天空遊歩道1
天空遊歩道2
位山〜川上岳 (1529m 1626m 宮村) 2003.9.29 3人 曇り→晴れ

車:上呂駅(5:00)→山之口登山口→位山峠→ダナ平林道終点登山口(6:40)【荷物移動時間を含む】

徒歩:ダナ平林道終点登山口(7:07)→天の岩戸・モンデウススキー場分岐点(7:32)→位山山頂(7:42-7:47)→コンクリート柱のあるピーク(8:38)→川上岳まで5km標識(8:48)→1443mピーク・三角点(9:12)→川上岳まで2.1km標識(9:46)→宮の大イチイ分岐点(10:06)→川上岳山頂(10:43-12:39)→宮村ツメタ谷林道登山口分岐点(12:49)→馬瀬村登山口分岐点(12:58)→萩原町山之口登山口(14:31)

車:山之口登山口(14:45)→ダナ平林道終点登山口(15:45)

 10月に企画している掲示板「クーの山小屋」の住人の皆さんによる川上岳登山を前に、下見登山を計画した。川上岳には今年の6月に萩原町の山之口から往復したが、今回は以前から歩きたいと思っていた位山から川上岳へのルートを下見することとした。このルートは天空遊歩道と名付けられている。この名前がいい。kuさんを誘ったところ、車2台あれば天空遊歩道を往復しないで山之口まで縦走してはどうかとの提案。話しはすぐにまとまった。

 kuさんとは朝5時に上呂駅前で待ち合わせをした。上呂駅までは岐阜市から2時間近くかかるため、近くのドライブインで前夜泊して駅に向かった。駅でkuさんに久しぶりに再会。まずは、萩原町山之口の登山口を目指す。

 空が白々と明るくなり始めた山道を、ライトをつけて2台の車で上っていく。5kmの林道は相変わらずひどい道だ。3ヶ月前にはヤマオダマキやササユリが咲いていた林道だが、今はノコンギクが美しい。登山口に着くと6時前だというのに、既に1パーティーが身支度をしていたのに驚いた。

 kuさんの車を置き、1台で今来た道を引き返す。登山者が上がってくる時間であり、2台の車とすれ違った。路肩が広い場所は限られ、バックしてのすれ違い。この時間帯の逆走行は要注意。

 位山峠を抜けて宮村に入り、モンデウススキー場の北側から位山登山口の前を通ってダナ平林道に入る。位山に登っていく登山者があった。事前に宮村役場で確認したところ、ダナ平林道は最近工事が行われ、よほど車高の低い車でない限り通行は可能との情報を得ていた。情報どおり、水の流れを止める盛り土はなく、ゴム板で土砂流出が防止されており、道幅も広く山之口の林道よりも状態はいい。しかし、でこぼこの未舗装道路であり終点までは5km以上。20分ほどかかった。

 林道終点は広場になっており10台以上の駐車が可能。すでに1台の車が止まっていた。東屋や男女別のきれいなトイレがある。水は引かれていない。南側には鳥居や新興宗教関係と思われる碑があり、登山道はこの奥から始まる。ここから位山までは巨石がたくさんあり、このコースは巨石群登山道と名付けられている。入り口には大きなルートマップが掲げられていた。

 まずは湿った樹林帯の急登。天気予報に反して、山はガスに覆われ、霧の中を登っていく。木の朝露が風で雨のように落ちてくる。日抱岩などの巨岩を見ながら登ると、道はなだらかになり、ぬかるんだ湿地帯を通る。30分弱で天の岩戸と名付けられた大岩に着く。ここは、モンデウススキー場への分岐点であり、昨年、位山に登ったときに歩いたルートである。標識にはダナ平林道まで1.5kmと書かれている。

 丸太の敷き詰められた平坦な道を進み、水場への分岐を通過し、一部紅葉しはじめたドウダンツツジの道を通って展望台へ。なんと展望台は跡形もなかった。木のベンチと展望台の丸い跡が残っているだけであった。昨年、それほど老朽化しているとは思わなかったが、人為的に撤去されたのであろうか? 

 すぐ先の位山まで行き記念写真を撮った。1名の登山者と出会った。ロングコースなので先を急ぐ。天空遊歩道への入り口は位山山頂から少し戻った所にあり、白い柱に川上岳まで7.7kmの表示がある。尾根はササやツゲなどが幅約2mほど刈り取られており、軽トラックが走れるほどの広さがある。まさに遊歩道。

 ササ道を緩やかに下って登り返し、ショウジョウバカマや苔が茂る湿地帯の大木の林を歩く。ぬかるみで何度か足をとられ、ズボンは泥だらけ。スッパツを付ければよかったと後悔。湿地帯もすぐに終わり、下り登りを繰り返す。左側の展望がよい尾根を歩くがガスで視界はない。北風が強く、ガスが尾根を越えていく。こんな天気になるとは・・・山の天気は分からないものだ。

 左前方のササの中に白い道が望めた。こんな所に林道があるのかと思ったが、下って行くうちに登山道であることが分かった。天空遊歩道の幅広い道は川上岳まで7.7kmにわたって続いている。宮村役場の登山者に対する配慮に頭が下がる。左に集落を見下ろしながらササの道を登り返して、ピークで小休止。背丈以上あるササで展望はない。先にはさらにピークが見える。紅葉の時期にはすばらしい景色が期待できそうだ。

 ここから登り返して、道の左に赤く塗られたコンクリート柱が埋まったピークに着く。ピークから再び下り、美しいシラカバの林を抜ける。枯れたブナの大木に、シイタケとよく似た毒キノコのツキヨタケがいっぱい出ていた。ツキヨタケは夜に光ることからこの名が付けられたそうだ。シイタケと間違い中毒になる事例が後を絶たないことが分かるような気がした。

 木に赤ペンキで左に矢印が書かれたところがあり、左は道が薄い。右に進むとすぐに分岐があり、ここを左に回り込むとコンクリート柱のあるピークに出て行き止まりとなった。矢印ペンキまで戻って、左に踏み込むが行き止まり。再び戻り、ピークとは反対に進むともう1つのコンクリート柱があり、これが正しい道であった。

 すぐに、川上岳まで5kmの標識に着く。このコースの標識は全て白く塗られた大きな鉄柱に統一されており見落とすことは絶対にない。直進して、すぐに展望の良い場所に出る。正面に頭を雲に隠した川上岳が大きい。しかしまだ5kmある。先は長い。川上岳の南には仏ヶ尾山へ続くと思われる三角形の峰が望めた。集落も見下ろせる。

 ツルリンドウの紫がかった赤い大きな実を足下に、登り下りを繰り返す。この辺りはブナ林が美しい。どの辺りであったか記憶がないが、道にいくつかのサルナシが落ちていた。ナシとはいうもののマタタビやキウイフルーツの仲間で、ビー玉程度の大きさ。食べてみると、まだ完熟前のようで、青リンゴをさらに渋くした酸味のある味がした。山歩きにはもってこいの元気の出る味である。

 やがて標高1443mの三角点に着く。ここで小休止。小休止毎にkuさんからいただいたミカンがおいしかった。ここから大きく下って登り返し再び下る。あいかわらず前方の川上岳の頭は雲の中であるが、ガスはすっかり消え、日も差し始めた。右にスキー場がある山は大日岳。道沿いにあるナナカマドの赤い実が美しい。後方からやってきた男性単独登山者に出会った。ダナ平林道から登ってきたそうで、我々の後に到着した方であった。このコースはよく歩かれているようでかなり早いピッチに感心。

 kuさんからGPSと地図、高度計で常に我々のいる位置を教えていただいた。山歩きにはかかせない便利な道具である。川上岳山頂まで2.1km地点を通過。ここからツメタ谷林道への表示があるが、道はかなり薄く、藪こぎを強いられるのではないか。この先、いよいよ川上岳に向けて最後の登りにかかる。

 登り始めて左にトラバースする所に大きなブナの木がありここから今まで歩いてきた稜線を望むことができた。位山からいくつものピークを越えてきたことがよく分かる。川上岳まで登りが連続するのかと思っていたが、予想に反してなだらかな道が多い。歩き始めて3時間。「巨樹巨木100選 宮の大イチイ 1500m」の表示があり、道が右へ分岐していた。この道もササがきれいに刈り取られていた。

 この後、大きなヒノキや岩の間の湿った道を登っていく。今までとは様相が違う。やがて周りの木々は低くなり、いよいよ山頂が近づいたことが分かる。振り向けば、なだらかな位山が望める。すっかり枯れたたくさんのリンドウがある。花の時期にはすばらしいに違いない。

 川上岳の特徴あるササ原が現れ、前方に白い標識が見えた。山頂である。ダナ平林道終点から3時間40分弱で到着。山頂のガスはすっかり消え、360度の大展望。前回見えなかった御嶽山も雲間に大きく望むことが出来た。乗鞍や穂高が時折雲の上に頭を出し、南東には御前山や小秀山。南には高賀山。西には先日登った三方崩山が望める。白山は頭を雲に隠している。風もやみ、真っ青な空が広がっている。

 東側の草の上で昼食。今回は、3人でキノコ鍋をつつきながら、御嶽山を目の前に、いろいろな話題に話しは尽きない。kuさんとの食事は、昨年、目の前に見える御前山山頂で、雪が降る中のランチ以来。さわやかな秋の風に吹かれながら、雪の季節が懐かしく思えた。山之口登山口からは何組かのパーティーが登ってくる。長い道のりの後の大展望の山頂であり、誰もが満面の笑みを浮かべる。最高に気持ちのいい瞬間である。

 10月にみんなで登るコースの話題などで、2時間があっという間に過ぎた。6月に来たときには倒れていた標識はしっかり埋められており、その前で写真を撮り、帰路は山之口へ下る。昼の日差しになだらかな曲線を描いて続くササ原が銀色に輝き美しい。道脇の一部のドウダンツツジが真っ赤に色づいていた。馬瀬村の登山大会が行われる10月の連休頃が紅葉の最盛期になるだろう。

 萩原町側の道はササが刈られておらず、体をササに沈めて足下に注意しながら下った。宮村ツメタ谷登山口分岐、馬瀬村登山口分岐を通過。登ってくる2パーティーに出会った。今度の登山計画の参考にタイムを確認してみると、山頂まで3時間以上かけて歩いているパーティーもある。大足谷源流から、直射日光を背に受けて登るササ原では、皆さん、かなり辛そうだ。

 大足谷の冷たい水で顔を洗い、山腹の道を歩いた。6月にはブナの緑が美しかったが、今では役割を終えた葉がくすんで、エメラルドの輝きがない。山が生きていることを実感した。湿地の尾根を歩き展望地へ。展望地で山頂で出会った美濃加茂市の若い単独女性に追いつかれた。聞けば、このコースを山頂まで2時間15分で登ったそうで、その健脚に驚いた。女性単独で怖くないですかと聞けば、そんな目にあったことはないそうだ。いらぬ心配でした。

 ここからは展望のない道をジグザグに一気に下った。カメバヒキオコシの青い花がきれいだ。谷川を渡って、駐車場に着いた。駐車場はほぼ満杯。紅葉の時期には恐らくかなり下の路肩に車を止めないと登れない状況になることが予想される。

 川上岳へは通常この山之口から入山する。宮村のツメタ谷林道からの入山は、現在ツメタ谷入り口のゲートの手前の県道にも宮村側と清見村側にゲートが設置してあり、このルートでの入山は困難との情報を宮村役場で得た。馬瀬村ルートも林道が閉鎖されており、林道歩きは2時間近くかかるらしい。

 今回歩いた位山から天空遊歩道経由での川上岳へは、山之口ルートに比べて、岐阜から車でのアプローチがプラス30分ほどかかり、歩行時間も片道プラス1時間かかる。しかし、林道の状態も良く、手入れの行き届いた適度な上り下りを繰り返す展望のいい登山道は歩いてみる価値が十分にある。早朝にスタートして1日山歩きを楽しむことのできるすばらしいルートには大満足間違いない。まさに、名前の通りの天空遊歩道である。

 なお、今回のように車2台を用意しての縦走は、車の回収にダートな林道を往復するため時間がかかることを考慮して計画する必要がある。林道走行で、kuさんの車の車体下部のカバーが脱落し、私の車はサイドポールが折れ曲がり、両車とも路肩の草でかなりの擦り傷をつけた。新車の方は要注意。
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