誕生山の写真
誕生山 (502m、美濃市) 2001.12.16 晴れ 2人

林道入り口(8:35)→尾根(8:52)→誕生山山頂(9:40-10:41)→林道入り口(11:41)

 昨日の雪もやみ、天気は回復するとの予想。この休みに山に行く予定はしていなかったが、雪の山を歩きたいとの思いから、午前中の空き時間を利用して、美濃市の誕生山に3年ぶりに登ることにした。

 誕生山は美濃市の天王山のすぐ東にある山で、1時間程度で登れる手ごろな山。今日の朝の金華山は300m以上が真っ白なので、500mの山なら雪の上を歩けると判断し、自宅を7時過ぎに出る。

 長良川右岸を北上し、美濃市に入る。予想どおり美濃市の山々は真っ白である。誕生山も雲の中から真っ白な頭を出している。なんと美しい山であろうか。天王山の山容とは比べものにならない。山頂の反射板もよく見える。

 長良川にかかった下渡橋を過ぎてすぐの三叉路を北に入れば誕生山登山口の林道に入る。車はこの三叉路付近に止めた方がいい。林道に入る前の長良川沿いの空き地に止めてもいい。林道突き当たりまで歩いても15分かからない。林道には路肩の駐車スペースが少なく、ぬかるんでいる。Uターンにも苦労する。おまけに、最近倒れた巨木が道をふさいでいる。さらに、林道周辺にはたくさんのフユイチゴが実っていて、この里山のルビーを味わうためには、林道歩きが不可欠である。

 林道途中からは右へ2ヶ所ほど、鉄塔巡視路が延びているが、忠実に林道を歩く。やがて、林道T字路に当たるが、鉄塔巡視路の黄色い標識に従って、左へ進む。すぐに、竹林に突き当たり、林道終点。右へ行く道がはっきりしていて、3年前にはこの道に入り隣の尾根に迷い込んでしまった。山頂への道は左の藪に入り、小川を渡って階段を上がる。竹藪で分かりにくいことから、要注意の場所である。ここにも鉄塔巡視路の黄色い標識があるのでこれに従う。

 このあたりから、山道は薄っすらと凍った雪に覆われ、バリバリと音を立てて歩く。すぐに尾根に出て、道は左右に分岐している。左の小高いピークには鉄塔があり、その巡視路の分岐点に出る。山頂へは右に進む。この辺りは最近、間伐されていて明かるい。霧が立ち込め、幻想的な光景を作り出している。間伐のためであろうか、新しい道ができていて、2路に分岐しているが、どちらも少し先で合流する。(右の旧道の方が歩きやすい)

 尾根は北に向き、雪の重みで道をふさいだ潅木の雪をストックで落としながら進む。霧が晴れ、陽がさし始める。木から綿帽子が音をたてて落ちてくる。その状態がだんだんひどくなり、頭の上から直撃を何度も受けた。足下にはシダがしげり、ズボンの裾がぬれる。今日は、低い山でもあり、天気もよく雪も深くないことから、スパッツやザックカバーなしで望んだのが間違いであった。

 しばらくして、鉄パイプの手すりが設置してある急坂に出る。関西電力の作業員のために作られたようで、一般者がこの手すりで事故を起こしても責任を負わないと書いてある。日当たりのよい斜面であり、雪もかなり溶けて、小さな水の流れを作っている。斜面はもろい岩でできており、ザレ場状態。乾燥しているときのほうが滑りやすい。斜面を登りきると、再びなだらかな登りが続く。いくぶん雪も深くなり、最後の急登にさしかかる。木をつかんで登ろうとするが、その木から雪が落ちてきて思うように登れない。2本ストックでやっとのことで山頂にたどり着く。

 山頂に陣取っているフェンスで囲まれた反射板が大きい。その西側には平らな広場になっており、広場には三角点と山名表示板、誕生山神社と書かれた石碑がある。積雪は10cm程度。雪雲が北西から流れて、下界は十分に望めないが、時折雲の切れ間から、百々ヶ峰や岩田山が望める。雲の流れを下に見ながら変化する風景は、いつもの山から見るポートレートではなく、動画を見ているようですばらしい。今登ってきた尾根の左には雲の中で長良川だけが銀色に輝き美しい。反射板の上には雲を通して真っ白な太陽が浮かんでいる。今日、私たちより先に山頂に着いた者は、野ウサギ以外いない。

 思ったより寒くない。日だまりの雪の上で、ぜんざいとコーヒーを作り、体を温める。休日の朝、喫茶店で飲むコーヒーよりも数十倍うまい。雲が流れる下界を見ながら1時間の大休止。天王山への縦走路は、山頂取り付きの道から西へ続いている。少し踏み込んでみたが、道もしっかりしているようで、いつかは縦走をしてみたいものである。

 下りは、雪の状態がシャーベット状になっており、とにかく滑る。頭上の木からは水滴が雨のように降り注ぎ、あいかわらずべとべとの雪の固まりの直撃を受ける。山頂直下の急坂は慎重に下った。なだらかになった尾根で登ってきた2パーティーの数人と出会った。皆さん、落下してくる雪に苦労している。手すりのある斜面からは、霧がはれ、下界が望める。斜面からは、陽光に照らされて蒸気がわき上がっている。

 下りも雪のため1時間かかった。積雪が少なくても防水対策は完璧にしておかなければいけないことを痛感。誕生山は天王山ほど人が入っておらず、自然の里山歩きが楽しめる山。ぜひフユイチゴを味わうためにも、この時期に訪れていただきたい山である。
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