トレースマップ (カシミール3Dで作成)
*この地図の作成に当たっては、国土地理院長の承認を得て、同院発行の数値地図50000(地図画像)及び数値地図50mメッシュ(標高)を使用しています。(承認番号 平17総使、第654号)
高沢山〜大仏山〜本城山 (354m 435m 423m) 2007.5.13 曇り・晴れ 3人

高澤観音日龍峰寺最上部駐車場(9:55)→遊歩道入口(10:05)→高沢山山頂(10:20-10:24)→古道合流(10:30)→大仏山分岐点(10:54)→大仏山山頂(11:00-11:07)→城内(11:17)→直登・裏道・楽々コース分岐点(11:28)→本城山山頂(11:41-13:34)→鉄塔(13:39-13:42)→直登・裏道・楽々コース分岐点(13:52)→大仏山山頂(14:13-14:22)→古道合流(14:26)→高沢山分岐点(14:42)→高澤観音日龍峰寺本堂(14:50)→駐車場(15:13)

 昨年の春、小学校6年生のクラス同窓会が数年ぶりに開催された。まだまだ元気な恩師とクラスの半分ほどが集まり、久しぶりの再開に、近況報告や子ども時代の話に花が咲いた。「山歩きを楽しんでいます」と自己紹介をすると、「私も山に登っています」と1人の女性。小学校から高校までの同級生GOMAさんである。聞けば、某山岳会に所属しており、山暦は我々の倍以上。これをきっかけに、一緒に登ることを約束して、何度もメールのやり取りをしたが、互いの都合が合わなかったり天気が悪かったりと、同行は実現せず1年がたった。

 5月13日に互いに都合がついたが、またしても天気が悪い予報。あれから1年たったことから、延期はせず雨天決行とし、雨でも登れる低山を検討。以前から行ってみたいと思っていた高澤観音の見物を兼ねて高沢山、大仏山、本城山の3山縦走コースを提案。GOMAさんも登っていないとのことで、この山に登ることに決めた。

 午前中の天気が悪いという予報に、いつもより遅く出発。GOMAさんを拾って、関・金山線を関市武儀町へ。GOMAさんと、あれこれと山の話をしながらハンドルを握る。先週は滝波山に登ったというGOMAさん。我々とはレベルが違うようだ。

 東海環状の関富加ICを通過し、4〜5kmほど走った多良木の集落の道路右にある物産館の隣に高澤観音を示す石碑がある。見落としやすいが、その隣にキノコの形をした東屋がよい目印になる。ここから左折して、後は高澤観音の表示板やのぼりを追う。山道となり、産業廃棄物処理場を左右に見ながら入り口から3km程走ると右手に大門がある。この辺りの駐車場に止めて参道を登るのもいいが、歩行距離を短縮するため、さらに上まで行き、トイレ付きの大きな駐車場に停めた。

 天気は回復の兆し。雨の心配はないようだ。ここまで来るとかなり標高を稼いでおり、展望もそこそこ得られる。シイノキであろうか、周囲の山は金色の木々で埋め尽くされ、青臭い匂いが漂っている。駐車場のベンチで靴を履き替えて、車道を渡り、車止めのある道に入る。案内板を見ても登山口がよく分からない。「山歩き」さんや「可児からの山歩き」さんのHPを思い出しながら、高澤観音の右の方に歩いてみたが、尾根を外れていく。GPSで方向を定めて多宝塔方向に歩くと遊歩道があった。見事な多宝塔や本殿の見物は下山後の楽しみとして、遊歩道を登る。

 樹林帯の中、5分ほどで東屋と案内板のある小ピークを通過。ここから一旦下って、ツバキやコウヤマキなど常緑樹の多い暗い道を登る。道とはいえ、踏み跡は薄く、倒木で荒れている。やがて岩の多い急登となり、東屋から10分程で高沢山山頂に到着。山頂は樹林帯の中で展望はない。1本のヒノキが倒れて、根がむき出しになっている。写真を撮って、赤テープに従って西方向に下る。

 すぐに明るい尾根を通過。これから歩く大仏山と本城山が正面に美しい形を見せる。右手後方には、昨年歩いた平成山、平洞、高曝山が間近に望めた。クマバチが飛ぶ尾根にはモチツツジがピンク色の花を咲かせ、アカマツの枯れ木にはヒトクチタケが見られた。

 大岩の横を下り林の中で、広い道と合流。ここを右折。この道は美濃市から見坂峠を経て高澤観音に至る古道であり、すぐ先の道端に石仏があった。二十九番の文字が読み取れる。松葉が敷き詰められた道は、多少の上り下りはあるものの、ほぼ水平。花茎を伸ばし始めたトンボソウの仲間と思われる植物がいくつか見られた。ツルリンドウもつるを伸ばし始めている。

 古道に合流して15分程歩いたところで南側が切り開かれて展望のいい場所に出た。丸木のベンチがあり、南側の山並みが美しい。遠くに見える山は岐阜市の低山であろうか。仏像をカウントダウンしながら、踏み固められた道を歩く。道は、谷状のところもあれば、盛り上げられて土手状のところもある。風雨で崩壊せず、よく残されているものだ。木漏れ日の落ち葉の道は、古い時代にタイムスリップしてしまいそうな雰囲気であり、実に歴史を感じさせる。道端にギンリョウソウが見られた。

 切り開きから10分ほど歩くと左の山に登る道が現れる。「大仏山・本城山方面」の標識。案内板の代用品としてCDが吊り下げられ、「連絡山路」と書かれてあった。この先、CD板の表示が続く。反射板の案内もある。古い木の階段を登って一旦下り、新緑の美しい尾根を歩く。山道となるが、踏み跡はしっかりしている。登り返すと反射板が現れ、フェンス脇の木に大仏山の表示。山頂は巨大な反射板に占拠されており、フェンスに沿って歩いていくと、フェンス内に三角点を示す木柱が見えた。展望は無い。

 山頂を後に、南への道を下ると大きなモミの木があり、その近くに石碑が祭られていた。富士山、立山、白山大権現と書いてある。1度に3つの山に登った気になって、手を合わせる。さて、ここで道が消えた。少し戻ってみると、右への道を発見。天然林を下って、すぐにヒノキの人工林に出る。間伐されたヒノキ林の縁を下って行く。左側は天然林。かなり下るので、帰りの登りを考えると憂鬱になる。

 ヒノキ林の中に大岩を見る頃、道はようやくなだらかになり溝を渡ると、城内の表示。小野山城遺跡とある。藤谷方面への分岐を通過してすぐに、左側にイワカガミの群落と表示があり、保護されている。ここまで、イワカガミには出会わなかっただけに、この山では貴重な群落である。チゴユリの葉がたくさん見られた。

 少し下って、再び溝を越える。標識が現れ、左へは「関市神野・八神方面」、右へは「美濃市桶ヶ洞方面」とある。「美濃市方面は整備されていない場所あり」との表示もある。本城山へはいくつものルートがあるようだ。この先で、また分岐点。左へ冨野小への下山コースがあるが、テープで止められていた。

 すぐ先に、「昔からの本当のコース」の分岐。直進のコースを選ぶ。するとすぐに、またまた分岐点。左には「楽々コース」、直進が「直登コース」、右が「裏道コース」である。協議の結果、帰路、裏道コースを下ることにして、直登コースを選んだ。急斜面をひと登りすると、井戸跡と石垣跡の表示。石が積まれた井戸跡を見て、右への案内に従って薄い踏み跡を進むとすぐに背丈ほどの高さの苔むした石垣があった。

 コースまで戻り、斜面を登っていくと、大岩のある明るい場所に到着。木に本城山の大きなプレートがかかっていた。岩の南側に回ってみると、180度の大展望である。山の同定を試みるが、連なる低山は特徴が無くむずかしい。右手前の特徴ある形は美濃市の松鞍山、その向こうに百々ヶ峰、左へ金華山、舟伏山、岩田山と、この辺りまでは確認できた。帰って写真を分析してみると、権現山や迫間山の山並みが東へ連なっている。眼下には入り組んだ山の間に水の張られた水田やゴルフ場が広がる。

 山頂南側はスッパリと切れ落ちており、覗くのも恐ろしい。ここから眺める山並みや山頂を吹きぬける春風は城があった当時と同じだったに違いない。人工物は消え去っても、自然は残る。大自然の偉大さを感じながら、岩の上に立った。こんなに展望がある山だと思っていなかっただけに、感動は大きかった。「立木仏」と書かれた表示があり、木に円空風の仏像が彫られていた。

 岩の上にプラスチックケースが置いてあり、中に記帳用のメモ用紙があった。名刺が入っており、夢狩人さんが管理するHP「本城山ハイキングコース」のアドレス(http://www1.ocn.ne.jp/~yumemac/)が記されている。帰って拝見させていただき驚いた。本城山のコースや駐車場などが詳細に記述されている。夢狩人さんのご苦労には頭が下がる思いである。登る前に見ておけばよかったと後悔。

 メモ用紙に記帳し、木陰にシートを広げてランチにする。メニューは焼肉とパックご飯から作るドライカレー。GOMAさんにはいつもの山のランチと違うようで感激していただいた。焼肉をつまみながら山談義。登った山や山岳会の話など、話題は尽きない。山頂にあったプレートもGOMAさんが所属する山岳会のメンバーの方が取り付けたものだった。GOMAさんからいただいたイチゴ大福が美味しい。誰も登ってこない山頂で、コーヒーを楽しみ、2時間があっという間に過ぎた。

 帰路は山頂から西へ下って裏道で戻ることにした。ササのトンネルを潜り、ややヤブ状態の道を下るとすぐに鉄塔が現れた。この鉄塔からの展望もいい。ホオノキの葉が風に揺れている。さらに先へ続いている道は小野コースのようだ。

 鉄塔下から、「冨野小コース・裏道コース」とかかれた案内に従って、折り返すように進み、右山で登っていく。倒木やササがうるさいが、道は明瞭。ショウジョウバカマやチゴユリの葉を見ながら歩くと、「道路分岐点」、右へ「冨野小下山コース」、左へ「隠れ滝、樋ヶ洞」の表示。ここは右へ。さらに進んで谷を渡り、登りで通過した「直登・裏道・楽々コース分岐点」に出た。

 ここからは、同じ道を戻る。大仏山へ息を切らして登り、反射板前で一休み。古道に出て、東へ歩き、高沢山分岐点は直進して古道を下った。展望台へは寄らず、石仏を見ながら、寺の本堂横へ下った。

 さて、もうひとつの目的である高澤観音日龍峰寺の見物開始。この寺は岐阜県下最古の寺だそうで、舞台作りの本堂は「美濃清水」とも言われ、また、鎌倉尼将軍である北条政子の寄進による多宝塔は、国の重要文化財指定を受けている名刹である。

 まずは、本堂隣にある千手観音を参拝する。高所に設けられた狭い通路はスリルがある。その後、本堂の裏手にある「みたらし霊水」を汲む。大岩から水が出ており、ペットボトルに詰めた。GOMAさんは持ち帰りの容器を利用(100円で無人販売)。上を見ると、大岩がハングしており、迫力満点。

 本堂の舞台に回り込む。床板が薄く、舞台の先まで行くと抜け落ちるような気がした。本城山山頂と同じく、ここでも下を覗き込むのが恐ろしい。山の傾斜地の岩に建てられており、鎌倉時代の本堂は応仁文明の乱により焼失し、現在の本堂は江戸時代に建てられたものらしい。
 
 急な階段を下って、千手桧を見る。本道前の広場にあり、空に向かって広げる無数の枝は見事である。東へ歩いて、国の重要文化財の多宝塔を見上げる。県内にもこんなにすばらしい歴史建造物があったとは・・・。遊歩道入り口を通過して駐車場に戻った。駐車場からも本城山が見えた。GOMAさんとはまた一緒に登ることを約束して、家路についた。

 今回の3山縦走は、低山であり、登るというよりは、トレッキングを楽しむというコース。それでも片道2時間の山旅は、十分に満足できる。高澤観音の見物も含めて、一味違った山旅ができる。本城山山頂からの展望もすばらしい。いくつかのコースがあり、分岐も多いが、案内板が整備されており、道を誤ることはない。事前に、HPで情報を得ておくとよい。初心者向きのお勧めの低山である。
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