い、昨日の夜中に作成した山名表示板を用意してきたので、木に縛って、記念写真を撮った。

 山頂から展望はないが、木々の隙間から尾根続きにある三森山らしき姿を確認することができた。この先、ササの中に明瞭に道が延びている。このまま進み、三森山まで行きたいところだが、お堂巡りの受付時間が11時終了のため、来た道を引き返す。

 展望台地の標識から、北に派生した尾根に道があり、行ってみることにする。道はどんどん下り、ほんとうに展望地があるのかと思った頃、少し開けた出っ張りに飛び出る。分岐点から3〜4分の距離である。展望地とは言うものの、周りの潅木が視界を遮っている。それでも、切り株の上に立てば、黄金色に輝く富田地区の田園や笠置山、二ツ森山など西〜北方面の展望が得られた。右手に見える山は三森山であろうか。今まで展望がなかっただけに、これだけの展望でもうれしい。ホツツジと思われる白い花がひっそりと咲いていた。

 分岐点まで戻り、一気に駐車場まで下った。この山は終始ヒノキの人工林のササの道を歩くため、展望はほとんどなく、花も多くはない。できれば、三森山をセットで周遊で登るのがいい。岩村城址から続くこの尾根を、かって城下町として栄えた頃、町人がこの尾根を歩いたのかもしれないと思うと、不思議な気持ちになる。

 お堂巡りで歩いた富田地区からは三森山と水晶山が尾根続きで眺めることができる。農村景観日本一を引き立てる山でもある。
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