八木山・愛宕山北尾根 (296m 269m 各務原市) 2004.7.3 晴れ 2人
八木山北尾根登山口(14:02)→崩壊地(14:27)→八木山山頂(14:44-14:57)→双子山(15:10)→愛宕山(15:27-15:37)→ピーク(15:43)→薬王院(16:08)
八木山は各務原市の低山で人気の山の1つである。八木山から双子山を経て愛宕山への縦走は適度なアップダウンがあり、初心者にお勧めのルート。八木山や愛宕山からはすばらしい展望も楽しめ、多くのハイカーが訪れる。
この3山の北には尾根があり、八木山と愛宕山からの北尾根にも登山ルートがある。南のルートとは対照的に静かな尾根歩きが楽しめる隠れたルートでもある。このコースは「コ」の字型をしており、起点に戻るには3km弱の車道を歩かなければならない。今回は時間もないので、車を2台用意して、八木山・愛宕山北尾根ルートを歩くこととした。
夏の低山は灼熱地獄。この日も梅雨の合間の夏日、気温は33度C。それも午後の山歩き。以前、八木三山縦走の時も、ものすごく暑い日であり、熱射病寸前の山歩きであったことが思い出される。今回は、冷えた水を十分に用意した。
鯉とスイレンで有名な神の池「苧ヶ瀬池」の北側の駐車場に1台を止める。下山する場所は苧ヶ瀬池北端にある「薬王院」というお寺。八木山北尾根への登り口は、苧ヶ瀬池の北側、薬王院前の道路を北進し、次の交差点を右折する。2車線のドライブコースのような気持ちのいい各務原公園方面に向かう道である。
木漏れ日を浴びながら緑のトンネルを軽快に走る。右手が八木三山である。山中不動や高齢者施設を見ながら、東進。登山口は分かりにくく、2度目でもよく似た場所があり、間違えるほど。登山口は迫間不動・金毘羅山登山口方面への三叉路交差点手前にある。三叉路に近づくと登りになり、暴走防止の段差と黄色い縞模様が路面に描かれている。登山口はこの最初の段差のすぐ手前の南側にある。薬王院北側の交差点から約2.7km地点。西から行く場合、段差が現れたところでUターンして南側の路肩に駐車。(走行車が多いためターンに注意)
登山口前の路肩は広く、2、3台は駐車可能。谷と道の出合が登山口であり、ちょっと暗い感じ。入り口の目印は不法投棄取締区域の立て看板と「北口」と書かれた小さなかまぼこ板。リースも掛けられていた。
登りはじめは下草が刈られた天然林。左手の谷にはヒノキが植えられている。先日の台風で折れた木や枝がたくさん落ちている道を登るとすぐに谷上部を左に渡り明るい場所に出る。ネズミサシが多い道を進み、分岐は左の濃い道へ。花が咲き始めたノギランが見られる。なだらかな道を歩いていると放送と音楽が聞こえてきた。この山の東側にある各務原公園から聞こえてくるようだ。
イワカガミの群落を見ながら人工林に入る。暗い所もある。足下にはツルアリドウシがたくさんある。一月前には白い小さなトランペットを咲かせているに違いない。所々に赤テープが付けられているが、道は明瞭で間違えるようなところはない。急な坂を登る。後方には明王山の大きなアンテナが見える。この先、急緩繰り返す道となる。前方に大きなピークが近づいてくる。道の周囲の枝がうるさい。
ピークに出てなだらかな尾根歩き。道は下って再び次のピークに向かって登る。3回ほどこの繰り返しでかなり標高を稼ぐ。左手には明王山から猿啄城に向かう稜線が見え隠れする。右側が崩壊して赤土が露出した上を通る。西側には金華山や百々ヶ峰、近くには三角錐をした格好いい山が見える。先ほど車で走ってきた谷が見下ろせた。更に登って再びなだらかになる。
前方が明るくなると、岩の尾根に飛び出す。左手には金比羅山の稜線が連なる。この辺りから山頂までは岩の連続する尾根歩き。気持ちのいい場所だ。大きな岩は乗り越えてもよし、右に回り込むもよし。道草をして巨大な岩によじ登ってみるのもいい。八木山山頂手前50mの西には深い谷に向かって、岩のテラスが連続する場所がある。注意して少し下ってみる。前方には愛宕山と北側のピーク、下りで歩く尾根が見える。八木山北尾根一番の展望スポットである。風があり気持ちいいが、頭上に陽を遮るものがないのでとにかく暑い。八木山山頂について僅かな木陰に潜り込んで冷たい水で生き返る。さすが、山頂には誰もいない。東には金比羅山への登りでいつも歩く「健脚の道」の尾根が見える。
さて、ここからはおなじみの3山縦走。急な斜面を足下に注意して下り、樹林帯の中へ。単独男性登山者とすれ違う。「暑いですね」と挨拶。この時間に登る者は我々だけではなかったので、ちょっとうれしい。鞍部にある南への道にロープが張られ通行止めになっていた。ここから双子山への登りをこなし、再び急降下。こんなに下ったのかと思うほど下る。そして、愛宕山への登り。前回はここの登りで暑さにバテたので、今回はゆっくり歩く。登りは右側一方通行。ロープを掴んで急坂を登り切って汗だくで山頂へ。再び木陰に逃げ込む。冷たい水が最高にうまい。
山頂の北側に苧ヶ瀬池へ続く道がある。山頂にはこのルートの案内標識もある。ここからは初めての道。クモの巣だらけのゆるやかな道を下る。踏み跡は明瞭だが、周囲の潅木の枝がうるさい。所々に白いテープがつけられている。左に苧ヶ瀬池を木々の間から見ながら下ると、前方にピークがあり、鞍部から登りにかかる。岩を登って行く。後方には今下りてきた愛宕山が大きい。
ピークから明るい尾根道となり、痩せた赤松林をなだらかに下る。台風で倒れた枯れた松を避けながら、潅木の間を縫うように、西側に切れ落ちた岩の壁の上を歩く。途中に開けた場所があり、眼下には午後の陽を反射させた苧ヶ瀬池がミニチュアのように見える。南には今下りてきたピークと愛宕山が双子のように並んでいる。道の所々の潅木の葉がチャドクガに食われたように表皮だけ残して白くなっていた。いやな予感。長袖を着てくるべきだった・・・。
なだらかな道は思ったより長い。愛宕山への登りルートとして、この尾根を歩けば、急登はなく、比較的楽に登れそうだ。下界から車の音が大きくなった頃、ペンキで赤く塗られた鉄棒が登山道に現れた。ここから、西へ帯状に木々が伐採されている。ここを下りかけたが、道が不明瞭。白テープも無い。鉄棒まで引き返して、道を探すと、倒木に隠れてさらに北へ続く道を発見。テープもある。しばらくして大きな石碑の横に出た。石碑には「中国人殉難碑」と書かれている。ここから林道のような広い道になり、折り返すように下ると薬王院の裏から続く林道に出た。
薬王院の庭を抜けて駐車場まで戻った。苧ヶ瀬池の鯉と亀を見ながら飲んだ冷たいジュースがうまい。池の鯉に混じって泳ぐたくさんの小魚をよく見ると、ブルーギルなど、どれも外来種ではないか。20年前には想像できなかった光景はちょっと寂しい。池の向こうには愛宕山と今下ってきた緑の長い尾根が美しい。
今回は、車を2台用意したが、薬王院から八木山北尾根登山口までは3km弱。車道を歩いて戻っても1時間もかからない。翌日、両腕にかゆい湿疹が多数。ドクガに刺された跡に間違いない。2〜3週間は治りそうにない。この時期、低山歩きは暑いが長袖は必需品である。
山のリストへ