虎子山 (1183m 春日村) 2003.2.2 曇り時々晴れ一時小雪 2人
国見岳スキー場(8:25)→ワカン装着(10分)→教如上人鉈ヶ岩屋案内板(8:48)→ 国見峠(10:21-10:40)→虎子山山頂(13:15-14:05)→国見峠(15:07)→国見岳スキー場(15:56)
ボードを始めた娘と友達を連れて国見岳スキー場へ行くこととなった。子供が小さい頃、毎年のようにスキーに通った懐かしい場所でもある。スキー場へ行くのは何年ぶりであろうか。久しぶりにスキーを楽しみたいところだが、物置にしまい込んだスキーを出すのも面倒なので、ザックと靴を車に積み込み山歩きを楽しむこととした。
計画は国見峠までの林道歩き。先週の雪で国見峠までの林道はかなりの雪が積もっているだろう。昨年、購入したワカンをまだ一度も使っていないので、その試し歩きも兼ねて、国見峠まで歩く計画を立てた。雪の状態によっては虎子山や国見岳まで行けるかもしれない。
昨年、国見岳に登ったときと同じ道を走る。スキーの車で混雑が予想されたので、スキー場へは8時前に着くように家を出た。路面の雪はスキー場少し手前からだけで、混雑もなくスキー場に到着。ゲレンデのすぐ近の駐車場に止めることができた。駐車料金が不要だったのには驚いた。8時近い時間で、この駐車場に入れるということは、昔に比べると、スキー人口が減っているのであろうか。
娘達にトランシーバーを渡し、動き始めたリフトを見ながらロッジ前を南の国見林道入り口に向けて歩く。ザックにワカンを付けた姿はここでは全く似合わない。林道は、一番南のリフト乗り場上部の機械置き場まで除雪されていた。そこからは雪道。ここでワカンを装着。1本のトレースがあり、それをたどる。
直ぐに教如上人鉈ヶ岩屋案内板のある水場に着く。スキー場手前でマイナス6度Cであったが、この寒さでも竹の樋から水が流れ落ちていた。ここから先にトレースは無い。足跡のない雪の上をラッセルするのは気持ちがいい。と、言っているのも始めだけで、林道の両脇が法面や樹木で遮られている場所では雪が深く、ワカンでも30〜40センチ沈み込む。一歩一歩足を上げての歩行に汗が出る。
スキー場を見下ろせる場所からは、北に見える貝月山やブンゲンのいくつかの尾根が白とセピアの美しい幾何学模様を作っている。スキー場の上には長い尾根の先に虎子山が朝日に輝く。路面の雪は朝日に照らされて、まるで無数のダイヤモンドを散りばめたようにキラキラと輝く。
林道は大きく蛇行しながら登っていく。回りの景色がどんどん変わっていくのがおもしろい。このすばらしい景色を楽しみながら、交代でラッセル。途中、近道をしようと法面をよじ登ってみたが、深い雪で断念。いつしか、リフトの終点は眼下になり、今登ってきた足跡が下の林道に見える。1人の登山者が登ってくるのが見えた。
最後のカーブを回って国見峠前の深い雪をラッセル。ヘトヘトになって峠に到着。峠には1m以上の雪が盛り上がって土手状態になっている。滋賀県側は除雪されているのか、雪が少なかった。峠からは雪をかぶった伊吹山がユニークな形で大きく見える。スキー場側には貝月山が美しい。
写真を撮っていると、後から登って来た1人の男性が到着。虎子山に行くそうで、峠の北側にある雪に埋まった登山口の急斜面をよじ登って行かれた。我々も、ここまで来たのだから行けるところまで行こうと、同じように崖をよじ登った。深い雪で足場が分からず、四つんばいで雪まみれになって、なんとか上へ。右に谷、左に杉の植林を見ながら男性の足跡頼りに進む。
ブッシュをよけ、雪で垂れ下がった杉の枝をくぐる。かなり垂れ下がった枝もあり四つんばいでくぐり抜け、雪だらけになる。この先の雪に備えてジャケットをはおる。振り向けば、峠に何人かの登山者が見えた。雪は深く、急な斜面で、ワカンをはいていても足を取られる。おまけに初めてのワカンであり、互いに踏みあったり、ストックを突っ込んだりの珍道中。ひたすら杉と灌木の間を縫いながら登る。顔に当たる小枝が痛い。慣れないワカンとブッシュに苦戦しながらも、一気に高度を稼ぎ、ややなだらかな雑木林に出た。まだ先は長い。
後方にはパラボラアンテナのある国見岳が立ち上がり、右手前方には貝月山が樹間から見える。この辺りで昼食にして、下山しようかと思っていたところへ、単独の熟年男性に追いつかれた。下山の話しをすると、「急登はここまでで後は比較的なだらかな尾根歩きですよ」とのこと。それなら、もう少しがんばろうと、男性の後に続いた。この方は、冬の虎子山は4回目であり、これだけ雪が多いのは初めてだそうだ。
さらに後方からの男女7人のパーティーと一緒になった。(後で分かったのですが、先ほどの熟年男性と7人の方とは同じパーティーでした。) 道はなだらかになったが、雪は深く、先頭の2人がラッセルで苦戦し、ピッチが落ちた。この辺りで引き返そうかとも思ったが、近くなった山頂の誘惑に負けて前進する。11人全員が一塊りになる。尾根の東はるか下にスキー場が見える。東になだらかな尾を引く山頂はだいぶ近くなった(後で分かるが山頂はもう1つ奥のピークであった)。
時間も12時30分を過ぎ、気持ちはあせるが、一歩一歩の前進である。ラッセルする先頭が疲れると最後尾へ。11人全員が協力して、山頂をめざす。「これだから雪山は楽しい」と声がかかる。灌木は低くなり、右半分の下界が見下ろせる。
尾根の東側にいくつかの大きな雪屁ができており、その脇をラッセルしていく。強い西風が当たる尾根であることが分かる。何とも気持ちのいい尾根歩きである。山頂と思っていたピークに出るが、本当の山頂はもう1つ先のピーク。もうひとがんばり。次のピークに着いて山頂の目印を探す。尾根の上の木にボードを発見。雪を払いのけると、マジックで虎子山と書かれている。山頂である。絶対にたどり着けないと思っていた山頂だけに喜びは大きい。
皆さん、思い思いの場所で昼食。1時を過ぎており、手早く煮込みうどんを作る。ペットボトルの口の回りや少し残った缶ビールが凍り始めるほどの寒さ。さすがのガソリンストーブの火力も弱く、なかなか湯が沸かない。北から雪雲がながれ、小雪が降り始めた。美しい縞模様のブンゲンや貝月山が雪で霞む。
コーヒータイムもカットし、写真を撮って荷物をまとめた。カメラが寒さで電池切れの状態になったり、三脚の足が凍ってたためなくなったのには苦労した。スキー場のリフトが止まる4時頃までにはゲレンデに降りなければならない。2時を回ったところで、下山開始。雪もやみ、雲の間から青空が見え、日が差し込む。
帰りは踏み固められた雪の道で、楽に歩ける。雪屁のある尾根や手前のピークからは、前方に伊吹山や伊吹北尾根が美しい。昼下がりの長い影を落として尾根を歩いた。急斜面も快調に下り、1時間ほどで国見峠に着いた。林道途中で、娘たちとトランシーバーで交信し、到着時間を告げた。
再び雪雲がブンゲンの上部を覆っていた。雪の中の山歩きを1日楽しみ、登れると思わなかった虎子山に立つことができた満足感に浸って、今歩いてきた大きな稜線を背中に、林道を下った。一緒に歩いた方々に感謝。今度は、雪の無い時期に虎子山へ登ってみたいと思った。雪がなければ峠から1時間のコースタイムである。
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