西台山〜タンポ (949m、1066m) 2004.4.17 晴れ 12名
のりこし峠(8:30)→西台山山頂(9:40)→タンポ山頂(11:20-12:50)→(道に迷って30分程度のロス)→西台山(15:00)→のりこし峠(16:00)
*ICレコーダーの録音が消えてしまったため、おおよその時間です。
参加者:カッペさん、葵のMさん、Nさん、blueskyさん、らぶさん、SAさん、Sさん、ヤブさん、ayameさん、ブラックポットさん(西台山まで)、RAKU、らくえぬ
「4月の第3週頃に谷汲村の西台山に登るとギフチョウの乱舞が見られる」との情報を後藤さんから得た。早速、ギフチョウウオッチングの西台山登山計画が持ち上がった。カッペさんの仲間が1週間前に西台山経由でタンポに登り、比較的短時間で歩けることが分かった。ギフチョウも花も多いらしい。
今回は11人がタンポオフ会に集まった。谷汲村の道の駅に全員集合。乗り合わせて横蔵方面を目指す。西台山の登山口は、谷汲村と根尾村の村境の「のりこし峠」にある。のりこし峠へは、横蔵寺300m手前を左折する。もう少し詳細に解説すると、横蔵の集落に近づくと左手に「蛍の里」の大きな駐車場が現れる。すぐに赤い欄干の「かんばら橋」を渡る。続いて小さな橋を渡ると、右手に県道の標識があり、左に268号と表示がある。このT字路を左折する。ここから舗装道路を脇道に入らず道なりに進む。
道は比較的広く、対向車があってもゆずりあえば問題ない。林道脇に続くキケマンやヤマブキが満開できれいだ。小さな落石が所々に見られるが、通行に支障はない。ぐんぐん標高を稼ぎ、めまぐるしく方向を変える林道からの眺めはすばらしい。このドライブだけでも楽しい。カーブミラーと景色と道ばたの花を見ながら慎重にハンドルを握る。
林道入り口からのりこし峠までは約20分かかる。根尾村の標識が見えると峠。大きな広場に記念碑と東屋がある。トイレはない。林道の向こう側にはこれから目指す西台山が手前の山の向こうになだらかな形を見せる。広場にはすでに先着の車が何台か停車しており、出発の準備をする登山者の姿があった。マイナーな山だと思っていたが、そうでもなさそうだ。
西台山・タンポへの登山口は峠の広場と反対側にある。歩き始めようとすると、東屋の裏へ登りかけたパーティーから「どちらへ行かれますか?」と声がかかった。「西台山からタンポです。皆さんは魚金山へ行かれますか?」「そうです。」魚金山へは東屋の裏手が登山口のようだ。芽の出始めた美しい天然林の道に入って、いきなりカタクリのかれんな花の出迎えを受ける。
道はゆるやかに下っている。「ギフチョウ」との声。登山道のカタクリの葉にとまっているギフチョウをみんなで撮影。谷側を舞うギフチョウが何匹か現れる。ギフチョウに心を奪われ、山側にある正規の登山ルートを12名の誰一人として気が付かなかったことが、後に思わぬ良い結果になったことが下山して分かることになる。
道はさらに下り、谷側には先ほど登ってきた林道が見下ろせる。事前情報では、最初は下りと聞いていたので何のためらいもなく先に進んだ。日当たりのいい斜面には次々と春の花が現れる。カタクリ、ヤマルリソウ、エイザンスミレ、イカリソウ、フデリンドウ、ネコノメソウ・・・花大好きメンバーばかりで写真撮影に忙しく、しだいに列はバラバラになっていた。
ちょっと下りすぎではと思った頃、右手の人工林へ入る道が現れる。テープもある。よく見ると尾根方向に登る薄い踏み跡もある。このまま下ると山頂への尾根からはずれるため、葵のMさんと相談して人工林への道を選んだ。blueskyさんも脇道へ入るとの情報を覚えてみえた。大きな登りもなく人工林の中を右山で歩く。再び道が分岐していたが、尾根方向を目指し、右への登り道を選んだ。
後方で「オーイ」と呼ぶ声。どうやら、列が切れて、後方のメンバーが先ほどの分岐を右折せず直進してしまったようだ。大勢での行動では要注意。しかし、このアクシデントは前兆に過ぎなかった。帰路、再び思わぬ事態を引き起こすこととなる。
全員が揃ったところで出発。少し進んで再び分岐。テープは直進しているが、どうみても尾根から離れるため、テープのない右の登りの道を選ぶ。イワウチワも現れた。この辺りで、道が間違っているようないやな予感がしてきた。HP情報では人工林の中を歩いたような記述がなかったことを思い出した。
先頭から「道が間違っている」の叫び声。道はテープで止めてある。やはり間違っていた。戻りかけて見上げれば、山側の20mほど先は尾根のようだ。ブラックポットさんと偵察に登ってみる。薄い踏み跡もある。尾根に出ると赤テープのある明瞭な道に出た。これが正規の道のようだ。尾根に出る薄い踏み跡は道を間違えた登山者のものだろうか。間近に見える山は西台山。この道を進むことにする。
天然林の美しい尾根道。ここでもギフチョウを何度か見かけた。小さなピークを越えて岩の多い急坂に取りつく。かなりの急坂であり、岩や潅木につかまって登る。岩の間にヒトリシズカが群落をつくっていた。右後方には駐車した広場が見える。登り詰めるとなだらかな天然林。山頂は少し先。平坦で表示板が無ければ山頂と気が付かないほど。落葉樹林帯の中で展望はなく、岩が散在している。
表示板の前で記念写真。昼までに帰らなければならないブラックポットさんとここで別れ、11人でタンポ山頂を目指す。西へも道があり、赤テープも続いている。チクチクするハイイヌガヤを分けながら赤テープを追う。テープが切れるようなら付けようと用意をしたが、常にテープは見える間隔で付けられていた。ミヤマカタバミや産毛に包まれた葉を広げる前のヤブレガサがあり、一部にはまだ雪も残っている。右手の樹間に大きく見えるのがタンポのようだ。あそこまで歩かなければならない。登りもきつそうだ。
やがて道は右に曲がり北方向に向かって尾根を歩く。この曲がる辺りが、谷汲村と根尾村と久瀬村の村境である。正面にタンポが見えるようになる。左側は人工林、右は天然林。登山道近くの木が切り倒されており、たき火の跡もある。人工林の手入れが行われているようだ。1つのピークを越え、下って登り返す。次のピークへはかなりの急登。息をきらしながらゆっくりと登っていく。今回、初めてお会いしたらぶさんのお友達のSAさんが急坂で小休止。1年ぶりの登山でこれだけ歩けるとはたいしたものである。左手の樹間に小津権現山がすばらしい山容を見せる。道沿いの落葉樹にはナタで傷つけられたような跡が見られた。樹液が流れ出ているものもあり、実に痛々しそうだ。
急傾斜を登り切って少しなだらかになったところで休憩。blueskyさんにいただいたマシュマロが美味しかった。休息後、少し登るとササの道となる。ササは背丈ほどあるが、密度が低く、赤テープを追えばそれほどヤブをこぐという状況でもない。しばらくのササこぎのあと、いきなり切り開きに出る。ヤブが大きく切り開かれており、広葉樹にもノコギリが入れられている。植林が予定されているのであろうか。正面に三角形のタンポが美しい。
この広場で昼食にしようかという声も出たが、一旦下って登り返せば山頂であり、先へ進む。右手に植林されたヒノキの幼木がある。頭上に日を遮るものがない炎天下の坂を汗だくで登りきって山頂に到着。山頂は広く南側は植林されたばかりで見晴らしがいい。下草の隙間にシートを引いて昼食にした。炎天下であり、らぶさんはタオルと傘で完璧な日焼け防止対策。
今回も、いつもと同様にいろいろなメニューが登場。キノコステーキ、焼き肉、焼きハム、焼きそば、煮込みラーメン、チャーハン、生ゆば、そば寿司、燻製、漬け物、サラダ・・・今回も食べ過ぎ。何度かギフチョウが山頂を行ったり来たり。食事の後は少し北のイワウチワ群生地で写真撮影。北には目の前に雷倉が勇壮な山容を見せる。その向こうには雪の能郷白山が霞んで見える。もう少し北に下れば左に花房山が大きい。山頂からは、今歩いてきた西台山がなだらかな曲線を描き、のりこし峠を挟んだピークの向こうに魚金山が見える。東には舟伏山が富士山のように浮かび、北へ日永岳、大白木山と続く。この時期、霞んではいるが、よく見えるほうだ。
全員で記念写真を撮って下山開始。下りかけたとき、ご夫婦が登ってこられた。このご夫婦はHP「山歩記」さんであることが下山して分かる。山歩記さんのHPは写真に矢印が入っており分かりやすくいつも参考にさせてもらっている。久しぶりの偶然遭遇でした。
急な斜面を下る。Nさんがちょっと千鳥足。葵のMさんと3人で最後尾を歩く。その前はayameさん。大きな切り開きに着くとカッペさんとSさんがササヤブに入らず、切り開きに沿って左に下っていくではないか。「道が間違ってます」と呼んで、かなり下から戻ってもらった。ヤブへの入り口には赤テープが付けられているが、ヤブの無いところが正しいルートと思いこんでしまったようだ。確かに間違いやすい場所である。
さて、ここで問題が発生した。カッペさん、Sさんの前を歩いていたメンバーは正規の道を進んだのであろうか? ヤブに入らず切り開きを下りていってしまったのではなかろうか? カッペさんもSさんも間隔が開いていて前のメンバーの行動が分からなかった。呼んでみるが返事がない。恐らくヤブに入って正しい道を下ったと思われたが、念のため私とSさんがこの場に残り、カッペさん達には正規のルートを進んでもらい、追いついたところで、らくえぬの持っているトランシーバーで連絡してもらうことにした。
Sさんと2人で待っている時間がたいへん長く感じられた。「非常食は持ってますか?」とSさん。「持ってますよ。ラーメン3食、クッキー2箱、チョコレート、飴、ブドウ糖、コンニャクゼリー・・・。」 Sさんは何も持っていないようだった。
トランシーバーが電波を捉えた。よかった。ちゃんと正しい道を歩いていた。早速、ヤブを分けて下り、鞍部で全員集合。30分以上ロスをしたが、何事もなくてよかった。団体行動ではちょっとしたことが思わぬ事態を引き起こすことを実感。次回からは危機管理を徹底しなければいけないと痛感。先頭と最後尾は常にトランシーバーを携帯し、後続者が見えないときには必ず止まって待つことでこうしたアクシデントが防止できると思った。次回からは実行しよう。
西台山山頂で小休止。ここから急な岩場を下る。急斜面から見下ろすと、本来のルートはいくつかのピークを越えて歩くことになりそうだ。帰りは人工林に入らず、正しい尾根ルートを歩くこととした。急斜面を下りきり小さなピークを越え、行きに尾根に上がった地点を通過。ここから3つほどピークを越える。かなり歩いた後だけに、この登りがきつい。しかし、タムシバの咲く天然林の稜線歩きであり、芽吹きの雑木林が美しい。カタクリの花があちらこちらに見られた。
最後のピークを下ると、最近ササが切り開かれたと思われる左への分岐が現れた。どちらへ行くか。前方には林道のガードレールが見えるので、どちらでも行けると考え、2組に分かれて下山した。直進コースは人工林の境を真っ直ぐに下り、途中から左に斜面を斜めに下る。この分岐点の木の根元に無数の穴がドリルで開けられ、白いペーストが埋め込まれ、ツマヨウジが突き刺してある。何かの儀式が行われたようでなんとも気味が悪い。ナンバーの書かれたプレートが付けられていることから、何かの調査が行われているようだ。
下方から人の声。すぐに道は鋭角に下の道と合流した。ここは? しばらく歩くと登山口。なんと登山口近くに正しい入り口があった。行きに、この入り口を見落としていた。行きに道を間違えたことが幸いしてたくさんの花を見ることができたことと、ピークを越えることなく山頂手前の尾根に出れたことはラッキーとしか言いようがない。下調べは十分にしておくべきと反省。山歩記さんのレポートによると、この分岐点に将棋の駒の形をした表示板があったようだ。今から思えば、誰も気がつかなかったのが不思議である。
登山口にはササの切り開きから左側に入ったメンバーが既に下りてきていた。なんと、入り口から右に登れるようになっている。赤テープも付いている。いづれは、この道が登山道となっていくのであろう。なお、この道は小さな1つのピークを越える。また、下山中に、刈られたササに足を取られて転倒者が2名あったとか。足下に要注意。
広場の車は少なくなっていた。峠を散策する家族づれもいる。長い稜線を広げた金糞岳を見ながら車で林道を下り、道の駅で解散した。目的のギフチョウも20回ほど確認できたし、たくさんの花にも出会えた。マイナーな山ではあるが、充実の山歩きができる。赤布は随所についているが、踏み跡の薄いところやヤブもあることから、赤テープなど装備は万全にして登られたい。
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