高木山・山之上富士山 (342m・357m 美濃加茂市) 2008.6.21 曇り一時雨 2人

みのかも健康の森第二駐車場(11:44)→管理棟→777階段入口(11:56)→尾根ルート分岐(12:01)→愛宕神社(12:13)→高木山山頂・よろこびの塔(12:22-13:21)→富士見橋(13:53)→休憩小屋分岐@(14:02)→休憩小屋分岐A(14:19)→山之上富士山山頂(14:22-14:35)→休憩小屋分岐A(14:38)→林道・休憩小屋(14:48)→休憩小屋分岐@(15:00)→富士見橋(15:07)→管理棟(15:25)

 梅雨の時期、この週末も雨の予想。山歩きはあきらめていたところ、土曜日の朝、雨は降っていない。曇り空ではあるが、何とか山歩きができそうである。傘をさして歩ける近場の山を探し、美濃加茂市の高木山と山之上富士山を選んだ。
 
 いつもよりかなり遅い時間に出発。富加町役場北側の信号交差点を県道97号線に入り、東に向かう。東海環状自動車道の高架を潜り、美濃加茂市の伊深町に入る。まだ刈り取られていない麦畑の向こうには、ラクダのコブのような山が見える。右のコブには塔が建つ。これが高木山である。県道は山の中に入り道幅が狭くなる。時計回りにカーブしていくと、右に「みのかも健康の森」への道が現れる。川浦川を渡って、高木山と山之上富士山をつなぐ富士見橋を潜ると、右の山へ鋭角に道が上がっている。この道へ右折して、折り返すように登っていくと、「みのかも健康の森」の管理棟が現れ、駐車場の案内がある。第二駐車場に停め、車を降りると、バーベキュー広場からにぎやかな声が聞こえてきた。
 
 靴を履き替え、ストックの代わりに傘を持って管理棟へ向う。管理棟で園内の案内図を入手し、トイレに寄る。「みのかも健康の森」は生活環境保全林で、いろいろな施設が整備されている。管理棟の前には、アジサイの鉢がたくさん並んでいた。明日、あじさいまつりが行われるとのことで、その準備が行われているようだ。目指すは高木山の登山口となる777階段の入り口。バーベキュー広場の横を通って、「どんぐりぱーく」の遊具を見ながら、舗装道路を左回りに登っていくと、すぐに展望台の入り口に着いた。
 
 登山口と書かれた丸太の門を潜って、777階段に取り付く。はるか先まで階段が続く。小雨が降り始めたので、傘をさす。5分ほど階段を登って、息が切れ始めた頃、尾根ルートの表示が現れる。展望台まで650mと書いてある。777段の階段を登ってみたいところであるが、尾根という言葉に誘われて、階段から右に入る。コシダの茂る斜面を右に見ながら歩くとすぐにベンチのある展望地に出た。眼下には緑に埋もれた園内。遠くは雨に霞んで、梅雨時期特有の景色がパノラマとなって広がる。美濃加茂市北部は丘陵地形で、緑色の濃淡の海が広がる。ウグイスのさえずりが響き渡る。
 
 丸木階段を登り、右山で等高線に沿って歩く。切り立った岩壁の下を通過し、3合目休息所をやり過ごし、折り返すようにつづら折れの道を登る。前方に高木山山頂の「よろこびの塔」が見える。標高差はわずかだ。雨が止み、傘をたたむ。愛宕神社の標示があったので、案内に従って左に入るとすぐにガスが漂う広場に出た。大小2つの石碑が現れ、神社というよりは墓をイメージさせる。北側は切り立った断崖であり、木立の中で展望は無い。手を合わせて、分岐まで戻り、山頂を目指す。
 
 高木尾根の標示がある。高木山から西へ延びる岩場が続く明るい尾根で、転落しないようにコンクリート柱とクサリの柵が設置してある。北側を覗き込んでみると、先ほど車で通過してきた県道が山沿いを蛇行している。北の山の稜線には雨雲が垂れ下がっていた。進行方向には「よろこびの塔」が建つ。あと一登り。チャートの岩場にはヒトツバが見られたが、この辺りのヒトツバは葉が細い。胞子葉であろうか。
 
 モチツツジの咲き遅れの花を見ながら、丸木階段を登りつめると、塔の建つ山頂に到着。山頂の中央に建つ「よろこびの塔」は、木造でしっかりした3階建てである。隣には避雷針のポールが立っている。まず、塔に登ってみる。最上階からは360度の展望が広がる。西には今歩いてきた高木尾根のコブが見える。伊深町の田園は田植が終わった直後で、水田は曇り空を映して白く光っていた。環状自動車道や車で通ってきた道がよく分かる。東にはこれから登る山之上富士山が鋭角の美しい姿を見せる。その手前には鋭い岩山が見える。富士山山頂まで下りてきた雨雲がゆっくりと流れていた。
 
 塔の下のテーブルで、来る途中で買ってきた調理パンなどを食べていると、777階段から2人の若者が汗だくで登ってきた。我々が登ってきた尾根コースで下山できるか聞かれたので、777階段の3合目に出ることを伝えると、すぐに下って行った。ランチの後、少し空が明るくなったのでもう一度塔に登ってみると、垂れ込めていた雨雲が消え、鳩吹山から各務原方面の山並みを望む事ができた。金華山や百々ヶ峰も望めた。
 
 頭上にはたくさんのツバメが旋回し、近くの松の木のてっぺんでは小鳥が美しい声で鳴いている。顔の白い模様から、ホオジロと分かった。「一筆啓上仕候」と鳴くことで知られているが、確かにそのようにも聞こえる。キアゲハが縄張り争いをし、山頂の隅にはネジバナがひっそりと花を咲かせている。梅雨の時期の山もいい。山頂には「山之上のヒカゲツツジ群落」の標示があり、花の時期に登ってみたいものだ。
 
 1時間ほど山頂でのんびりして、次の目的である山之上富士山を目指す。「つつじの小路」の案内に従って、東の道を下る。先ほどの尾根と同様に、ここも北側に柵があり、展望も良い。左に山水画にあるような岩山が迫ってくる。正面には富士山が美しい姿を見せる。今回のコースで最も雰囲気の良い場所である。ウスノキの赤い実が雨に濡れて美しい。「ツツジ類群生地」の標示があり、いろいろなツツジが見られる。残念ながら今はモチツツジの花が残っている程度。このコースは「つつじの小路」と名付けられていることから、春に花を楽しみながら歩きたい尾根である。ホタルガが遊歩道を飛んでいる。この蛾を見ると、夏が来たことを改めて思う。子どもの頃、夏の夕暮れになるとこの蛾が家の周りをたくさん飛んでいたが、今ではあまり見かけなくなった。
 
 樹林帯の中をジグザグに下って、再び正面に富士山が大きく見えるようになる。鞍部から少し登り返すと、「見晴岩」の標示が立つ岩場の展望地に出た。すばらしい展望地で、見下ろすと「あじさいの池」が見えた。アジサイが満開である。下山したら寄ってみようと思った。見晴台を後に、展望の良い道が続く。ルリシジミを見つけて写真を撮っていたら、ウラナミアカシジミも発見。久しぶりに出会う蝶だ。さらに下って、石の階段を経て東に向きを変えると、分岐点が現れた。直進すれば山之上富士山の山頂にある富士神社に行くことができる。山頂までの標高差は199mとある。左は管理棟方向。
 
 直進してノギランを見ながら富士見橋を渡る。この下の車道は、車で走った道である。橋を渡って、丸木の階段に取り付く。薄日が差し始めた。木の梯子を登り、適度な傾斜の道を歩く。無風状態で、蒸し暑い。額から落ちる汗をバンダナで止めながらひたすら登っていく。橋から10分ほど登ると、右に分岐があり休憩小屋500mの標示。この後、ここで合流することになるとは思いもしなかった。分岐から10分ほど歩くと展望の良い尾根に出た。後方に高木山が二コブに見える。水分を補給して、山頂を目指す。暑さでかなりバテてきた。ゆっくりゆっくり登っていく。
 
 休憩小屋まで350m、山頂まで約5分の分岐を通過。ここから3分で山頂に着いた。山頂は広く、樹林帯で展望は川辺方面にわずかの切り開きがある程度。中央には富士神社が建つ。三角点の前で写真を撮って、すぐに下山。山頂下の分岐点から休憩小屋方面に左折。道は明瞭。ぐんぐん下っていく。ジグザグと下って分岐から10分ほどで林道に出た。林道下へも道があり、井戸のようなものが見えたので下りてみると、注連縄で祀られた穴に水が溜まっていた。その下まで舗装林道が上がってきており、広場には休憩所が建っていた。
 
 案内板を確認して、休憩所の上から等高線に沿って西に向う遊歩道を歩くことにした。「あじさいの池」に行くことができるとの案内板がある。草に覆われた林道のような道を、オカトラノオの白い花を見ながら歩く。花期最盛期のノリウツギが美しい。10分ほど単調な遊歩道を歩くと、先ほどの道に合流した、正面に高木山を見ながら下って富士見橋に出た。再び雨が降り始めたがすぐに止んだ。
 
 橋を渡って「あじさいの池」の方向へ。池の周りのアジサイが満開で美しい。この天気では訪れる人も少ない。コイが泳ぐ池を横断して、アジサイを分けながら歩き、虹のトンネルを通過。トンネルの中に入ると虹色に照明が変わり、音楽が流れる。トンネルを抜けて管理棟に戻り、ジュースとカキ氷で生き返った。がらんとした食堂には登山者の姿も見られた。明日の天気も思わしくないが、アジサイ祭りに訪れる人は多いに違いない。静かになったバーベキュー広場を後に、駐車場に戻った。

 この2山縦走は、生活環境保全林の中の低山でありながら、結構、本格的な山歩きが楽しめる。展望地も多く、植物や昆虫も豊富。四季を通じて歩けば、いろいろな発見ができるに違いない。
高木山からの展望


高木山・山之上富士山の植物・昆虫
 山のリストへ