トレースマップはカシミール3Dで作成
*この地図の作成に当たっては、国土地理院長の承認を得て、同院発行の数値地図50000(地図画像)及び数値地図50mメッシュ(標高)を使用しています。(承認番号 平23情使、第517号)
手掛岩山 (909m 東白川村) 2012.6.24 晴れ 2人
砂防堤(10:12)→旧登山口(10:36)→林道(10:55)→作業道(11:04)→作業道終点(11:20)→稜線(11:26)→手掛岩山山頂(11:37-13:05)→作業道(13:30)→林道合流・登山口標示(13:42-13:49)→砂防堤(14:17)
★ 6月24日に東白川村の手掛岩山に登って来ました。
★手掛岩山は東白川小学校の児童が全校登山で登る6山の1つ。
★砂防堤脇に駐車して、ササユリを見ながら林道を歩き、谷沿いの荒れた道を登って再び林道へ。
★ルートファインディングしながら、今度は人工林の作業道を登りました。
★作業道終点から強引に尾根に登って、踏み跡の薄いササの稜線を歩き山頂に到着。
★大岩がいくつかある気持ちのいい山頂でランチを楽しんだ後、下山は西尾根を下りました。
★明瞭な道は途中で消え、道のない尾根を下って林道に合流。
★複雑な林道網で再びルートファインディング。あれこれと作戦会議を繰り返して何とか駐車地点に戻りました。
★下山して、この山の登山ルートを解明。今回は、小学生の登る道とは全く異なるルートを歩いたことが分かりました。
★ほとんどが人工林であり、展望地もわずかでしたが、GPS大活躍の道探しを楽しんだ山歩きとなりました。
深夜に明日の山を探して、東白川村の手掛岩山に登ることにした。手掛岩山は東白川小学校の児童が全校登山で登る6山の1つ。この春に6山の1つである無反山に登ったことから、今回は第二弾。ネットで手掛岩山のトレースマップを3つほどプリントした。どれも違うコースが記録されている。このとき、東白川村のHPに全校登山の山の概念図がPDFで掲載されていることをすっかり忘れていた。このマップを持参していれば難なく山頂を踏むことができたのだが、・・・。
白川町に向かって国道41号線を北上。白川口で国道を右折して県道62号線で東白川村を目指す。白川茶屋に寄って数ある地元の特産品の中からよもぎ蒸しパンを購入。味は山頂でのお楽しみ。その他、朴葉寿司やちまきなど美味しそうな特産物がたくさんあったので帰路に寄ることにした。
東白川村役場のある中心街を過ぎて2kmほど走ると、左に海老茶色の鉄骨の橋が現れる。ここには東白川小西口のバス停がある。この橋の手前を鋭角に右折して南への坂を上がる。もう少し手前で斜めに右折してもこの道に繋がっている。橋のところで手掛岩山が川の左にあるものと勘違いして、ウロウロしたが、助手席のナビゲーターの指示で上親田の集落へ。集落の道は複雑であるが、派生する道に入らずにほぼ真っ直ぐに走る。左の山際に神明神社を見てさらに進むと突き当たりとなる。左前方には製材所があり、T字路を左折してすぐに製材所の裏で右折。林道となり、すぐに砂防堰堤が左前方に現れ、カーブから未舗装の林道となる。この先、さらに車で進入できそうだが、十分に時間があるので、カーブ手前の空き地に駐車。3台ほど駐車可能。
林道を歩く。コアジサイ、ニガナ、シロバナニガナ、タツナミソウ、そしてササユリなど林道脇には夏の花が賑やかである。何といってもササユリが美しい。ササの中で咲く薄いピンク色の花は夏の訪れを告げる花で、年に1回は出会いたい花である。この林道でいくつかの花を見ることができ、車で走らなくてよかったと思った。
右の人工林には谷があり、切捨て間伐されたヒノキが散乱していた。10分ほど林道を歩くと、重機が置いてある分岐点に突き当たった。「←手掛岩山登山口まで200m」の新しい標示がある。この標示がこの先の運命を大きく左右することになるとは、この時、全く思いもしなかった。下山後、この標示板の写真を拡大してよく見ると、驚くべき大発見! 「200m」の文字の前に薄く「1」の字が確認できる。すなわち、この標示は「←手掛岩山登山口まで1200m」と書いてある。標示板ができた後に、「1」が書き加えられているようだ。その証拠に、村のHPのマップにも「1200m」とある。200mと記されている理由は、おそらく現在廃道となっている旧登山道の入り口を示したものと思われる。200mの文字を頭にインプットして左に向かう。なお、右には「小笹方面通り抜け可能」と標示されている。
林道は少し歩いて直角に右に曲がり、正面には人工林の山の稜線が見える。ササユリを見ながら歩くと、林道は山に突き当たって、左に曲がりさらに右に曲がっている。200m以上歩いているが登山口らしき痕跡が無い。先ほどの突き当たったところに草に覆われた空き地とその先に谷が続いていたので、引き返して谷の周辺に登山口が無いか確認した。草付きの空き地の先が怪しいと思い、草を掻き分けて谷の右側に踏み込んでみたが道が無い。
林道に戻って谷の左側の草むらを見ると赤テープを2つ見つけた。膝辺りの低いササの中に踏み込んでみると、細い道が確認できた。谷に滑り落ちないように歩くと、道は右に小さな谷を見ながら緩やかに、真っ直ぐに人工林の中に続いている。スギの小枝が散乱しており、歩きにくい。あまり人が入っていないようだ。
右前方に大岩が見える頃、谷の水が消え、間伐された幹が谷を埋めている。ササが消えると左方向への矢印の標識が現れた。登山道であることが分かったが、道はますます怪しくなった。矢印に従って左方向にスギの枝に埋もれた浅い谷を登る。結構な急傾斜であり、切り捨てられた間伐材や苔むした石の林床にはマムシグサがひっそりと咲いている。
再びササが現れもはや道の痕跡は全く無い。それでも地面に突き刺した枝にピンクのテープが結んである。明るい草むらとなり、かなりの急傾斜を草に身を沈めて登りやすい場所をさがしながら進む。刈り払われたキイチゴの棘と戦いながら斜面を登りきると林道に飛び出した。どうみてもこの道は小学生が登っている道ではない。後に、この道は現在は廃道となっているコースであることが分かった。
さて、林道に出て、またまた道を誤ることになる。旧道は林道で寸断されているが、この続きは林道を横断したところに続いており、赤テープがある。踏み跡も確認できたが、「可児からの山歩き」さんのHPで、直進すると道が消えており引き返したとのレポートを思い出した。実は、それはこの上にある林道のことであり、それに気づいたのは下山してから。持参した地図をもう少しよく見れば分かったのだが・・・。
林道を右に歩く。山側から大量の石が押し出されたような場所がありここにもテープがあったが、道らしくないのでさらに南へ林道を歩いた。コアジサイの花やニガイチゴの赤い実を見ながら、林道を6分ほど歩くと、作業道と思われる明瞭な広い道が山側に現れた。もう少し南まで歩いてみたが登山口はなさそうなので、この作業道を登ることにした。
作業道には石ころが多く、雨水を脇へ流すゴム板が設置されている。コナスビのかわいい花は地上の星。蛇行しながら人工林の中の草付きの道を歩く。ここでもタツナミソウが見られた。人工林の下草は背の低いササに覆われ、木漏れ日がスポットライトのようにササを輝かせて美しい。見上げると、稜線が近づいてきたのが分かる。
作業道を15分くらい登ると突然作業道が途切れた。ここが終点。GPSを見ると、手掛岩山山頂から南東に派生する稜線の2つ目のピークの下にいる。かなり東に振ってしまったようだ。稜線に出て尾根歩きをすれば難なく山頂に到達できることが分かった。さて、どこから稜線に向かおうか。終点手前の浅い谷が比較的傾斜が緩やかであり、ここに取り付く。
ヒノキの落ち葉を踏みながらほとんど下草の無い急斜面を5分ほど登ってササの稜線に出た。稜線はササに覆われ、わずかの踏み跡がある。点々と地籍調査と書かれたピンクのテープが枯れ木に結んである。左へ向かい、一旦下って登り返し、2つほどのピークを越え、腰ほどあるササの道を下ると左から道が上ってきており、矢印の標示がある。この道が正しい道のようだ。帰路はこれを下ろうと思ったが、帰路は西尾根を下ったことから、この道がどこに繋がっているかは確認できなかった。ただ、後に調べてみると、小学生はこの道を使っていることが分かった。
この分岐点から尾根の道は明瞭になった。少し下って登り返すとすぐにササの緑が美しい手掛岩山山頂に着いた。林の中にぽっかりと穴が開いたような空間があり、展望は無い。ササに覆われた山頂には東白川小学校全校登山記念の木柱が2本あり、無反山にあったものと同じタイプの山名標示板が吊り下げてある。三角点の周りには、小学生が持ってきた名前や日にちの書かれた小石が置いてある。マジックで書かれた日にちは「2011.4.30」。昨年の春にこの山で全校登山が行われたようだ。石の中には「2005」と記されたものもあり、その前の登山の時のものである。
山頂からは南と北に明瞭な道が下っている。南に下ってみると大岩がありその手前で右に行くと岩の上に出た。裂け目のある大岩でこの上に立ってみると高度感がある。これが手掛岩である。山頂からササの道を北に下ると樹間から北側の山が望めた。東白川の集落も見える。
山頂で昼食にする。メニューはラーメンとおでんと白川茶屋で仕入れたよもぎ蒸しパン。この蒸しパンがたいへん美味しかった。雲が切れて日が当たり暑いので、場所を木陰に移してコーヒータイム。展望は無いが、ササの緑が美しい気持ちのいい山頂である。コーヒーを飲みながら下山コースを検討。持ってきた地図の中に西尾根を歩いたものがあった。西尾根を下ると標高750m付近で林道に出会うことが分かった。西尾根を下ることにして、誰も登ってこない山頂でランチを終え、下山開始。
大岩の隙間を抜けて、踏み跡のしっかりした西尾根を歩く。この尾根も人工林で、膝辺りの短いササに覆われている。尾根を右左に外しながら5分ほど歩くと大岩の尾根となった。岩を越えると道が怪しくなってきた。ギンリョウソウを見ながら再び大岩を下る。ほとんど踏み跡は無くなったが、赤テープが点々と続く。この尾根を歩いた人がいることが分かる。しかし、どう見ても小学生が歩くところではない。
左下を見下ろすとだいぶ下に林道が見えた。倒木や潅木を避けながら尾根を外さないように下っていくと、今度は前方下に尾根を巻くように林道が見えてきた。間違いなく林道に出られそうだ。赤土の斜面を下りて道に出た。ここも林道というよりは作業道である。尾根を巻くように歩くと、標示板があり幅員2mの作業道で平成21年度に作られたものであることが分かった。後に分かるが、小学生はこの作業道を山頂直下まで歩き、作業道から尾根に向かって登り、矢印の表示があった稜線に出て、山頂に至る。
カーブを描くように作業道を下ると広い未舗装林道に合流。ここに立派な手掛岩登山口の標示と下りてきた道の方向へ矢印が付いている。さて、ここでどちらに行くか? GPSや地図を何度も確認。持ってきた地図のトレースから、この合流点を右に下るのが正しいと思ったが、登りで横切った林道は1つである。今下ってきた道の先が横切った道に繋がっているとすると、ここは左に登るのかもしれない。左へ少し歩いてみたが、どんどん登っていく。方向は合っているが、標高から考えるとやはり下りが正しいようだ。
登山口標示まで戻って下る。反対方向に歩いているので「大丈夫かな」と思ったが、道はくねくねと向きを変えて、次第に東を向き始めた。駐車地点に戻れることを確信して、明るい林道を歩く。ミスジチョウが舞い、ニワハンミョウが道案内をしてくれる。オカトラノオの花はこれから。林道を15分ほど歩くと、登りに使った旧道の登山口に出会った。ここで一周したことになる。そして登山口まで200m標示を通過。確かに、1200mと読めばちょうど林道の登山口の標示がある辺りになる。この山の道はどうなっているのかを考えながら車に戻った。
小学生が登るコースは、ほとんどが林道・作業道歩きであり、山登りというよりはハイキングである。下調べ不足のおかげで旧道や道の無い尾根を歩けた。準備不足が結果的に良かったのかもしれない。全山が人工林であり、展望地もほとんど無いが、ルートファインディングを楽しむ山歩きとなった。たまにはこんな山もいい。
帰りに白川茶屋に寄ってみるとほとんどの品物が売り切れ状態。それでも名物の朴葉寿司をゲット。その後、道の駅「ピアチューレ」の温泉で汗を流し、駐車場の横にある「てまひまの店」でこれも名物のこんやくいなりを購入し、白川町を後にした。
★手掛岩山の植物・昆虫
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