トレースマップはカシミール3Dで作成
*この地図の作成に当たっては、国土地理院長の承認を得て、同院発行の数値地図25000(地図画像)及び数値地図50mメッシュ(標高)を使用しています。(承認番号 平25情使、第146号) 

水晶岳・金山  (954m・906m 三重県) 2016.11.3 晴れ・曇り 2人

朝明渓谷駐車場(8:32)→羽鳥峰分岐(8:43)→旧千種街道登山口(8:52)→ブナ清水分岐点(9:30-9:35)→根の平峠(9:40-9:44)→水晶岳山頂(10:14-10:24)→中峠(10:41)→金山山頂(11:01-11:11)→千峰台・昼食(11:32-12:47)→羽鳥峰(12:56-13:01)→林道コース分岐点(13:04)→羽鳥峠分岐点(13:39)→水車小屋(13:49)→根の平峠分岐点(13:53)→朝明渓谷駐車場(14:03)

★11月23日に鈴鹿の水晶岳と金山を歩いてきました。
★朝明渓谷の駐車場をスタート。
★旧千種街道登山口から伊勢谷を遡り、根の平峠へ。
★ここから右に向きを変え、溝道を経て二次林の美しい稜線を歩き水晶岳山頂を踏みました。
★水晶岳を後に、中峠まで下って登り返し、前方に雄大な釈迦ヶ岳を見ながら金山へ。
★釈迦ヶ岳の大パノラマを楽しんだ後、更に近づく釈迦ヶ岳を目の前に稜線を歩きました。
★羽鳥峰を見下ろすピーク「千峰台」で、伊勢湾を望みながら昼食。
★下山は羽鳥峰から林道コースで朝明渓谷まで下りました。
★強い西風の吹く寒い稜線歩きでしたが、途切れることのない素晴らしい展望を楽しみながら、落ち葉を踏んで晩秋の鈴鹿を楽しんできました。


 久しぶりに鈴鹿の山に登ることし、釈迦ヶ岳と御在所岳の間をまだ歩いていなかったことから、今回は水晶岳から羽鳥峰を縦走する計画を立てた。鈴鹿デビューの釈迦ヶ岳へはTOSIさんたちと14年前に朝明渓谷から登った。水晶岳への登山口も釈迦ヶ岳と同じであり、朝明渓谷に向かう。

 駐車場に着くとたくさんの車が停まっている。駐車料金は500円。ほとんどの登山者は釈迦ヶ岳の登山口に向かう人であり、水晶岳や国見岳に向かう人は少ない。登山届を提出して、トイレに寄り、駐車場の奥へ続く車道を歩く。
 
 同じ方向へは、先行の1パーティがあるのみ。冷たい風が吹く中、紅葉の美しいカエデを見ながら、橋を渡る。正面にはこれから登る山が見えるはずだが、低く垂れ込めた白い雲に覆われて何も見えない。
 
 朝明渓谷を右に見ながら山荘を通過して、駐車場から10分ほど歩いたところで根の平峠と羽鳥峰の分岐点に到着。今回は時計回りに縦走することとし、橋を渡って根の平峠方向に向かう。
 
 朝明渓谷を離れて南への道を歩き民家の脇を通り、左に川が現れたところで旧千種街道登山口の標示があった。川を左に見ながら歩き支流に架かった木橋を渡る。道は広く河原のように石がごろごろしているが、所々にコンクリートの路面や石垣があり、以前は街道だったことが分かる。
 
 堰堤を過ぎたところで涸れた川を左に渡り、山道を歩いて再び堰堤を通過。次の堰堤の下で川を横断し、その先で川の中央を歩く。水の流れはわずかで、木板の橋を渡る。いつの間に山を覆っていた雲は消え、風も止んだ。
 
 前方に根の平峠の稜線が近づき、川の右の道を歩いて急斜面を登り、川を離れる。岩場を乗り越えると美しい二次林の林となり、青い標示板が現れた。左はブナ清水を経由して国見岳に至る。ここで2パーティと合流したが、共に国見岳方向に登って行かれた。パンを食べて小休止。
 
 落ち葉に埋もれた道を拾いながら稜線を目指し、すぐに根の平峠に到着。左は国見岳を経由して御在所岳に至る。右はこれから歩く水晶岳・羽鳥峰方向である。右に行くと小広場があり、ここから西方向への道にはタケ谷・愛知川に至るとの標示がある。
 
 ちょうどタケ谷方向からみえた男女4人のパーティがあり、どちらから登ってみえたのか尋ねると、我々と同じ朝明からで、昔ここにあった建物跡を見ていたとのこと。確かに建物跡のような広場がある。
 
 4人はこの後、ブナ清水に寄って下山するとのことだった。我々は、水晶岳・金山を経て羽鳥峰に行くことを伝えると、昨年は道が崩壊していたので、羽鳥峰まで行けないのではないかと言われた。行けるところまで行くことにして、4人と別れ、掘れた稜線の道を登る。
 
 10分ほど登ってなだらかな尾根歩きとなる。時折、冷たい風が吹くが寒いほどではない。すっかり葉を落とした美しい二次林を歩くと、前方が開けて思わず声が出る。左右に稜線を広げた雄大な釈迦ヶ岳が目の前に現れた。東には今登ってきた谷とその向こうに田園、そして伊勢湾が望める。
 
 ここから気持ちのいい稜線歩きが始まる。時折現れる釈迦ヶ岳を見ながら、多少のアップダウンを繰り返す。ヤセ尾根や溝の道を歩き、根の平峠から30分ほどで「←御在所岳 釈迦ヶ岳→」の標示板が現れた。表示板の中央にマジックインキで「↑水晶岳5分」と書いてある。ここが水晶岳の分岐点であり、矢印の方向に溝から出てなだらかに歩くと、アンテナの立つ気象観測施設と水晶岳の標示板があった。
 
 砂礫の山頂からの展望は素晴らしく、南には御在所岳や国見岳が青空を背景にシルエットとなっており、北には釈迦ヶ岳・猫岳が優美な姿を見せてくれた。単独男性と入れ替わりで展望を楽しんだ。三角点が飛び出して立っており、周囲の土が浸食されたことによるものと思われた。
 
 風が強いので10分ほど山頂に滞在して登ってきた道を引き返し、稜線の道に出て北に向かう。二次林の下りとなり、雨水によって浸食された溝の横に付けられた道を下っていくと、右からの谷と出合う場所で、わずかな水の流れを渡る。

 溝道の下りが続き、葉を落とした木々の向こうに釈迦ヶ岳を見ながら歩く。雰囲気のいい斜面を下っていくと標識のある裸地に出た。ここが中峠であり、道がクロスしている。右は朝明渓谷、左は下水晶谷、直進は羽鳥峰。標識を確認して直進し、正面のピークを登る。
 
 草付きのやせ尾根を通過。足下に一輪のイワカガミの花を見つけた。明らかに狂い咲きと思われるが、この時期に見ることができるとは・・・。尾根道を行くと、開けた場所があり、近づいてきた釈迦ヶ岳が大きい。
 
 稜線を左に外して歩き、再びやせ尾根に出て登ると「←御在所岳 釈迦ヶ岳→」の標示板が現れ、表示板の中央にマジックインキで「↑金山1分」と書いてある。道を左に外れて踏み込むとすぐに金山山頂に到着。水晶岳で出合った男性がみえた。
 
 山頂からは北側180度が開け素晴らしい釈迦ヶ岳展望台である。ここで10分ほど休憩してコースに戻り、さらに北に向かう。シダの茂る斜面を一直線に下って、樹木の無い明るい道を時計回りに向きを変えていくと、右に崩壊地がある。覗き込むと底が見えないくらいの垂直の崖があった。
 
 尾根に出ると前方にピークが現れ、釈迦ヶ岳はそのピークに隠れ始めた。更に下って登り返すと、岩と遭難慰霊碑のある千峰台と呼ばれるピークに着いた。釈迦ヶ岳は近づきすぎてあの美しい山容は望めないが、それでも山頂や猫岳が見える。眼下には羽鳥峰の白い三角錐がある。ここを下ればすぐに羽鳥峰である。根の平峠で聞いたような通行止めの場所も無くここまで来ることができた。
 
 11時半を過ぎたのでこのピークで昼食にする。岩を風よけにして伊勢湾に浮かぶ豆粒のような船を眺めながら、寒い時期定番のおでんと雑炊を作った。ガスストーブのゴトクが不安定で、おでんがひっくり返るというハプニングも。
 
 食事の途中に羽鳥峰方向からのパーティに出合った。釈迦ヶ岳から下山し、水晶岳経由で朝明渓谷に戻るとのこと。健脚である。羽鳥峰と根の平峠の間は、このパーティと先ほどの単独男性以外、誰にも会うことがなかった。展望は素晴らしいが、裏銀座コースのようだ。
 
 いつものようにコーヒーで締めて、1時間以上の昼食を終えた。荷物をまとめて、千峰台を後に下ると、すぐに花崗岩が風化した砂礫の斜面になる。どのようにでも歩けるが、傾斜が急で滑りやすいので慎重に下る。
 
 羽鳥峰峠に着くと、釈迦ヶ岳から下ってきた登山者で急に賑やかになった。この峠でも道がクロスしており、西はヒロ沢、東は朝明、直進は釈迦ヶ岳。以前釈迦に登った時には、この峠から猫谷を下ったので、今回はその先にある猫谷林道コースを下ることにする。
 
 羽鳥峰の砂礫の斜面を登り頂で写真を撮った。山頂からはこれから下る猫谷林道を見下ろせ、途中、崖崩れで林道が埋まっている場所が見えた。崩壊地の上に踏み跡が確認でき通過できそうだ。
 
 羽鳥峰を北に下って樹林帯に入るとすぐに「朝明渓谷・林道コース→」の標識がある分岐点に。ここで釈迦ヶ岳から下ってみえたファミリーから朝明への道を聞かれた。林道コースは我々も初めてと告げると、猫谷コースに向かわれた。

 落ち葉の積もった急斜面をスリップしないようにゆっくりと下る。急なところは丸木で階段が整備されており、問題ない。急斜面を下ると、谷の源流部を2ヶ所渡り林道跡に出た。左のコンクリートや石垣の壁で林道だと分かるが、道は谷状態のところもあり、廃道になって何年もたつようだ。

 羽鳥峰山頂から見えた崖崩れの場所を通過。振り向けば、羽鳥峰山頂に立つ人が小さく見えた。崩壊地を通過し、展望のいい林道を歩く。右側は切れ落ちた深い谷となっている。荒れた林道をカーブしながら快適に下る。途中、登ってくる単独男性に出会ったが、この時間にどこまで行かれるのだろうか。
 
 林道を30分ほど下ると、石碑と「なわだるみ堰堤」の案内板がある分岐点に着いた。猫谷コースとの分岐点で、猫谷にはヨハネス・デレーケが指導して作られたなわだるみ堰堤が残されている。堰堤を見て、更に下る。中峠への分岐を右に見て、その先で水車小屋を通過。小屋の前にある芝生がイノシシによって激しく掘り起こされていたのにはびっくりしながら、舗装道路を歩いて往路の橋に合流し、駐車場まで戻った。駐車場は釈迦ヶ岳から下山した人で賑やかだった。
 
 今回歩いたコースは釈迦ヶ岳展望コースといっても良いほど、素晴らしいパノラマが楽しめる。素晴らしいコースでありながら、ここを歩く登山者は少なく、静かな山歩きができる。次は、取り残している国見岳を、朝明を起点に歩きたいと思いながら、紅葉の美しい渓谷を後にした。
★水晶岳・金山からの展望


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